自動車学校

 

筆記試験に合格した夫は電話帳で自動車学校を探して電話しました。次の日、自動車学校の教官が、練習用の車に乗って迎えに来ました。一時間余りして帰ってきた夫に話を聞くと、自動車学校の練習場は無いらしく、広い駐車場に行って練習してきたそうです。

この辺りでは、高校に日本の自動車学校にあるような練習場があって、高校の授業で自動車の運転免許が取れるようになっているそうです。だから、40才過ぎている夫が、今まで車のハンドルに触った事が無いといったら、教官はとても驚いたようです。

私は筆記試験を夫よりも二週間ほど後に受けたので、車の運転の練習も二週間ほど遅れて始めました。最初の日、練習用の車に乗せられて、駐車場に行きました。そこは、映画館の駐車場らしく日中は誰も車を止めていません。そこで、一回目の練習が始まりました。

エンジンのかけ方さえ知らず、オートマチック車なのでブレーキから足を放しただけで、前に動き始め、つい声をあげて大騒ぎしたので、教官も呆れていたかもしれません。そんな私でも、5回目には、住宅街の一般道路で練習する事になりました。

アメリカでは、どんな小さな道路にも名前が付いているし、住宅街の小さな交差点でも道路標識が立っています。日本だと、狭い道から広い道に出る時は道路標識がなくても一旦停止したり、狭い路地の交差点は徐行したり譲り合ったりしますね。ところが、タラハッシーでは、全て道路標識にしたがいます。交差点でも一旦停止の標識が出ていなかったら徐行したりしません。

一旦停止の標識で、フォーウエイストップという標識があります。これは、交差点で、どの方向から来ても一旦停止して、先に来た車から進むことになっています。日本だと、こういう場合譲り合って・・・ということになりますが、一台譲ると、その後ろの車が何台か続いて行くので中々進めなくて困ります。その点、このフォーウエイストップは、合理的です。

でも、運転技術の未熟な私はこれが苦手でした。余裕がないので、どの車の次に動けば良いのか分かりません。助手席にいる教官が、ゴーゴーというので、直進の時はなんとかなります。でも、右折や左折の時、そこに、他の車が停止していると、その車にぶつけはしないかと緊張します。

初めのうちは、助手席に乗って住宅街までいき、そこで練習をしていたのですが、なんと15回目からは、アパートを出る時から私が運転していく事になりました。アパートの前は、交通量が多いので出るのが大変でした。

ショッピングセンターの広い広い駐車場の端の方でも、練習しました。平日は、買い物客がそんなに多くなく、たいてい店の入り口の近くに駐車するので、端の方はがらがらです。そこでは、バックで十数メートル真っ直ぐに進むとか、ストレートパークイン(バックでの車庫入れ)、それから、急ブレーキの練習もしました。

二・三十メートルぐらい全速力で走っているとき、教官が合図したら、急ブレーキをかけるのです。合図があったら力いっぱいブレーキを踏んで、出来るだけ早く止まろうとしました。すると教官は、だめだと言います。そんなに強く踏むといっしょに乗っている人が前のめりになって怪我をするかもしれない。ブレーキはそぉっと踏んで安全に止まらなければいけないと言うのです。

道路に出て練習するようになってよく注意されたのは、ブレーキをかけるな、速度を落とすな、です。細い道で一方通行だったのですが、下りのくねくねした坂道で、恐くてブレーキを踏むと大きな声で注意されました。大通りをドライブしていて、右側にあるショッピングセンターの駐車場に入るようにいわれたので、右の方向指示器をつけ少し速度を落としたら、ものすごい剣幕で「スピードを落とすな。」と、叫びます。スピード落とせ、の間違いではありません。

後で落ち着いてからの説明によると、右折の合図を出したら、後ろから来る車の運転手は私の車がすぐに右折すると思うので、もたもたしてると、後ろの車からぶつけられるので危ない、ということでした。練習用の車ですから、教官はブレーキをかけることが出来ますが、アクセルを踏む事はできません。私は気が付かなかったのですが、きっと、後ろの車が迫ってきて教官は大慌てだったと思います。

ところで、日本だと自動車学校に幾らぐらい払うのでしょうか? 以前、年令×一万円とか行ってましたが・・・。私の場合、毎回現金でその日の分を払ったのですが、一日一時間乗って、24回目に実技試験に合格したので、自動車学校に払ったお金は、チップも込みで400ドル余り、約5万円でした。夫は、練習時間がもっと少ないうちに合格したので、4万円ぐらいで済んだと思います。

 

 

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アメリカで暮らして