科学哲学ニューズレター

No.1, April, 1994

Philosophy and History of Science, founded in 1993
Syllabus of the new academic year
New junior students
Profile of Prof. Soshichi Uchii


平成5年4月に科学哲学科学史講座は内井惣七教授が着任して発足した。平成5年度は、内井教授が倫理学講座も兼担したため、「科学哲学概論」一科目のみが開講された。しかし、平成6年度より新専攻生(3回生)を迎えて本格的な教育研究が始まった。大学院の開設は平成8年度になる予定である。本年度の提供科目は次のとおりである(文学部講義題目より)。

○科学哲学入門(内井惣七)「科学とは何だろうか。この問いに答えるため、説明、仮説形成、検証、科学理論の目的と変遷など、科学のさまざまな側面を分析する。」金4時限
○科学史概論(松尾幸季)「近代科学史、とくに物理学史のいくつかの主題について、最近の研究をふまえた講義を行う。時間があれば、生物学史にも触れる。」月3時限
○物理学の発展(越野茂美)「物理学は現代の科学技術の根幹となっている。現代物理学がどのようにして生まれ、発展したかについて説明したい。」〔現代史学と共通〕火4時限
○19世紀の科学と科学哲学(内井)「マクスウェルとボルツマンを主たる題材として、確率・統計的な方法の展開に着目し、科学と哲学の絡みあいを考える。」火2時限


マクスウェル(1831−79)

○歴史における科学的思考(佐野正博)「科学史の事例をたどりながら、現代の科学論につながる諸問題を考えてみたい。」集中
○論理学演習(内井)『真理・証明・計算』
 火3時限
○演習(伊藤邦武)Ramsey, Philosophical Papers〔哲学と共通〕金1時限
○科学哲学演習(美濃正)R.Boyd et al, The Philosophy of Science 木4時限
○演習(薮木栄夫)Kant, Prolegomena 〔哲学と共通〕月4時限
○演習(小林道夫)Descartes, Les Principes de la Philosophie(哲学と共通) 火5時限
○科学史演習(内井)クーン『コペルニクス革命』〔前期〕金3時限
○科学哲学演習(内井)Van Fraassen, The Scientific Image (後期)金3時限

  
ボルツマン(1844-1906)

新専攻生紹介


多田 朋
 文学部の多くの学生が「科学哲学」という呼び名にビビってしり込みしたなかでただ一人専攻を志した元気な女子学生。
日沖桜皮 理学部の数学出身で6年間の社会人生活の後学士入学した。古代の数学史にとくに興味がある。
野澤 聡 理学部で物理学を修め、今年卒業して学士入学した。近代科学の初期、とくにデカルトなどに関心がある。  

主任教授紹介


内井惣七(1943-) 京大工学部精密工学科卒業、京大文学部哲学科(倫理学専攻)卒業、Ph.D. (Philosophy, Univ. of Michigan, 1971)
京大人文研助手 (1967-1979)、大阪市大文学部講師・助教授 (1979-1990) 、京大文学部倫理学講座教授 (1990-1993) を務めた後、1993年4月より科学哲学科学史講座に移った。研究領域は、論理学(とくに様相論理)、帰納法と確率、19世紀イギリスの科学方法論、進化論の歴史、気体分子運動論の形成史など。現在、放送大学の客員教授として「推理と分析」の科目も担当している。
著書−−『論理学』(共著、ミネルヴァ書房、1976)、『いかにして推理するか・いかにして証明するか』(ミネルヴァ、1981)、『うそとパラドックス』(講談社現代新書、1987)、『シャーロック・ホームズの推理学』(同、1988)、『パズルとパラドックス』(同、1989)、『科学と哲学』(共編、昭和堂、1988)、『自由の法則・利害の論理』(ミネルヴァ、1988)、『真理・証明・計算』(同、1989)、『推理と分析』(放送大学教育振興会、1992)、ヘア『道徳的に考えること』(監訳、勁草書房、1994)。


編集後記 新設の弱小講座ゆえ、PRを兼ねてニューズレターを発行することにしまし
た。次回は、新着文献の紹介などを盛り込みたいと思います。(94.4.15/内井惣七/カット:内井惣七)

Last modified, Nov. 29, 2008. (c) Soshichi Uchii