ホーンのアウトプット

デスクトップミニバックロードQS-08a


1. 前書き

以前からホーンのf特には興味があったのですが、コーン前面からの回り込みとかの影響で、まともにはかれるわけがないと高をくくっていたのですが、ひょんなことからコーンの直前数cmで測れば周りの影響をほとんど受けずにはかれることがわかり、これならホーンの特性も拾い出せるのではないかと試す気になりました。

で、短いホーンながらしつこく折り曲げた1/4スパイラルのデスクトップ機で測ることにした次第です。

2. 結果

一応、測定条件を整理しておくと、

早速結果です。

赤い線がコーン前面青い線がホーン出口での測定値です。

やっぱり、回り込みがあるんじゃないか、と思って、コーン前面に毛布をかぶせて試してみても、ほとんど同じ結果でした。(うかつにも測定結果を紛失しましたが、ほとんど変わらないと言って良いレベルだったのは確かです。)

いやぁ、びっくりです。
ほぼ、1kHzまでしっかりと音圧が出てることといったら。

問題はこれをどう見るか、ということですが、、、。

3. 考察

どう見るかというのは、これだけ漏れてるものは漏れてるんだ、というだけで終わらせることは出来ないと思うからです。
ポイントは、
の2点です。
特に2番目は逆も言えるという事で、コーン前面周辺におけるホーンからの寄与は少ないことになります。

一方、試聴位置が離れれば離れるほどコーンとホーンの寄与の差が小さくなって、混ざった音になるはずです。

では、実際の試聴距離は、約60cmの至近。
というわけで、60cmの距離で測ってみると、
すでに混ざった状態なのではっきりとはいえませんが、ホーンの音圧ががっくり落ちる1.2KHzに段差が出ない程度にはホーンからの音圧は減衰している、と見ても良いでしょう。

え?前面開口で距離を取ってたらって??
開口部の吸音処理は重要だ、ということですね。

4. おまけ 〜 ホーンの効き

今回測った方法は、音源の至近距離で測ったので、開口部、回折音が通ってくるパスとは比べ物にならないほど距離が近く、部屋の影響も除外できます。

特にドライバーの至近距離での測定は、コーンの振幅に非常に近い結果となっているはずです。
そこで、興味深い比較をひとつ。


青は密閉箱赤はバックロードにマウントしたときのドライバー前面の応答

ここでの密閉は、中がガラン胴の箱でなく共鳴箱のようになっているので、180Hzを下限に共鳴によるディップが見られますが、それよりも低い周波数側は密閉とみなしてよさそうです。

ここで、密閉箱では美しくないという意見もありましたので、バッフルにマウントせずユニット裸で測定した結果とも比較しておきます。結果はごらんのとおり。

青はユニット裸赤はバックロードにマウントしたときのドライバー前面の応答

さて、こう比較すると、確かに設計上ホーンの効き出す200Hz以下ではコーンの振幅は小さくなっています。
つまり、不完全な折り曲げ音道ながらもちゃんとホーンとして機能しているということです。

個人的には、もっとホーンの効かない帯域が凹凸に存在すると思ってただけに、フラットとはいかないまでも、ホーン受け持ち帯域全域について良好な結果が得られたのは貴重な知見でした。

それよりもバッフルにマウントすることによる1700Hzのディップのほうが気になりだしました。
むむむ、、、。

実験のメニューへ戻る

TOPページへ戻る