Galileo's Series of Odd Numbers
パターンの発見、ガリレオの有名な例
ガリレオが力学の歴史できわめて重要な位置を占めることはよく知られている。ドレイク(1993)によれば、ガリレオが斜面上の球の落下(転がり落ちる)の実験によって落体の運動法則について一つの突破口を開いたのは1604年のことである。時間の測り方を工夫したガリレオが見いだしたのは、時間の最初の一単位経過の間に球が移動した距離を1とすれば、次の一単位時間の間に移動した距離は3、次は5というように、奇数列が得られるということだった。つまり、時間 t のときの移動距離を d(t) と書くなら、
d(1) - d(0) = 1
d(2) - d(1) = 3
d(3) - d(2) = 5
d(4) - d(3) = 7
・ ・ ・
という規則性が見つかったのである。
これから自由落下の法則に至るまでにはまだ紆余曲折があるのだが、現代のわれわれから見れば、この規則性からその法則を導き出すのは比較的簡単である。すなわち、
d(0) = 0
d(1) = 1
d(2) = 4
d(3) = 9
d(4) = 16
・
d(n) = nn
という、時間の2乗の系列から先の奇数列が得られることがわかる。したがって、落下の加速度を a (もちろん、「加速度」の概念にたどり着くのが大変だった)とすれば、
d(t) = (1/2)att
という自由落下の法則が背後にあることがわかるのである。いずれにせよ、この有名な例でも、パターンの発見が決定的に重要であったことがわかる。
Reference
ドレイク『ガリレオの思考をたどる』(赤木昭夫訳)産業図書、1993(原著1990)。
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