光村国語5上『仮名づかいの決まり』指導案

200715日 TOSS金魚

斑鳩町立斑鳩東小学校 松本隆行

 

(教科書84ページ上段および下段6行目までを読む。) 

のばす音のことを長音といいます。これが長音を書くときの原則です。原則には必ず例外があります。その例外についての説明を読みましょう。(教科書84ページ下段7行目〜11行目を読む。) 

 国が「現代仮名遣い」というきまりを作りました。そこに例示されているのは,次のとおりです。

おおかみ おおせ(仰) おおやけ(公) こおり(氷・郡△)こおろぎ ほお(頬・朴) ほおずき ほのお(炎) とお(十) いきどおる(憤)おおう(覆) こおる(凍) しおおせる とおる(通)とどこおる(滞) もよおす(催) いとおしい おおい(多)おおきい(大) とおい(遠)

おおむね おおよそ

 なぜこれらが「う」ではなくて「お」を添えるかということについては

これらは,歴史的仮名遣いでオ列の仮名に「ほ」又は「を」が続くものであって,オ列の長音として発音されるか,オ・オ,コ・オのように発音されるかにかかわらず,オ列の仮名に「お」を添えて書くものである。

という説明が書かれています。

 ある先生が作られた「「お」の歌」というのがあります。

♪遠くの大きな氷の上を 多くの狼頬かむり 十ずつ並んで 通ります

仰せの通り こおろぎ買って 布で覆っておきました

どちらが正しいでしょう。

A おお!よくやった。

B おう!よくやった。

そこにはこう書いてあります。

この仮名遣いは,擬声・擬態的描写や嘆声,特殊な方言音,外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。

 「オー」は嘆声ですから,ABどちらでもよいのです。

(教科書84ページ下段12行目〜85ページ上段2行目を読む。)

 実は,「え」を添える場合より「い」を添える場合のほうが多いのです。

ねえさん ええ(応答の語)

が例として挙げられていますが,ほかにありますかねえ。

ありますかねえ

の「ねえ」ぐらいですかねえ。

(教科書85ページ上段3行目〜7行目を読む。)

 「言う」はなぜ「ゆう」じゃなくて「いう」なのでしょうか。

 「言う」という動詞は,

「言わない・言います・言う・言えば・言おう」

と活用しますよね。語幹は「言」。これが変化するとおかしいので,「ゆう」ではなく「いう」と書く,ということらしいのです。

 「言う」は,歴史的仮名遣いでは「いふ」と書いていました。

 で,今は「ゆう」と書く言葉,たとえば「遊戯」「郵便」「勧誘」のふりがなは,歴史的仮名遣では

「いうぎ」「いうびん」「くわんいう」だったのです。

歴史的仮名遣から現代かなづかいになるときに,「いふ」が「いう」になって,「いう」が「ゆう」になったのですね。

(教科書85ページ上段8行目〜下段7行目を読む。)

 どちらが正しいでしょう。

A いちじく                A いちじるしい

B いちぢく                B いちぢるしい

 これらは例外の例外でありまして,「いちじく」「いちじるしい」が正解です。

A せかいじゅう           A いなずま     A つまずく     A ゆうずう

B せかいぢゅう           B いなづま     B つまづく     B ゆうづう

 これらは原則として「じ」「ず」だけど,「ぢ」「づ」と書いてもかまわないよ,というものです。ただし,これらについては,中学校・高校で指導すると定められています。

(教科書85ページ下段8行目〜最後を読む。)

 どちらが正しいでしょう。

A こんにちは               A 雨も降るは風も吹くは         A 来るは来るは

B こんにちわ               B 雨も降るわ風も吹くわ         B 来るわ来るわ

 これらはすべて「わ」が正解です。

A 気をつけ

B 気おつけ

 「を」が正解。

A 司書教諭は、教諭をもつて充てる。

B 司書教諭は、教諭をもって充てる。

 現代仮名遣いでは

促音に用いる「つ」は,なるべく小書きにする。

と定められています。「なるべく」ですから必ずしも小さく書かなくてもいいのです。

実際,昭和63年までは,法令では小さい「や・ゆ・よ・つ」は使われなかったのですよ。

 学校図書館法ができたのは昭和28年。もちろん現代かなづかいで書かれてはいますが,小さい「つ」は使われていないのです。だからABも正解です。

 

 現代仮名遣いの指導に際しては,次の法令を読んでおきましょう。

現代かなづかい(昭和21年内閣告示)

現代仮名遣い(昭和61年内閣告示)

学校教育における「現代仮名遣い」の取扱いについて(昭和61年 文部省初等中等局長通知)

法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について(昭和63年内閣法制局通知)