台湾のごはん

3年半ほど前に東京・青山の「遊茶」というお店で工夫茶をいただいたのがきっかけで、工夫茶の本場、中国-台湾にだんだん興味がわいてきていました。最近は雑誌などで台湾特集が組まれる事も多く、旅行代金を調べてみると時期によっては格安航空券が東京-大阪間の新幹線代とほとんど変わらない値段。香港よりもっと気軽に行ける!という事で思い立ったが吉日と、さーっと台北へ行ってきました(笑)3泊4日の駆け足旅行にしては我ながらあきれるほど食事内容が濃いです(笑)。それでもまだまだ心残りがいっぱいで、きっと近いうちにまた行ってしまうと思います。


朝ごはんいろいろ



これは大根餅。味もなかなかで1皿120円くらい。笑えるというか、すごいアイディアだと感心したのが、お皿を洗わずに使い回す方法!プラスティックのお皿にビニール袋がかぶせてあって、お皿を下げたらさっと取り替えてすぐまた使えるというわけです。たくましさとご愛嬌でほほえましい(?)生活の知恵でした(^^;)




台湾の朝ごはんでまず試したかったのが、豆漿(とうしょう)と呼ばれる物。日本でいう豆乳の事なのですが、臭みがなくやさしい甘さでとてもおいしいのです。今回は残念ながら紙コップに入った物しか見つけられず(熱々なのにストローで飲むようになっていてちょっとあせりました)、写 真も無いのですが、本当はお皿に入った豆漿に、香港などでも見かける細長い揚げパンのような物をひたして食べるというのが本当の食べ方のようで、次回はぜひそれを試したいです(笑)。後はおかゆや上にあるような点心類をつまんだり、台湾の人々は三角サンドイッチも大好きのようで、朝昼よく店先にサンドイッチを積み上げて売っているのを見かけました。




お料理いろいろ


日本でも有名な鼎泰豐(ティンタイフォン)小籠包を食べに、まずは行ってみました。誰もが口を揃えておいしいと絶賛するだけあって、熱々の小籠包を頬張るとジュワ〜ッと口の中に広がる肉汁がたまらなくおいしい!1人1セイロをペロッとたいらげてしまいました。ここの小籠包はハシでつまんでも皮がやぶれないのがすごい。本当に絶品でした。また行きたいなぁ・・。

鼎泰豐の入り口。調理場に入り込むようにして奥に進むと席に案内してくれます。この手前にはいつも行列が絶えないというのは本当で、地元の人も観光客も一度来るともうヤミツキという感じ(?)で1時間以上待つのは普通 ですが、番号を書いた紙を渡してくれて「何時頃に戻ってきてね」と教えてくれる、とても便利なシステムでした。





台湾でよく見かける牛肉麺。日本の肉うどんと似ていますが、八角の香りがほのかにするのが台湾式のようです。実はこの八角風味があまり得意ではないので、「おいしいけど、この香りがなければもっといいのに・・」と、ちょっと苦しいところでした。

絶対おすすめ!と台湾の達人の方に教えてもらったのがこの朱記餡餅粥店お焼き。赤いのがついているのがお肉、となりが野菜です。お肉のほうはまたまた肉汁がジュワワ〜ッと、こたえられないおいしさで、野菜の方もなんともいえない風味があって(野沢菜にも似てるような、違うような・・)、日本に持って帰りたいほどのおいしさでした。




度小月の店内の一角で、麺やトッピングを山盛りにして、おじさんが手早く作ってくれます。米の麺の他に、ラーメン風の黄色い麺もあります。意外だったのが(失礼)、店内が清潔でモダンな雰囲気だった事。おしゃれなカフェ風の店内と坦仔麺という取り合わせが妙に新鮮でした。





こちらも達人おすすめの度小月坦仔麺。ビーフンのような米の麺にピリ辛の肉そぼろといろいろをトッピング。ここに写 っているのは煮タマゴと魚のすり身ボール。クセの無いスープとスパイシーさがたまりません。







雑誌で見つけた九如というお店のエビワンタンスープ。やさしい味でほっとする感じ。プリプリのエビがおいしい!このお店は本当に普通 の目立たないお店なのですが、味はどれも洗練されていて大満足でした。

こちらも九如で、やわらかい 白玉の中にひき肉というありそうでない組み合わせ。とてもおいしくて家でもマネしたくなりました。和食といってもいいくらいのあっさり味です。



台湾に行く前から水餃子が食べたいとうるさかった私(笑)。でも、水餃子はなぜか餃子専門店にある事が多く(?)普通 のお店ではなかなか食べるチャンスがありませんでした。夜市でやっと「水餃」文字を見つけてにっこり(笑)、でも、これまた私のやや苦手な香菜の味がしてちょっと残念(;_;)水餃子は次回の課題です(笑)

魚ボール(?)のフライのような物。特においしいというわけでは無いのに妙に懐かしくてうれしい味でした。給食に出てきたような味かな?夜市の食べ物はさすがに安くて、左の水餃子と2皿で150円くらいでした。




同行の友人Mさんのお友達、台北赴任中のKご夫妻のお誘いで、ちゃんとした中華料理店にも行く事ができました。北京ダックの登場に涙ウルウル状態(笑)。日本では皮だけがちんまりと登場しますが、こちらでは皮も身も豪快に登場。香ばしくて最高においしかったです。
北京ダックと並んで忘れられないおいしさだったのが、チキンのフリッターとパイナップルのマヨネーズ和え。パイナップルの甘酸っぱさとマヨネーズが絶妙で、これも家でマネしてみたくなる味でした。

台湾のごはんはやはり中華が基本で、物価はだいたい日本の8〜9割くらい?味は全体的にクセが無く、食べやすい物ばかり。たまに登場する八角風味がちょっとつらいと言えばつらかったです(笑)。街の雰囲気は香港にも似ていますが、エネルギッシュというよりは大らかでのんびりした感じ。人々は押し付けがましくなく、一見シャイに見えても実はすごく親切だったりする所が日本人と似ている気がしました。2人の旅行だとどうしても皿数が食べられないので、つい点心風な物ばかりを食べがちで野菜も不足気味でしたが、Kご夫妻においしい北京料理のお店でごちそうになり、大満足な旅の締めくくりになりました。本当にありがとうございました(^^)


おやついろいろ


滞在中にすっかりはまってしまったのがこれ。とろけそうな白玉 の中に胡麻あんが入っていて、ほの暖かいシロップ(?)に金木犀の花びらが浮かんでいます。特にこの九如の物はめちゃくちゃおいしくて毎日でも食べたかった!
一見冷や奴のように見えますが、これはココナツ・プリン。柔らかくてとろけそうなおいしさでした。



京兆伊というチェーン店があって、ここでは宮廷菓子のメニューが豊富です。これはきな粉餅のような物であんを巻いて黒みつがかかったような感じなのですが、和菓子にはない独特の風味で、ちょっと変わった味。おいしいけれど1つで充分という感じでした。
渦巻き模様が可愛いお菓子。見た目からは想像できないふんわり軽い感触で、ほろほろ溶けて不思議な味。材料はたぶん豆を使っていると思うのですが、作り方はナゾです。



珍珠ミルクティは今や日本でも人気ですが、私は本場でデビューしようと期待していました(笑)タピオカの感触と、ミルクティとコーヒーを合わせたような味が期待以上のおいしさ。右は台北で一番おいしいという「台北牛乳大王」(可愛い名前!)の木瓜(パパイヤ)牛乳。木瓜牛乳は台湾でとてもポピュラーな物のようです。やさしい甘さが気に入りました。
手前の点心は杏片炸蝦捲といってアーモンドをまぶしたパイ生地にエビとパイナップルと杏仁味(?)のクリームをはさんで焼いた物。エビが入っていても、これは間違いなくお菓子という感じ。繊細でとても新鮮なおいしさでした。奥はおなじみの胡麻団子(大好物)です。

今回は滞在が短かった事もあって(そのわりにはよく食べている・・(^^;))洋菓子系には見向きもせず(!?)、台湾独特のお菓子ばかり選んでみました。中華でおなじみのお菓子も登場しますが、和菓子といってもいいような甘さ控えめの餅菓子やあんこの入ったお菓子、そしてなんといってもとろけそうな白玉 が最高でした。夜市ではまるっきり日本のぜんざいとそっくりな物も食べましたが、そこにもやわらかい紅白の白玉 が入っていてにこにこでした。

台北の街で印象的だったのが、やたらとパン屋さんが多い事。日本でいうロンドンとかリトル・マーメイドとか、店の作りもパンの種類もほとんどそっくりのチェーン店が5分歩く間に3軒はあると言っても大げさではない程で、思わず通 りがかりにウィンドウをのぞきこんでしまいます。よーく見ると日本のパンより1.5倍くらいボリュームがあって大らか(?)そうな感じが台湾風だと納得しました。



茶藝館について



これがお茶をいれるためのひとそろい。急須(茶壷)も湯のみも日本茶用の物より小さめです。口がすぼまって背の高い方の湯のみに最初にお茶を注いだ後、口の広い方に移してまず香りを楽しんでからお茶をいただきます。
どらちもあんを使ったお菓子で、とても和菓子っぽい上品な味でした。お茶うけはこんな感じのお菓子の他に下の写 真にあるようなドライフルーツや、ナッツ、ひまわりの種等々どれも中国茶によく合います。



最初にお店の人にお茶のいれ方を教えてもらった後は自分でも同じようにやってみます。やかんがずっしりと重いのも手伝って少々緊張中。でも、日本の茶道に比べるとずっと気軽な雰囲気です。

こちらはまた別の茶藝館にて。茶器もお盆も使い込まれた感じです。工夫茶は小さい茶器でちまちまとお茶を入れるのがおままごとみたいで何とも楽しいです。こういう感想はひょっとしたら邪道かもしれませんが・・(^^;)



チャイニーズアンティークのインテリアがとても素敵だった茶藝館。あまりにも居心地が良くて、時間さえあれば半日でもくつろいでいたい気分でした。こんなお店が家の近くにあったら絶対通 います!

びっくりしたのがこの飲み方。小どんぶりくらいの器にお茶の葉を入れたまま上澄みをレンゲですくって飲みます。こうするとより香りが楽しめるそうです。写 真で見るとお味噌汁のようですが(笑)、これは鉄観音です。


茶藝館だけでなく、お茶の葉を売っているお店(ここは泌園というお店)でもこうやってカウンター越しにお茶をいれて飲ませてくれます。お店の人はどこもとても親切でいろんな種類を次々と味見させてくれて恐縮するほど。ここの茶梅(写 真左)がとってもおいしくてお土産に買って帰りました。

お茶うけいろいろ。この両側にあるのは茶梅という物で、日本の梅干しを甘くしたような物。シソでなくお茶の葉で漬けてあります。甘酸っぱくてとてもおいしく、旅行中すっかりはまってしまいました。食べ過ぎた後にも茶梅を食べるとすっきりするような気も・・。

今回は茶藝館巡りがテーマだったので、短い滞在中にがんばっていろいろ回りました。雑誌の特集等でいつも大きく取り上げられている茶藝館がいまいちでがっかりしたり、あまり期待していなかった所が雰囲気もお店の人の対応も最高に良かったり。今回訪ねた中で一番気に入ってしまった清香斎という茶藝館はインテリアといい、雰囲気といい、「これぞ夢見ていた茶藝館そのもの」という所でした。オーナーのマダムが本当に素敵な人で、お茶を入れてくれる動作の美しさには見とれてしまうほどでした。気分のいい茶藝館でゆっくりとお茶を飲んでいると旅の疲れも癒されるような気がします。
中国茶は本当に奥が深くて、味も香りも色もさまざな種類があります。お茶と茶器を売っているお店であれこれ試飲させてもらって、お気に入りの茶器と葉っぱを買い込んで家でも同じようにいれて楽しんでいます。 今度はぜひ台南や高雄や、できれば田舎の茶藝館にも足を運んでみたいと楽しみにしています。