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今日の新明解ちゃん

「新明解ちゃん」とは
本名を「新明解国語辞典第五版」(三省堂)といい、金田一京助が初版を編集した辞典の第五版。編者は山田忠雄(主幹)・柴田武・酒井憲二・倉持保男・山田明雄となっている。
「新解さんの謎」とは
赤瀬川原平氏の著書。文春文庫に所収。その辞典らしくない面白さに着目した編集者SM嬢と赤瀬川原平氏が「謎」を次々と発掘した快心の一冊。
「今日の新明解ちゃん」とは
「新解さんの謎」に触発されて、とうとう自分でも新明解国語辞典を買ってしまった私(ヨッサン)は、赤瀬川氏の触れていないところにもまだまだ紹介すべき点があることを発見し、「新明解ちゃん」の魅力を200241日から書き始めた。そのタイトルが「今日の新明解ちゃん」。最初はここまで続くと思わなかったがまとまった量になったので若干の修正を加えて残すことにした。


4
1

「せこい」(p.768

(1)けちだ。「献金に百円もってくるように友だちに言われたそうで、訳の分からない息子は−教会だなと思いながらも、たった百円でたくさんお 願いをしてきたという。どっちが−のやら・・・/消費税が五%もかかると聞いたとき、そんなの−』[不合理だ]と思った。

(2)狭量だ。規模が小さい。「世界征服をたくらんでいるというわりには、どうして幼稚園のバスをねらったり、子どもをさらったりと、−ことばか りをするのだろうか/ただ、僕らは宇宙船から見た地球をポケーッと見ていたいのに、やたらにスタジオにカメラを切りかえ、タレントたちにムリ ヤリしゃべらせたりするのは、宇宙の広大さに比べて、ちょっと発想が−」

 

「せこい」を「けちだ」「狭量だ」と説明するのにどうしてここまで、と笑ってしまいますね。

 

42

「ももんがあ」 (p.1400)

 (1)ももんが(2)毛深い化け物。(目・口などを両手で広げ、子どもをおどしたりするときに発する語。「ももんじい」とも)

 

そうだったんですか(^_^;)。誰か、こうやって子どもを脅かしたことがある人、います?私は落語でいまの桂春団治師匠が言っているのを聞 いたことがあるくらいです。

 

43

「なくなく」(p.1039)

泣きたいほどのつらい気持ちで意に副わないことをすることを表す。「担任教師のイエスがもらえず−県立B高校を受験しました/賃上げ要 求のストに突入し、物資輸送がストップ。そのあおりを受けたパン屋さんが−処分したわけです/決まりかけていた設計を−やり直すなど、試行錯誤の連続だった」

 

どれも間違っているわけではなく「なくなく」をよく表しているとは思うのですが、おかしいのはなぜ三つも例を挙げなければいけないのかというこ と。ときどきこのような異様に力の入った例文を出す項目があるんです。他の項目には全然例がないのもあったり、簡単に済ませているものも 多いのに、たかが「なくなく」という副詞になぜ三つも例が必要?しかしこういうのを見つけては喜んでいる私も暇ですな。

 

44

「いかに」(p.57)

この項目は全部書くと長いので・・それだけ異様に力が入っているということです・・例文だけ適当に抜き出します。「高齢化社会に向かって、我々は−(=どのようなライフスタイルを選んで)生きるべきか」「自分が−(最大限の努力をして)本物の日本人であるかをアッピールしても、中国人だと誤解され続けた」「一枚でもせんべいとはこれ−」

 

これ以外に例文があと6個(!)載ってます。上の最後のは駄洒落ですし。ついでに「明解」も引いてみました(p.1371)

(1)(簡潔で)要領を得た解釈。(2)いちいち説明されなくても、その意味するところがよく分かる様子」

 

いちいち説明されなくても・・・なのに「新明解」にはこれだけの説明(^_^;)

 

45

「ぱりぱり」(p.1149)

(1)純粋にその要素だけで、まじり物や崩れた所などが全くないこと(を表す)。「江戸っ子の−/−の江戸っ子」(2)

 

この二つの例はなんでわざわざ二つあるんでしょう?ほとんど同じです。どっちかだけで十分なような気がします。それから(を表す)というのも意 味不明。敢えてつけなくても(を表す)に決まっていそうなもの。それにこの意味でつかうならparipariよりもbaribariという方が一般的な気がします が、baribariの方は項目にありませんでした。

 

46

「奪う」(pp. 123-4)

(1)

(2)[対抗試合で]決定的なポイントを上げて、優勢に立つ。「打者十二人の攻撃で7点を奪った/決勝ゴールを奪った/ダウンを奪いKO勝ち/ 前半から3トライを奪うなどして快勝/3バーディーを奪い首位をキープ/中間集計でラップ[=ラップタイム]を奪う/リードを奪う」

(3)(4)

 

やっぱり「なぜにこれほどたくさんの例を挙げるの」という項目です。それに、中には説明に書いてある「決定的なポイントを上げる」という意味 から離れているのもあるし・・・。単にスポーツ競技で点を「取る」とか「取り返す」「優位に立つ」の誇張表現ではないかと思うんですけどね、「奪う」。

 

47

「ひだり(左)」(p.1177)

(1)アナログ時計の文字盤に向かったときに、七時から十一時までの表示のある側。[「明」という漢字の「日」が書かれている側と一致。また、人 の背骨の中心線と鼻の先端とを含む平面で空間を二つの部分に分けたときに、大部分の人の場合、心臓の搏動[ハクドウ]を感じる場所があ る方の部分]

以下略

 

「左」を説明するのに工夫した点は認めますが、すごくユニーク。遊んでいるのか大まじめなのか。「左」みたいな基本的なことばの意味が分か らない人がこの辞書を引いて、「人の背骨の・・・」という説明の意味がすぐに飲み込めるのでしょうか。しかも「大部分の人の場合」であって例外もあるのだから例としては不的確かも。私は文句を言っているのではありません。読んでいて楽しい、こんな新明解さんが大好き。新明解ちゃんと呼びたいくらいです。まだ新明解ちゃんをもっていないあなたも本屋さんに走りたくはなりませんか?なりませんかね(^_^;)。こんなことに喜び を見いだしているのは私とともさんぐらいかも。

 

48

「いんけい(陰茎)」(pp. 101-102)

男子の生殖器の一部で、さおのように伸びたりする部分。男根。

 

これ、赤瀬川原平も取り上げています(「新解さんの謎」p.51)。とくに「さおのように」の部分。たしかに不思議な表現ですよね。「さおのように」ってさおは伸びるものなんでしょうか。それとも伸びて「さおのように」なるんでしょうか。そもそも「さお」って何でしょう。物干し竿?釣り竿?それ以前に「いんけい」は「さおのように伸び」るんですかね。辞書の説明がこんな想像力に頼るようなものでいいのかな。想像力はたしかにかき立てるものがありますが・・・。

 

49

「ヤング」(p.1420)

(1)(造語)若い。[−ジェントルマン]

(2)若者(たち)。「−に受ける/−の世界」

 

この辞書、ナウいですね。ヤングに受ける要素たっぷり。この「ヤング」は「反面教師」の項にも出てきます。「非教育的な反面をさらけ出すこと によって、かえって生徒に一種の感化を与え得る効果を具有する教師。[広義では子に対する親や、ヤングに対する社会人の場合をも含む]

 

ヤングねえ。誰が使うんでしょう。辞書の項目にしてしまっているところがすごい。ついでに言うと「ナウ」(p.1033)「現代感覚にフィットしている 様子」ですって。うーむ。なかなか現代感覚にフィットした辞書ですね、新明解ちゃん。

 

410

「てごわい(手強い)」(p.956)

 たいしたことはないと甘くみくびって接すると、手痛い目にあう様子だ。(以下略)

 

説明の内容がおかしいのではありません。疑問なのはなぜこの説明の最後に「だ」が入っているのかということです。普通「だ」はありませんよね、辞書には。ちなみに一つ前の項目「てごろ」の説明は(1)手に持つのに大きさ(太さ)がちょうどよい様子。(2)自分の力(条件)に適する様 子。」となっています。なぜ手強いだけ「だ」が入るんでしょう。てごわい言葉だけに説明に力を入れた?

 

411

「くさい」(p.379)

 

「てごわい」だけではなく、まだありました。「〜だ。」という説明。

 

(1)いやなにおいがして思わず鼻をつまみたくなる感じだ。

(2)全体の状態から見て、歓迎できない雰囲気が漂っている様子だ。

(3)そのような疑いをぬぐい去ることが出来ない感じだ。

以上、例文は省略。

 

なぜこんな一人称的(主観的)説明になったのでしょう?普通は「だ」の前で止めて、客観性を装いますよね。不思議な辞書です、新明解ちゃん。それと、これらの説明は例文がついているのですが、例文を見なければ「本当にこれが『くさい』の説明?」と思うような感じ。たとえば(2) 例文には「学者くさくない学者」なんてのが載っていますが、それでもこの説明には何か当てはまりません。何か変。(3)の「そのような」というの も一体どこから来たのですかね。単に「疑いをぬぐい去ることが出来ない様子」ではいけないのでしょうか。そう言えば、「院生」の説明(p.103) 「その大学院の学生」となっています。「その」と言われると「どの?」と聞きたくなります(^_^;)

 

412

今日は一つの項目でなく新明解ちゃんのユニークな点を。まあいつもユニークな点を上げているんですけど・・・(^_^;)

 

その1:新明解ちゃんにはときどき数え方が載っています。例えばピアノは一台、二台。カナリアは一羽、二羽。これらはいいとして鬘(かつら) は一枚、二枚。鐘は一口(いっこう)、二口なんて知ってました?

 

その2:全部の語に強く読む音、すなわちアクセントが載っています。橋は[2]、箸は[1]、端は[0]というふうに。それぞれ橋は「し」を箸は「は」を強く読む、端は平板な発音だということです。解説を読むとこれは東京語のアクセントを採用したとか(p.1533)。どうやって調べたかというと執筆担当者たち4人ないし6人で決めたそうです。このうち最低二人が一致したアクセントをもっていればOKとか。なかなかユニークな決め方ですよね。執筆者がみんな都内の人だったからよかったんでしょう。それぞれの出身地(区や町名)や誕生年も書いてあります。こういうことを正直に書いているところも新明解ちゃんの好きなところ。一番若い人で1957年生まれ。でも「彼氏[1]」や「パーティー[1]」の平板発音化[0]についてもちゃんと触れてあります。

 

413

「いっぽん(一本)」(p.85)

 

(1)は省略。

(2)独立した存在と認められる物[長く続く物が多い]の単数を表す語。例・・・

 

このあと[][]に分けて例が挙げられています。[]はたしかに長い物が多いですが、[=五十音順]と書かれた方は長くない物も多く、しか もその例の選定基準が分かりません。何しろ出てくるものがユニークで、なぜこれらを挙げたのか首をかしげます。最初の方を挙げますと、

 

アクアラング・襟・桶・カリキュラム・乾電池・ギター・くじ・薬・化粧回し・コイル・サイロ・地金・ショーケース・スピーカー・スプリング・整髪料・石け ん・センサー・染色体・扇子・千羽鶴・ソフトウェア・ダイナマイト・・・・

 

まだまだ続きますが、このあとも何を基準に選んだのか分からないものが並びます。ランダムに思いついた物をただ書き出したのでしょうか。「アクアラング」から始まるのもユニークですが、生徒、児童が見る辞書なのだから「襟」と「桶」の間に「鉛筆」ぐらい入れて欲しかったですね。それによく見ると本当に「一本」と数えるのかなというものも混じっています。「くじ」や「薬」は形状によっては必ずしも一本、二本と言いませんし、サイロは一基、二基かなとも。石けんは昔の棒状の物ならともかく、今は一個、二個が一般的だし、ここには挙げていませんが、このあとに「塵」「踏切」「レンズ」なんてのも出てきます。塵の数え方は知りませんが、一本、二本と数えるとは思えません。「踏切」は一カ所、二カ所、「レンズ」は一枚、二枚じゃないんでしょうかねえ。何にしろ、面白い新明解ちゃんです。

 

414

「条件反射」(p.665)

刺激E[=たとえば餌]を動物D[=]に与えると、反応H[=唾液が出る]が見られる。[以上が大前提]Eを与えると同時に、Eと無関係の刺激B[= ルの音]をDに与え続けると、やがてBを与えただけでもDはEを与えたと同様のHを反射的に起こすようになること。

 

条件反射の説明としてはまあいいでしょう。私が気になったのはこのアルファベット。EとかD、B、Hというのは何の記号でしょうか。何かのイニ シャル?少し考えて思い当たりました。E=餌、D=動物、B=ベル、H=反応。ローマ字だったんですね(^_^;)。なんかすごく科学的な言い回しな のかと思って損したゾ。

 

415

「出ると負け」(p.965)

[もと、すもうとりが取組中、回しから陰部が少しでも見えたら負けになったことを指した]俗に、競技で、出るたびに負けること。

 

これって、[ ]の中に入っている語源の説明といまの用法の説明が全然関係ないように思えるんですけど(^_^;)。執筆者はこの表現にこんな語源があったということを発見してどうしてもそれを書きたかったのかな?

 

416

(老人語)

 

新明解を見ていると説明の中にときどき「老人語」という言葉が出てきます。たとえば「おとつい」は「おとといの老人語](p.183)、「おなご」は「女の子どもの意の老人語」(p.184)だそうです。でも老人語と聞くとなんか違和感があります。たしかにこれらの言葉は老人が使うでしょうが、それはかつて彼らが若かった頃に普通に使っていたのをそのまま今も使っているだけでしょう。それを「老人語」というと、なんだか私たちも老人になると使い出しそうな感じがします。それまで「おととい君の家に女の子が来ていたようだね」と言っていたのが70歳の誕生日を迎えたとたん「おとついおぬしの住処におなごが参っていた由」とか言いだしそう。←ちょっと大げさ。そこで「老人語」そのものを新明解ちゃんに聞いてみました。

 

「すでに青少年の常用語彙の中にはないが、中年・高年の人ならば日常普通のものとして用いており、まだ死語・古語の扱いは出来ない 語。」(p.1497)

 

だいたい思った通りの説明です。これを老人語って言うんですね。ここにもちょくちょく顔を出す某さん(ヤングなおなごです)が自分のサイトで 「勤め先で『どっこいどっこい』と言って大いに笑われた」旨の日記を書いていましたが、これなんかは老人語の一例なんでしょうか。私にとって 見れば「どっこいどっこい」は普通の言葉なんですが・・・。でもこのように知らず知らずのうちにこの掲示板でも老人語を使っちゃってるのかも知れませんね。老人語はそれを使う人には普通の言葉だと思っていますから自分では気がつきません。若いみなさん、「老人語だ」と思ったらどう ぞご指摘ください。ちなみに新明解ちゃんの「老人」の解説には「元気な人は七十歳を過ぎても老人と目されないことがある。老人福祉法では六 十五歳以上が対象」とあります。

 

417

(老人語 再び)

はた、と気がつきました(この表現自体、老人語か)。老人語というのは老人が使うから老人語ではなくて、言葉自体が老人になっていてもうすぐ消えてなくなるから老人語なのだ、と。消えてなくなった語は死語と言いますから、それと呼応しているのかも。言葉を使う人間にばかりに目がいっていましたが、言葉自体に目を向ければこのネーミング、なかなか言い得ているなあと思えてきました。てことは、生まれたばかりの言葉は 若者語かな。若者語ということば、たしかにありますよね。「発音が平板化するのが若者語の一つの特徴」などというふうに。今まであれは若者 が使うから若者語だとばかり思っていましたが、これも生まれてまだ間がない言葉だから「若者語」だとの解釈も成り立つかも知れません。

 

418

今日の老人語 「えむ(M)」 (p.145)

(1)[Moneyの頭文字][以前、学生の間で]お金、ゲル。

(2)[manの頭文字]男性(的要素)

(3)[梵語maraの頭文字]陰茎。

(4)マグニチュード

 

4番目の用法を除いて、いまどき誰がこれらのことを「エム」なんて言います?(2)に関連してか、「Mボタン:男のズボンの前ボタン」なんていう言葉も用例ではなく項目として出てきます(p.145)。いや、これはもしかして(3)関連?それはともかく、新明解ちゃんは言葉の説明に「老人語」だと書いているものが多いわりに、これらについてはとくに老人語だと断っていません。でも老人語ですよね?いや、私が若者過ぎて知らないだけかなあ(汗)。「以前の学生さん」は「おい、今日はMが不足してるんだ。ちょっとおごってくれないか」なんて言っていたのでしょうか。今の学生 さんは何て言う?「金欠」?これも老人語かなあ。いま「M」と聞くと一番思うのがマゾヒスムだと思いますが、それは載っていませんでした。

 

419

「かきわすれる(書き忘れる)」(p.229)

 書こうと思っていて、忘れる。

 

この項目、説明としては間違っていると思いませんが、なぜこんな 項目があるんでしょう。これは単に「書き(書くの連用形)」+「忘れる」ではないのでしょうか。書き忘れるというのはそんなに確立された複合語かなあ?「言い忘れる」「やり忘れる」「消し忘れる」「食べ忘れる」「出し忘れる」などの項目はありません。ただし、「置き忘れる」「聞き忘れる」は あります。この差は何なの、新明解ちゃん。

 

424

「チアリーダー」(p.886)

 [cheerleader]チアガールのリーダー。[広義では、チアガールをも含む]

 

チアリーダーってチアガールのリーダーだったの?何だか変ですね。チアガールをも含むっていうのも意味不明。ちなみに同じページにある「チアガール」の説明では

[和製英語]そろいのはでな服装をし、踊りながらポンポンを振って応援をする女の子のグループ。」

とあります。チアリーダ ーの方はちゃんと原語も書いていますからこれは和製英語ではないんですよね。なのにそれを和製英語に基づいて説明しようとしたので訳が分からなくなってしまったのでしょう。チアリーダーというのはcheer(応援)をlead(引っ張る、煽る)する人のことです。もちろん男性もいます。自分たちだけが派手な服装で(^_^;)踊っているのではなく、観客の応援を先導する人たちなんですが、新明解ちゃんの説明だと観客にとってチアリ ーダーは観賞の対象みたい。

 

425

「ごきぶり」(p.475)

 [「御器【=椀】かぶり【=囓り】の変化]台所を初め、住宅のあらゆる部分にすむ、油色の平たい害虫。さわると臭い。あぶらむし。[ゴキブリ科] かぞえ方>一匹

 

発音は[0]となっているので平板ということになりますね。関西では[4]と最後が上がるようにも思います。もしかしたらそれは叫び声のときか。そんなことよりも注目すべきは説明中の「さわると臭い」というところ。なかなかさわった人っていないと思います。向こうから飛んできて「さわられる」ことはあっても。私も叩いたりつぶしたりしてティッシュ越しに「さわった」ことはありますけれどもそんなに臭かった覚えがありません。実際に 手で触れると臭いのかな。どなたか経験者、います?

 

51

「勉強(p.1271)」の前文

 [そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を入れる意]

 

うすうすは感じていましたが、やっぱり勉強って抵抗を感じながらやっているものだったんですね・・・って、新明解ちゃんは勉強、嫌いなのかなぁ。勉強は面白いものだと思うけどなぁ。辞書を引くのがもし一つの勉強と言えるなら新明解ちゃんを読むのには全然抵抗がありません。最近は生涯学習とか言って勉強は一生続けるものだという意識が定着してきました。なぜ一生続けるか、それは面白いから。新明解ちゃんは勉 強、いやいややらされてきたのかな。

 

54

「早い」(p.1144)

(1)その時点(時刻)からいくらかの時間が経過すると、比較対象の時点(時刻)になることを表す。「アメリカ合衆国の独立宣言[=1776]は、フ ランス革命の勃発よりも13年も−/今年は桜の花が[例年より]早く咲いた/きょうは(いつもの日より)早く目が覚めた」(2)まだその時期(時刻)ではない。「あきらめるのは−/結婚はまだ−」

 

問題にしたいのは(1)の方の説明。何が言いたいのかさっぱり分かりません。「早い」ってただ時間が経過することでしょうか。この説明だと「遅い」の説明としても使えそうです。三つの例文を「フランス革命はアメリカ独立宣言よりも13年も遅い/今年は桜の花が遅く咲いた/きょうはい つもより遅く目が覚めた」としてこの説明をもってきても通じます。「その」という指示代名詞で力点が前の時点にあるから「早い」の説明なのだと 言いたいのでしょうが、新明解ちゃんはさんざん意味のない「その」を連発していますからねえ(例 「院生」その大学院の学生(p.103))。ちなみに「遅い」の方は割りとまともな説明です。(1)[要領が悪かったり慣れなかったりして]何かをするのには他の人より時間がかかる様子だ。(2)[期待(許容)される時刻より]あとになる様子だ。(p.177例文は省略)」

 

57

「翔んでる」(p.1029)

(連体)「−女[=既成の道徳や社会通念にとらわれず、それぞれの社会で自由な活躍をしている女性]

 

説明はこれだけです。というか、説明がなくて「女」がついた用例のみ。これなら初めから「翔んでる女」で項目を立てればよかったのでは?そも そも「翔んでる女」自体が老人語ないしは死語になっているような気がしないでもないですが・・・。「翔んだカップル」なんていうドラマもありましたけどね。

 

新明解ちゃんには新しい言葉も収めようという意欲が見えていいのですが、これがあだとなって逆に古い感じを醸し出してしまっている場合もあるんですね。若者語とか老人語という分類だけでなく、「何年代頃に使われた流行語」という分類もつくればこういう語もすんなりと収めることが出来るかも知れません。

 

「おす」(p.176)

[][「おはようございます」の省略表現によるものか]「おはよう」のぞんざいな言い方。[一般に、男子学生同士の挨拶に用いられる]

 

これは流行語がそのまま定着したものですね。同じ「おはようございます」が省略された「おは」あるいは「おっはー」は定着するのでしょうか。そしていつの日か新明解ちゃんに載るのでしょうか。ちなみに程度の甚だしいことを表す「超」あるいは「チョー」はまだ(?)新明解ちゃんには載っ ていません。

 

5月15

「まっぱだか」(p.1325)

「普通の人が着ているものを全部脱いでしまった状態。

上の説明の「普通の人が」って何でしょう?どんな人だったら着物を全部脱いでしまっても「真っ裸だ」と言わないのか、考え込んでしまいました。ストリッパー?赤ちゃん?でもやっぱり彼らも着ているものを全部脱いでしまったら「真っ裸」ですよねえ。うーむ、深いぞ。