天理大学初の全盲学生の受け入れにご協力とご理解を (1994年6月号)
伊藤義之(教養部コーディネーター)
今年度、天理大学に全盲の学生が入学したことは新聞報道などでご存知の方も多いでしょう。人間学部人間関係学科の社会福祉専攻の井澤みゆきさんです。全盲の学生を受け入れるのは天理大学では初めての経験なので、私たちはどうすれば井澤さんが楽しく学園生活を送れるだろうかと現在摸索を続けているところです。
教職員や学生の皆さんに心掛けていただくべき一般的諸注意は社会福祉専攻からもお知らせしてありますので、皆さんも盲人に対する心掛けは少しずつ出来ていることだろうと思います。
私は教養部のコーディネーターという役割を与えられ、とりわけ学業の面から井澤さんを支援するお手伝いをしています。この4月27日には井澤さんが今年度履修する科目の担当の先生方に教養部長室に集まっていただき、「第1回担当者会議」が開かれました。そこでは全学の支援体制づくりから、授業の資料づくりなど幅広い分野にわたっての話し合いが行なわれました。
私たちの目的は井澤さんやその他障がいを持つ人たちが自立して天理大学に学ぶことが出来るよう、それを援護することです。そのためには全学の色々な段階での取り組みがなされなければなりません。コーディネーターの立場から、4月27日に配付した資料に基づいて話し合われたことをここにご紹介します。
施設、設備の充実の必要性
音声信号機、駅−大学間のシャトルバスサービス、エレベータの音声案内、点字 ブロックほかの設置、食堂でのワゴン購入など
・・・・現在は一人で通学するのはもとより、学内を目的地に向かうことも困難です。
学生、教職員の協力の必要性
授業の資料等の朗読・点訳、介護・介助など
・・・・ボランティアに加えて、専任の職員を置く必要性を痛感しています。
科目担当者の協力の必要性
とりわけ大事なのは資料の作成・準備(テキストや資料の点訳、立体化、朗読な ど)です。たとえば次のような形が考えられます。
(1)自分で点字資料を作る
(2)自分でカセットテープに吹き込む
(3)自分でワープロを使い、分かち書きしたひらがな資料を打ち込む
(4)通常の漢字かなまじり文の資料を提供する
・・・・(1)、(2)が出来ればベストですが、最近はコンピュータの発達により、それほど
苦労せずに(点字を知らなくても)点字資料が作れます。また(3)、(4)について はフロッピーの形で提供されると私やボランティアの手を経て、パソコンを使
ってほぼ自動的に点字資料に変換することが出来ます。
専任の職員がいればこのあたりの素早い対応が可能になります。
以上の点で大学の体制はまだまだ十分とは言えません。しかし、研究棟1階には今年度から「準備室」が設けられ、ボランティアの拠点として活用されていますし、いくつかのサークル、学科会などがボランティアを始めています。準備室は授業資料を井澤さんのために朗読したり、パソコンで点字資料を作成したりするのに使われ、ボランティアは介助のローテーションを組んで食堂や駅への随伴を行なっています。
井澤さんが自立した学園生活、社会生活が送れるよう、皆さんのご協力とご理解を、私からもお願いしたいと思います。井澤さんの支援に関心がある方は下記にご連絡ください。
連絡先 | 内線番号(研究室は後ろの3桁が部屋番号です) | |
教務関係のことは | 教務課 | 6513 |
それ以外は | 人間関係学科 共同研究室 | 6270 |
社会福祉専攻 | 登丸研究室 6242 | |
南研究室 6240 | ||
教養部窓口 | 伊藤(義)研究室 | 6117 |