法学検定試験と合格体験記

 

浅川千尋(教養部社会科学系列)

 

どんな試験?

 (財)日弁連法務研究財団と(社)商事法務研究会が主催する試験で、日本では唯一の 全国規模の法学に関する検定試験です。 さまざまな分野で複雑化・高度化する現代社会では、法律の役割と機能を理解し、法学的素養をもった有為な人材が求められています。昨年(2000年)から、法学検定試験3級(大学法学部3年修了程度のレベル内容)、4級(大学法学部2年修了程度のレベル内容)の試験が開始され、今年度から、2級(大学法学部卒業程度のレベル内容)の検定試験が付け加わりました。

 

誰が受験できるのか?

 法学検定試験が構想された理念は、「法律学を学び、社会のあらゆる事象を広い視野にたって考察でき、それらを論理的に分析し総合的に判断する能力をもった人材を社会に送り出そう」ということです。この検定試験は、法学部の学生に限らず、法律学を学ぶすべての方を対象としており、経済学部、商学部などの社会科学系の学生、文学部などの人文科学系の学生、あるいは国際文化学部や人間学部の学生、そして社会人をも対象にしています。 要は、だれでも試験を受けることができるのです。

合格したらどうなるの? 

合格すれば、法律学の知識・能力が一定のレベルに達していることが客観的に証明されたことになります。これは、これから就職する方にとっては魅力的な「人材」として、自分をアピールできる手段になるでしょうし、就職している方にとっては今後の業務において活用できることになります。実際に有力な企業のなかには、人事部門や人材開発部門からの受験の推奨と資格取得の奨励が提案されているといいます。

 

以下、この検定試験に合格した富満さんの体験記を紹介します。学生のみなさんも是非いろんな試験にチャレンジしていってください。

 

法学検定試験体験記 

 

富満真理子(国際文化学部ブラジル学科3回生)

 

 「国際文化学部なのにどうして?」とよく聞かれますが、その理由は外国語が話せるということは一つの手段にすぎないと思ったからです。住み慣れない日本で、ブラジルの方々が少しでも暮らしやすくなるように、将来は何らかの形で関わりたいけれど、そのためにはいくら外国語が話せてもそれだけでは足りないので、少し法律を勉強してみることにしました。

 

 私が受けたのは、「3級・行政コース」で、法学一般、民法、憲法、行政法の4科目が出題されます。試験委員会から出版されている問題集に400問の問題があり、原則としてその中から出題されます。解説がなかなか詳しいので、法律用語集以外の本はあまり使いませんでした。ただ苦労したのは、法学部生とは違って学校で授業を受けるわけではないので、恥ずかしながら法律用語の漢字が読めなかったことです。

 出題が限られているから何とかなるだろうと、気軽に勉強をはじめましたが、本試験では問いの順番が入れ替わっていたり問題58の選択肢2と問題63の選択肢4からなどという、小問の組み合わせが出ました。結局本当に内容を理解しないことには手も足も出ません。

 勉強は、ひたすら問題集を繰り返して、わからないことは法学の先生に教わったりしました。1日2時間から8時間勉強しました。法学部の人はかんたんに解いてのけるんだろうなぁと思い、近大法学部に在学中の友だちに話をふってみましたが、在籍しているだけでは法律知識は増えていかないことを言っていました。

 法律を学ぶのに、法学部でないから断然不利というわけではなさそうです。むしろ、その法学部生が私の勉強ぶりにビックリされてしまいました。語学に通である法律家は不足していて、ポルトガル語と日本語の両方を話せる弁護士さんは今のところ一人だけであるという噂です。法検に限らず、外国語プラス他分野の知識というのは、将来を考えるととても期待の出来る有益な財産であると私は信じています。

 7月29日という、前期テストも終わり、遊びたいモード一色の時期にあった検定でした。150分で60問とひとくちに言いますが、言い換えれば2時間半、引っかけ問題と難しい用語でいっぱいの問題を60問もやらなければならないのです。だからそれなりの覚悟は必要ですが、専攻科目以外で努力してつかむ合格通知というのは、自分をめいっぱい褒めてあげられる充実感であります。勉強の醍醐味かも知れません。自分のがんばりがいつか誰かのためになる日を心待ちにしています。

 

 

 

 

 

 














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