皆様には、常日頃から奈良県政に多大な関心と深いご理解をいただき、感謝しております。おかげさまで、厳しい諸情勢の環境下でありましたが、概ね順調な県政運営を続けて来ることができましたのも、皆様のご理解とご支援の賜物と心からお礼申し上げます。 ところで、ミレニアム(千年祭)の数々の話題でにぎわった西暦2000年(平成12年)から、既に7年の歳月が経過いたしました。ふり返りまして、20世紀から21世紀への世紀の節目にわたる期間に、光栄にも奈良県知事という要職を担当させていただき、改めて無上に感激に浸っているところであります。 20世紀から21世紀への変化は、今後歴史的に検証されていくプロセスに入ると考えておりますが、最も身近な地方自治の領域でも時々刻々と言っても大袈裟でない程に、数々の変化や深刻な課題に決断を迫られている状況にあります。在職中一貫して、激動の時代という認識を基本に置き、各般の政策課題に精一杯取組んでまいりました。 知事就任以来、激動の時代こそ、計画的な県政運営が一段と大切になると考え、平成5年に「なら・半日交通圏道路網構想」を策定して本県の道路整備の原動力とし、平成7年には「奈良県新総合計画」を策定してその後10年間の県政全般の基本指針といたしてまいりました。近くでは、日本の歴史文化への誇りを再認識し、奈良県の観光戦略を根本的に刷新する契機となるべき、平城遷都1300年記念事業の実施計画等の諸準備を進め、また、21世紀の長期戦略を樹立する試みとして、30年後の奈良県の将来像を示す「やまと21世紀ビジョン」とその実施計画を平成18年に策定しました。 さらに、メリハリの効いた躍動的な県政運営を皆様のご理解の下に着実に進めるため、県政運営の基本指針や基本目標として、「県民の信頼とふれあい」「遊のある奈良県づくり」「世界に光る奈良県づくり」や「関西の憩いのオアシス」等を提唱し、「人」「県土」「遺産」の3つを本県の戦略資源と位置づけてまいりました。 これまでの4期、15年半の期間、基本的に「着実な前進と静かな変革」をモットーに、県政各分野の施策・事業を推進してきたつもりでありますが、その評価や批判は県民の皆様にしていただくことだと考えております。こうした観点もあり、今回、「奈良県政15年半の歩み平成3.11〜平成19.5」をまとめさせていただきました。ご覧いただき、今後の参考にしていただければ誠に幸甚に存じます。 最後になりましたが、今後の奈良県の限りない発展と県民の皆様のご健勝を祈念申し上げます。 平成19年5月2日 |
奈良県知事 柿本 善也 |