題字 オグラユキエ
・第16回DoGA CGAコンテスト作品賞
・2004年NHKデジタルスタジアムベストセレクション入り(中谷セレクション)
・東京国際アニメフェア2005 公募部門 優秀作品賞
『文使』30秒予告編ダウンロード(QuickTime 4MB)

『文使』について
2001年〜2004年にかけて制作した約14分の短編アニメーションです。
ありがたい事に、第16回DoGA CGAコンテストで「作品賞」をいただきました。とてもがんばって作ったので、報われてよかったです。
この作品は第16回DoGA CGAコンテストの入選作品を収録したビデオに収録されています。
パーソナルCGA作家のハイレベルな作品がぎっしり140分も入ってたったの2500円!(代引き手数料別)これはお得!
詳しくはPROJECT TEAM DoGAのページをご覧下さい。


『文使』のキャラクター表現
 私は以前から人形劇が好きだったので、セルアニメと人形劇の間ぐらいのキャラクター表現を目指してみました。人形劇は、「モノ」として存在する分「量感」がありますが、自由に表情を動かすのは不得意です。一方セルアニメはとても生き生きと動きますが、多くの枚数を分業で作成するためどうしても線や質感の情報を最小限にする必要があります。
「3DCGを使う事でそんな双方の良い部分を両立させられるのではないか」そんな思いで挑んでみました。今後もこの路線をさらに成熟させて行こうと思っています。

『文使』の予備知識

『文使』は平安時代を舞台にした短編アニメーションです。時代考証に関してもかなり努力して調べましたが、短編であるという性格上細かい事は説明しておりません。
もちろんそんなことを知らなくても内容が伝わるように作りましたが、知識が加わるとさらに楽しんでいただける事と思います。
ここでは『文使』に関連する時代考証を少しご紹介します。

白拍子

主人公の“月草”は白拍子です。白拍子とは平安時代の遊び女で、水干(すいかん)と烏帽子(えぼし)という男装で歌いながら舞を舞いました。もちろん芸人でありますので、貴族の出身ではありません。
遊び女といっても十分な教養を持っており、高貴な貴族たちの相手を出来る身分でもありました。貴族に気に入られて屋敷をもらう事などもあったそうです。
主人公の“月草”という名前はおそらく白拍子としての芸名でしょうから、本名は別にあるのでしょうね。(作品内でも出てきませんが)

月草

主人公の名前の由来となっている「月草」は現在でいう「露草」の平安時代の呼び方です。夏の終わりから秋にかけて咲く青い花で、染料としてつかわれることから「(色が)付く草」、転じて月草となったそうです。

牛飼童(うしかいわらわ)

貴族の牛車を引く役目をした人たちです。当時の男性は身分によって服装や髪型が決まっており、成人男性は烏帽子をかぶるのが普通でした。しかし牛飼童は従順さの象徴のためか、ずっと子供のかっこうをしていたそうです。
男性にとって烏帽子を脱いだ姿は裸より恥ずかしいとされていた時代(実際寝る時もかぶっていた)、彼ら牛飼童は一人前の“人”とは見られていなかったのかもしれません。


現在でもそうですが、当時も虫には好かれるものとそうでないものがあったようです。現存する平安の文書はほとんど貴族の書いたものですから、中に出てくる虫もきれいな声で鳴いたり姿が美しかったりするものばかりです。
平安時代には、コオロギとキリギリス、スズムシとマツムシ、がそれぞれ逆だったというのが通説ですが、鳴く時期や場所の描写からそういう説が出来たのであって、「これがコオロギ」とイラスト解説が書いてあった訳では無いようです。
当時の貴族にとっては、美しい声に興味があっただけで、姿はどうでも良かったのかもしれません。(実際コオロギ・キリギリス逆名説に懐疑的な意見もあります。このあたりの解説は私も取材に行った風俗博物館のサイトの論文のなかにもあるので、興味のある方は検索してみてください)

尚、時代考証に関しては、所詮私程度の個人の努力ですので、間違いも多くあると思います。詳しい方の突っ込みは歓迎いたしますので、ご指導よろしくおねがいします。

ご協力いただいたみなさま

『文使』は個人制作のパーソナルCGアニメですが、いろいろな方々のご協力があったからこそ今の形になっております。感謝の気持ちを込めてご紹介を。
まずは、Shadeでキャラアニメをする気にさせるプラグインを作っていただいた沖乃ワタヤ様。(もう開発を休止されたので、Shade7以降では動きません。つまり7ではキャラアニメは少なくとも私には無理です・・・)
同じくShadeで普通不可能な輪郭線を出す方法を考えだされたオオニシナオタカ様。
そして、DoGAではよくある事ですが、上映会や作品集で皆様の目に触れるバージョンは審査バージョンから色々とパワーアップしております。

審査バージョンに数々の辛辣なご意見とちょっとだけの褒め言葉を下さったDoGAのかまたゆたか様。お忙しい中、ト書きまで書き起こして再構成案を提案いただいたシナリオライターの井上登紀子様。(CGAコンテストの審査員の方です)
コンテストを運営していただいているDoGAの皆様。
本当にお世話になりました。そして、これからもどうかよろしくお願いいたします。


作品データ
 
【タイトル】 『文使』
【制作年度】 2004
【作品時間】 13分47秒
【スタッフ】 栗栖直也(監督・脚本・音楽・モデリング・モーション・編集)
オグラユキエ(モデリング)
yoshick(月草の声)
【使用ソフト】 映像:ShadeR5・Final Cut Pro3
音楽:Z-music System・ZCoder・VertualSoundCanvas
【使用ハード】 映像:PowerMac7600/200+sonnet G3/500・iMac FP800
音楽:X68000Pro・KORG M3R(音源)・PM7600+G3/500
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