お斎(とき)とは、食事をする時刻「時」(とき)に語源を発しているといわれ、主に僧の食事を指します。
一汁一菜 一年中変わらない精進料理で、修行僧は厳格にこれを守ってきました。原点は、このように質素なものでしたが、後に寺の特別な日の本膳料理として檀信徒に供されています。
薬師院は以前観音講等長弓寺に参詣された方々に山菜料理でお接待しておりました。今日では、大和の隠れ古寺拝観や伝統工芸高山茶筌の見学、奈良観光のでお立ち寄りの方々にご賞味いただき、たいへんお賞めの言葉をいただいております。とかく栄養過多になりがちな現代人に淡白な出家の食事は、美容にも良いと、二度三度の御遊山や、口づてで遠方からはるばるお越しの方もあり、本当に有難いことです。
精進料理にはかかせない、ごま豆腐や生麩などを中心に、旧来よりの山菜料理、四季の味覚を加え、心をこめて調理致しております。科学調味料やインスタント食品万能の現代にあって、素材はもとより、だし汁、味付けに至るまで、天然の恵みを生かし、こまやかな風味をひきだすよう、手間ひま惜しまず作っております。
お料理は、深い緑と田園情緒を借景にした庭をのぞむ閑静な庫裡で、召し上がっていただきます。花、新緑、紅葉、雪と四季折々の風情をめでながらのお斎(とき)の味は、また格別
かと存じます。