サックス悲喜こもごも 本文へジャンプ
その1


その1
ビッグバンドライブ
最近ビッグバンドのライブに出ました。1ステージめはピックアップメンバーのコンボをやりましたが、自分の好きなように、自分のスタイルで演奏できる自由がいいですね。その点、ビッグバンドは譜をある程度忠実に吹かなければならないので辛い面があります。特にそれぞれの経験や音楽性の違いを均していくのに時間がかかります。吹奏楽の経験者や学生バンド出身者は縦の線をそろえようとするし、我々のように、社会人バンドの経験が長いものは、そんなに細かいことにこだわらなくてもノリや雰囲気ややるものが楽しんでやっていることが、聞いてる人を感動させることができるとかいい加減に考えたりしますし。まあ、いろいろな考えが交り合うのがいいのかもしれません。リハーサルの時にメンバーが欠けるのが一番きついですね。自分の都合より最優先してまず参加することが一番だと思います。最近は難解な譜面が多いのもつらいですね。肩が凝るというか、リラックスしてできない。聞いている人も同じだと思います。難解なのがいいとは限りませんしね。ゆったり聞ける、そんなバンドもいいのではないでしょうか。
ビッグバンドの醍醐味はあの後ろから突き刺さってくる、トランペットセクションの打ち込みとタイトしたやかましいドラムでしょうか。それと、隣近所のメンバーの中に自分の音がハーモニーとなって溶け込んでいく快感、なんとも言えません。自由がないと言いながらまたその魅力にひかれてビッグバンドがやりたくなるそんな最近です。
日野皓正コンサートin生駒

日野氏は私の師匠でもあるので久しぶりにお顔を拝見しにいきました。先生からはいろいろ教えていただきましたが、メンタルな面での教えが強く印象に残っています。
まずミュージシャンを含め芸術家はピュアでなければならない。奥の深い言葉ですね。自然に同化し、常に新鮮な感覚を磨けということでしょうか。感性を磨くことは非常に大切だと思います。我々は技術的な面ばかりを追い求めることが多いのですが別の面からのアプローチもあるだろうということでしょう。ピュアになればアドリブの神様が降りてくるんだよ。。。我々凡人にはこの境地に達するまで多くの時間を費やすと思いますが、でもそんな境地に達してみたいものだと思います。もっと低レベルの自分に置き換えてみてもまずライブなどで知り合いが来てるからいい格好をしようとか、練習したことを今日はやってみようとか、誰かよりいいフレーズを吹いてやろうとかすると必ず失敗しますね。心を無にしてなりゆきまかせでいくとうまくいくことが多いような気がします。特に体が調子悪いときなんかいらないことを考える余裕がないのでうまくいったりするんですねこれが。そんな風に勝手に自分に置き換えて解釈していますが、また時間がたって、自分が変わったらまた違った形でその教えが生きてくるように思います。さていつになることやら。
学ぶこと

教室で教えているといろいろな発見があります。奏法上の問題であったり、メンタル的なものであったり。それを一緒に考えることで、こちらが多くのことを学ばせてもらってることに気づきます。思いがけないこちらの想像外のこともあってその解決に悩みます。同じようなつまずきを自分で再現してみて解決法を探るのですがそれをやることを通して実は自分の奏法を見直すことになったりすることがあるのです。私は決して若くはないですが、この年で新しい発見があり自分がまだまだ上達していることを実感します。これが結構やみつきのなるんですね。次はどんなことがくるかな、と楽しみになってくるのです。長いことサックスをやってきましたがまだまだ勉強がたりないし、やることが山ほど出てくるし、年をとっていられません。有り難いことです。先日レッスンの時に製薬会社に勤めておられるかたに禁煙を勧められて禁煙しました。頭がさえてきてますます調子がよくなりました。
多くの人に助けてもらってることを感じる今日この頃です。

アンブシュアーいろいろ

 私が一番はじめに習ったのはクラッシックの先生でした。下の歯に下唇を少し巻き込んで、少しだけ微笑むように横に引っ張り、あごに梅干しを作らないようにくわえる、ということでサックスを始めました。当時の多くの教則本もこれでした。私の失敗はここから始まりました。初心者が唇が鍛えられていない段階で無理に高音域を出そうとするとつい、下の歯で唇をかむ状態になりがちです。その結果下唇は薄くなり後々の太い豊かな音を作るための唇とは反対の状態になるのです。(最近でも痛いのかクリーニングペーパーを歯にかぶせている吹奏楽の中学生もいると聞きました。)
 このまま続けると下唇に歯形がついてしまったりします。未だにその部分は回復していません。どんな音がいいのかも知らない状態でのこの失敗は後々まで私を苦しめることになりました。現在も満足のいく音が出せないでいます。 私の勝手なまちがいなのですが、指導者はきめの細かい注意を払う必要があるといえます。
 次にならったのはジャズの先生ですが、今度は下唇を歯の上にのせるのではなく、ふっと自然にマウスピースをくわえればよい。あごに梅干しができてもかまわない、というものでした。ずいぶんいいかげんだなと正直思いました。大丈夫かなとか思ったりしましたが疑心暗鬼のままずっとこの方法で続けました。これが楽なんですね。自然というか。作為がないというか。色々な奏者の写真を見てみたり教則本を片っ端から見てみたりアンブシュアーの悩みは10年ぐらい続きました。変だなと思っていたこのファットリップ奏法が多くのすぐれたミュージシャンにも多いこともわかってきました。いい音がでれば形は問題ではないといえます。合理的で自然なのはこのファットリップ的なアンブシュアーだと今は思っています。上の歯でマウスピースを固定し、自然にそのままくわえる。そして、輪ゴムでマウスピースを周りから包み込むように唇をしめてゆく。唇周りの筋肉を作っていくためには初心者のうちは強く締めることをやったほうがいいと思います。筋力トレーニングとして。
 とにかく、習ったことをうのみにしないで自分に合うアンブシュアーを追求しよい音を求めて悩むことも大切だというのが私の手痛い失敗から得られた教訓でした。

効率のよい練習とは????????

「一日5分でもいいから毎日練習するのがいいよ」とかよく言われます。そうですね。確かに。
私は老化防止のために、ジムで筋力トレーニングをしています。筋肉に強い負荷をかけて、筋繊維を切るのですが、それが修復されるのに48時間かかるといわれています。ところが人間の体は前の状態にきっちり戻るのではなく少し余分に筋肉を作ってしまうのです。切り傷なども治った跡が少し膨らむのと同じですね。その時に又強い負荷をかけるのです。筋肉は時間がたつと減っていくのですが減る前につまり増えた状態のときにまた筋繊維を切るのです。すると、徐々に筋肉は増えていくことになります。このサイクルの48時間というのがミソですね。これをサックスの練習に当てはめてみます。
サックスの音作りは、いい音が出るように自分の体を作り変えていく作業であるといえます。アンブシュアーはマウスピースを包み込み、リードに適度な圧力をくわえよく振動するように保つ。これは唇周りの筋力トレーニングです。筋力が付いてくるといい音になってきます。もう一つは息のスピードをあげる横隔膜とその周りにある、腹筋,背筋、下から支える骨盤底筋などの筋肉群を鍛えるということです。これを鍛えることで音は変わってきます。いわゆるロングトーンの練習ですね。これは何をやっているのかといえば、筋力トレーニングをやっているということです。それにそれらを制御する脳トレーニングも同時にやるわけです。耳も鍛えるのです。
ならば、、、、、48時間のサイクルで、インターバルトレーニングをするのが一番効率的ではないか。?。。。
ただし、ロングトーンに当てはまるのであって、エチュードをさらうとか、ツーファイブのフレーズを覚えるとかは脳に関係しますから、この考えに必ずしも当てはまるとはいえないかもしれません。脳と音楽の関係は研究の余地がありますね。
 各いう私はノルマのように毎日ロングトーンとスケールはやっていますが、が、しばらく練習しなかったほうが、調子良かったりしますがこれは別の話ですかね。1週間以上あけるとちょっときついですが。皆さんはどう思われますか。
ノルマを達成するようなことはやめて、まあ、気楽にいきましょう。修行僧ではないのですから。 
 ただし、練習の目的ははっきりさせておくこと大切です。だらだらやるのではなく、今日はこれを目標にしようとか。スケール練習をテヌートタンギングでジャズのニュアンスを出すようにしようとか。工夫とインテリジェンスが大切です。
「ああ、今日はジャズっぽくやったなあ」「やればできるじゃないか」とか満たされた気分で終わったら最高ですね。
私もそうすることにしましょう。


たかがロングトーンされどロングトーン

良い音を出すためにはいろいろな要素が関わってきますが、大きな要素はというと、腹で息に圧力をかける(これは普通初心者が思っている何倍もの大きな圧力だと思っていいと思います。)と、のどを大きくあける(卵が通るぐらい?)。
 .では、息に圧力をかける(息のスピードを上げる)とはどうするのか。これがまた人によって言うことが違います。
有名楽器店の高いレッスンを受けている人に聞いたら腹をへっ込めてと指導されたようです。普通かなとも思いますが、、、、、。 昔吹奏楽の顧問をしていた頃、私もよく腹筋のトレーニングなどやらせてたことがあります。「はい、腹筋に力を入れて、、、おなかをへっ込めて」とかね。が果たして効率的な方法だったのか????。今ではちょっと違ったかなと思っています。 
 なぜなら、腹を膨らませて力を入れるというイメージを持っている奏者もいるし、私も実はそうですが。腹をへっ込めるより膨らませるほうが太い音が出るように思うのです。反対じゃないか。まったく。
 私の場合は、腹筋よりも脇腹の筋肉と腰の背中側の筋肉、それに、おしりの筋肉、骨盤底筋群をより意識します。すると息を吹き込むと腹は膨れるように動くのです。
 腹を膨らませるか、腹をへっ込めるか、どっちなんだ。これだけで論議が起きそうですね。まあ、人によってイメージの受け取り方が違うし、第一肺を動かしているのは横隔膜で、背筋も腹筋も関係ないですよね。と言ってかたずけられないのが私の悪い性分で、つい細かいことを考えてしまうのです。芸術を科学的に???考えてしまうという!!!!。   で、続けます。
 もう一つの要素、「のどを大きくあける」には。まず、のどは緊張してはだめですね。リラックス、リラックス。
このリラックスが大事。リラックスしてしかも大きくあける。これがなかなかむずかしい。あくびをするように。いいこと言いますね。これはどこでもよく言われることです。あくびをするときはのどは大きくあくし、さらに鼻の奥のほうに容積を広げます。声楽のレッスンで鼻の奥を広げてとかいわれますが、同じことですね。
 さて、この喉をリラックスさせるために、腹をへっ込めるか、ふくらませるかの論議に終止符を打ちましょう。のどのリラックスには、腹を膨らませるというイメージのほうが有利です。なぜか?
 筋肉がリラックスするとは、ゆるめることです。力を入れるとは、筋肉を緊張させることです。当たり前。
 良い音を出すには、喉周りの筋肉をゆるめリラックスさせ、息に圧力をかけるために関係のもろもろの筋肉を緊張させる。この相反することを同時にやらなければならないところに波風が立ってくるのです。
 ここで、人の筋肉の特性を見ておかなければなりません。何かというと、場所の近い筋肉群は緊張の影響を受け合うということです。小指を動かしたら、薬指も動いてしまったとか。
 つまり、息の圧力を高めるための筋肉の緊張が、のどのリラックスに影響を及ぼすということです。
 結論が出てきました。
 喉から遠い筋肉を使って、息の圧力を高めることです。それにはなんと、、腹を膨らませるイメージが勝っているではないですか。
腹を膨らませるイメージではへそより下の筋肉群を使います。喉からより遠いです。ちょっと細かいかな。
 一方「腹筋をへっこめて、、、」は下手をすると胸のすぐ下の腹筋を緊張させることがあります(高い音を出すときなど)。のどのすぐ下です。のどは仲良く緊張してしまうのです。百戦錬磨の奏者は一方を緊張させ、一方を弛緩させるようなことは長い練習によって無意識にできますが、初心者には結構難しいことです。
また、個人によってとらえ方も違うということでしょうか。
ということで、腹を膨らませるというやり方も、、、、有りかな。というのが私の結論です。細かいことを言いますね。わたしも。