御食向ふ 南淵山の 巌には 落りしはだれか 消え残りたる
みけむかふ みなぶちやまの いはほには ふりしはだれか きえのこりたる

柿本人麻呂歌集

奈良県高市郡明日香村大字阪田



弓削皇子(ゆげのみこ)に獻る歌一首

御食向ふ 南淵山の 巌には
みけむかふ みなぶちやまの いはほには

           落りしはだれか 消え残りたる
           ふりしはだれか きえのこりたる

                     柿本人麻呂歌集
                     巻9 1709

■原文と読み
獻弓削皇子歌一首
御食向  南淵山之  巖者  落波太列可  削遺有
みけむかふ  みなふちやまの  いはほには  ふりしはだれか  きえのこりたる
右柿本朝臣人麻呂之歌集所出


■大意
 南淵山を見ると、先日降った雪であろうか、南淵山の巌(いわお)には班雪(はだれ)が消え残っている。

 「弓削皇子(ゆげのみこ)に献る歌一首」という題詞のついた歌です。
「御食向ふ」は南淵山にかかる枕詞で、蜷貝(みながい)か御魚(みな)のミナの音がミナフチヤマに含まれているので南淵山に冠られています。
でも、ただの枕詞ではないような・・・。
「巌(いわお)」とは神様にお供えものをする石の台で、「御食向ふ」はその神事を指しているのでは?
その「御食(みけ)」を供える「巌」に雪が残っている。
何となく班雪(はだれ)は春の雪のような気がいたします。
写真の背後に連なる山が南淵山です。



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