花ぐはし
はなぐはし
桜の愛で
さくらのめで
同愛でば
ことめでば
早くは愛でず
はやくはめでず
我が愛づる子ら
わがめづるこら
允恭天皇
日本書紀歌謡 67
|
■大意
花のこまかく美しい桜の見事さ。
同じ愛するなら(もっと早く愛すべきだったのに)、
早く賞美せずに惜しいことをした。
わが愛する衣通郎姫もそうだ。
桜にたとえて、衣通郎姫をたたえた歌。
クハシは、こまかくて美しいこと。
コトメデバのコトは、如シのゴトの古形。同じの意。
従来これを、「如此」の意に解する説もあるが、従えない。
「コト降らば袖さへ濡れてとほるべく降りなむ雪の空に毛につつ」
(万葉集317)
(同じ降るなら袖まで濡れとおるくらいに降ればいい雪が、
ほんのわずかしか降らないで、空で消えている。
女が男を引きとめようとする歌)のような例がある。
・・・岩波書店「日本書紀上」、允恭天皇八年春二月の条の注より。
|