万葉集 枕詞における用字研究「あしひきの」  2008年6月21日掲載  当サイト管理人 植芝 宏

「あしひき」の表記
 「足桧」の「桧」はヒであってヒキとは発音しないが、慣例として「足桧」をアシヒキと読めたのであろう。
当時、枕詞「あしひき」の表記によく使われた漢字は、一字一音が「安之比奇」、訓読みが「足日木、足引、足桧木、足曳」である。

一字一音 安之比奇(26首)
訓読み 足日木(26首)、足引(20首)、足桧木(9首)、足桧(5首)、足曳(5首)



「あしひき」の用字ランキング
 枕詞「あしひき」は112首に詠まれている。

順位 一字一音 首数 訓読み 首数
1位 安之比奇 26 足日木 26
2位     足引 20
3位     足桧木 9
4位     足桧 5
    足曳 5
5位 安思比奇 3    
6位  安志比奇 2 足氷木 2
安之比紀 2 蘆桧木 2
阿之比奇 2    
7位 安思必寄 1 足疾 1
安志比紀 1 足病 1
    足比奇 1
    足比木 1
    悪氷木 1
    葦引 1



「安之比奇」は asiFiki と発音

 岩波書店 日本文学大系『万葉集一』の解説 「奈良時代の音節及び万葉仮名一覧」から抜粋。
 ■・・・私の使用するパソコンで変換できない漢字。
音節 推古朝 古事記・万葉集 日本書紀
あ a 阿、安 阿、婀、鞅
訓仮名・・・足
し si 之、芝、子、次、志、思、偲、寺、侍、詩、斯、師、四、式、此、
紫、旨、指、死、司、詞、事、色、使、時、水、新、進、信
之、芝、子、資、志、思、時、詩、矢、尸、
司、伺、嗣、旨、指、斯、師、茲、試、始、
施、■、■、璽、辭
訓仮名・・・層、石、磯、足、爲
ひ Fi
(甲)
比、必、卑、賓、嬪、臂 比、■、必、卑、避、臂、譬
訓仮名・・・日、氷、負、、檜
き ki
(甲)
支、岐、吉 支、伎、岐、妓、吉、枳、棄、企 岐、吉、枳、棄、企、耆、祇、祁
訓仮名・・・寸、來、杵



枕詞「あしひき」を詠みこんだ作者は、名も無き人たちがダントツに多い。

 ○ 巻1と巻5には枕詞「あしひき」を詠みこんだ歌は一首もない。
 ○ 巻5を除く巻2〜巻16まで、枕詞「あしひき」を詠みこんだ作者は、作者未詳が40首と大多数を占める。
    次に大伴家持7首、柿本人麻呂歌集4首とつづく。
 ○ 巻17〜巻20まで、枕詞「あしひき」を詠みこんだ作者は大伴家持が29首あるが、作者未詳は一首もない。

巻2〜巻16
作者 首数
作者未詳 40
大伴家持 7
柿本人麻呂歌集 4
東歌、乞食者、大伴坂上郎女、山部赤人、 各2
調使首、大使、古集、古歌集、田邊福麻呂歌集、沙弥、
大津皇子、石川郎女、志貴皇子、余明軍、春日王、
湯原王、笠金村、大伴書持、笠縫女王、狭野茅上娘子
各1
巻17〜巻20
作者 首数
大伴家持 29
大伴池主、久米広縄 各2
山部赤人、元正天皇、舎人皇子 各1



枕詞「あしひき」について
 ○ 枕詞「あしひき」はおもに「山、峯」にかかり、山に関連する「石根、下風、木の間」にもかかる。
 ○ 「あしひき」の語源はわからないが、
    訓読み「足日木」は、山を登り下りするときに見る木もれ日や、見上げたとき、木の間に輝る太陽。
    作者、又は収録担当者はそういうイメージを歌に添えたいがため、「足日木」という漢字を充てたのではないだろうか。
    「足引」も同様、山は足を引きずって歩く、苦しいものだから「足引乃・・・」となる。
    檜のイメージの「足桧木」、切り倒した木を曳くイメージの「足曳之・・・」、
    「足病」、この歌の作者は足に病を得ていたのでは・・・?
    当時の苦しい旅、葦を引っぱって川を渡ったり野や山を行くから
    ・・・葦引乃  野行山行     潦      川徃渉・・・
     あしひきの のゆきやまゆき にはたづみ かはゆきわたり
   である。



枕詞「あしひき」の分布
 巻6まで作者未詳はない。
巻7と巻9〜巻13、そして巻16は作者未詳であって、すべて訓読みである。
ただし、東歌を除く。

  首数 表記 作者
巻1 なし なし なし
巻2 訓読み 大津皇子、石川郎女
巻3 志貴皇子、大伴坂上郎女、大伴家持
巻4 大伴坂上郎女、余明軍、春日王、湯原王
巻5 なし なし なし
巻6 2 訓読み 笠金村、山部赤人
巻7 6 柿本人麻呂歌集、古集、古歌集、作者未詳
巻8 8 山部赤人、沙弥、大伴家持、大伴書持、笠縫女王
巻9 3 田邊福麻呂歌集、作者未詳
巻10 13 柿本人麻呂歌集(三方沙弥)、作者未詳
巻11 9 柿本人麻呂歌集、作者未詳
巻12 7 作者未詳
巻13 5 調使首、作者未詳
巻14 2 一字一音 東歌
巻15 5 狭野茅上娘子、大使
巻16 4 訓読み 乞食者、作者未詳
巻17 12 一字一音 大伴家持、山部赤人、大伴池主
巻18 4 大伴家持
巻19 15 訓読み 6首 大伴家持、久米広縄
一字一音 9首
巻20 5 一字一音 元正天皇(元明?)、舎人皇子、大伴家持



■抽出データ
 ■は私のパソコンで変換できない漢字
国歌大観番号 枕詞 掛かる詞 作者 原文と読み
02 0107 足日木乃 大津皇子 足日木乃 山之四付二 妹待跡 吾立所沾 山之四附二
あしひきの やまのしづくに いもまつと われたちぬれぬ
やまのしづくに
0108 足日木能 石川郎女 吾乎待跡 君之沾計武 足日木能 山之四附二 成益物乎
あをまつと きみがぬれけむ あしひきの やまのしづくに
ならましものを
03 0267 足日木乃 志貴皇子 牟佐〃婢波 木末求跡 足日木乃 山能佐都雄尓 相尓来鴨
むささびは こぬれもとむと あしひきの やまのさつをに
あひにけるかも
0414 足日木能 石根 大伴家持 足日木能 石根許其思美 菅根乎 引者難三等 標耳曽結焉
あしひきの いはねこごしみ すがのねを ひかばかたみと
しめのみぞゆふ
0460(長歌) 足氷木乃 大伴坂上郎女 ・・・春日野乎 背向尓見乍 足氷木乃 山邊乎指而
かすがのを そがひにみつつ あしひきの やまへをさして
晩闇跡 隠益去礼・・・
ゆふやみと かくりましぬれ
0466(長歌) 足日木乃 大伴家持 ・・・露霜乃 消去之如久 足日木乃 山道乎指而
つゆしもの けぬるがごとく あしひきの やまぢをさして
入日成 隠去可婆・・・
いりひなす かくりにしかば
0477 足桧木乃 大伴家持 足桧木乃 山左倍光 咲花乃 散去如寸 吾王香聞
あしひきの やまさへひかり さくはなの ちりゆくごとき
わがおほきみかも
04 0580 足引乃 余明軍 足引乃 山尓生有 菅根乃 懃見巻 欲君可聞
あしひきの やまにおひたる すがのねの ねもころみまく
ほしききみかも
0669 足引之 春日王 足引之 山橘乃 色丹出与 語言継而 相事毛将有
あしひきの やまたちばなの いろにいでよ かたらひつぎて
あふこともあらむ
0670 足疾乃 湯原王 月讀之 光二来益 足疾乃 山寸隔而 不遠國
つくよみの ひかりにきませ あしひきの やまきへなりて
とほからなくに
0721 足引乃 大伴坂上郎女 足引乃 山二四居者 風流無三 吾為類和射乎 害目賜名
あしひきの やまにしをれば みやびなみ わがするわざを
とがめたまふな
06 0920(長歌) 足引之 笠金村 足引之 御山毛清 落多藝都 芳野河之 河瀬乃・・・
あしひきの みやまもさやに おちたぎつ よしののかはの
かはのせの
0927 足引之 山部赤人 足引之 山毛野毛 御■人 得物矢手挾 散動而有所見
あしひきの やまにものにも みかりひと さつやたばさみ
さわきてありみゆ
07 1088 足引之 柿本人麻呂歌集 足引之 山河之瀬之 響苗尓 弓月高 雲立渡
あしひきの やまがはのせの なるなへに ゆつきがたけに
くもたちわたる
1242 足引之 古集 足引之 山行暮 宿借者 妹立待而 宿将借鴨
あしひきの やまゆきぐらし やどからば いもたちまちて
やどかさむかも
1262 足病之 古歌集 足病之 山海石榴開 八峯越 鹿待君之 伊波比嬬可聞
あしひきの やまつばきさく やつをこえ ししまつきみが
いはひづまかも
1340 足桧之 作者未詳 紫 絲乎曽吾搓 足桧之 山橘乎 将貫跡念而
むらさきの いとをぞあがよる あしひきの やまたちばなを
ぬかむともひて
1415 足氷木乃 作者未詳 玉梓能 妹者珠氈 足氷木乃 清山邊 蒔散■
たまづさの いもはたまかも あしひきの きよきやまへに
まけばちりぬる
1416 足日木乃 作者未詳 或本歌曰
玉梓之 妹者花可毛 足日木乃 此山影尓 麻氣者失留
たまづさの いもははなかも あしひきの このやまかげに
まけばうせぬる
08 1425 足比奇乃 山部赤人 足比奇乃 山櫻花 日並而 如是開有者 甚戀目夜裳
あしひきの やまさくらばな ひならべて かくさきたらば
いとこひめやも
1469 足引之 沙弥 足引之 山霍公鳥 汝鳴者 家有妹 常所思
あしひきの やまほととぎす ながなけば いへなるいもは
つねにしおもほゆ
1495 足引乃 許乃間
(木の間)
大伴家持 足引乃 許乃間立八十一 霍公鳥 如此聞始而 後将戀可聞
あしひきの このまたちくく ほととぎす かくききそめて
のちこひむかも
1587 足引乃 大伴書持 足引乃 山之黄葉 今夜毛加 浮去良武 山河之瀬尓
あしひきの やまのもみちば こよひもか うかびゆくらむ
やまがはのせに
1603 足日木箆 大伴家持 頃者之 朝開尓聞者 足日木箆 山呼令響 狭尾壮鹿鳴哭
このころの あさけにきけば あしひきの やまよびとよめ
さをしかなくも
1611 足日木乃 笠縫女王 足日木乃 山下響 鳴鹿之 事乏可母 吾情都末
あしひきの やましたとよめ なくしかの ことともしかも
わがこころつま
1629(長歌) 足日木能 大伴家持 ・・・佐寐之夜也 常尓有家類 足日木能 山鳥許曽婆
さねしよや つねにありける あしひきの やまどりこそば
峯向尓 嬬問為云・・・
をむかひに つまどひすといへ
1632 足日木乃 大伴家持 足日木乃 山邊尓居而 秋風之 日異吹者 妹乎之曽念
あしひきの やまへにをりて あきかぜの ひにけにふけば
いもをしぞおもふ
09 1761(長歌) 足日木乃 作者未詳 朝月夜 明巻鴦視 足日木乃 山響令動 喚立鳴毛
あさづくよ あけまくをしみ あしひきの やまびことよめ
よびたてなくも
1762 足日木乃 作者未詳 明日之夕 不相有八方 足日木乃 山彦令動 呼立哭毛
あすのよひ あはざらめやも あしひきの やまびことよめ
よびたてなくも
1806 蘆桧木笶 田邊福麻呂歌集 蘆桧木笶 荒山中尓 送置而 還良布見者 情苦喪
あしひきの あらやまなかに おくりおきて かへらふみれば
こころぐるしも
10 1824 足比木乃 作者未詳 冬隠 春去来之 足比木乃 山二文野二文 ■鳴裳
ふゆこもり はるさりくれば あしひきの やまにものにも
うぐひすなくも
1842 足曳之 作者未詳 除雪而 梅莫戀 足曳之 山片就而 家居為流君
ゆきをおきて うめをなこひそ あしひきの やまかたづきて
いへゐせるきみ
1864 足日木之 作者未詳 足日木之 山間照 櫻花 是春雨尓 散去鴨
あしひきの やまのまてらす さくらばな このはるさめに
ちりゆかむかも
1940 足桧木乃 作者未詳 朝霞 棚引野邊 足桧木乃 山霍公鳥 何時来将鳴
あさかすみ たなびくのへに あしひきの やまほととぎす
いつかきなかむ
2148 足日木笶 作者未詳 足日木笶 山従来世波 左小壮鹿之 妻呼音 聞益物乎
あしひきの やまよりきせば さをしかの つまよぶこゑを
きかましものを
2156 足日木乃 作者未詳 足日木乃 山之跡陰尓 鳴鹿之 聲聞為八方 山田守酢兒
あしひきの やまのとかげに なくしかの こゑきかすやも
やまだもらすこ
2200 足日木乃 作者未詳 九月 白露負而 足日木乃 山之将黄變 見幕下吉
ながつきの しらつゆおひて あしひきの やまのもみたむ
みまくしもよし
2219 足曳之 作者未詳 足曳之 山田佃子 不秀友 縄谷延与 守登知金
あしひきの やまだつくるこ ひでずとも しめだにはへよ
もるとしるがね
2296 足引乃 作者未詳 足引乃 山佐奈葛 黄變及 妹尓不相哉 吾戀将居
あしひきの やまさなかづら もみつまで いもにあはずや
あがこひをらむ
2313 足曳之 柿本人麻呂歌集 足曳之 山鴨高 巻向之 木志乃子松二 三雪落来
あしひきの やまかもたかき まきむくの きしのこまつに
みゆきふりくる
2315 足引 柿本人麻呂歌集
或本云
三方沙弥
足引 山道不知 白■■ 枝母等乎〃尓 雪落者
あしひきの やまぢもしらず しらかしの えだもとををに
ゆきのふれれば
或云
枝毛多和〃〃
えだもたわたわ
2324 足引 作者未詳 足引 山尓白者 我屋戸尓 昨日暮 零之雪疑意
あしひきの やまにしろきは わがやどに きのふのゆふべ
ふりしゆきかも
2350 足桧木乃 作者未詳 足桧木乃 山下風波 雖不吹 君無夕者 豫寒毛
あしひきの やまのあらしは ふかねども きみなきよひは
かねてさむしも
11 2477 足引 柿本人麻呂歌集 足引 名負山菅 押伏 君結 不相有哉
あしひきの なにおふやますげ おしふせて きみしむすばば
あはずあらめやも
2617 足日木能 作者未詳 足日木能 山櫻戸乎 開置而 吾待君乎 誰留流
あしひきの やまさくらとを あけおきて あがまつきみを
たれかとどむる
2649 足日木之 作者未詳 足日木之 山田守翁 置蚊火之 下粉枯耳 余戀居久
あしひきの やまだもるをぢ おくかひの したこがれのみ
あがこひをらく
2679 足桧乃
慣例?
下風
(あらし)
作者未詳 窓超尓 月臨照而 足桧乃 下風吹夜者 公乎之其念
まどこしに つきおしてりて あしひきの あらしふくよは
きみをしぞおもふ
2694 足日木之 作者未詳 足日木之 山鳥尾乃 一峯越 一目見之兒尓 應戀鬼香
あしひきの やまどりのをの ひとをこえ ひとめみしこに
こふべきものか
2704 悪氷木乃 作者未詳 悪氷木乃 山下動 逝水之 時友無雲 戀度鴨
あしひきの やましたとよみ ゆくみづの ときともなくも
こひわたるかも
2760 足桧之 作者未詳 足桧之 山澤■具乎 採将去 日谷毛相為 母者責十方
あしひきの やまさはゑぐを つみにゆかむ ひだにもあはせ
はははせむとも
2767 足引乃 作者未詳 足引乃 山橘之 色出而 吾戀南雄 人目難為名
あしひきの やまたちばなの いろにいでて あれはこひなむを
ひとめかたみすな
2802 足桧之
足日木乃
作者未詳 念友 念毛金津 足桧之 山鳥尾之 永此夜乎
おもへども おもひもかねつ あしひきの やまどりのをの
ながきこのよを
或本歌曰
足日木乃 山鳥之尾乃 四垂尾乃 永長夜乎 一鴨将宿
あしひきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを
ひとりかもねむ
12 3002 足日木乃 作者未詳 足日木乃 従山出流 月待登 人尓波言而 妹待吾乎
あしひきの やまよりいづる つきまつと ひとにはいひて
いもまつわれを
3008 足引之 作者未詳 足引之 山呼木高三 暮月乎 何時君乎 待之苦沙
あしひきの やまをこだかみ ゆふづきを いつかときみを
まつがくるしさ
3017 足桧木之 作者未詳 足桧木之 山川水之 音不出 人之子■ 戀渡青頭鷄
あしひきの やまがはみづの おとにいでず ひとのこゆゑに
こひわたるかも
3051 足桧木之 作者未詳 足桧木之 山菅根乃 懃 吾波曽戀流 君之光儀尓
あしひきの やますがのねの ねもころに あれはぞこふる
きみがすがたに
或本歌曰
吾念人乎 将見因毛我母
あがもふひとを みむよしもがも
3053 足桧木之 作者未詳 足桧木之 山菅根之 懃 不止念者 於妹将相可聞
あしひきの やますがのねの ねもころに やまずおもはば
いもにあはむかも
3189 足桧乃 作者未詳 足桧乃 山者百重 雖隠 妹者不忘 直相左右二
あしひきの やまはももへに かくすとも いもはわすれじ
ただにあふまでに
一云
雖隠 君乎思苦 止時毛無
かくせども きみをおもはく やむときもなし
3210 足桧木乃 作者未詳 足桧木乃 片山■ 立徃牟 君尓後而 打四鷄目八方
あしひきの かたやまきぎし たちゆかむ きみにおくれて
うつしけめやも
13 3276(長歌) 足日木能 作者未詳 ・・・色出 人可知 足日木能 山従出 月待跡 人者云而・・・
いろにいでて ひとしりぬべみ あしひきの やまよりいづる
つきまつと ひとにはいひて
3291(長歌) 足日木 作者未詳 ・・・君可将思 言牟為便 将為須便不知 足日木 山之木末尓・・・ かしのはむ いはむすべ せむすべしらに あしひきの
やまのこぬれに
3335(長歌) 足桧木之 作者未詳 ・・・玉桙之 道去人者 足桧木之 山行野徃 直海 川徃渡・・・
たまほこの みちゆくひとは あしひきの やまゆきのゆき
にはたづみ かはゆきわたり
3338 蘆桧木乃 作者未詳 蘆桧木乃 山道者将行 風吹者 浪之塞 海道者不行
あしひきの やまぢはゆかむ かぜふけば なみのささふる
うみぢはゆかじ
3339(長歌) 葦引乃 野行山行 調使首 玉桙之 道尓出立 葦引乃 野行山行 潦 川徃渉・・・
たまほこの みちにいでたち あしひきの のゆきやまゆき
にはたづみ かはゆきわたり
14 3462 安志比奇乃 夜末(山) 東歌 安志比奇乃 夜末佐波妣登乃 比登佐波尓
あしひきの  やまさはびとの  ひとさはに
麻奈登伊布兒我 安夜尓可奈思佐
まなといふこが   あやにかなしさ
3573 安之比奇能 夜麻(山) 東歌 安之比奇能 夜麻可都良加氣 麻之波尓母
あしひきの  やまかづらかげ  ましばにも
衣我多伎可氣乎 於吉夜可良佐武
えがたきかげを  おきやからさむ
15 3655 安思比奇能 夜麻(山) 作者未詳 伊麻欲理波 安伎豆吉奴良之 安思比奇能
いまよりは  あきづきぬらし   あしひきの
夜麻末都可氣尓 日具良之奈伎奴
やままつかげに  ひぐらしなきぬ
3680 安之比奇能 山妣故
(山びこ)
作者未詳 欲乎奈我美 伊能年良延奴尓 安之比奇能
よをながみ  いのねらえぬに  あしひきの
山妣故等余米 佐乎思賀奈君母
やまびことよめ  さをしかなくも
3687 安思必寄能 作者未詳 安思必寄能 山等妣古由留 可里我祢波
あしひきの  やまとびこゆる かりがねは
美也故尓由加波 伊毛尓安比弖許祢
みやこにゆかば   いもにあひてこね
3700 安之比奇能 大使 安之比奇能 山下比可流 毛美知葉能
あしひきの  やましたひかる もみちばの
知里能麻河比波 計布仁聞安流香母
ちりのまがひは けふにもあるかも
3723 安之比奇能 夜麻(山) 狭野茅上娘子 安之比奇能 夜麻治古延牟等 須流君乎
あしひきの  やまぢこえむと  するきみを
許〃呂尓毛知弖 夜須家久母奈之
こころにもちて やすけくもなし
16 3789 足曳之 作者未詳 足曳之 山■之兒 今日徃跡 吾尓告世婆 還来麻之乎
あしひきの やまかづらのこ けふゆくと あれにつげせば
かへりこましを
3790 足曳之 作者未詳 足曳之 山■之兒 如今日 何隈乎 見管来尓監
あしひきの やまかづらのこ けふのごと いづれのくまを
みつつきにけむ
3885(長歌) 足引乃 片山 乞食者 ・・・藥■ 仕流時尓 足引乃 此片山尓 二立・・・
くすりがり つかふるときに あしひきの このかたやまに
ふたつたつ
3886(長歌) 足引乃 片山 乞食者 ・・・牛尓己曽 鼻縄波久例 足引乃 此片山乃 毛武尓礼乎・・・
うしにこそ はななははくれ あしひきの このかたやまの
もむにれを
17 3911 安之比奇能 大伴家持 安之比奇能 山邊尓乎礼婆 保登等藝須
あしひきの  やまへにをれば ほととぎす
木際多知久吉 奈可奴日波奈之
このまたちくき なかぬひはなし
3915 安之比奇能 山部赤人 安之比奇能 山谷古延■  野豆加佐尓
あしひきの やまたにこえて のづかさに
今者鳴良武  宇具比須乃許恵
いまはなくらむ うぐひすのこゑ
3957(長歌) 安之比紀乃 大伴家持 ・・・佐保能宇知乃 里乎徃過
   さほのうちの  さとをゆきすぎ
安之比紀乃 山能許奴礼尓 白雲尓 多知多奈妣久等・・・
あしひきの やまのこぬれに しらくもに たちたなびくと
3962(長歌) 安思比奇能 大伴家持 ・・・大夫之 情布里於許之 安思比奇能 山坂古延弖
ますらをの こころふりおこし あしひきの やまさかこえて
安麻射加流 比奈尓久太理伎・・・
あまざかる   ひなにくだりき
3969(長歌) 安之比紀能 夜麻(山) 大伴家持 ・・・於母布蘇良 久流之伎母能乎
   おもふそら くるしきものを
安之比紀能 夜麻伎敝奈里■ 多麻保許乃・・・
あしひきの  やまきへなりて  たまほこの
3970 安之比奇能 夜麻(山) 大伴家持 安之比奇能 夜麻左久良婆奈 比等目太尓
あしひきの  やまさくらばな   ひとめだに
伎美等之見■婆 安礼古非米夜母
きみとしみてば あれこひめやも
3973(長歌) 安之比奇能 夜麻(山) 大伴池主 ・・・憶保枳美能 弥許等可之古美
   おほきみの みことかしこみ
安之比奇能 夜麻野佐波良受 安麻射可流・・・
あしひきの  やまのさはらず  あまざかる
3978(長歌) 阿之比奇能 夜麻(山) 大伴家持 ・・・大王能 美許登加之古美
 おほきみの みことかしこみ
阿之比奇能 夜麻古要奴由伎 安麻射加流・・・
あしひきの  やまこえぬゆき  あまざかる
3981 安之比奇能 夜麻(山) 大伴家持 安之比奇能 夜麻伎敝奈里■ 等保家騰母
あしひきの   やまきへなりて  とほけども
許己呂之遊氣婆 伊米尓美要家里
こころしゆけば   いめにみえけり
3983 安思比奇能 夜麻(山) 大伴家持 安思比奇能 夜麻毛知可吉乎 保登等藝須
あしひきの  やまもちかきを   ほととぎす
都奇多都麻泥尓 奈仁加吉奈可奴
つきたつまでに  なにかきなかぬ
3993(長歌) 安之比奇能 夜麻(山) 大伴池主 ・・・宇能波奈波 伊麻曽佐可理等
   うのはなは いまぞさかりと
安之比奇能 夜麻尓毛野尓毛 保登等藝須・・・
あしひきの  やまにものにも  ほととぎす
4011(長歌) 安之比奇能 乎■母許乃毛尓
(彼面此面)
大伴家持 ・・・氣太之久毛 安布許等安里也等
   けだしくも   あふことありやと
安之比奇能 乎■母許乃毛尓 等奈美波里・・・
あしひきの  をてもこのもに   となみはり
18 4076 安之比奇能 夜麻(山) 大伴家持 安之比奇能 夜麻波奈久毛我 都奇見礼婆
あしひきの  やまはなくもが  つきみれば
於奈自伎佐刀乎 許己呂敝太底都
おなじきさとを   こころへだてつ
4111(長歌) 阿之比奇能 夜麻(山) 大伴家持 ・・・秋豆氣婆 之具礼乃雨零
  あきづけば しぐれのあめふり
阿之比奇能 夜麻能許奴礼波 久礼奈為尓・・・
あしひきの  やまのこぬれは  くれなゐに
4122(長歌) 安之比奇能 夜麻(山) 大伴家持 ・・・安麻都美豆 安布藝弖曽麻都
   あまつみづ あふぎてぞまつ
安之比奇能 夜麻能多乎理尓 許能見油流・・・
あしひきの  やまのたをりに  このみゆる
4136 安之比奇能 夜麻(山) 大伴家持 安之比奇能 夜麻能許奴礼能 保与等理天
あしひきの  やまのこぬれの  ほよとりて
可射之都良久波 知等世保久等曽
かざしつらくは   ちとせほくとぞ
19 4149 足引之 八峯 大伴家持 足引之 八峯之■ 鳴響 朝開之霞 見者可奈之母
あしひきの やつをのきぎし なきとよむ あさけのかすみ
みればかなしも
4151 足引乃 大伴家持 今日之為等 思標之 足引乃 峯上之櫻 如此開尓家里
けふのためと おもひてしめし あしひきの をのへのさくら
かくさきにけり
4154(長歌) 安志比奇乃 大伴家持 安志比奇乃 山坂超而 去更 年緒奈我久 科坂在・・・
あしひきの やまさかこえて ゆきかはる としのをながく
しなざかる・・・
4156(長歌) 安之比奇能 大伴家持 ・・・春去者 花耳尓保布 安之比奇能 山下響 堕多藝知・・・
はるされば はなのみにほふ あしひきの やましたとよみ
おちたぎち
4160(長歌) 安之比奇能 大伴家持 ・・・照月毛 盈■之家里 安之比奇能 山之木末毛・・・
てるつきも みちかけしけり あしひきの やまのこぬれも
4164(長歌) 安之比奇能 八峯 大伴家持 ・・・劔刀 許思尓等理波伎 安之比奇能 八峯布美越・・・
つるぎたち こしにとりはき あしひきの やつをふみこえ
4166(長歌) 安之比奇乃 大伴家持 ・・・赤根刺 晝波之賣良尓 安之比奇乃 八丘飛超・・・
あかねさす ひるはしめらに あしひきの やつをとびこえ
4169(長歌) 安之比奇乃 大伴家持 ・・・安麻射可流 夷尓之居者 安之比奇乃 山乃多乎里尓・・
あまざかる ひなにしをれば あしひきの やまのたをりに
4180(長歌) 足桧木乃 大伴家持 ・・・春過而 夏来向者 足桧木乃 山呼等余米 左夜中尓・・・
はるすぎて なつきむかへば あしひきのやまよびとよめ
さよなかに
4203(長歌) 安之比奇能 久米広縄 ・・・家尓去而 奈尓乎将語 安之比奇能 山霍公鳥 ・・・
いへにゆきて なにをかたらむ あしひきの やまほととぎす
4210 安志比紀乃 夜麻(山) 久米広縄 敷治奈美乃 志氣里波須疑奴 安志比紀乃
ふぢなみの  しげりはすぎぬ  あしひきの
夜麻保登等藝須 奈騰可伎奈賀奴
やまほととぎす などかきなかぬ
4214(長歌) 足日木 大伴家持 ・・・夷放 國乎治等 足日木 山河阻 風雲尓・・・
ひなざかる くにををさむと あしひきの やまかはへだて
かぜくもに
4225 足日木之 大伴家持 足日木之 山黄葉尓 四頭久相而 将落山道乎 公之超麻久
あしひきの やまのもみちに しづくあひて ちらむやまぢを
きみがこえまく
4266(長歌) 安之比奇能 八峯 大伴家持 安之比奇能 八峯能宇倍能 都我能木能 伊也継〃尓・・・
あしひきの やつをのうへの つがのきの いやつぎつぎに
4278 足日木乃 夜麻(山) 大伴家持 足日木乃 夜麻之多日影 可豆良家流
あしひきの やましたひかげ かづらける
宇倍尓也左良尓 梅乎之努波牟
うへにやさらに うめをしのはむ
20 4293 安之比奇能 元正天皇
元明天皇説がある
安之比奇能 山行之可婆 山人乃
あしひきの やまゆきしかば やまびとの
和礼尓依志米之 夜麻都刀曽許礼
われにえしめし やまつとぞこれ
4294 安之比奇能 舎人皇子 安之比奇能 山尓由伎家牟 夜麻妣等能
あしひきの  やまにゆきけむ やまびとの
情母之良受  山人夜多礼
こころもしらず やまびとやたれ
4471 安之比奇乃 夜麻(山) 大伴家持 氣能己里能 由伎尓安倍弖流 安之比奇乃
けのこりの   ゆきにあへてる  あしひきの
夜麻多知波奈乎 都刀尓通弥許奈
やまたちばなを   つとにつみこな
4481 安之比奇能 夜都乎
(八峯)
大伴家持 安之比奇能 夜都乎乃都婆吉 都良〃〃尓
あしひきの  やつをのつばき  つらつらに
美等母安可米也 宇恵弖家流伎美
みともあかめや   うゑてけるきみ
4484 安之比奇乃 夜麻(山) 大伴家持 佐久波奈波 宇都呂布等伎安里 安之比奇乃
さくはなは   うつろふときあり   あしひきの
夜麻須我乃祢之 奈我久波安利家里
やますがのねし  ながくはありけり


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