海原(うなはら)の「な」は格助詞「の」と同じ格助詞か?
万葉散歩フォトギャラリー管理人 植芝 宏  メール uehiro08@kcn.ne.jp
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@ 選定理由
 海原(うなはら)の「な」は格助詞「の」と同じ格助詞か、それとも海の読み「うみ」が「うな」に変化した読みかを確かめる。

A 原因
 海原(うなはら)の「な」は格助詞「の」と同じ格助詞である場合、「な」が格助詞であることを示す「海な原」の表記が無い事が混乱の原因である。
たとえば「蘇我馬子」は「そがのうまこ」と読み、口を付いて自然と格助詞「の」が入る。ネットで見る限り「蘇我馬子」の表記は「蘇我馬子」であり、「蘇我の馬子」という表記は見たことがない。
これと全く同じではなかろうか。

B 対策
 訓読文の表記を「海原」から「海な原」に変更する。
「蘇我馬子」もまた「蘇我の馬子」に変更する(自分の研究用基本データのみで、ネットにアップする時は「蘇我馬子」に換える)。
一例
通し番号 作者 巻_類_番号 句番 原文 ひらがな文 訓読文 1 2 3 4 5
174 万葉集巻第一 舒明天皇 1_長歌/◎_2 _9/13 海原波 うなはらは 海な原は   はら    
9331 万葉集巻第五 作者未詳 5_短歌_874 _1/5 宇奈波良能 うなはらの 海な原の

C 現状の把握
 古事記
通し番号 見出し 見出し 原文 ひらがな文 訓読文
941 古事記上卷 伊邪那岐命と伊邪那美命 三貴子の分治 所知海原矣 うなはらをしらせ 海原を知らせ」と
1141 古事記上卷 天照大神と須佐之男命 天の安の河の誓約 上菟上國造 かみつうなかみのくにのみやつこ 上つ菟上の国の造
1142 古事記上卷 天照大神と須佐之男命 天の安の河の誓約 下菟上國造 しもつうなかみのくにのみやつこ 下つ菟上の国の造
3359 古事記上卷 火遠理命 鵜葺草不合命 不可生海原 うなはらにうむべからず 海原に生むべからず
3393 古事記上卷 火遠理命 鵜葺草不合命 ■1塞海坂而返入 すなはちうなさかをふさきてかへりいりましき 即ち海坂を塞へて返り入りましき
3443 古事記上卷 火遠理命 鵜葺草不合命 入■2海原也 うなはらにいりましき 海原に入り坐しき
4406 古事記中卷 開化天皇   次菟上王 つぎにうなかみのみこ 次に菟上の王
4411 古事記中卷 開化天皇   次菟上王■3 つぎにうなかみのみこは 次に菟上の王は
5136 古事記中卷 垂仁天皇 本牟智和気王 菟上王 うなかみのみこの 菟上の王
5181 古事記中卷 垂仁天皇 本牟智和気王 光海原自舩追來 うなはらをてらしてふねよりおひきたりき 海原を光らして舩より追ひ来りき
5197 古事記中卷 垂仁天皇 本牟智和気王 ■1返菟上王 すなはちうなかみのみこをかへして 即ち菟上の王を返して
6180 古事記中卷 仲哀天皇 神功皇后の新羅征討 海原之魚 うなはらのうを 海原の魚
■1…即の旧字体。 ■2…坐の左側の人を口に換える。 ■3…者の旧字体。
 日本書紀
通し番号 見出し 原文 ひらかな文 訓読文
88 日本書紀巻第一 神代上第一段一書第五 譬猶海上浮雪無所根係 たとへばうなはらのうへにうかべるゆきの
ねかかるところなきがごとし
譬へば海の上に浮べる雪の
根係る所無きが猶し
258 日本書紀巻第一 神代上第四段一書第一 因畫滄海而引擧之 よりてあをうなはらを
かきなしてひきあぐるときに
因りて滄海を画して引き挙ぐるときに
433 日本書紀巻第一 神代上第五段本文 次生海 つぎにうなはらをうむ 次に海を生む
840 日本書紀巻第一 神代上第五段一書第六 可以治滄海原潮之
八百重也
もてあをうなはらのしほの
やほへをしらすべし
以て滄海原の潮の八百重を治らすべし
1061 日本書紀巻第一 神代上第五段一書第十 吹生大地海原之ゥ~矣 おほつちうなはらの
もろもろのかみたちをふきなす
大地海原の諸の神を吹き生す
1072 日本書紀巻第一 神代上第五段一書第十一 可以御滄海之原也 あをうなはらをしらすべし 滄海原を御らすべし」とのたまふ
2249 日本書紀巻第一 神代上第八段一書第六 ~光照海 あやしきひかりうなにてらして 神しき光海に照して
4329 日本書紀巻第二 神代下第十段一書第四 久居海原 ひさしくうなはらにましき 久しく海原に居しき
9699 日本書紀巻第八 仲哀天皇八年春正月己卯朔壬午 分明看行山川海原 あきらかにやまかはうなはらをみそなはせ 分明らかに山川海原を看そなは行せ
10003 日本書紀巻第九 神功皇后摂政前紀
仲哀天皇九年夏四月壬寅朔甲辰
浮渉滄海 あをきうなはらをうきわたりて 滄き海を浮き渉りて
10425 日本書紀巻第九 神功皇后摂政元年春二月 因以海上五十狹茅令祭 よりてうなかみのいさちをもていははしむ 因りて海上の五十狭茅を以て祭はしむ
12457 日本書紀巻第十一 仁徳天皇十一年夏四月戊寅朔甲午 決源而通海 よこしまなるうなかみを
さくりてうみにかよはせて
横しまなる源を決りて海に通せて
26726 日本書紀巻第二十三 舒明天皇九年 渡蒼海 あをうなはらをわたり 蒼海を渡り
30721 日本書紀巻第二十六 斉明天皇四年冬十月庚戌朔甲子 于那倶娜梨 うなくだり 海くだり
30942 日本書紀巻第二十六 斉明天皇五年秋七月丙子朔戊寅 放出大海 おほうなはらにはなれいづ 大海に放れい出
31481 日本書紀巻第二十六 斉明天皇七年五月(乙未朔)丁巳 放船大海 ふねをおほうなはらにはなつ 船を大海に放つ
 萬葉集
通し番号 作者 巻_類_番号 句番 原文 ひらがな文 訓読文
174 万葉集巻第一 舒明天皇 1_長歌/◎_2 _9/13 海原波 うなはらは 海原は
5958 万葉集巻第四   4_目録_530 P232_1 賜海上女王御歌一首 うなかみのおほきみにたまふみうたいちしゆ 賜ふ海上の女王御歌一首
5960 万葉集巻第四   4_目録_531 P232_2 海上女王奉和謌一首 うなかみのおほきみのこたへまつるうたいちしゆ 海上の女王の和へ奉る歌一首
6551 万葉集巻第四   4_題詞_530   賜海上女王御歌一首 うなかみのおほきみにたまふみうたいちしゆ 賜ふ海上の女王御歌一首
6563 万葉集巻第四   4_題詞_531   海上王(?)奉和謌一首 うなかみのおほきみのこたへまつるうたいちしゆ 海上の王の和へ奉る歌一首
8821 万葉集巻第五 山上憶良 5_長歌_813 _19/27 宇奈可美乃 うなかみの 海上の
9331 万葉集巻第五 作者未詳 5_短歌_874 _1/5 宇奈波良能 うなはらの 海原の
9623 万葉集巻第五 山上憶良 5_長歌_894 _31/63 宇奈原能 うなはらの 海原の
11509 万葉集巻第六 作者未詳 6_短歌_1016 _1/5 海原之 うなはらの 海原の
12207 万葉集巻第七 作者未詳 7_短歌/◎_1075 _1/5 海原之 うなはらの 海原の
12282 万葉集巻第七 作者未詳 7_短歌/◎_1089 _3/5 海原 うなはらの 海原の
12747 万葉集巻第七 作者未詳 7_短歌_1176 _2/5 海上滷乃 うなかみがたの 海上潟の
16271 万葉集巻第九   9_目録_1809 362_24 見■239原處女墓謌一首 うなひをとめのつかをみるうたいちしゆ 菟原処女の墓を見る歌一首
16795 万葉集巻第九 高橋虫麿歌集 9_長歌_1740 _15/93 海界乎 うなさかを 海界を
17305 万葉集巻第九 高橋虫麿歌集 9_長歌_1780 _21/23 海上之 うなかみの 海上の
17540 万葉集巻第九 田辺福麿歌集 9_長歌_1801 _6/31 ■239名日處女乃 うなひをとめの 菟原少女の
17570 万葉集巻第九 田辺福麿歌集 9_短歌_1802 _4/5 ■239會處女乃 うなひをとめの 菟原少女の
17676 万葉集巻第九   9_題詞_1809   見■239原處女墓謌一首 うなひをとめのつかをみるうたいちしゆ 菟原処女の墓を見る歌一首
17679 万葉集巻第九 高橋虫麿歌集 9_長歌/○_1809 _2/73 ■239名負處女之 うなひをとめの 菟原少女の
17693 万葉集巻第九 高橋虫麿歌集 9_長歌/○_1809 _16/73 宇奈比壯士乃 うなひをとこの 菟原壮士の
17725 万葉集巻第九 高橋虫麿歌集 9_長歌/○_1809 _48/73 ■239原壯士伊 うなひをとこい 菟原壮士い
17753 万葉集巻第九 高橋虫麿歌集 9_短歌_1810 _2/5 宇奈比處女之 うなひをとめの 菟原少女の
20916 万葉集巻第十一 古謌集 11_旋頭歌_2367 _1/6 海原乃 うなはらの 海原の
23068 万葉集巻第十一 作者未詳 11_短歌_2779 _1/5 海原之 うなはらの 海原の
27332 万葉集巻第十四 作者未詳 14_短歌/◎_3348 _2/5 宇奈加美我多能 うなかみがたの 海上潟の
28202 万葉集巻第十四 作者未詳 14_短歌_3498 _1/5 宇奈波良乃 うなはらの 海原の
28771 万葉集巻第十五 作者未詳 15_短歌_3592 _1/5 海原尓 うなはらに 海原に
28899 万葉集巻第十五 柿本人麿 15_短歌_3611 _3/5 宇奈波良乎 うなはらを 海原を
28915 万葉集巻第十五 壬生宇太麿 15_短歌_3613 _1/5 海原乎 うなはらを 海原を
29212 万葉集巻第十五 作者未詳 15_短歌_3648 _1/5 宇奈波良能 うなはらの 海原の
29230 万葉集巻第十五 作者未詳 15_旋頭歌_3651 _4/6 宇奈波良能 うなはらの 海原の
29699 万葉集巻第十五 作者未詳 15_短歌_3718 _3/5 宇奈波良乎 うなはらを 海原を
35932 万葉集巻第十九 大伴家持 19_長歌_4211 _6/43 宇奈比壯子乃 うなひをとこの 菟原壮士の
37424 万葉集巻第二十 大伴家持 20_短歌_4334 _1/5 海原乎 うなはらを 海原を
37432 万葉集巻第二十 大伴家持 20_短歌_4335 _4/5 宇奈波良乃宇倍尓 うなはらのうへに 海原の上に
37655 万葉集巻第二十 大伴家持 20_長歌_4360 _40/55 海原見礼婆 うなはらみれば 海原見れば
37676 万葉集巻第二十 大伴家持 20_短歌_4362 _1/5 海原乃 うなはらの 海原の
37851 万葉集巻第二十   20_左注_4384   助丁海上郡海上國造
他田日奉直得大理
すけのよほろうなかみのこほりのうなかみのく
にのみやつこをさだのひまつりのあたひとこたり
助の丁海上の郡の海上の国の造
他田の日奉の直得大理のなり
37998 万葉集巻第二十 大伴家持 20_短歌_4399 _1/5 宇奈波良尓 うなはらに 海原に
38128 万葉集巻第二十 大伴家持 20_長歌_4408 _57/77 海原乃 うなはらの 海原の
39045 万葉集巻第二十 大伴家持 20_短歌_4514 _1/5 阿乎宇奈波良 あをうなはら 青海原
■239…冤の冖をくさかんむりに換える。

D 結果
 古事記に
通し番号 見出し 見出し 原文 ひらがな文 訓読文
1141 古事記上卷 天照大神と須佐之男命 天の安の河の誓約 上菟上國造 かみつうなかみのくにのみやつこ 上つ菟上の国の造
1142 古事記上卷 天照大神と須佐之男命 天の安の河の誓約 下菟上國造 しもつうなかみのくにのみやつこ 下つ菟上の国の造
とあり、また萬葉集に
通し番号 巻_類_番号 原文 ひらがな文 訓読文
37851 万葉集巻第二十 20_左注_4384 助丁海上郡海上國造
他田日奉直得大理
すけのよほろうなかみのこほりのうなかみのくにのみやつこ
をさだのひまつりのあたひとこたり
助の丁海上の郡の海上の国の造
他田の日奉の直得大理のなり
とあって、「海上の国の造」は「菟上の国の造」と同一と考えられる。
また「菟」の発音は「う(u)」であって、「うな(una)」という発音は無い。
よって、海上國造(うなかみのくにのみやつこ)の「な」は格助詞「な」となる。
しかも
題詞…天平勝宝七歳乙未二月相替遣筑紫諸国防人等歌
通し番号 作者 巻_類_番号 句番 原文 ひらがな文 訓読文
37332 万葉集巻第二十 丈部人麿 20_短歌/◎_4328 _4/5 宇乃波良和多流 うのはらわたる 海の原渡る
左注…右一首助丁丈部造人麿/二月七日相模国防人部領使守従五位下藤原朝臣宿奈麿進歌数八首但拙劣歌五首者不取載之
という歌もある。
古事記の
通し番号 見出し 見出し 原文 ひらがな文 訓読文
21 古事記上卷并序     浮■1海水 うしほにうきしづみて 海水に浮き沈みて
1595 古事記上卷 大国主~ 稲羽の素菟 浴此海塩 このうしほをあみ 此の海塩を浴み
1651 古事記上卷 大国主~ 稲羽の素菟 誨■2浴海塩當風伏 うしほをあみかぜにあたりてふせれとをしへのりき 『海塩を浴み風に当りて伏せれ』と誨へ告りき
2938 古事記上卷 迩迩芸命 ■3女の君 ■1溺海塩 うしほにしづみおぼれたまひき 海塩に沈み溺れたまひき
2943 古事記上卷 迩迩芸命 ■3女の君 其海水之キ夫多キ時名 そのうしほのつぶたつときのなを 其の海水の粒立つ時の名を
5893 古事記中卷 景行天皇 倭建命の薨去 又入其海塩而 またそのうしほにいりて 又其の海塩入りて
■1…汀の丁を冗に換える。 ■2…告の旧字体。 ■3…狂の王を爰に換える。
というのも傍証する。
よって「海原(うなはら)」の「な」は格助詞「の」と同じ、格助詞ということになる。

E 疑問
 上古では「海」は「う(u)」と発音したことが解ったが、では海み(うみ)の「み」は何を意味しているのであろうか?
古事記上卷并序に
通し番号 原文 ひらかな文 訓読文
175 古事記上卷并序 以和銅四年九月十八日 わどうのよとせのながづきのとをあまりやかをもちて 和銅の四年の九月の十八日を以ちて
176 古事記上卷并序 詔臣安萬侶 やつこやすまろにのりたまひて 臣安万侶に詔ひて
177 古事記上卷并序 撰■1稗田阿礼所誦之■171語舊辞以 ひえだのあれがよめるみことのりのふることをえらびしるして 稗田の阿礼が誦める勅語の旧辞を撰び録して
178 古事記上卷并序 ■113上■2 たてまつれ 献上れとのりたまへり
179 古事記上卷并序 ■3隨詔■215 つつしみてみことのりのまにまに 謹みて詔旨の随に
180 古事記上卷并序 子細採■381 こまやかにとりひろひぬ 子細に採り拾ひぬ
181 古事記上卷并序 しかれども 然れども
182 古事記上卷并序 上古之時 いにしへのときは 上古の時は
183 古事記上卷并序 言意並朴 ことばもこころもみなすなほなるに 言も意も並朴なるに
184 古事記上卷并序 敷文搆句 ふみをかきくだりをたつること 文を敷き句を構ること
185 古事記上卷并序 於字■4■5 もじにおきてはすなはちかたし 字に於ては即ち難し
■113…顧の戸の筆順1〜3を”禾の木を由に換えて由の筆順1を削った漢字”に換え、さらに顧の隹を用に頁を犬に換える。…獻(国立)。■215…毎の毋を日に換える。
■381…蹠の足をてへんに換え、さらに廿を”共のハ無し”に換える。■1…録の旧字体。■2…者の旧字体。■3…謹の旧字体。■4…即の旧字体。■5…難の旧字体。
とあり、稗田の阿礼から聞き取りを行い文字にしたとある。であれば、漢字という色メガネを外し、ひらがな文から「うみ(umi)」という単語を採り拾いて、
「うみ(umi)」という発音を子細に探れば、漢字が伝来する以前、上古の時に「うみ(umi)」の「み」は何を意味していたのか解るかもしれない。

F 古事記のひらがな文から発音「うみ(umi)」を含む単語を抽出 それぞれ一例を示す。
意味 うみを含む 字数 通し番号 見出し 見出し 原文 ひらがな文 訓読文
うみませる 83 2783 古事記上卷 迩迩芸命 天孫の誕生 生子 うみませるこ 生みませる子
うみき 22 357 古事記上卷 伊邪那岐命と
伊邪那美命
二神の結婚 次生淡嶋 つぎにあはしまをうみき 次に淡嶋を生みき
うみ 16 317 古事記上卷 伊邪那岐命と
伊邪那美命
二神の結婚 以爲生成國土 くにをうみなさむとおもふ 国土を生み成さむと以為ふ
うみしに 2 545 古事記上卷 伊邪那岐命と
伊邪那美命
神々の生成 因生此子 このこをうみしによりて 此の子を生みしに因りて
うみし 1 7733 古事記下卷 仁徳天皇 雁の卵の瑞祥 以歌問鴈生卵之■1 うたをもちてかりのこうみしさまを
とひたまひき
歌以ちて雁の卵生みし状を
問ひたまひき
うみの 1 919 古事記上卷 伊邪那岐命と
伊邪那美命
三貴子の分治 於生終■189三貴子 うみのはてにみはしらの
たふときこをえつ
生みの終に三はしらの
貴き子を得つ
うみましし 1 9517 古事記下卷 継体天皇   生御子 うみまししみこ 生みましし御子
うみき 1 3053 古事記上卷 迩迩芸命 木花之佐久夜毘売 火■135其殿而■2也 ひをそのとのにつけてうみき 火を其の殿に著けて産みき
うみたまひし 1 27 古事記上卷并序     識孕土■2嶋之時 くにをはらみ
しまをうみたまひしときをしり
土を孕み
嶋を産みたまひし時を識り
うみまさ 1 3372 古事記上卷 火遠理命 鵜葺草不合命 尓將方■2之時 ここにまさにうみまさむとするときに 尓に方に産みまさむとする時に
うみましし 1 3395 古事記上卷 火遠理命 鵜葺草不合命 名其所■2之御子 そのうみまししみこをなづけて 其の産みましし御子を名づけて
子孫 うみのこ 2 893 古事記上卷 伊邪那岐命と
伊邪那美命
禊祓と神々の化生 宇キ志日金析命之
子孫也
うつしひがなさくのみことの
うみのこなり
宇都志日金拆の命の子孫なり
うみに 12 484 古事記上卷 伊邪那岐命と
伊邪那美命
神々の生成 ■3河海持別而 かはうみによりてもちわけて 河海に因りて持ち別けて
うみ 11 955 古事記上卷 伊邪那岐命と
伊邪那美命
須佐之男命の涕泣 河海■4 かはうみは 河海は
うみつ 2 3392 古事記上卷 火遠理命 鵜葺草不合命 白妾恒通海道欲徃來
然伺見吾形是甚恠之
あれつねはうみつぢをとほりて
かよはむとおもひき
しかれどもあがかたちを
かきまみたまひし
これいとはづかしとまをしたまひて
「妾れ恒は海つ道を通りて
往来はむと欲ひき
然れども吾が形を伺見たまひし
是れ甚恠づかし」と白したまひて
うみとは 1 3526 古事記中卷 神武天皇 東征 謂血沼海也 ちぬのうみとはいふなり 血沼の海とは謂ふなり
うみの 1 5638 古事記中卷 景行天皇 小碓命の東征 入海中 うみのなかにいらむ 海の中に入らむ
うみのみ 1 6091 古事記中卷 仲哀天皇 神功皇后の新羅征討 唯有大海 ただおほうみのみあり 唯大海のみ有り
うみは 1 120 古事記上卷并序     智海浩汗 さとりのうみはひろくはるかにして 智の海は浩く汗かにして
うみを 1 5628 古事記中卷 景行天皇 小碓命の東征 渡走水海之時 はしりみづのうみをわたりたまひしとき 走水の海を渡りたまひし時
うみの 1 4226 古事記中卷 孝霊天皇   角鹿濟直之■5也 つぬがのうみのあたひのおやなり 角鹿海の直の祖なり
■491…呷の筆順4無し。 ■189…得の彳をさんずいに換える。 ■135…首の自を者の旧字体に換える。 ■54…恰の合を衣に換える。
■1…状の旧字体。 ■2…産の旧字体。 ■4…者の旧字体。 ■5…祖の旧字体。
■3…漢字辞典オンライン https://kanji.jitenon.jp/ で「因」を検索。 https://kanji.jitenon.jp/kanjiy/13601.html の漢字に同じ。

G 抽出結果から解った事
 古事記ではうみ(umi)という発音には、海(うみ)と生み(うみ)の二種類の意味しかなかった。
二つの言葉には共通点がある。海は命が生まれ出る所という事である。
その事からうみ(umi)という発音は「生み」という意味であり、「生み」が名詞化して海(うみ)となった事が容易に想像できる。
よって、「海み」の「み」は生むの連用形「生み」の語尾ということになる。