古事記の「豊雲野の神」の野の発音は「ぬ(nu)」か? 「の(no)甲類」か?
                            
2021年10月12日    万葉散歩フォトギャラリー管理人 植芝 宏

 岩波書店 日本古典文学大系『古事記祝詞』・『「日本書記上』・『「日本書記下』・『萬葉集一』・『萬葉集二』・『萬葉集三』・『萬葉集四』を底本としています。

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K …古事記
N …日本書紀
M …萬葉集

1、出典

古事記
通し番号 見出し 検索用原文 ひらがな文 訓読文 1 2 3 4 5
K266 古事記上巻 神代七代 次豊雲野神 つぎにとよくもののかみ 次に豊雲野の神 つぎに とよ くも のの かみ

日本書紀
通し番号 見出し 検索用原文 ひらがな文 訓読文 1 2 3 4 5
N35 日本書紀巻第一 神代上第一段本文 次豊斟渟尊 つぎにとよくむぬのみこと 次に豊斟渟の尊 つぎに とよ くむ ぬの みこと

通し番号
N49
見出し 検索用原文 ひらがな文 訓読文
日本書紀巻第一 神代上第一段一書第一 次豊国主尊 つぎにとよくにぬしのみこと 次に豊国主の尊
1 2 3 4 5
つぎに とよ くに ぬしの みこと
通し番号
N50
見出し 検索用原文 ひらがな文 訓読文
日本書紀巻第一 神代上第一段一書第一 亦曰豊組野尊 またはとよくむののみこととまうす 亦は豊組野の尊と曰す
1 6 2 3 4 5
または まうす とよ くむ のの みことと

2、「野」の表記
  那(な)
古事記 76   7 1        
日本書紀 329 2 3 2 2     1
萬葉集 481 23 1     2 1  
886 25 11 3 2 2 1 1

  見出し(西暦)、作者 番号 検索用原文 ひらがな文 訓読文 題詞又は左注
日本書紀巻第二十四 皇極天皇三年夏六月(644年6月) N110 阿娑努能枳枳始 あさののきぎし 浅野の雉  
日本書紀巻第二十四 皇極天皇四年六月(丁酉朔)己酉
(645年6月13日)
  阿娑努能枳枳始 あさののきぎし 浅野の雉  
万葉集巻第五 ?師志氏大道 短歌_837 波流能努尓 はるののに 春の野に 雑謌/梅花謌卅二首并序
万葉集巻第五 筑前目田氏真上 短歌_839 波流能努尓 はるののに 春の野に 雑謌/梅花謌卅二首并序
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3404 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3405 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3407 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3415 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3416 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 柿本人麿歌集 短歌_3417 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3418 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3420 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3423 可美都気努 かみつけの 上つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3425 志母都家努 しもつけの 下つ毛野 東謌/相聞
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3473 左努夜麻尓 さのやまに 佐野山に 東謌/相聞
万葉集巻第十八 大伴家持 長歌_4098 美与之努能 みよしのの み吉野の 爲幸行芳野離宮之時儲作歌一首并短謌
万葉集巻第十八 大伴家持 短歌_4099 余思努乃美夜乎 よしののみやを 吉野の宮を 爲幸行芳野離宮之時儲作歌一首并短謌
万葉集巻第十八 大伴家持 短歌_4100 与之努河波 よしのがは 吉野川 爲幸行芳野離宮之時儲作歌一首并短謌
万葉集巻第二十 大伴家持 短歌_4316 努都可佐尓 のづかさに 野司に 右歌六首兵部少輔大伴宿祢家
持独憶秋野聊述拙懷作之
万葉集巻第二十 商長首麿 短歌_4344 努由伎夜麻由伎 のゆきやまゆき 野行き山行き 防人等歌
万葉集巻第二十 宇遅部黒女 短歌_4417 夜麻努尓波賀志 やまのにはがし 山野に放し 防人等歌
万葉集巻第二十 大伴家持 短歌_4457 和我見流乎努能 わがみるをのの 我が見る小野の 右一首兵部少輔大伴宿祢家持
万葉集巻第二十 大伴家持 短歌_4506 努乃宇倍能美也波 ののうへのみやは 野の上の宮は 右一首右中辨大伴宿祢家持
万葉集巻第二十 中臣清麿 短歌_4508 努敞波布久受乃 のへはふくずの 野辺延ふ葛の 右一首主人中臣清麿朝臣
万葉集巻第二十 甘南備伊香 短歌_4510 努敞美流其等尓 のへみるごとに 野辺見る毎に 右一首大藏大輔甘南備伊香眞人
古事記上巻 大国主~/沼河比売求婚 K2 佐怒都登理 さのつとり さ野つ鳥  
古事記中巻 神武天皇/皇后選定 K16 多加佐士怒袁 たかさじのを 高佐士野を  
古事記中巻 景行天皇/小碓命の東征 K25 佐賀牟能袁怒迩 さがむのをのに 相武の小野に  
古事記中巻 応神天皇/矢河枝比売 K42 加豆怒袁美礼婆 かづのをみれば 葛野を見れば  
古事記中巻 応神天皇/髮長比売 K44 怒毘流都美迩 のびるつみに 野蒜摘みに  
古事記下巻 履中天皇/墨江中王の反逆 K76 多遅比怒迩 たぢひのに 多遲比野に  
古事記下巻 雄略天皇/吉野 K98 美延斯怒能 みyeしのの み吉野の  
日本書紀巻第十 応神天皇六年春二月(乙未275年2月) N34 伽豆怒塢弥例麼 かづのをみれば 葛野を見れば  
日本書紀巻第十 応神天皇十三年秋九月中
(壬寅282年9月)
N35 怒珥比蘆菟?珥 のにひるつみに 野に蒜摘みに  
日本書紀巻第十 応神天皇三十一年秋八月
(庚申300年8月)
N41 訶羅怒烏 からのを 枯野を  
万葉集巻第十六 乞食者 長歌_3886 都久怒尓到 つくのにいたり 都久野に至り 有由縁并雑歌
古事記下巻 仁徳天皇/枯野という船 K75 加良奴袁 からのを 枯野を  
日本書紀巻第十四 雄略天皇十二年冬十月癸酉朔壬午
(戊申468年10月10日)
N78 伊制能奴能 いせののの 伊勢の野の  
日本書紀巻第十七 継体天皇七年九月(癸巳513年9月) N96 奴都等利 のつとり 野つ鳥  
日本書紀巻第二十七 天智天皇十年十二月(癸亥朔)癸酉
(671年12月11日)
N126 美曳之弩能 みyeしのの み吉野の  
日本書紀巻第二十七 天智天皇十年十二月(癸亥朔)癸酉
(671年12月11日)
N126 曳之弩能阿喩 yeしののあゆ 吉野の鮎  
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3352 須我能安良能尓 すがのあらのに 須賀の荒野に 東謌
万葉集巻第十八 大伴家持 長歌_4113 夏能能 なつののの 夏の野の 庭中花作歌一首并短謌
万葉集巻第十四 作者未詳 短歌_3405 可美都気乃 かみつけの 上つ毛野 東謌
那(な) 日本書紀巻第十七 継体天皇二十四年(庚戌530年是歳) N98 ト那能倭倶吾伊 けなのわくごい 毛野の若子い  

3、万葉仮名 各漢字の読み
 
努力(ゆめ) いかる やつこ ゆみ
古事記   1     18     11 41 1     9        
日本書紀 1 11 4 10 7   2 29 14 7 6 2 40   2 1 4
萬葉集 12 100   2 6 1   1 429       11 1 2    

 
13 112         4
12 31     1 2 41
484 8   6   2 60
1 4 1       4
510 155 1 6 1 4 109

努」を使った語彙一覧
ひらがな文 訓読文 原文/例数 原文/例数 原文/例数
あさの 浅野 N 阿娑努 2         努(の) 2
あの 安努(地名) M 安努 1 阿努 1     努(の) 2
あののきみひろしま 安努の君広嶋 M 安努君広嶋 1         努(の) 1
あへのくののあそみまろ 阿倍の久努の朝臣麻呂 N 阿倍久努朝臣麻呂 1         努(の) 1
いぬれ 寝ぬれ M 伊努礼 1         努(ぬ) 1
かのまづく かのまづく(?) M 可努麻豆久 1         努(の) 1
かみつけの 上つ毛野 M 可美都気努 9         努(の) 9
きの 来の M 伎努 2         努(の) 2
くののおみまろ 久努の臣麻呂 N 久努臣麻呂 2         努(の) 2
こせのあそみしたの 巨勢の朝臣辛檀努 N 巨勢朝臣辛檀努 1         努(の) 1
こやしぬれ 臥しぬれ M 許夜斯努礼 1         努(ぬ) 1
さのやま 佐野山 M 左努夜麻 1         努(の) 1
さはだなりの 多なりの(ナリヌの訛) M 佐波太奈利努 1         努(の) 1
しの 小竹 N 之努 1         努(の) 1
しのぎ 凌ぎ M 之努芸 3         努(の) 3
しのに しのに M 之努尓 6 思努尓 2     努(の) 8
しののに しののに M 之努努尓 1         努(の) 1
しのは 賞は、賞美は、偲は、慕は M 之努波 13 思努波 9 志努波 4 努(の) 26
しのは 賞は、賞美は、偲は、慕は M 思努播 2 斯努波 1     努(の) 3
しのひ 偲ひ M 之努比 5 思努比 2 思努妣 1 努(の) 8
しのひ 偲ひ M 斯努比 1 之努? 1     努(の) 2
じのひ 慕ひ M 自努比 1         努(の) 1
しのふ 賞美ふ、偲ふ M 思努布 2 之努布 1 師努布 1 努(の) 4
しもつけの 下つ毛野 M 志母都家努 1         努(の) 1
たくづの 栲綱 M 多久頭努 1         努(の) 1
たのし 楽し M 多努之 5 多努斯 1 多努志 1 努(の) 7
ちぬのおほきみ 智努の女王 M 智努女王 2         努(ぬ) 2
ちぬをとこ 血沼壮士 M 知努乎登古 1 陳努壮士 1     努(ぬ) 2
つの 都努(角)(地名) M 都努 1         努(の) 1
つののあそみうしかひ 都努の朝臣牛飼 N 都努朝臣牛飼 2 都努臣牛甘 1     努(の) 3
にの M 尓努 2         努(の) 2
N 1         努(ぬ) 1
ぬがなへ 流なへ M 努賀奈敞 1         努(ぬ) 1
M 9         努(の) 9
のじ M 努自 1         努(の) 1
ぶぜんのかみうののおびとをひと 豊前の守宇努の首男人 M 豊前守宇努首男人 2         努(の) 2
ふんやのちぬのまひと 文室の智努の真人 M 文室智努真人 1         努(ぬ) 1
みののおほきみ 弥努の王 N 弥努王 1         努(の) 1
みののむら 美努の村 K 美努村 1         努(の) 1
ゆきかてぬかも 行きかてぬ M 由伎加弖努 1         努(ぬ) 1
ゆめ 努力 N 努力 4         努(他) 4
よしの 吉野 M 与之努 2 余思努 1     努(の) 3
わすらyeぬかも 忘らyeぬかも M 和須良延努 1         努(ぬ) 1
わすれせぬかも 忘れせぬかも M 和須例勢努 1         努(ぬ) 1
わぬ わ(吾)ぬ M 和努 1         努(ぬ) 1

怒」を使った語彙一覧
ひらがな文 訓読文   原文/例数 原文/例数
weぬ 飢ぬ N 隈怒 1     怒(ぬ) 1
あさじのはら 浅小竹原 K 阿佐士怒波良 1     怒(の) 1
あたはぬ 与はぬ N 阿党播怒 1     怒(ぬ) 1
いから 怒ら N 1     怒(他) 1
いかり 怒り K 8 忿怒 3 怒(他) 11
N 24 忿怒 2 怒(他) 26
M 1     怒(他) 1
いかる 怒る N 1     怒(他) 1
いのひめ 伊怒比売 K 伊怒比売 1     怒(の) 1
かづの 葛野 N 伽豆怒 1     怒(の) 1
からの 枯野(船の名) N 訶羅怒 1     怒(の) 1
きこさぬ 聞こさぬ N 枳許瑳怒 1     怒(ぬ) 1
きぬ 来ぬ M 伎怒 2     怒(ぬ) 2
しのに しのに M 四怒尓 1     怒(の) 1
しのは 偲は K 斯怒波 1     怒(の) 1
しのひ 賞美ひ、偲ひ M 之怒比 2     怒(の) 2
しのふ 偲ふ M 志怒布 1 思怒布 1 怒(の) 2
ぬりしちけい 怒■斯致契
(百済人)
N 怒■斯致契 2     怒(ぬ) 2
たけび 建び M 建怒 1     怒(び) 1
たぢひの 多遲比野(地名) K 多遅比怒 1     怒(の) 1
ひらがな文 訓読文   原文/例数 原文/例数
たのし 楽し K 多怒斯 1     怒(の) 1
だのし 楽し K 陀怒斯 1     怒(の) 1
ちうほうのくまのり 中部久麻怒利
(城の名)
N 中部久麻怒利 1     怒(の) 1
ちぬ 茅渟(地名) N 智怒 1     怒(ぬ) 1
つくの 都久野(地名) M 都久怒 1     怒(の) 1
つぬがあらしと 都怒我阿羅斯等
(人の名)
N 都怒我阿羅斯等 3     怒(ぬ) 3
つの つの(蔓) N 菟怒 1     怒(の) 1
づの K 豆怒 2     怒(の) 2
つののいらつめ 都怒の郎女 K 都怒郎女 1     怒(の) 1
つのやまのおみ 都怒山の臣 K 都怒山臣 1     怒(の) 1
どり 取り N 怒■ 2     怒(ど) 2
K 5     怒(の) 5
N 1     怒(の) 1
のずりのむれ 怒受利の山 N 怒受利之山 1 受利山 1 怒(の) 2
ののいろひめ 怒の伊呂比売 K 怒能伊呂比売 1     怒(の) 1
ふつくむ 怒む N 1     怒(他) 1
ふのづののかみ 布怒豆怒の神 K 布怒豆怒神 1     怒(の) 1
みyeしの み吉野 K 美延斯怒 1     怒(の) 1
よぬ 余怒 N 余怒 1     怒(ぬ) 1
■…叶の十を利に換える。

奴」を使った語彙一覧
ひらがな文 訓読文   原文/例数
weぬ 飢ぬ K 恵奴 1 奴(ぬ)
あれぬ 荒れぬ M 安礼奴 1 奴(ぬ)
いたりぬ 至りぬ M 至奴 1 奴(ぬ)
いとはぬ 厭はぬ M 伊等波奴 1 奴(ぬ)
いぬ 去ぬ M 伊奴 2 奴(ぬ)
いはぬ 言はぬ M 伊波奴 1 奴(ぬ)
いましぬ 座しぬ M 座奴 1 奴(ぬ)
うせぬ 失せぬ M 消失奴 1 奴(ぬ)
おきぬ 置きぬ M 置奴 2 奴(ぬ)
おくれぬ 後れぬ M 於久礼奴 1 奴(ぬ)
かくさはぬ 隠さはぬ M 加久左波奴 1 奴(ぬ)
かくれぬ 隠れぬ M 可久礼奴 1 奴(ぬ)
かけぬ 掛けぬ M 可気奴 1 奴(ぬ)
かへらぬ 還らぬ M 可敞良奴 1 奴(ぬ)
かへりぬ 眷(帰)りぬ M 眷奴 1 奴(ぬ)
からぬ 猟らぬ M 可良奴 1 奴(ぬ)
きかぬ 聞かぬ M 伎可奴 1 奴(ぬ)
きたりぬ 来りぬ M 来奴 1 奴(ぬ)
きまさぬ 来まさぬ M 伎麻左奴 4 奴(ぬ)
くたちぬ 降ちぬ M 伊多久久多知奴 1 奴(ぬ)
けぬ 消ぬ M 気奴 1 奴(ぬ)
さかぬ 咲かぬ M 開奴 1 奴(ぬ)
さかりぬ 放りぬ M 放奴 1 奴(ぬ)
さしぬ 射しぬ M 刺奴 1 奴(ぬ)
さやぎぬ 騒ぎぬ K 佐夜芸奴 1 奴(ぬ)
さやりぬ 障りぬ M 佐夜利奴 1 奴(ぬ)
さらぬ 去らぬ M 左良奴 1 奴(ぬ)
さわきぬ 騒きぬ M 佐和伎奴 1 奴(ぬ)
しなぬ 死なぬ M 之奈奴 2 奴(ぬ)
しらyeぬ 知らyeぬ M 之良延奴 1 奴(ぬ)
しらけぬ 白らけぬ M 白斑奴 1 奴(ぬ)
しらしぬ 知らしぬ M 所知奴 2 奴(ぬ)
しりぬ 知りぬ K 斯理奴 1 奴(ぬ)
N 資利奴 1 奴(ぬ)
しわみぬ 皺みぬ M 皺奴 1 奴(ぬ)
せぬ 為ぬ M 世奴 1 奴(ぬ)
たたしぬ 立たしぬ M 立之奴 1 奴(ぬ)
たたぬ 立たぬ M 多多奴 1 奴(ぬ)
だちぬ 立ちぬ M 太知奴 1 奴(ぬ)
たばりぬ 賜りぬ M 多婆利奴 1 奴(ぬ)
たまはぬ 給はぬ M 多麻波奴 1 奴(ぬ)
たゆたひぬ たゆたひぬ M 絶多比奴 1 奴(ぬ)
だらぬ 足らぬ M 太良奴 2 奴(ぬ)
つきぬ 尽きぬ M 尽奴 1 奴(ぬ)
つもりぬ 積りぬ M 都母里奴 1 奴(ぬ)
でぬ 出ぬ M ?奴 1 奴(ぬ)
てらぬ 照らぬ M 照奴 1 奴(ぬ)
とはぬ 問はぬ M 等波奴 2 奴(ぬ)
どはぬ 問はぬ M 騰波奴 1 奴(ぬ)
とまらぬ 留らぬ M 登麻良奴 1 奴(ぬ)
とらyeぬ 取らyeぬ M 所取奴 1 奴(ぬ)
なへぬ な合ぬ M 奈弁奴 1 奴(ぬ)
なれぬ 穢れぬ M 奈礼奴 1 奴(ぬ)
にほひぬ にほひぬ M 尓保比奴 1 奴(ぬ)
ねぬ 寝ぬ M 宿奴 1 奴(ぬ)
はぬ 揆ぬ K 波奴 1 奴(ぬ)
ひきぬ 引きぬ M 引奴 1 奴(ぬ)
ふかぬ 吹かぬ M 布加奴 1 奴(ぬ)
ふけぬ 更けぬ M 布気奴 2 奴(ぬ)
ふりぬ 古りぬ M 布里奴 1 奴(ぬ)
まけぬ 設けぬ M 設奴 1 奴(ぬ)
ましぬ 座しぬ M 座奴 1 奴(ぬ)
まつろはぬ まつろはぬ K 麻都漏波奴 2 奴(ぬ)
まつろへぬ 服従へぬ M 麻都呂倍奴 1 奴(ぬ)
もyeぬ 燃yeぬ M 母要奴 1 奴(ぬ)
やせぬ 痩せぬ M 痩奴 2 奴(ぬ)
やまぬ 止まぬ M 夜麻奴 1 奴(ぬ)
ゆかぬ 行かぬ M 由加奴 1 奴(ぬ)
ゆきぬ 行きぬ M 去奴 1 奴(ぬ)
ゆひぬ 結ひぬ M 結奴 1 奴(ぬ)
よばひぬ 呼ばひぬ M 呼比奴 1 奴(ぬ)
わすらyeぬ 忘らyeぬ M 和須良延奴 1 奴(ぬ)
わすれせぬ 忘れせぬ M 忘世奴 1 奴(ぬ)
わたりぬ 渡りぬ M 渡奴 3 奴(ぬ)
をちぬ 変若ちぬ M 越知奴 1 奴(ぬ)
がくれぬる 隠れぬる M 我久礼奴流 1 奴(ぬ)
きぬる 着ぬる M 伎奴流 1 奴(ぬ)
みちぬる 満ぬる M 満奴流塩鹿 1 奴(ぬ)
やどりぬる 宿りぬる M 夜杼里奴流 1 奴(ぬ)
わかれぬる 別れぬる M 和可礼奴流 1 奴(ぬ)
ひらがな文 訓読文   原文/例数
? 舟公宣奴嶋(島)尓(?) M 舟公宣奴嶋尓 1 奴(他)
あれなこ 阿礼奴跪(人名) N 阿礼奴跪 1 奴(な)
いぬ M 伊奴 1 奴(ぬ)
おほくにぬし 大国主 K 淤富久迩奴斯 1 奴(ぬ)
おみづぬのかみ 淤美豆奴の神 K 淤美豆奴神 1 奴(ぬ)
がぬち 奇奴知(人名) N 奇奴知 1 奴(ぬ)
かぬまづく かぬまづく(?) M 可奴麻豆久 1 奴(ぬ)
かはらのはかせまなもんぬ 瓦博士麻奈文奴(人名) N 瓦博士麻奈文奴 1 奴(ぬ)
かほうかんそちもんしかんぬ 下部杆率■1斯干奴(人名) N 下部杆率■1斯干奴 1 奴(ぬ)
からの 枯野 K 加良奴 1 奴(の)
くwiとくしんぬ 季徳進奴(人名) N 季徳進奴 1 奴(ぬ)
くぬち 国内 M 久奴知 2 奴(ぬ)
くぬのみこ 久奴の王 K 久奴王 1 奴(ぬ)
こぬみのはま 許奴美の浜に M 許奴美乃浜尓 1 奴(ぬ)
ささなこ 沙沙奴跪(人名) N 沙沙奴跪 1 奴(な)
しぬへ 偲へ M 之奴敞 1 奴(ぬ)
しの N 斯奴 1 奴(の)
じやうはうかふはいまな 城方甲背昧奴(人名) N 城方甲背昧奴 1 奴(な)
しらきのさびきぬye 新羅の沙鼻岐奴江(城の名) N 取新羅沙鼻岐奴江 1 奴(ぬ)
せとくしなのししゆ 施徳斯那奴次酒(人名) N 施徳斯那奴次酒 1 奴(の)
ちぬのうみ 血沼の海 M 陳奴乃海 1 奴(ぬ)
ちぬのおほきみ 智奴の王 M 智奴王 1 奴(ぬ)
ちぬのみこ 智奴の王 K 智奴王 1 奴(ぬ)
つかひびと 奴婢 N 奴婢 1 奴(他)
つぬが 角鹿 K 都奴賀 1 奴(ぬ)
つぬがのかに 角鹿の蟹 K 都奴賀能迦迩 1 奴(ぬ)
つぬのおみ 都奴の臣 K 都奴臣 1 奴(ぬ)
つの つの(蔓) N 都奴 1 奴(の)
つのさしのみや 角刺の宮 N 都奴娑之能瀰野 1 奴(の)
K 2 奴(ぬ)
M 1 奴(ぬ)
M 2 奴(ぬ)
ぬye ■2 K 奴延 1 奴(ぬ)
ぬyeくさ ぬye草 K 奴延久佐 1 奴(ぬ)
ぬyeことり ■2子鳥 M 奴要子鳥 1 奴(ぬ)
ぬか 貫か M 奴香 1 奴(ぬ)
ぬがなへ 流なへ M 奴我奈敞 1 奴(ぬ)
ぬく 貫く M 奴久 7 奴(ぬ)
ぬさ ぬさ K 奴佐 1 奴(ぬ)
ぬし M 奴之 1 奴(ぬ)
ぬすくり 奴須久利(人名) N 奴須久利 2 奴(ぬ)
ぬすみ 盗み K 奴須美 1 奴(ぬ)
ぬて K 奴弖 1 奴(ぬ)
N 奴底 1 奴(ぬ)
ぬてださ 奴■3大舎(人名) N 奴■3大舎 1 奴(ぬ)
ぬな ■4 K 奴那 1 奴(ぬ)
N 奴那 1 奴(ぬ)
ぬなとももゆらに ■5■5乎 N 奴儺等母母由羅尓 1 奴(ぬ)
ぬはむ 縫はむ M 奴波牟 1 奴(ぬ)
ぬへる 縫へる M 奴敞流 1 奴(ぬ)
ぬま K 奴摩 1 奴(ぬ)
M 奴麻 5 奴(ぬ)
ぬらく 寝らく M 奴良久 2 奴(ぬ)
ぬらし 濡らし M 奴良之 1 奴(ぬ)
ぬらる 罵らる M 奴良留 2 奴(ぬ)
ぬり 塗り M 奴里 1 奴(ぬ)
ぬりのみ 奴理能美(人名) K 奴理能美 5 奴(ぬ)
ぬる 寝る M 奴流 10 奴(ぬ)
ぬるき 奴流枳(人名) N 奴流枳 1 奴(ぬ)
ぬれ 緩れ M 奴礼 1 奴(ぬ)
ぬれ 寝れ M 奴礼 5 奴(ぬ)
N 2 奴(の)
はやみかのたけさはやぢぬみのかみ 速甕の多気佐波夜遅奴美の神 K 速甕之多気佐波夜遅奴美神 1 奴(ぬ)
ふはのもぢくぬすぬのかみ 布波の母遅久奴須奴の神 K 布波能母遅久奴須奴神 1 奴(ぬ)
ほしかてぬ 乾しかてぬ(古来難訓) M 干可太奴 1 奴(ぬ)
まぬのみこ 麻奴の王 K 麻奴王 1 奴(ぬ)
みぬめ 敏馬(地名) M 美奴面 1 奴(ぬ)
やしまじぬみのかみ 八嶋士奴美の神 K 八嶋士奴美神 3 奴(ぬ)
やつこ K 9 奴(他)
やつこ M 7 奴(他)
やつこ、をのこやつこ N 39 奴(他)
やまとのしなのあひた 日本の斯那奴阿比多(人名) N 日本斯那奴阿比多 1 奴(の)
よぬ 余奴(人名) N 余奴 1 奴(ぬ)
わかぬけのみこ 和訶奴気の王 K 和訶奴気王 1 奴(ぬ)
わけ 戯奴 M 戯奴 2 奴(他)
わぬ M 和奴 2 奴(ぬ)
をち をち(遠方→以上) M 乎知 1 奴(他)
かへらひぬれ 還らひぬれ M 還比奴礼 1 奴(ぬ)
さまよひぬれ さまよひぬれ M 佐麻欲比奴礼 1 奴(ぬ)
さりぬれ 去りぬれ M 去奴礼 1 奴(ぬ)
■1…汗の干を文に換える。 ■2…鳩の九を空に換える。 ■3…低のイ無し。 ■4…草の早を傅のイ無しに換える。 ■5…鎗の金を王に換える。

弩」を使った語彙一覧
ひらがな文 訓読文   原文/例数
yeしの 吉野 N 曳之弩 2 弩(の)
いづも 出雲 N 伊弩毛 1 弩(づ)
しのぎ 凌ぎ M 師弩芸 1 弩(の)
しのは 偲は M 師弩波 1 弩(の)
ちぬ 血沼 M 智弩 1 弩(ぬ)
ゆみ N 4 弩(他)

4、岩波書店 『日本書紀上』の補注によれば

豊斟渟尊
トヨは、もと擬音語。
鳴りとよむ音を疑した語。
後に転じて稲の収穫の豊富なことを形容する語。
斟は、酒などをつぐ意。
クムと訓む。
クミとも訓める文字。
渟は沼の意。
ヌと訓む。
もともと古代日本語では、a ・ o ・ u の三音は、後舌母音として互いに結合しやすい音であり、また、語を形成する際に交替しやすい音である。
ことに o と u とは交替しやすい(たとえば、足結をアヨヒ ・ アユヒ。石上をイソノカミ ・ イスノカミなど)。
それと別に m と b とも交替しやすい音である。
また、日本語のハ行子音は、奈良時代には両唇音の F であったが、更に古くは P の時代があったと推定されるので、ハ行子音 F は、バ行子音 b またはマ行子音 m と交替する可能性が大きい。
以下、豊( toyo )という形を便宜上省いて説明すると、まず、kumunu (斟渟)は kumono (雲野)という古事記の形の交替形であり、kumuno (組野)もまた kumono の交替形である。
この語は、混沌浮漂の状態を示す語と見られ、古事記の 「 豊雲野 」 という表記が、最もよくその中心的な意味を示すものと考えられる。 ・・・以下略。

 万葉仮名一覧は岩波書店 日本古典文学大系『古事記祝詞』・『「日本書記上』・『「日本書記下』・『萬葉集一』・『萬葉集二』・『萬葉集三』・『萬葉集四』を底本としています。
底本では、下表以外の野は「の」とルビを打っているので、万葉仮名一覧もまた底本に従い下表以外の野は「の」としました。

通し番号 見出し 検索用原文 ひらがな文 訓読文 1 2 3 4 5 6
K4486 古事記中巻 孝元天皇 江野財臣之祖 yeぬまのおみのおや 江野財の臣の祖
(財(マ)は間の間違い説)
ye まの おみ おや

通し番号 作者 巻_類_番号 句番 検索用原文 ひらがな文 訓読文 1 2 3 4 5 6 7
M32720 万葉集巻第十七 大伴家持 17_長歌_3978 _14/65 夜麻古要奴由伎 やまこyeぬゆき 山越ye野行き ye
M37921 万葉集巻第二十 大田部足人 20_短歌_4387 _1/5 知波乃奴乃 ちばのぬの 千葉の野の        



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