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ごたく

■ 清水寺の大舞台   2005.6.30

好んで倒木や枯れ木を描いている知人が「木は死ぬ前が1番美しい」といつも言っています

ひょんな事で京都の清水寺の舞台、踏板を手に入れました。昭和23年造営の焼印があり、

小生の生まれた年なり。板の状態は半分が焼けた状態で思わしくありませんでした。

しかし多くの参拝客の足で磨り減った厚さ約70mmの板は古い歴史を感じさせます。

サンダ―とペーパーできれいにしたのは言うまでもありません。木材はしたたかです。

60年弱の年月を経てもりっぱに強度を維持しております。小生の拙作を並べさせていただくには

申しわけないなと思いつつ酔侯廬ギャラリーのディスプレイに使わせていただきました。

永年の時を過ごしてきたものは独特の重みがあります。それを使う人に無限の想像力を

喚起させる力が潜んでいるのでしょう。小生の力作?が少々若く観えるのはお許しを願いたい。

しかし人間も死ぬ前が最も美しく見える、そうありたいものです。





■ 「山帰来」のしごと  2004.12.1

蕎麦打ちに魅せられた知人から器を頼まれたのは今年の始めです。

今までに蕎麦猪口は我流で創ってはいましたが、営業用は初仕事。

日本固有の文化とも言える蕎麦打ちの世界はシンプルであるがゆえに

奥が深いといえます。蕎麦の栽培、挽き方、打ち方、切り方、それに水の良し悪し、

辛汁の味など、そのこだわりは数え上げればきりがないほど。さらにいただく側にも作法が

要求されます。最近知ったのですが、江戸っ子は蕎麦を「手繰る」というのだそうです。

風味と喉越し、キレがあるかないか、なかなか難しいものです。ところで蕎麦屋で飲むお酒も

おつなもの、茹であがりを待つ間のいっぱいはこたえられません。

今回の蕎麦皿でのこだわりは水切れです。少し荒めの土を備長炭で硬く焼締めてみると

これがなかなか良い。竹すのこを敷かずにうまく水を吸ってくれました。土肌の感触も

十割蕎麦にあい、亭主は大満足。蕎麦猪口は抑えた色味の鉄絵粉引き、酒器は

少し形を遊んでみました。ただいま温蕎麦用のどんぶりを製作中。

蕎麦屋「山帰来」は奈良飛鳥寺のすぐ前、ぜひお立ち寄りください。

特に十割の風味、キレ、本物です。

「山帰来」
奈良県高市群明日香村飛鳥66-1 飛鳥寺東側
TEL 0744-54-3218
営業日 木、金、土、日曜日及び祝祭日
営業時間 11:30〜14:30

炭化焼締め蕎麦皿と
一合徳利、鉄絵粉引き
蕎麦猪口



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■ 磁器製ポケット瓶

上着のポケットにウイスキーを持ち歩いている御仁など最近めったに見かけません。

しかし昔の映画には三つ揃いを着た紳士が内ポケットからやおら金属製のポケット瓶を

取り出し、クッといっぱい引っかけるシーンなどあったように思います。これは最近入手しました

珍しい磁器製のポケット瓶、正面に「Daikoku wine drewing co.,ltd tokyo nippon」と

読み取れます。調べてみますと大黒葡萄酒鰍ニは明治25年創業であり、メルシャンの前身、

この会社がウイスキーを造り始めたのが昭和27年だそうです。この瓶は高さが12cm程度、

1合入るかどうかの小さなものです。これにワインを入れて持ち歩くのはいささか不自然。

当時まだ高価だったウイスキーを入れるノベルティーグッズとして作られたのかもしれません。

本体とふたにはネジが切ってあり、開閉時の磁器がこすれる音はどうにもいただけません。

またこの小さな口から酒を注ぐのにはちょっとした技術を要します。しかし、青磁の色合いも良く

当時の製陶技術の一旦を垣間見える一品だと思います。

早速、紅葉見物のお供にお気に入りのスコッチを詰めて出かけたいものです。

展示台に使用