夏休み 
          〜ハリー〜 
         夏休みまで後一月足らずという頃、シリウスから届いた手紙に良ければ自分の所へ来ないかとの内容が書かれてあった。勿論考えるまでも無く僕はその招待を受けた。僕は今年も最悪な休みを過ごすものだと諦めていたから・・・。 
        ただ手紙にシリウスの居場所を書く事が出来ないのでヘドウィグに道案内をしてもらわなければならなかった。だけど、そんな事はあのダーズリー一家の元で過ごすことを思えば何の問題でも無い。 
        僕はプレゼントされたファイヤーボルトに跨り(学校には内緒で)形見のマントで姿を消してヘドウィグの案内でシリウスの元へと向かった。 
        確か前にもらった手紙には人の住まない小さな島で地図にすら載っていないと書かれて有ったと思う。 
        最近のシリウスからの手紙では一緒に暮らす約束を交わした時に見せたアノ笑顔を思わせるような明るさを感じられるようになっていたので久しぶりに会うのが楽しみだった。 
        僕は両親との思い出がほとんど無いのでシリウスに当時の父や母の事も聞けるだろうと、休みが来るのを今か今かと指折り数えていた。 
        「良く来たねハリー!しばらく会わない内にずいぶん背が伸びて、ますますお父さんに似てきたね」 
        夕方頃に着いた僕をシリウスはとても嬉しそうに両手を広げて歓迎してくれた。今までにこんな風に歓迎された事があまり無かったので、とてもくすぐったく感じた。 
        久しぶりに会うシリウスは髪を伸ばし(不精?)顔色もずいぶん良くなっていた。全体的に明るくそして痩せ過ぎた体に程よい程度に肉が付いたみたいだった。それでも細い事に変わりは無かったのだけど。 
        初めて見たシリウスの家は簡素な造りだった。でも周りが自然に恵まれたジャングルの様な所なのでとてもしっくりと溶け込んでいた。(逃亡の身では目立つのは厳禁だ)おまけに一番良い部屋を僕専用の部屋として用意してあり僕は尚いっそう嬉しくなった。 
        用意された数多くの手料理はとてもおいしく、色々な話をしながらの夕食は、学校で過ごす夕食とは少し違っていた。二人だけの食事だからだろうか? 
         会話を楽しんでいるうちに夜はあっという間に深けシリウスにお風呂を勧められるまま使い、シリウスもその後に続いた。 
        そして僕は自分の感情の変化に驚いた。今までに感じた事の無い感情を抱いたのだ。 
        それはお風呂から戻ったシリウスを見た時だった。お風呂あがりのシリウスはほんのり桜色に染まり濡れた髪がつややかで妙に僕を刺激した。 
        僕は戸惑いきっと疲れているのだと思い先に休ませてもらう事にした。 
        次の日、目覚めてダイニングへ行くと朝食を用意してシリウスが待っていた。 
        「おはようハリー良く眠れたかい?」 
        木漏れ日からのやさしい朝の光に包まれたシリウスはうっとりするほどの微笑を浮かべ僕を迎えた。 
        僕はぐっすり休んだにもかかわらず昨夜感じた感情をまたも抱いてしまった。 
        どうしてもシリウスに触れたくて、そして・・・。 
        僕はどこかおかしくなってしまったようだ。こんな感情は変だと思うのにどうすることも出来なかったのだから。 
        それなのにシリウスはそんな僕の感情には気付かずに(勿論気付かれても困るのだけど)僕の頬へモーニングキスを送った。 
        僕は気が付いたら唇へとモーニングキスを返していた。普通はしない。 
        シリウスは少し驚き、頬を色付かせて、はにかんだ表情を見せながらも 
        「さぁ料理が冷めないうちに食べてくれ」 
        と朝食を薦めた。 
        そして食事が終わるとシリウスは島を案内してくれた。 
         太陽は沈み月が姿をあらわし、また夜がきた。僕の心は普通ではない感情を抱いたままだった。 
        夕食を終え寛いでいる時もシリウスと目を合わせられなかった僕に 
        「どうしたんだい?やはり僕と二人ではつまらないかい?」 
        とシリウスは少し表情を悲しませて云った。 
        勿論僕としてはシリウスにそんな顔をさせたくなかったので、慌てて否定した。 
        「そんな事無いよ!ただ・・・」 
        僕はどう説明して良いのか判らず言葉を濁した。 
        シリウスは不思議そうに 
        「ただ何だい?」 
        と無邪気に顔を寄せ尋ねてきた。その表情に僕は赤くなり固まってしまった。 
        僕はどうして良いのか判らない自分の感情を仕方が無いので有るがまま伝えた。 
        「シリウスを見ていると何故か触れたくて、それから・・・。おかしいよね?こんなのって」 
        最後にはシリウスの顔が見られずに下を向いてしまった僕にシリウスは 
        「・・・良いよ」 
        と小さな声で答えてくれた。 
        その言葉を聞き僕は、シリウスに触れそっと抱きしめた。 
        だけど僕はシリウスの体温と微かな体臭に、それだけに留まらず直接シリウスに触れたくなっていた。 
        僕は無言のまま組み敷き唇でシリウスのそれへ触れ、そしてシリウスの服のボタンをはずしていった。 
        勿論シリウスは顔を真っ赤に染め抵抗した。僕は抱きしめている腕により一層力を込めた。長い牢獄生活の為かシリウスの筋力は衰えていたようだ。もしくは僕の筋力の方が上だったのかもしれない。満月の夜にはあれほどの力を誇っていたのに。 
        そしてとうとう現れたシリウスの肌は甘い香りを漂わせ、とても美しいかった。 
        僕は知らずのどを鳴らし、その細い骨が浮き出た鎖骨の辺りへ唇で触れた。 
        「・・・っふ・・んっ・・・」 
        微かな声が聞こえた。僕はもっとその少し掠れた甘い声が聞きたくて無我夢中であちこちへと触れた。手で唇でそして味わうように舌で・・・。 
        抱きしめている腕の力を抜いてもシリウスは抵抗をしなくなっていた。無我夢中で気付かなかったが不思議に思い顔をのぞき見て見るとシリウスの目は少し潤んで困ったような顔をしていた。 
        その顔を見て僕は今自分がしてしまった事に気付き、慌てて身体をシリウスから離し 
        「ゴッッッゴメン!シリウス。・・・っえ?」 
        謝りながら離れる僕の身体をシリウスは眼鏡を外し横へよけると両手で抱き寄せ耳元で 
        「良いんだよハリー。こんな私で良ければ・・・」 
        シリウスは僕の肩へ顔を沈めて掠れた甘い声で言った・・・。 
        〜シリウス〜 
         定期的にハリーへ出している手紙へ私は淡い期待と微かな不安を感じながらも思い切って自分の所へ招待する内容を書いた。今だ隠れて過ごさねばならない私には共に暮らすとの約束を果たせず、そして今までに何もしてあげられなかった分を埋め合わせたい気持ちもあったからだった。 
        部屋中をくまなく掃除してどんなものが好きなのかを想像しながらの準備はとても楽しい時間だった。休みと同時に訪れてくれるとの返事をもらってからは毎日が充実していた。 
         そして久しぶりに会うハリーは私の大切な友人でもある彼の父親ジェームズによりいっそう似てきていた。 
        まるで私は学生の頃へ戻ったようにはしゃいでいた。 
        ハリーは私の用意した料理も部屋も大変気に入ってくれたようだ。頑張って用意したかいがあるというものだ。 
        しかし夜も深け風呂から戻ると少しハリーの様子がおかしかった。本人は疲れたので先に休むといって部屋へと行ったのだが・・・。 
         次の日もやはり様子がおかしい。朝食の時も島を案内している時もどこか心此処に在らずといった風情だ。やはり私のような者と一緒にいるのは苦痛なのかもしれない。 
        私は意を決して聞いてみることにした。 
        驚く答えが返ってきた。本人には自覚が無いようだがハリーは私に・・・。 
        少しも嫌ではなかった。他の者なら嫌悪を感じたであろうそれは、私が待ち望んでいたものだったのかも知れない。ハリーの言葉を聞いて私はとても嬉しかったのだから。いい年をして私はいったい何をしているのだか。しかし本当にこの感情は彼に感じたものなのか?それとも友人へと一時感じていた感情なのか私には判らなかった。 
        そしてハリーも・・・。 
        もしかすると私へのその感情は両親へと求めるはずであったモノとを勘違いしているのかもしれない。 
        いや考えてはいけない何も・・・。ハリーの望むままを与えよう。今まで何もしてやれなかったのだから。私に出来るだけの事をモノを・・・。いつかハリーがこの事で苦しむことがあったなら私が全てを担えば良いのだから。 
        「・・・良いよ」 
        私はハリーを誘った。ハリーの為には拒否すべきだと心の隅で思いながらも・・・。 
        ハリーは腹を空かせた赤子が母の乳を欲するかのように無我夢中といった様子で私へと触れてきた。私の心は甘い陶酔と微かな罪悪感で満たされていた。形ばかりの抵抗だけをしながらも・・・。 
        しかしそんな私の心を映したであろう表情を見たハリーが慌てて私から離れようとした時とっさに身体が動いていた。私はハリーを手放す気など全く無かった。ハリーが私から離れる事が我慢ならない。いっそのことハリーを・・・。例え恨まれるようになっても今は手放してなどやれなかった。友の身代わりにしているのかもしれない。私自身が答えを見つけていないのに。そしておそらくハリー自身も・・・。 
        この様な醜い私をなるべく見られないようにハリーの眼鏡を外し脇へよけると両手でハリーをその幼さの残る体を引き寄せ行為の先を促した。私が見えないようにそして誰ともなく心の中で詫びながら・・・。 
          〜ハリー〜 
         結局、僕は休みが終わるまでずっとシリウスを手放すことが出来なかった。朝であろうと昼であろうと関係なく求めた。シリウスは抵抗もせず求めるままに応えてくれた。ただ行為に及ぶ時は恥ずかしいからと必ず僕の眼鏡を外させた。 
        困惑を瞳に映し、僕を見つめて、いや僕の向こうに誰かを求めながら・・・。 
        シリウスが時折語る父や母。 
        父を語るシリウスの表情。母を語る表情。 
        シリウスは気付いていないのだろうか?父を語るシリウスは誇らしげにそして愛しげにしている事を。母を語る時には深い思いをその瞳に映している事を・・・。 
        もしかするとシリウスは父を・・・もしくは母を愛していたのだろうか?恋情を持って・・・。 
        僕はその身代わりなのか?シリウスから両親の事を聞きたかったはずなのに何の興味も無くなってしまった。シリウスが両親を語る時の表情が僕に対して見せた事のない満ち足りた思いを漂わせていたから・・・。 
         だけど二人はもうこの世にはいない。絶対にシリウスの全てを僕のモノにしてみせる!いや僕無しでは生きていけないように・・・。 
        僕は密かに両親へ感謝した。もちろん名前を云ってはいけないアノ人にも。 
        僕は両親、特に父に似ているらしい。そしてシリウスとは名付け親という切れない関係だ。 
        時間はたっぷりとある。 
        全てを僕のいや俺のモノにしてみせる。 
        俺は密かに微笑んだ。 
        まずは終 
        とっても稚拙な文章ですまないです(>_<)こんなの嫌ぁ〜って方はゴメンよ! 
        おまけに人物像をきちんと把握していないので何だかぼやけてます(涙) 
        どうやら物語的には続くらしいのですが(?)どうしよう(自爆) 
         
         |