京都府八幡市 今西美奈子さんから届けられています。 どうぞご愛読のほどお願いします。


やわただより No.12

2006年7月1日

先月末、八幡市内のある中学1年生5クラス、160人ほどの生徒さんに、福祉学習の一環として、 「目に見えないバリアについて」ということで障害者の暮らしについて 話す機会がありました。

バリアとは壁とか大きな川とか行く手を阻むものをそう言いますが、車椅子や杖などを使う 肢体障害者には、駅の階段、電車やバスのステップ、建物の出入り口の段差、車道と歩道の 段差などが日常生活の中での大きなバリアであり、目の不自由な視覚障害者にとっては 道路や駅構内を歩く時の大事な道案内である点字ブロックの上に、自転車や物が無造作に置かれ ている事などは事故につながりかねないバリアである事、そのバリアを解消する為に エレベーターやスロープを設置したり、低床バスを走らせたりして、誰もが生活の上で困らない ようにする事がバリアフリーの社会にするという事、そして階段や坂道、点字ブロック上の 自転車などは目に見えるバリアだけれども、目に見えないバリアとは?と言うと、いじめや差別 ではないだろうか、と話しました。

私が小学校に入る年齢になった60年ほど前の日本には就学猶予という制度があって、障害児は 学校に来なくてもよろしい、勉強しなくていいよ、と言う時代だったのですが、それは大きな 差別だったわけです。今の日本には勿論そんな制度はありません。

また差別は健常者と障害者の間だけではなく、肌色で差別する人種差別があり、男と女、 老人と若者、又生まれた地域などによる差別もあります。

人間はみんな同じ空気を吸い、同じ重さの命を持ち、幸せに生きる権利を持つと言う意識を 全ての人が持てば差別はなくなるでしょうが、それは言うはたやすく実現はなかなか難しい事 ではありますが、共生を目指して皆さんたちも共に協力を、とお願いしました。

障害者と一口に言っても、先にあげた肢体障害者、視覚障害者の他に、耳の不自由な聴覚障害者 や知的障害者、精神障害者の方々もおられ、それぞれに合った支援を受けながら一市民として 生活できるよう頑張って居られることなどを話し、最後に「今、みんなの命輝け第九合唱団」と いう障害者、健常者共に「友よ、苦しみ、悲しみをのりこえて、共に手を取り合って喜びの歌を 歌おう」と歌うベートーベンの「第九交響曲」を6年前にニューヨークのカーネギーホールで 開催したコンサートの時のビデオの第4楽章、合唱部分だけを観て聴いて貰いました。

その中で一部分ですが、知的障害の人たちが小太鼓で共演しているところ、手話隊という グループが体全体を使って美しい手話で合唱の意味を表現しているところを観て貰いたかった からです。

生徒さんたちには静かに話を聴き、ビデオを楽しんで貰えたようでした。

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八幡の夏を告げる高良神社の「太鼓まつり」が15日から始まり、各地区の氏子が太鼓みこしを 担いで「ヨッサー、ヨッサー」と市内を練り歩きます。いよいよ夏本番です。

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勝手に立てていた、1年間は続けようと言う目標を達成?して、12を作れました。

ワードの使い方、写真の取り込み方や送信の仕方、(今回は適当な写真がなく残念でしたが) レイアウトの方法などいろいろ教えて頂いたり、また感想を寄せて下さったり、 嬉しゅうございました。もっと勉強したいと思いますが一応「やわただより」は終らせて 頂きます。


やわただより No.11

2006年6月10日

近畿も梅雨に入りました。少し発行が遅くなってしまいました。

「広報やわた」の6月号に、糖尿病が原因で視力を失い、毎朝のインスリン注射が欠かせない 女性のために、市内のボランティアグループ「やまびこ自助具の会」のメンバーが、 人手を借りないで自分で注射が出来る自助具を考案し、女性に喜ばれているという記事が 掲載されています。

その自助具は木製で高さ3.5センチ、奥行き12センチ、横14.5センチで、 半円に彫られた溝があり、溝の先端部に注射針をおいた後、インスリンが入ったカートリッジ式 の容器を溝にはめてねじると、注射針の脱着が安全に出来るという仕組みで、カートリッジを 入れる補助具に目盛りのストッパーを付けて、注射液の量の確認が出来るようにもなっている そうです。

女性は娘さんの手を借りて注射をしていたそうですが、これで一人でも出来ると 嬉しそうな笑顔の写真も載せられています。

今、全国に650万人の糖尿病患者が居るそうですが、糖尿病という病気は、体を動かすエネルギー 源となるブドウ糖がうまく血液の流れに乗って筋肉や細胞に運ばれなくなり、血液中にあふれて しまう病気で、それが血糖値が上がるということです。

それを下げて上手くコントロールするホルモンがインスリンです。 インスリンは膵臓で作られて体内に送られるものですが、 β細胞というインスリンを作る細胞が破壊されたりして出る量が少なくなったり、筋肉や肝臓 の方の細胞がインスリン作用を上手く受け入れない、また、遺伝子の異常や肝臓、膵臓などの 病気、あるいは薬剤が原因であったり、様々なケースがあります。

食事や運動などに気をつけて、上記の女性のようにインスリン注射をしつつ、 普通の生活が出来れば喜ばしい事と思います。

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八幡市身体障害者協会では、きたる7月28日(金)福祉商工会館2階において、 講師に谷口明広氏を迎え、「共に生きる社会を目指して」と題し講演会を開催します。 参加費は無料。どなたでもご参加いただけます。 一人でも多くのご参加をお待ち致します。

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11月23日(祝)に北区の京都コンサートホールで開催される「今、みんなの命輝け第九 コンサート」に6年ぶりに参加しようと、先月から始まった練習に行っています。

1993年に第1回コンサートが多くの方々の協力を得て、八幡市文化センターで開催され、 感動の大成功を収めて以来、西京極体育館での1200人の大合唱、京都コンサートホール、 ニューヨーク公演と参加してきましたが、体調不良などでその後は客席専門でいました。

今年は教室が樟葉公民館に設けられたのでおそるおそる参加してみましたが、案の定回転の 鈍った頭と舌で従いて行くのに必死のパッチ、ドイツ語のら行のべらんめー調巻き舌が出来 ません。

ストップしていると、だれかお休みしている人がいますね、といっぺんにばれて しまいます。でも、発声練習をして、何とか集中して声を出すのって本当に楽しい。よし、 まだ時間はあるぞ、挫折はしないぞ、と老骨に鞭を打っています。





やわただより No.10

2006年5月1日

その2、3日前から少し変な感じはあったのですが、先月24日、月曜日の夜から熱が 出始めて7、8度台が2日続きました。木曜には平熱に戻りましたが鼻の奥から頭の芯に かけて重い感じがあり、咳が止まらずのども痛くて完璧に風邪でした。

何年も風邪知らずで、太極拳を始めて良かったことは?と訊かれるたびに、風邪を引かなく なりました、と大いばりで答えていた身としては、困ったことになってしまいましたが、 今年の春のめちゃくちゃ不順な気候が悪い、と気候の所為にして、離れて行ってくれるまで 風邪と付き合うことにしました。

この10の作成もそうですが、4月中に済ませたかったことのひとつに北海道の友人にたけ のこを送ることがありました。それもやっと今日注文したところです。毎年送ってもらっている 信頼できる八百屋さんなので電話で頼みましたが、近所にもおすそ分けをしてみんなで京都の 春の香りを戴いています、といつも喜んでくれる友人を思い浮かべて、送れて良かった、 とほっとしました。早くしないとそのうち向こうからアスパラが届いて北の大地の初夏の香り を先に戴くところでした。

それにしても今年の風邪は長引くのが特徴だそうですが、ぐずぐずと体調の悪い日が続くと ずっと前の嫌な体験などまで思い出して、改めて気分が悪くなるなどろくなことはありません。 健康には常に気をつけなければと思い知った次第です。

今、重い病気と闘っておられる方々も心身ともにどんなにしんどいことでしょう。 一日も早く快方に向かわれるようにと祈らずにはおれません。

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4月、5月はいろいろな会の総会が開催されたり、新しく発足したり、土、日はそれらの日程で 詰まることが多いのですが、まごころ総会が開かれる13、14日には、京都高野の障害者スポーツ センターで「全国障害者シンクロナイズドスイミング・フェスティバル」が華々しく開かれる 予定で、今年は始めて海外からの参加としてカナダチームを迎えます。

私も16、7年前までは京都チーム「こすもす」の1員として参加していましたが、もうその 元気はありません。もう泳げないのでは、と思っていましたが、2月に台湾のリゾート地の 温水プールで試してみましたら、何とか泳ぐことは泳げました、おぼれずに・・。

同じ14日に、今年11月に北のコンサートホールで開催される「命の第九コンサート」 (障害者も共に歌う第九)の練習が私方に近い樟葉ででも1会場借りて始まります。 どなたでも参加できますので、一人でも多くの参加が得られればと思います。

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会員のページに畔岡さんが明日香石舞台のきれいな桜の写真を投稿されていますね。 以前にも他の場所のみごとなしだれ桜の写真を見せて下さいました。 散策できる範囲のお近くで素晴らしいお花見が出来て羨ましいです。

八幡にも背割り堤の桜や、東一口(ひがしいもあらい)のみごとな桜がありますが、 今年は通りすがりに目にしたくらいで、春が来た!と心躍らせる雰囲気が感じられない あやふやなまま初夏を迎えそうです。

4月には城之崎へ、5月に総会が済むや愛知万博へ走った去年は元気やったなぁ、と やけに歳をとった気分でいる今年の端午の節句ではあります。




やわただより No.9

2006年4月1日

各地に在る名刹の老師の筆による季節にふさわしい書が書かれたカレンダーを毎年戴く のですが、この四月のには鎌倉円覚寺派管長、足立大進老師が「花も美しい、 月も美しい、それに気づく心が美しい」と優しいあたたかい字で書かれています。

争いや災いの多い今日を生きる人に屹立する警句。幸福を存分に受け止めるゆとりある 大きな心の器が必要である。心が開いている時、世界は美しい、という意味です。

他人の喜びを共に喜び、悲しみを共に悲しむ心、他人の痛みを想い、苦しみを知る 想像力、そういう強さ、広さ、優しさを年齢を重ねるほどに持ちたいものと思いつつ、 なかなかそうは行かないのが凡人の哀しさ、なんでやねん、などとちょっとおなかを 縦にしたりすること多き日々ではあります。おなかさん、ねんねんころりよ、 おころりよ♪♪

桜前線が日本列島を北上中というのに、寒が行きつ戻りつ雪まで散らつかせて、 一度仕舞った厚手のセーターをまた引っ張り出しています。 滋賀の湖東に住む友人が家から少し北への小旅行にそなえてスタッドレスタイヤを 脱いだところへ再び辺りは真っ白、頭も真っ白になったとかならなかったとか、 どうか雪が止んでいてくれますように、寒の戻りに負けずに少しでも桜が咲いていま すように、そしてバリアフリーの家族風呂が新設されたというホテルの一泊を、 仲良しのお友達たちと存分に楽しまれますようにと祈ります。

花便りに背を向けて、少し重い心でいます。 一昨年、昨年、今年と三年続けて従兄二人とお世話になっている方の弟さんが癌で他界、 共に七十代、共に少し難しい場所の腫瘍でした。そこへ中学時代の恩師が昨秋やはり 難しい場所に腫瘍が見つかって、八時間半に及ぶ大手術を受けられたとの報が入り、 日ごろ頑健を誇って居られただけに大変驚いた次第です。

でも、年初めからリハビリ開始、仕事再開に向けて頑張っておられる様子に、 あまり無理をされないようにと祈りつつ快復を願っているところです。

がんは恐れるに及ばず、この辺で少し休みなさいという体からのサインだともききます。 今、癌と闘っておられる方々に、上手に付き合って賢明に長生きして欲しいと祈ります。

「花筏(はないかだ)」という美しい言葉をご存知ですか? 「花の雨」という名の和菓子を紹介する文章がとてもきれいで心に残ったのですが、 桜の花びらがはらはらと雪のように散る時期にのみ店頭に並べられるそうで、 そのタイミングをつかむのが難しく、年によっては逸することもあるとか、 お菓子作りも繊細な感覚が生きるのですね。

桜は雨に散ると川に流れ、あやなす「花筏」となる、物狂おしい妖しさ。 (ね?きれいでしょう?新聞の片隅にこんな文を見つけると嬉しくなります。) 何年か前に琵琶湖の北部海津大崎で、吹雪のように散る花びらが湖水に「花筏」となって浮いているのを見た感動は今も心にあります。

    亡母のせてしずかに浮かぶ花筏    みな子




やわただより No.8

2006年3月1日

綿菓子のような白い厚い雲の層を突き抜けて上に出ると、そこは真っ青な空の中、 右横に翼が見えて旅のはじまりを実感、初めて訪れる台湾はどんなところだろうと 期待と不安で胸がふくらむ。

1泊目と3、4泊目は桃園市内の桃園中信大飯店というバリアフリー完璧のホテル、 2泊目は牛耳芸術渡假村という広大なリゾート地内のバンガローで、一人ではちょっと 上り下り出来ない急なものでしたがスロープが設置されていました。

このリゾート地で私達の太極拳の先生の先生のお父上である台湾座式太極気功総会の 総会長でいらっしゃる呂松英老師から指導を受けてお免状を戴く事が出来ました。

翌朝6時から冷気の中で小鳥のさえずりを聞きながら全員でした太極気功のなんと 気持ちよく爽やかだったことか、生きている、これからも生きて行ける、と大きく息を 吸いました。

台北に着いた1日目は陶器の町「鶯歌鎮」で大きな生産工場を持つお店を見学、 見事な作品の数々に感銘を受け、3日目は台湾9大族の先住民文化や生活を見せる テーマパーク「九族文化村」へ行き、若者達の激しく美しいダンスや民俗音楽を楽しみ ましたが、そのショーの舞台がある場所へ向かう園内巡回車に乗ろうとすると、 先に乗っていたその若者達がさっと降りて軽々と車椅子ごとかかえて乗せてくれて、 着くと観客席へもさっさと連れて行ってくれるのでした。

上記のリゾート地でも、プールで泳いだ後車椅子に乗ろうとしていると、若い夫婦が、 “乗るの?”という風に車椅子を指して、はい、というとさっと後ろからかかえて 乗せてくれたり、本当にあちらこちらで、親切を受けました、それもさりげなく。

4日目は台北県内の有名な温泉地「烏来温泉」で温泉に入り、山菜料理の昼食後、 お目当ての世界4大博物館のひとつ「故宮博物館」へ。70万件を超えるという収蔵品、 何千年前の物というのに鮮やかな色彩がそのままの陶器磁器、象牙の繊細な彫り物 などに時間の経つのを忘れましたが、3時間近くいてほんの一部分を観ただけのよう でした。

いよいよ最終日の朝はけっさくでした。というのは朝8時半に飛び立つ飛行機に 乗るため、ホテル玄関に集合が5時50分、6時出発というのに、何かの手違いで 3人部屋の私たちの部屋のモーニングコールが鳴ったのが集合時間の5時50分、 慌てたのなんのって、3人とも顔も洗わず髪はぼさぼさ、スッピンのよれよれで バスに乗り、そのまま台北空港内をうろうろ、大分長い待ち時間があったのに疲れで 洗面所で整えるということも思い浮かばず、機内食もうつろに食べて、関空に到着して 寒さにふるえ、やっぱり台湾は大分南やったんや、などと寝ぼけた事を言いつつ 帰宅して、お茶漬けを食べて人心地着きました。

数々の思い出と感動を思い起こして、しんどかったことはどこかへ 消えてしまいました。





やわただより No.7

2006年2月1日

全国的に広範囲にチェーンホテルを持つ経営者が、その多くのホテルがハートビル法 に違反する建物である事が分かって摘発を受けたのに対して、障害者用の部屋は 利用度が少ないし、一般客には使いにくい、障害者用の駐車場は見てくれが悪い、 と悪びれる風もなく会見で述べていた。

建物が出来た時点では一応それらの設備は整えられていて、開業前の検査を受けた後で 直ちに一般客室やロッカールーム、ロビーに建て替えられていたという。 連日関連ニュースが報じられているが、余り耳に心地よくは入って来ない。

共に車椅子を使う私たち夫婦が、楽に再三リピーターとして利用している三重県の あるホテルの身障者室は、ツインのベッドの間が少し広いかなと思う程度で一般室と 変わらない。洗面所もバス・トイレもフラットではあるが車椅子には狭くて使いにくい。 ところが(ここがみそ)部屋の一角に違和感のないスライド式の幅の広いドアがあって、 そこを開けると車椅子用の広いバス・トイレ室があった。身障者の利用がない時は, そこを閉めてあれば一般客が利用するのに何の支障もない。

又そのバス・トイレ室へは廊下からも入れる扉があるので、他の部屋の客でも希望すれば 利用できる。大浴場も車椅子で浴槽のそばまで行けるので入浴可能である。 スタッフの応対は親切過ぎず、さりとて不親切ではなくさわやかである。

少しの優しさと工夫があれば、お金、お金の世の中にも温かい風が吹くかもしれない。

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4でお話しました猫のたなこちゃんのその後

たなこちゃんが来てしばらくしてから、捨て犬や迷い犬を保護して新しい飼い主へ の橋渡しをしている施設から、ミックス犬の仔犬のベルが貰われてきた。

先輩ぶったたなこちゃんは、ベルを可愛がって一つのお皿からドッグフードやキャット フードを一緒に食べ、一緒に遊び、犬小屋でくっつきあって寝るという仲の良さ、 周囲にほほえましさを振りまいていたが、いつかふたり?とも成犬、成猫にちかくなり、 ふてぶてしささえ具えたたなこさんは、寒くなった頃から陽がかげると戸の外で “にゃーご“と鳴いて”入れて“の催促、ちゃっかりとコタツで寝ている。 若住職いわく、「やっぱり同居はむつかしいらしいですな」

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年明けの初出張?で、私たちの 車椅子太極拳グループに、精神障害者の方たちとの 交流会の機会が与えられた。

正直に申し上げると、大丈夫かな、車椅子がえらそうなことするなよ、とか、 帰れよ、とか言われたらどう対応すべきか、などと考えなくもなかった。

結果は自分の不勉強、認識不足を大いに恥じることになったが、集まっておられた方々は ナイーブで、私たちを傷つけまいと細かく気を遣われるのを感じた。 いろいろな立場の人間同士、理解し合うのはなかなか難しいが、歩み寄り、 心を開き合い、考え合って、住み良い町に、住み良い国に、住み良い地球にして 行ければと思う。


やわただより No.6

2006年1月1日

大晦日に続いて元旦も穏やかな日差しに恵まれた一日でした。
振り返りますと、昨年は国内国外を問わず、天災、人災、事故、事件と 心いたむことの多い一年でした。今年は悲しいことの無いようにと祈るばかりです。

さて、この小さな私信bQで、どう生きるかを考える学問に出会えて嬉しいと 生意気なことを申しましたが、その後も他の本など読んでみるうちに、その前に、 なぜ生きるか?を考えなくてはならないのではないかと思い始めました。 どう死ぬか?を考えた方が良い年齢になって遅いよ、と言われそうですが、 結局どう生きるか?はどう死ぬか?でもあり、どう死ぬか?はどう生きるか?でも あるようです。上手く言えないのですが・・・。 おろかなる存在は、いまだ煩悩の中で迷い道くねくねを続けそうです。

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宇治市天神に在る重症心身障害者通所施設 「こもれび」が設立10周年を迎えて、 1月15日(日)に宇治市文化センター 大ホールに於いて「チャリティーコンサート」を 開催します。

ソプラノの松下由紀さん、森田裕子さん、テノールの橋本利嗣さんたちのご協力を 得て、早春賦、からたちの花、帰れソレントへなどおなじみの歌曲の独唱や、 宇治中学校ブラスバンド部のマーチング演奏が披露されます。

フィナーレは舞台も客席も一緒の全員の合唱が予定されるなど楽しいコンサートに なると思います。開場13時、開演14時、入場料協力金は1千円です。

施設長である「第九」で出会った友人は、客席を満員にしたいとがんばっています。 お時間があってご協力いただける方は今西迄ご連絡ください。

&Fax 075−981−0849

  ←今西宛てメールはこちらをクリックしてください

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私たちの 「車椅子太極拳の会」では、1月24日(火)に八幡市社会福祉課からの要請で、 精神障害者の会の方たちとの交流会が予定されています。 今年も多くの方々との出会いの機会を持って、いろいろなことを学ばせていただきたい と思っています。

冬来たりなば春遠からじ、暖冬ならぬ厳冬になりましたが、やがて花のほころぶ春が 来ます。 きびしい世相の中ですが、希望を失わずに、そしてあせらずにこの一年を着実に歩いて 行きましょう。 本年もどうぞ宜しくご指導ください。


やわただより No.5

2005年12月1日

来春2月下旬、太極拳教室から台湾への研修旅行に参加する予定があります。
5年前の初夏にニューヨークへ1週間の「第九演奏旅行」に行くことになった時、 年齢とポストポリオ(ポリオの第2次障害)の進行状態を考えても、 最初で最後の海外旅行だろうと思ったので5年用を申請したのですが、 それが失効になったとたんに台湾行きの話が出て、この動きがにぶくなった体で どうしようかとずいぶん迷いました。でも大丈夫だからぜひと勧め、また支えて 下さる方の厚意に感謝しつつ参加させて頂くことにしました。

さてパスポートを取らねばなりません。どアップの写真が要ります。 友達のカメラマン氏に来てもらってガレージの壁を背に撮ってもらいました。 ところで我が家の洗面所の鏡はかなりのうぬぼれ鏡で、風呂上りの茹でたての時や、 メークアップお出掛けバージョンしたての時は、おっ、まだいける、などと思わせ てくれるのですが、写真というやつはそういう幻覚を無残に覚まさせてくれます。 届いた写真を見て、8年前に92歳で他界した母親がいるのかと思いました。

でも、まぁ、しわの数は、“ひとつ曲がり角、ひとつまちがえて、迷い道くねくね” もあったけれど、頑張って来たン十年の勲章と思うことにしましょうか。 しかし現実はきびしおすなぁ。

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12月3日から9日までの「障害者週間」中の6日(火)、午後1時15分から、 八幡市文化センター、小ホールに於いて、障害者週間の主旨を広める活動として 記念式典、記念講演会などが開催されます。参加費無料。

講師として「わらじ医者」として著名な早川一光氏をお迎えしますが、式典と講演 の間に舞台発表があって、私たちの車椅子太極拳グループともう一つ他の団体が出ます。 与えられた時間は15分ですので、はじめに5分弱の表演を見てもらって、 後の10分は準備体操を5動作、太極気功のうちの4動作を客席の皆さんにも 体験して頂こうかと思っています。

お時間がございましたら、どうぞご参加ください。 また、5日(月)には午前7時半から8時半まで、京阪八幡市駅、及び橋本駅頭で、 啓発活動としてティッシュ配り等も行われます。 ご協力をお願いいたします。


やわただより No.4

2005年11月1日

向かいのお寺に“たなこ”ちゃんという猫がいる。夏の初め頃にどこからか 迷い込んできた猫だが、同じ頃にやはり迷い込んできた、たなこちゃんを 小学校低学年とするともう少し大きい中学生くらいの茶と白のしましま猫がいて、 勝手口の外に置いてあった扉のない棚だけの靴入れの一階にしましま猫、 二階にたなこ、と寝るところがいつも決まっていたので、 住職さんが「茶色が大家さんでお前は店子か」と言われたことから、 たなこちゃんとなった。

大家さんはその後さらなる自由を求めて旅に出てしまい、 今はたなこだけが広い寺内で鳩を追ったり、とかげをおもちゃにしたりして 自由に遊んでいる。白い部分が多いのだが、少し長めの髪を真ん中分けに したようにひたいから背にかけて黒い部分が伸び、点々と二つか三つ飛び 石状に黒があって、少し長めの尻尾は真っ黒、たれ目かげんの目に愛嬌が あって仕草がどこかひょうきんなのだが、写真を撮ろうとするとさっと逃げる。

どうも松葉杖をついているのが棒を持っていると見えるのか、 犬猫達には嫌われるようである。

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10月29、30日(土、日)の2日間にわたって、八幡市、八幡市教育委員会、 八幡市文化協会の主催による第33回八幡市民文化祭が、文化センターで 開かれます。大正琴、詩吟、謡曲、邦楽、コーラス、オカリナ演奏、ダンス、 日本舞踊、太極拳など、市内の各サークルがプロ・アマを問わず日ごろの練習の 成果を発表し、小、中、高校の吹奏楽の演奏もあります。

また、絵画、書、写真、華道、陶芸などの作品展示もあり、ふれあい広場では、 バザー、古本市などの他に、「人権ってなぁに?」というアンケートに答える コーナーもあり、豚汁、綿菓子、お好み焼き、ちらし寿司弁当、ぜんざいその 他の模擬店も出店されます。このところ、土日の空模様がはっきりせず、 心配ですが。

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11月12日(土)八幡市社会福祉会館で、社会福祉協議会主催のバザーが 開かれます。

沢山のボランティアさんたちの協力で毎年この時期に開かれるバザーの売上金は、 災害を受けた地域へ贈られたり、福祉事業に当てられます。

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少し熟し足りない大ぶりのりんごをいただきました。そのまま戴くと酸っぱかった のでジャムにしようかと思っていましたら、おすそ分けした人から、さつま芋と 煮たら美味しかったわよ、と教えられました。

細めのさつま芋を皮つきのまま輪切りにして、砂糖をお好みの量入れて火にかけ、 やわらかくなったら皮をむいた角切りのりんごを入れます。

透きとおったようになったら出来上がりです。りんごは好きだけれどもお芋は 苦手の夫も美味しく戴きました。

この煮たものをグラタン皿などに入れて、とろけるチーズを上にのせてオーブン トースターで少し焼いても美味しいそうです。そう聞いて、乳製品好きの私は 牛乳で煮てもいいかもと思いました。

秋は美味しいものがいっぱいあっていいですね。そろそろ北海道の友人から、 北の大地に育ったかぼちゃ、じゃがいも、たまねぎが届く頃です。


やわただより No.3
2005年10月1日

9月23、24、25日の3連休に、夫が同窓会の旅行に参加して 伊豆・箱根方面へ行って来た。

大阪から観光バスで西名阪、伊勢湾岸道、東名と走ったそうだが、 終幕直前の愛知万博の余波もあったのか、昼食とトイレ休憩の他には止まらずに走って、 宿泊の伊豆長岡温泉に着いたのが7時近かったらしい。 間の悪いことに台風17号の影響で、翌日に予定されていた富士5合目までの 登山も小雨の中、霧で何も見えないとのことで取り止めになったとか、 芦ノ湖、本栖湖などで遊んで2泊目の宿泊地・焼津海岸へ。

最終日は焼津魚センターでのショッピングを楽しんだようだが、 クール宅配便に託したガイドさんおすすめのかまあげ桜海老と かまあげちりめんのお土産は、お配りしたお向かいや友達たちに大好評だった。

留守番の私へのお土産はホテルの売店で買った黒いバッグ、 デパートやスーパーへ行くとバッグ売り場をうろうろする私を覚えていたらしい。

結局3日間とも降りみ降らずみの旅になってしまい、 富士の麗峰は望めなかったようだが、それはそれで又思い出の1ページ、 宴会でわいわいやるのも日ごろのストレス解消になったことだろう。 現地参加した御殿場在住のお友達から、自宅から富士がよく見えるから 是非奥さんともども来てくださいとメールを頂いた。

写真はお友達の柴田均さんが撮られたもの。 左はホテルの部屋からで、晴れていたら正面に富士山が・・・。 右はつかの間の晴れ間の芦ノ湖。



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八幡では10月2日(日)に八幡市役所と八幡文化センターの間の広場で、 八幡共同作業所、八幡作業所、やわたの里の3施設共催で、 第25回作業所まつりが開催されます。

作業所自主製品の販売はじめ、市内の各団体がたこ焼きや焼きそば、 炊き込みご飯などのもぎ店を出し、農家の方たちによる地元産の野菜の 販売もあります。

ステージでは男山第三中学のブラスバンド部や和太鼓のグループの 演奏が披露され、又、車椅子体験コーナーなどもあります。 お天気も良くて、多くの方々に足を運んでいただき、 楽しんでいただければいいなと思います。

阪神タイガースも優勝したことだし、 秋を存分に楽しみましょう。


やわただより No.2
2005年9月1日

川添信介著「水とワイン」。一瞬ソムリエが書かれたエッセー集?と思われるかもしれませんが、 93年の初演以来「今、みんなのいのち輝け第九合唱団」 (障害を持っている人もそうでない人も一緒に第九を歌いましょうという合唱団、略称命の第九) でお世話になっている方のご主人である、京都大学大学院文学研究科教授が著された哲学書です。

この本のことを知ったのも同じく第九の人からの情報で、内容はとても難しいけれども、あとがきの最後の、 “私事ではあるが私が哲学にかかわっているのとほぼ同じ時間、ずっとそばにいて支えてくれた妻に 本書を捧げたいと思う。”という一文に感動した、と聞いて、そんな素敵な事を書かれる方の本を読みたいと思いました。 甚だ学究的ではない情緒的な動機で読みたいと思ったことを恥ずかしく思いますが、 もうひとつ、十歳で家を離れて学校の寄宿舎に入った時(そのいきさつは、 太平洋戦争末期から戦後への困難な時代の日々を書かねばならないので省きますが) 十歳上の長兄が、淋しくなったら本を読みなさい、難しいかもしれないが何べんも読めば分かる、 と自分の持つ本の中から数冊をくれて、以来同じ本を何回も読む癖がついて何となく分かっていたので、 なじみの無い哲学書も読み返し読み返せば分かるかもしれないと思ったのですが、 それがおねだりする形になってしまって、著者のサイン入りという贅沢な一冊を戴いてしまいました。

3年前にシルバーセンターのパソコン教室で手ほどきを受けた先生にその後も 時折メールで教えて頂いたりしていますが、その先生が「Philosophy」と題する易しい英文の文書を 添付し下さったことがあります。もしかしたら、哲学というものも面白いからちょっと覗いてごらん、 と入り口を開けて下さったのかもしれません。

人はかくあるべき、かく生きるべき、といった書物だったら尻込みしそうな感じがしますが、 生きることとは、人生とは、をいろんな角度からよく観て、よく考えて真理を求める、 考え方を学ぶ学問に、遅まきながらほんの少うしだけでも触れ得る時間を持てることが嬉しいです。

余り遠くない未来?にあの世とやらで(哲学的じゃありませんね)兄たちに会えたら、 兄ちゃん、デカンショのお話しよう、と言えるかも知れません。次兄は、デカンショいうたら、 デカルト、カント、ショーペンハウエルいう3人の哲学者の名前を併せたもんやで、と教えてくれたのですが、 どうもあやしい、丹波篠山地方の古い民謡からとも聞きました。

明日の日曜日、京阪電車の「八幡市駅」に程近く、時代劇のロケにも時折使われる 「たいこ橋」一帯で、市民のお祭り「さざなみフェスタ」が開かれます。 連日の猛暑に茹で上がりそうな心身を川辺の涼風の中でリラックスさせるのも楽しそうです。

この絵は、上記のパソコン教室で、“マウスでお絵かき“を習った時に、初めて描いたものです。


次に「Philosophy」及び日本語訳「哲学」を載せます。

Philosophy

A professor stood before his Philosophy 101 class and had some items in front of him.

When the class began, wordlessly, he picked up a very large and empty mayonnaise jar and proceeded to fill it with golf balls. He then asked the students if the jar was full? They agreed that it was.

So the professor then picked up a box of pebbles and poured them into the jar. He shook the jar lightly.

The pebbles, of course, rolled into the open spaces between the golf balls. He then asked the students again if the jar was full. They agreed it was.

The professor picked up a box of sand and poured it into the jar. Of course, the sand filled up everything else. He then asked once more if the jar was full.
The students agreed with a unanimous…yes!

The professor then produced two cans of beer from under the table and proceeded to pour the entire contents into the jar effectively filling the empty space between the sand. The students laughed.

"Now," the professor said, as the laughter subsided, I want you to recognize that this jar represents your life.

The golf balls are the important things…your family, your partner, your health, your children, your friends, your favorite passions …things that if everything else was lost and only they remained, your life would still be full.

The pebbles are the other things that matter like your job, your house, your car.

The sand is everything else…the small stuff!

If you put the sand into the jar first, he continued, there is no room for the pebbles or the golf balls.
The same goes for your life.

If you spend all your time and energy on the small stuff, you will never have room for the things that are important to you.

Pay attention to the things that are critical to your happiness.

Play with your children.
Take time to get medical checkups.
Take your partner out dancing.
Play another 18 holes.
There will always be time to go to work, clean the house, give a dinner party and fix the disposal.

Take care of the golf balls first…the things that really matter.

Set your priorities.
The rest is just sand.
One of the students raised her hand and inquired what the beer represented.

The professor smiled. I'm glad you asked.
It just goes to show you that no matter how full your life may seem, there's always room for a couple of beers!!!

哲  学

ある教授が、いくつかの教材を抱えて、哲学101番教室の前に立った。授業が始まると、 無言で大きなマヨネーズビンを取り出して、ゴルフボールをいっぱいになるまで入れた。 それから学生達に、これでいっぱいかな?と尋ねた。いっぱいです、とみんなは答えた。

そこで教授は次に小石の入った箱を取り出して小石をビンに入れ、ビンを軽く振った。 小石は勿論ゴルフボールの間へ転がって入って行った。教授は再び、いっぱいかい?と訊いた。 はい、もういっぱいです、と学生達は答えた。次に教授は砂の入った箱を取り出してビンの中に入れた。 砂はもう何も入る余地のないほどに満ちた。教授はもう一度、いっぱいかい?と訊いた。 学生達はいっせいに、イエス!と答えた。

すると教授は、今度は缶ビールをふたつ机の下から取り出して、砂の間に滲みこむように注いだ。 学生達は笑った。

「さて、」笑い声が収まると教授は言った、このビンは君達の人生を表してしているものと思って欲しい。 ゴルフボールとは重要なものだ、君達の家族、パートナー、健康、子供達、友人、愛して止まないもの、 他の全てを失くしてもこれらのものが残れば君達の人生は満たされているだろう。

小石は他のもの、例えば仕事、家、車。砂はその他の小さないろんなもの。 若しビンに一番先に砂を入れてごらん、小石もゴルフボールも入らなくなってしまう、 同じことが君達の人生にも言える。若し君達が小さなことに全ての時間とエネルギーを費やしていると、 大切な事のためのスペースを見落としてしまうだろう。 君達の幸せに対する確かな目、考える力となるものに注意を払いなさい。 子供達と遊びなさい。 健康に留意しなさい。 パートナーをダンスに誘いなさい。 他の18ホールを回りなさい。 仕事、家の掃除、ディナーパーティーのためのテーブルセッティングにかける時間などいつでもあるでしょう。

先ず、ゴルフボールである重要な事を大切にしなさい。
優先順位を決めなさい。
後の残りは砂みたいなものですよ。

一人の学生が手を上げて、ビールは何を表すのですか?と質問した。
教授は微笑んだ。良い質問だね、君の人生がどんなに問題なく満たされているように見えても、 いつもビール2杯分は入る余地はあるんだよ。   

(日本語訳 今西)


やわただより 創刊号

2005年8月1日

京都府の南部、八幡に移り住んで40年になる。 綴喜郡八幡町大字小字の田舎町の竹やぶが切り開かれて広大な団地群が出現し、人口が一挙に膨れ上がって八幡市に昇格したのは28年前、 「おばちゃんとこ、窓からざりがにが釣れてええなぁ」 とお向かいの坊やに羨ましがられた裏の田んぼは何時かアスファルトの駐車場になり、照り返しが暑い。

台所の窓から一望できた木津川の堤防は建ち並ぶマンションにさえぎられ 堤防の手前に広がる田んぼで遊んでいた白鷺もその姿を消した。

今では名神高速道路の 大山崎と瀬田を結ぶ京滋バイパスが八幡を跨いで、 名神の上りに乗るのも下りに乗るのもすぐそこから京滋に乗れば良いのでやたら便利になった。 が、我が家の前の道路は46時中引きも切らず疾走する 大型車の騒音と振動に古家がどこまで耐えるか、 家が先か住人が先かというところではある。


夫が8月に66歳の誕生日を迎える。この写真は一昨年64歳の誕生日を迎えた時、友達が贈ってくれた手づくりケーキに、還暦で一度子供に返ったのだから4歳ということでローソクを4本立てたところ。 今年は6歳、がんばろうね、おとうさん!



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