「おなか空いた?」

「どしたの、急に。」

「いや・・なんとなく。」

「ちょっとだけ・・な。」

「じゃぁ私、作ってくるから、昌行ここで待っててよ。」

「いいよ、俺が作ってくるから。」

「だーめ。私が作りたいの。」

そういうと昌行は黙ってしまった。

「この前は
が作ったろ?」

確かこの前はじゃんけんに勝ったからパスタ作ったんだっけ?

「作った。」

「じゃぁ次俺。」

「ちょっ・・ちょっと待ってよ。」

「なに?」

立ちあがってしまった彼を呼び止めたものの、何を言っていいかわからない。

「そ・・そんなに私の作ったのって食べれない?」

「はぁ?」

「だって、この前こしょうとか多くてからかったし、プライパンに焦がしたし・・・」

そんな私を見て彼はちょっと笑ってる。

「違うよ。俺は料理好きなの。知ってるだろ?」

・・知ってるけど・・。

たまには女の子らしいことも、させてくれたっていいのにな。

「待っとけよ。」

そう言い残してドアを出て行った。

残された私は相変わらず座ったまんま。

ふと周りを見渡してみる。

男の人の部屋だよねー。

なんか・・大人って感じがする。

子供・・だもんな、私。

なんで昌行は私とつきあってんだろ・・・。

こっちは不安で不安で仕方ないのにな。

普通の恋人だったら電話して「会いたい」って言ったらすぐに会えるのに。

なかなか会えないから・・寂しいのにな。

コンサートに行ったら行ったで、たくさんの人が昌行を応援してるから・・うれしい反面・・辛いんだけどな。

ちょっとくらい・・気づいてくれてもいいのにな。

でも、そんなことに気づかれたら、また子供扱いされちゃうな。

それってちょっと嫌かも。

 

 

?」

・・・なんだ・・寝ちゃったのか。

片手には2人分の焼きそばの乗った盆。

もちろん、冷たい麦茶付き。

それを机の上に置いて彼女の隣に座る。

いつも会えなくてごめんな。

寂しいよな。

でも俺、お前がいるからがんばれんだぜ?

わかる?

なんて・・言わなきゃ伝わんねーよな。

目が覚めたら・・ちょっとだけ思い切ったことでも言ってみようか。

そんなことを思いながら昌行はそっと目を閉じた。

2人をみていた2つの麦茶は、今後の2人のことを考えると、ドキドキして少しだけ汗をかいていた。