気がつくとまた俺はカレンダーを眺めてる。

カレンダーには自分のスケジュール。

日にちの青い丸印は俺のオフの日。

赤い丸印はのオフの日。

今月もまた重なる日はなかった。

「はぁ。」

自然とため息が漏れていた。

世間一般ではGWと呼ばれたお休みの週。

多い場合は9日も休みが取れるらしい。

そのうちの8日が俺の仕事。

唯一空いたこの日はは出かけていた。

すれ違いの生活というのはこのことを言うのだろうか?

トゥルルル・・トゥルルル・・・

不意に鳴り出した1つの電話。

からだった。

「もしもし。」

「もしもし私、。」

「どうした?こんな時間に。」

時計の針は既に11時を指していた。

「ううん、なんか・・声が聞きたくなっちゃって。」

・・・かわいいこと言ってくれるじゃねーか。

でもさ、そう言われるとどう返していいかわかんないんだけど。

「今何してたの?」

心の葛藤は彼女のこんな声で元の世界に戻された。

「別に。台本覚えとか・・・。」

にどうやったら会えるかカレンダーを見て悩んでたとはとても言えるわけがない。

「そっちは?」

「私?私はねー・・昌行のこと考えてたよ。」

・・・あれ・・一緒のこと考えてた?

「だってさー、こんだけ休みがあるのに1日も一緒にいられないんだよ?」

「あ・・ああ。」

「せめて昌行が休みの1日くらい空かないかなーって思って。」

「なんだ、一緒のこと考えてたんだ。」

「え?」

「俺も。」

「だってさっき台本覚えって・・・」

「手につかないよ、そんなの。」

そういうと彼女はくすくすと笑った声が聞こえる。

そして、

「ちゃんと集中してやりなさいよ。」って。

笑ってる声での姿が目に見えるようにわかる。

「お前こそ集中しろよ。どーせ目の前には書類の山だろ?」

「うっそっ、なんでわかったの?」

「うそ、マジなわけ?」

驚く彼女に俺も驚いてしまった。

「なんだ、言ってみただけか。」

「まさか当たるとは思ってなかったよ。」

「近くにいるのかと思っちゃった。」

「え?」

「どっかで監視されてるのかと思っちゃった。」

「それもいいかもな。」

「え?」

突拍子な俺の発言に彼女もびっくりしていた。

「今から行っていいかな?ん家。」

「なに言ってんの?」

「仕事だってそっから通えばいい。問題ないじゃん。」

「本気で行ってんの?」

「・・だめ?」

少しの沈黙。

「いいけど、部屋ないよ。」

「いいじゃん。一緒で。」

「・・・。」

あ、黙っちゃった。

「ごめん、ウソだよ、そこまで困らなくて・・」

「いいよ。」

「え?」

「いいって言ったの。待ってる。」

「ちょっ・・?」

「待ってるよ。本気にしたから私。冗談でも私は本気にしたからね。」

「わかった。わかった、今すぐ行くから。」

「待ってる。」

そんなやさしい声が聞こえた。