「雨・・か。」

久しぶりにやってきたオフの日は雨。

感じ悪いなー。雷とか鳴ったらぶちキレんでほんま。

「あーあ。」

今日は出不精の俺がめずらしく外に出ようって思ってたんに。

はぁー。

出るのはため息ばかり。

こんなため息ばっかしとったら、幸せも逃げてまうがな。

わかってんねんけどなー。

トゥルルル・・・トゥルルル・・・

電話?

「もしもし?」

「もしもし。准くん?です。」

「あ、・・・どないしたん?」

「雨降っちゃったね。」

「そうやな。」

「どうしよっか?」

そう、今日のイライラ原因は外に出れないだけやない。

と久しぶりのデートやった。

いろんなこと考えとったのにな。

確かに映画行くはずやってんけど、それって雨降っても大丈夫やん?

でもそっからウィンドウショッピングして・・・。

「はぁー。」

「なーにため息ついてんのよ。」

「ごめんな。」

「謝らないでよ。」

「だってせっかくどっか連れてってやれる思ったのにさー、雨降るし。」

「今日ってさ、准一なにやってんの?」

「えー?」

特に外に出れない俺としてはなにもすることがない。

なに?家でおとなしくしてろってか?

そんなんいつもと変わらへんやんか。

「暇にしてる。」

そう言うとくすくすと笑う声が聞こえる。

「なに笑っとんねん。」

「えー、だって准一が飢えた犬みたいな声だすからさー。」

はぁ?なにゆうとんねん。

「今からお邪魔してもいいかな?」

「別に・・ええけど。」

冷静装ったけど、内心ドキドキしてて、ちゃんと言えたんかも実は謎である。

「じゃぁ今から行くね。」

「おお。待ってるから。」

ぴっ。

・・・ってことは部屋片付けなあかんやん。

やっばいなー、すっげー汚いねんけど。

すると外からは大きな音。

・・ウソやん、雷?

ちょぉまてや、アイツ今から来るゆうたよな?

ぴっ。

さっきまで持っていた携帯をもう一度押してみる。

そして、

「迎えに行くから待っとけよ。」

と伝えた。

雷落ちたらただ事ちゃうで?ほんまに。

車の鍵を取ってドアを開けた。

予想通りの大雨と、音の通りの雷。

俺のお姫様は無茶しよんねんから。

そう思ってたのに。

「ごめんね。」

なんて、かわいらしい笑顔見せられたら、男は誰でもイチコロや。

「ええよ、来いゆうた俺が悪いんや。」

・・・来るゆうたんはやねんけどな。

ま、それは臨機応変ってことでさ。・・・俺言葉の使い方間違ってるかも。

「あのさー、部屋汚いけど・・ええかな?」

「じゃ一緒に片付けよっか。」

「ありがとな。」

ここで健くんとかきたら「えーっ岡田きたないーっ帰る」とか言うんやろーなー。

そう思うとは寛大な心の持ち主や。うんうん。

「きったなー。」

・・お前も健くんと同類か。

「准一よくこんなとこで暮せるねー。」

なんて、散らばった雑誌を拾いながらぼやく。

俺は苦笑いするしかなかった。

外は雨。

そして相変わらずの雷。

「今日すごい雷やな。」

「びっくりしちゃったよもう。」

一段落ついた俺達の休憩時間。

「ココア飲む?」

「飲むっ。」

台所に行ってお湯を沸かすと袖を引っ張る手があった。

「怖い。」

うぉーこっちを見るなー。

その上目遣いツボやねんっ、やめろーっっ。

「なにが?」

「雷キライ。」

怖い系キライやもんな。

「一人にしないでよ。」

「わかったわかった。」

そう言って袖にあったの手をつなぎなおしてやる。

・・・いつまで冷静に対応できるかな・・・俺。