「あータバコ吸ってるー。」 おせっかいな俺の彼女は、会ってる時はあんま吸わないけど、 めったに吸う、そのめったに遭遇した時にいつも言う。 「体に悪いんやって。剛くんにもモモちゃんにもナナちゃんにも。」 「お前は?」 って1番気にしそうな人物だけはずしてたから言っただけなのに、 「・・・私も。」 って、急に小さくなってぼやいた。 「何いきなり黙ってんの。めずらし。」 「だって!・・・いや、いいや。」 「おい、そこで止めんなよ、気になるだろ?」 「だーいいでしょ?気にしないで。」 とかいいながらなんか赤くなってるわけで。 「あー子供に悪いから?」 なんてちょっとニヤって言ってみたら。 「ちょっ、誰もそんなこと言うてへんやろ?ありえない剛くん、やらしいっ。」 って全力否定。 なんだよ、めんどくせーなー。 とりあえず吸ってたタバコは灰皿。 強行手段は彼女の手首を握ること。 「こっちむいて。はい目見て言ってみ?」 って、かるーくアイドルスマイルをかますと1発。 「・・・ずるい。」 視線をはずすな。 「そらすな。お前が気になる言い方するからだろ?」 最もらしいことを適当に言ってみた。 「・・・気にしてくれてるとか思ってなくて。」 はぁ? 「いやなんか、びっくりしてんやん。」 お前、会ってる時めったに吸わないのは一応気は使ってるつもりなのよ? 今日はなんか勢いっつーか。 ・・・気づけよ。 「ばーか。」 えへなんて微妙な笑顔をかまされると、こっちが困ってしまう。 このままキスなんかしちゃってもいいかななんて。 キミに墜ちてしまってもいいかななんて。 いろんなことを考えてるすきに、 「そういや今年のタバコはかっこよかったねー。」 なんて、すぐに交わされてしまう。 最近気づいたことだけど、 オレ・・・いや、男に対してこれから何が起きるとか、そういうのの直感はかなり働くらしい。 ・・・ふーん、そういう気分じゃないわけか。 「いつ来たっけ?」 「大阪ラスト。」 なんて、聞かなくたって見つけてたんだけど、 「どこにいたんだよ、俺見てねーぞ?」 って、キミの手首を解放してやる。 「・・・。」 最低とか言われんのかなーって思ってたんだけど、 「ウソツキ。」 やっべー顔に出たかな。 「キツツキ?」 ってとりあえず返したら、 「わけわかんねー。」 ってけたけた笑ってら。 現金なヤツ。 「お前俺の投げたボール、取った人んとこ行って見せてもらって、恐れ多くも触らせてもらったらしいな?」 「なっなんで知ってんの?しかもなんか具体的すぎ。何情報?」 「裏情報。」 「あ、そういや勢いで健くんに言っちゃったっけ。」 「恐れ多くってなんだよ。別に、そんなん見なくたっていいだろ?本人前にいるんだしさ。」 って軽い気持ちで言うと、なんか非常に迫力有な表情。 「ちゃうねん。ここにいる剛くんとライブの剛くんは全然違う!もうめちゃめちゃかっこええねんってぇ。」 おーい、どっちもオレだなんだけどー。 どういう反応したらいいんだー? なんて少しの沈黙があった後。 「あ。」 自分の言ったことをもう1度リピートしたらしく真っ赤になった。 その姿がなんかめちゃめちゃ愛おしくて仕方なくて。 「やる?」 「何を?」 一瞬おびえたキミはきっと違うことを想像したはず。 「ソロの映像。」 「ソロの・・・映像?」 たまには思い切ったこともありかななんて。 「お前にだったら、捕まってもいいよ。」 なんて真面目に言ったもんだから、 言ったオレも真っ赤なわけで、 言われたアイツはもっと真っ赤なわけで。 「まぁ撃たれんのは勘弁な。」 って笑わそうと思ったのに無理で。 またしても沈黙で。 彼女は動かなくて。 「つ・・・つかまえないの?」 なに、ウェルカム状態なのは俺だけ? って焦ったらすぐに抱きついてきた。 「つかまえた。」 ・・・参ったな、オレ。 |