「ねぇ健。」

「なに?」

最近彼女はよくやきもちをやく。

それは、かわいいんだけどね。

だって、やきもち焼かれてうれしくない人なんて結構いないでしょ。

でもさ。

「私とメグライアン。どっちが好き?」

そんなこと言われても、答えらんないよ。

「・・・。」

「間があった。」

じゃぁどうしろって言うんだよー。

ああ好きだよ、大好きだよ。

だってかわいいんだもん。

「もういいよ。」

そうやってすねるはかわいいというか、なんだか生意気というか。

それでも、好きだから。

後ろから抱きしめてみる。

「なによー?」

「かわいくないなぁ。」

「ほっといてよ。」

なんて怒られても平気だよ。

だって、顔が笑ってるんだもん。

「メグライアンも好きだけどさ、英語通じないもん。」

「でも健、今英語すごいがんばってるでしょ?」

何が言いたいわけ?

こっちがいいたいよ。

他に好きな人でもできたか?って。

疑っちゃうよ。

「そんなに好きになってほしい?」

「・・・。」

「なぁんだ。」

そういって捕まえていた腕をはずすと、ちょっと切なそうな顔をする。

「だって、愛してるんでしょ?」

あれ?

僕そんなこと言ったっけ?

あ、そっか。

収録の勢いか。

「気にしてたの?」

「気にするよ。」

「そう・・か。」

女の子は繊細だもんね。

「だって、健はかっこいいし、やさしいし、なんでもできちゃうんだから。」

「なんだよそれ?」

「女の子は誰だって好きになっちゃうの。」

はぁ?

今日の、変だよ?

何言ってるかよくわかんない。

「不安なんだから。」

え?

「すごく・・・不安になるんだからね。」

そっか。

そうだよね。

ごめんね、気がつかなくって。

そう思ってたら彼女のほっぺがぷくーっと膨らむ。

その様子がなんかおかしくて両手でひっぱってみる。

「なによ。」

ひゃはは、かわいー。

ほっぺがふにふにしてる。

「やめてよっ。」

声と同時に手が振り払われた。

顔に出ちゃったかな。

「かわいーなぁ、ちゃんは。」

女の子ならうれしいはずのちゃん付け。

だけど彼女はちゃんってつけられることを好まない。

「子供扱いしないでよ。」

反抗姿がかわいくて頭をくしゃくしゃにしてみる。

「いい加減にしてっ。」

最後の言葉は涙目だった。

僕はちょっと面食らった。

「・・・やっと怒った。」

「え?」

わけわかんないって顔しないでよ。

「僕だって、不安なんだよ?」

そう言うと、どうして?って不思議な目をするんだね。

「僕が仕事してるとき、はなにしてんだろ?誰といるんだろ?って。」

そんな目で見ないでよ。

「不安になるんだよ。」

部屋の中に静かな空気が流れた。

、誰かの前では怒るのに、僕の前で怒ったことってない。」

「・・怒ってほしいわけ?」

「そうじゃないけど。・・・全部知りたい。のこと。」

できるわけないのはわかってる。

今僕、絶対彼女を束縛したってこともわかってる。

でも。

「好きだから知りたいって思った。」

言った後の沈黙の次には、少しの笑い声。

「もう一回聞いていい?」

「ん?」

「私とメグライアン、どっちが好き?」

。」

すぐに答えると、は満足そうな顔をする。

なんでもできるのは、がいるから。

がいるからなんでもできる。

明日もがんばれるよ。

ゆっくりと君のことを知っていくから。

ゆっくりと僕のことを知ってくれればいいから。

だから、ずっとそばにいてね。

これが僕の一生の願い・・・かな。