久しぶりに会ったはなんだか急に大人になっていた。

どこが違う?

髪型が違う?

化粧が違う?

香水の香り?

何が違う?

うーん。

「どうしたの?」

そんな悩む僕をよそに、彼女はせっせとお茶の準備をしている。

「昨日ねケーキ買ってきたのー。」

そうやね、珍しく僕が空いてるって前日に電話したもんな。

「なんや・・・いっぱいあれへんか?」

ケーキの箱を見るとイチゴのショート・チョコ・モンブランにミルフィーユ。

なんでもある。

「えー、だって気分的にさ、どれが食べたくなるかなんてわかんないじゃない。」

「まぁ・・・そうやけどな。こんなに食ったら太んで。」

「残ったのは持ってかえってさ、みんなにもおすそわけしてよ。」

なんて彼女はにっこり笑って言った。

女の体重計にぬかりはないらしい。

でも気になったんはそこやなくって。

「みんなって?」

そう言うとは「はぁっ?」という目で返してきた。

「みんな。V6にだよ?」

「あ・・・そうやな。」

普通やったらそんな気遣いがうれしい。

けど、今日はなんやひっかかる。

うれしいような、寂しいような、でもなんかもっと・・・。

「准一?なに食べる?」

「え、あ・・イチゴのショート。」

「ほんと?」

「えっ、、なんで?あかんかった??」

「ううん、一緒だ。よかった2つ買っておいて。」

でも、インスピレーションが同じっていうのは、ウソも偽りもない、うれしさがあった。

あれ・・・僕今何考えとったっけ?

「それでね、あの時さぁ。」

の話を聞くのは楽しい。

昨日見たドラマとか、僕らの仕事のこととか、最近あったこととか。

けど、たまに出てくる男の名前に緊張する。

もともと友達が多いんは知ってる。

男友達かていっぱいおんのも知ってる。

友達以上恋愛未満な友達。

それでも、僕は気になって仕方がない。

疑う気なんて全くない。

遠くの彼氏より、近くの友人。

その言葉が怖い。

「聞いてる?」

「ん?」

嫌われたくないから。

その笑顔に。

「准一さ、無理してない?」

笑っていた顔が急に曇るのがすぐにわかった。

「え?」

「なんか・・・楽しい?一緒にいて。」

「当たり前やん。」

楽しいよ。

楽しすぎるから。

安心するから。

それが逆に怖くなる。

「イチゴもーらいっ。」

「あ、なにすんねん!」

「心配させた代償。なーんちゃって。」

僕、そんな不安な顔しとった?

元気付けてくれてんねんな。

そっか。

わかった。

僕の知らないを、誰かに見られるのがいやなんや。

ただの嫉妬っていうんはわかってんねんけど。

めちゃめちゃかっこわるいってわかってんねんけど。

僕より君を知ってる男はいてほしくないんや。

だから寂しかってんや。

「・・ごめん。」

食べてしまったイチゴを謝る彼女。

僕今そんないやそうな顔した?

「違うっ。」

「違わない。だって准一イチゴ好きでしょ?」

あっちゃぁー。

完全に勘違いやわ。

でもそんな君がかわいくて、ちょっと笑ってしまう。

「・・なに笑ってんのよ。」

「ええよ、でものケーキの真ん中のイチゴ取ったるからな。」

そういうと急に彼女に笑顔が戻った。

「あはは、取れるもんなら取ってみなっ。」

「・・・、大好きやで。」

「なっ・・なによイキナリ。」

「おっしゃ取れた。」

クリームまみれのイチゴを口の中にほおりこんだ。

「ずるーいっ、今の反則だよ!」

「しゃーないやん、言いたくなってんから。」

「もー・・・。」

だから、ずっと僕を安心さしてな。

ホンマは、イチゴなんかより、君の永遠の愛がほしいけど・・・

・・・そんなこと、恥ずかしすぎて言えるかゆうねんっ。