災害時のインターネットの役割
はじめに
 1995年1月17日午前5時46分、兵庫県淡路島北部を震源とした震度7、
マグニチュード7.2の地震があった。
 地震発生後、マスコミが状況を報道していた内容はいずれも被害のすさまじさ、
惨状を伝えるのみで、被災地の人々に向けたもではなかった。当時、被災地の人々
が必要としていたのは正確な情報であったが、災害の後しばらくは、情報が皆無で
あった。情報は口で伝わり、噂が様々に膨らんで何が本当の情報であったのかもわ
からかった。マスコミも被災者に向けて安否情報や生活情報をながしていたが、被
災者の様々な情報要求に応えるには不可能なことである。さらに、得たい情報がい
つ報道されるかも分からず、報道されても逃してしまうことも多々ある。
 パソコン通信やインターネットであれば、得たい情報がいつでも得られ、さらに
発信する事ができる。

阪神大震災でのインターネット
 ボランティアの人々が被災地にパソコンを持ち込んで利用しようとしたり、行政
から避難所にパソコンが配られたらしいが、十分に使いこなせていなかった。
 実際はパソコンよりも物資の管理・配給・雑務が作業の大半を占めている状況で
あった。パソコン通信も様々な種類の情報が数多く載せられていたが、それらがき
ちんと整理されていないため、容易に情報が得られるものではなかった。内部から
情報を発信する場合も同じである。無限に掲載スペースがあるのでこのような問題
はよくあることである。
 阪神大震災では、電気、水道、ガス・電話回線等が多きな被害を受けた。すぐに
復旧したが電話回線は被災地と外部の電話連絡が地震直後から集中してパンク状態
であった。
パソコン通信は2月いっぱいでほとんどのサーバーも復旧している。また、地震関
係の情報については、無料で公開しているところもあった。しかし、それを被災者
が使える状況下にいたかという問題は別である。

アメリカのインターネット
 アメリカは行政が情報化社会に向けてマルチメディアを積極的に取り入れており、
災害時に対処できるようになっている。政府機関だけでなく地方自治体も力を入れ
てる。小・中・高校でのパソコン教育が徹底しており、テレビや電話を使うように
扱える。普段から使っているからこそ、基礎知識として認識できるのであり、扱う
人全てが受信者であり発信者になれる。
 実際に緊急事態が発生してから、作業に取りかかっていたのでは遅く、日常的に
扱えなければ意味がないのである。

今後の災害時のインターネット
 阪神大震災以後、災害時に強いメディアとして、防災・災害時に役立つメディア
になる傾向にある。個人にとってみじかな存在となり情報を発信・受信することが
できれば活用は大いに期待できるものである。被災者たちが知りたい情報は様々で
あるが、具体的な情報が手に入る事ができれば阪神大震災級の災害を受けても、阪
神大震災のときよりも情報は伝達されやすいであろう。現在の状況では、可能であ
るが、技術に人がついてきていない。それぞれが得た情報をネットに載せていけば、
かなり具体的で詳しい情報が集められる。そして、必要なときに必要なだけ情報を
得ることが可能である。
 パソコン通信やインターネットを活用して情報を得ることは非常に有用であると
考えられる。しかし、それは日本国内だけでなく、世界各国が充実して初めて成り
立つのである。現在は、ネットワークの普及率が低く、主に理系の大学や研究機関
が専用回線で利用している程度である。
 それ以前の防災体制としてパソコンを備えて、通信ができるような状態にしてお
くことも重要である。実際に避難所となった学校にパソコンがあったとしても、通
信機能がなくては意味がない。
 最近は個人でもインターネットを利用する人が増えており、ネットは国際的につ
ながりつつある。

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