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第一  〜  八話は、 “PART1” をご参照のこと。



< 目   次 >
第 九 話 「呪いの不美少女」   .......2003.11.23(Vol.446)
第 十 話 「少女の復讐」   .......2003.12.3(Vol.450)
第 十一 話 「黒髪にこめられた呪い」   .......2003.12.13(Vol.454)
第 十二 話 「あなたもロンゲルゲになりますか?」   .......2003.12.23(Vol.458)
 
ご  感  想


第十三 〜  十八話は、 “PART3”
第十九 〜 二十四話は、 “PART4”
第二十五 〜 三十話は、 “PART5”
第三十一 〜 三十六話は、 “PART6”
第三十七 〜 四十話は、 “PART7”
第四十一話以降は、 “PART8” をご参照のこと。





2003.11.23(Vol.446) 初出___Cont.No.kamil09    第十話へ 目次へトップへ

Snakeheart様、またまた表作成を含めたご感想ありがとうございます。今回は、はい。また新たな展開になります。ぜひ、お楽しみください。

 長髪流毛の訪れた中学校は、ちょうどお昼休みであった。その校舎のなかのある教室で、生徒たちのこんな会話がされていた。
「ねえ、みんな、ちょっとこれ見て。」
「何よ、あっ、なんだ。女性週刊誌の最近よくあるどぎつい記事じゃない。」
「それがすっごいこわい実話なのよ。わたしたち、中学生に起こってるんだって。」
「ふーん。なになに?好きな男子に交際を申し込んで断わられた女子が、その男子を呪い殺したという事件が4件もたてつづけに発生…ですって?おもしろそうね。」
「そんな、のんきなこと。本当に起こったっていうんだから。」
「なあに?どれどれ、最初の1件は中学一年生のある女子が二年生の男子に申し込んだが断わられてその日の夜になるとその男子が自室で狂ったように叫び声をあげて急死。次は同じ中学二年の同級生で以前から好意を持っていたことを打ち明けた女子の希望を断わった男子がやはりその夜に自分の家で苦しんだようになって急死。それからこれは20歳の女子大生が家庭教師をしていた小学六年生の男の子に恋人になってほしいと言ったためにその女子大生を玄関から追い返したら、男の子もその夜に死亡って、なにこれ、いわゆるショタコンとかいうの?こんなおとなにはなりたくないわね。」
「わからないわよ。みんな先のことは。でも、けっこう最近の女はこわいことするわね。もうひとつは。」
「小学五年生の女の子が全く面識のない高校生の男の子に気に入ったからと抱きついて、驚いたその男の子は女の子をつきとばして逃げたが、1時間後に路上で倒れて死亡。これらの原因はいずれもふられた女の子たちが呪いをかけたからだとか。ただし、因果関係がはっきりしないために警察は逮捕していない…、だって。」
「よーするに、片思いのために殺されるの?」
「ええ?こわーい。もし、好きでもない男に私も誘われたらどうしよう。」
「あーら、あんたは自分の顔鏡で見たらそんなの心配いらないわよ。」
「なによ、いったいそれ、どういう意味?」

 女子たちの、だんだんうるさくなってきた会話についに男子生徒も割り込んできた。
「まあまあ、それにしてもさ、さっきから聞いていると女が男を呪い殺したっていう話ばっかしだから、逆にふられた男が女を殺したっていうのはないんだろ?じゃあ、女はみなだいじょうぶってことさ。」
「そういえばそうよね。まあ、年齢のほうはぜんぜん関係なく、年上も年下も同い年の例もみなあるけれどね。」
「男の子たちみんな、気をつけたほうがいいわよ。女の子の申し込みを断わったら殺されるかもよ。」
「そうよー。もてない男をほしがる女もいるからねー。」
「それ、おどかしてるつもりなのかい?そんなんでビビるやつ、いねーよな。」
「ほんと、ばかばかしい。そんなウソくさい週刊誌の記事、おもしろがってるようじゃしょーがねーぜ。」
「あーあ、いいわよ。男子はみなあっち行きな。こうなったら、わたしとつきあわなければ死ぬわよって迫って、好きな男を手に入れるチャンスかもしれないわよね、みんな。」
「でもさ、呪い殺すって、どんな方法だったの?」
「ちょっと待って。あっ、これだ。うーんと、好きな男に片思いでふられた女は、針を用意して、自分の髪の毛を一本の三つ編みにまとめてヘアゴムを結んだ毛先に髪がまとめられているそのヘアゴムの間に針を刺して呪いたい相手を念じ…。」
「なあんだ。髪の毛が長くないとできないってことじゃん。」
「女子が男子に対してだけだったというの、あたりまえか。」
「そしたら、男でも髪を長くして…。」
「それで三つ編みでもしたらって言うの?きもーい。」
「でもさ、わたしの出た小学校で、急に男の子たちの髪の毛が伸びた事件、あったでしょ。」
 ここで、初めて長髪流毛の起こした事件が話題になっていた。また、男子たちが会話に加わり始めた。
「けどさ、いまのこのクラスには長い髪の女、いないよな。」
「そーいえば、三つ編みできるくらいの子、いないね。」
「小学校の時はいたでしょ。」
「だいたい、髪を長くする女って、みなブスばっかりだったもんな。」
「ちょっと、あんた。あたしとずっと同じクラスだったのに、あたしが四年生ぐらいまで腰まで長くしていたこと知っててそんなこと言うの?」
「えっ?おぼえてないよ。もともと興味ないし。」
「ただでさえ、ブスとかいう言葉使うの、よくないわよ。」
「まあまあ、やっぱり中学では校則で髪の毛伸ばしたくても伸ばせないからね、女子でも。」
「三つ編みすればいいはずだったけど。」
「それが、先週配られたプリントで、三つ編みもだめだって。とにかく女子も肩にかからないようにしなさいって校長先生が言い出したのよ。」
「もしかして、この週刊誌の記事を見たからじゃないの?案外、校長は女子生徒に好きだと言われたら殺されるかもしれないなんて思ってたりして。」
「うえー、きもすぎる。まー、校長も教頭もよく女子の興味持ちそうな漫画本読んでるからいかにもいやらしそうだけど。」
「でも、そういえばとなりのクラスにまだひとりだけいるじゃない。まだ髪の毛長くしたままの子が。」
雛乃っていう子よ。太ってて男子には避けられ、女子にもいじめられているらしいわよ。」
 実は、その雛乃という少女こそ、長髪流毛が近づこうとしている女子生徒だったのである。



「ねえ、あなた、こんなところでなにしてるの?ひとりでいて、誰とも遊んでないの?」
「あなたは…?」
「わたし、長髪流毛。ほんとうは、すぐそこの小学校で保健の担当をやっているんだけど、この中学から急に呼び出されていま校長室に行くところなの。そうだわ。どこに校長室があるか、教えてくれるかしら。」
 顔をあげた、雛乃は、体型もたしかに太っていて、その顔つきも男が寄ってきそうにない暗い感じであった。声もしわがれた感じである。それでもウェストに届いている二本の三つ編みの黒髪が男心をそそるような感じであった。なお、長髪流毛はいまは髪を白い三角巾にまとめて白衣を着ており、地面につくほどまで髪があることには誰にも着づかれないでいた。
「校長室はあっちよ、ほら。あの自動車が止まっているところ。」
「ああ、あの黒い車ね。じゃあ、ここの校長先生は車で通勤して生徒とは通学中も顔を会わさないってわけね。」
「教頭先生の車なんだけれど、校長先生をいつも一緒に乗せてるの。」
「そう。ところで、あなた、この髪の毛、きれ…きゃっ!」
 とつぜん、ふたりのいる所に烏が電線から小便を放ってきたのであった。長髪流毛はすぐに雛乃を襲ってロンゲルゲにしようと雛乃の三つ編みにしていたかたほうの髪の毛先をつまみだしたが、そこを烏が邪魔したようである。
「あなたもあたしの髪の毛を切れっていうんですか?」
「ええっ?ああ、おほほ。わたしはきれいねって、言おうとしてたのよ。あなたのこのすてきな長い髪の毛を切れっていう者が誰かいるの?」
「さっき言った校長先生も、教頭先生も、クラスの担任の女の先生にまわりの同じクラスの人たちも。ほんとうはこんなふうに三つ編みしていればいいって校則にはあったのに、先週から急に切るようにって言い出して…。」
 その会話をさえぎるように、昼休みが終わって次の授業の始まるチャイムが鳴り始めた。
「すみません、授業に行きます。」
「なにか相談したいことがあったら、保健室で待ってるわね。」
 こうして、いったんは獲物にしようとした女子生徒を長髪流毛は放してしまったが、いずれ下僕にできるだろうと構えていた。ただ、最初に会った時にも泣いていたように見えたので、これはなにかありそうだなと長髪流毛は思った。


 長髪流毛はなるべく生徒たちの目を避けるために、校舎の裏側を歩いて校長室に入ろうといた。やがて、トイレがあるらしい場所で、上の窓から紙屑のようなものが落とされてきた。事実、紙屑である。長髪流毛はさっそくそれを拾ってくしゃくしゃになっていたその紙を広げ、なかに書いてある文を読んだ。
公之(きみゆき)くん、こんにちは。私が誰だかわかる?ずっと小学校の時に同じクラスであなたを見ていて好きになりました。私もずっと髪の毛を伸ばしたから、長い髪の人が好きなあなたならきっと私の恋人になってくれると思います。あとでお話をゆっくりしましょうね。雛乃より…って、もしかしてラブレターじゃない。女の子の打ち明けたのを、男の子がトイレの窓から捨てたのかしら。それにしても、女の子らしい文字の書き方だけど、男の子はびっくりしそうね。でも、だからといって…。」
 こんな捨て方しなくてもと思ったが、そう考えているうちに校長室のある校舎にある廊下の入り口にたどりついていた。手紙はさらっと読んだだけなので、その時は雛乃の名前も、また髪の毛を長くしているという内容もほとんど気にとめなかったが、長髪流毛はかばんにとりあえず落ちてきたその手紙を入れて、かわりに用意していたスリッパを出してはきかえ、校舎に入って校長室の扉をたたいた。もちろん、自慢の黒髪は丸めたままである。
「失礼します。」
「ああ、あなたが長髪流毛先生ですか。こちら、教頭です。宜しくお願いします。」
校長先生、教頭先生、長髪流毛と申します。宜しくお願い致します。」
「ほんとうに御忙しいのに申し訳ないですね。」
「いいえ。」
「さっそくですが、実はうちの学校に勤めていた保健担当の先生が急にいなくなってしまったので、ほんとうはすぐに誰かを補充しなければいけないんですが、今回のこともあるので慎重に探さなければというわけで、近くの小学校にいる先生ならそれまでなんとかと思いまして、急遽来ていただいたわけです。あ、もちろん手当はじゅうぶんに出しますよ。」
「それは構わないのですが、どうしてそのようなことになったのですか?」
「校則で、先週から女子生徒の髪の毛をみんな肩にかからないようにするように決めて、保健担当の女性の先生にはさみを持たせたのですが、その先生が女の子の髪の毛を切るのがつらいって言ってね。」
 教頭先生が付け加え始めて話した。
「まあ。そうなんですか。」
 長髪流毛のこの言葉はもちろん、この中学校の校則に対してであるが、校長や教頭は逃げ出した先生に対してと思ったようである。
「それで、クラス担任の先生にひとり残らず髪の長い者は切らせるようにさせました。まだ、ひとりだけ残っていますがね。」
 そのひとりというのが、実はさきほど会った女子生徒のことかと長髪流毛は思ったが、髪の毛を全員に切らせる方針についてのほうが気になった。
「あの、髪の毛切らせるって、先生方の手で切ったんですか?」
「いや、直接切ると暴力だと教育委員会から非難されそうなので、自分で床屋など行くように生徒たちに指導させました。ただ、今週の金曜日までに切らなかったらこちら職員で切ろうと思っています。あ、そういえば、長髪流毛先生の学校では男子生徒の髪の毛が伸びたって話も聞いたことがありますが、必ず卒業するまでに全員丸坊主になるように指導してくださいね。男が長い髪のままうちの学校に入られたら困りますし、第一、女子にも言い訳がたちませんからね。ついでに、女子全員にも卒業するまでに髪を短くするようにしておいてくださいね。」
 一方的にいろいろしゃべりまくられて長髪流毛は多少呆れてきていた。
「でも、それだったらなおさらわたしも自分の小学校を見なければならないのに、この中学にかわりの先生が見つかるまでわたしがいることになるのはどうしてなんですか。」
「午後の今ごろのぐらいから六時限目の授業が終わるまででいいんです。この時間帯にはとにかく保健室にかけこむ生徒が多いものですから。」
「それはまた、どうしてですか?」
「この学校も、ちょっと前まで荒れていてたいへんでした。校則を強化することによって効果がだいぶあがってきたもので、教師に対する生徒の暴力事件なんかは起こらなくなったのですが、生徒どうしのいじめがふえてきて、先生たちの力では対処しにくくなってるんです。」


 ここでまた、校長室の扉をたたく音がした。教頭が扉をあけた。
「あの、2年C組の担任ですが、保健室に新しい先生が来るという話を聞いたので、ひとり生徒を連れてまいりました。いま、もう入らせています。」
「おお、さっそくですな。どうぞ。向こうのつきあたりに保健室がありますので長髪流毛先生、行ってきてください。」
「じゃあ、わたしが案内しますわ。わたし、2年C組の担任です。宜しくお願いいたします。」
「長髪流毛と申します。こちらこそ、宜しくお願いいたします。」
 校長と教頭のいた校長室を後にして、長髪流毛はその担任の女教師と廊下を歩きながら話していた。ちなみに、女教師も髪はショートである。
「長髪流毛先生。これ、お願いしますわね。」
「これって、はさみですね。どうするんですか。」
 保健室の扉に着いて、その女教師は急に小声になった。
「このなかに私のクラスで雛乃っていう生徒がいます。その子の髪の毛をできたら耳が隠れない程度まで切ってほしいのです。」
「雛乃さん?」
 長髪流毛は、さきほど校舎の裏側の窓から落ちてきたラブレターの主が雛乃という名前だったことを思いだし、またさきほど会ったただひとりの長い髪のその女子生徒が雛乃という子だったのかと思いついた。
「じゃあ、わたしは自分の授業に行かなければいけないのでお願いしますね。」
「は、はい。」
 女教師はこうして長髪流毛にはさみを渡すと足早に立ち去ってしまった。保健室の扉をあける前に、長髪流毛は水晶玉を取り出した。
「あの女教師、いいかげんな人だこと。ちょっと意識をのぞいてやるわ。ああ、30過ぎてまだ独身なのは、好きな男を何度もほかの女に取られてそれがみな長い髪の女だったからということだわ。それにさっきの校長と教頭は…、まあ、校長は二度も髪を伸ばした奥さんに浮気されて離婚してるのね。教頭は、電車のなかで痴漢をしていて見つけられて突き出された相手が長い髪の女で、だから電車をやめて自分をかばっていた校長といっしょに自動車通勤に切り替えていたというわけね。みんな、長い髪の者にコンプレックスがあったから、変な校則を作って。それにしても、こんな校長と教頭がいる学校、荒れるのも当然だわ。担任を含めて、みんな自分の手だけは汚したくないみたいね。」


 水晶玉をしまって、長髪流毛は保健室の扉を開いた。
「あっ。」
「はっ。」
「もしかして、あなたが雛乃さん?」
「はい。」
 やはり、さきほど校舎に入る前に自分を校長室に案内した三つ編みの生徒がいた。そしてラブレターの主であることもわかった。長髪流毛は室内に入って扉を閉めた。
「まあ、さっきは授業に行くっていって校舎に戻ったのに、どうしてここへ…。」
「体育の授業で見学する予定だったんだけど、担任の先生に呼び出されて髪の毛切ってもらうように言われたの。はさみ持ってるから、やっぱり切るの?」
 長髪流毛は、まだはさみを片手に持たせられたままだったことに気づいた。
「ううん?こんなもの。」
 長髪流毛は傍らにあったごみ箱にそのはさみを捨ててしまった。
「せ、先生。」
「おほほほ、あなたはほんとうはその髪の毛、切りたくないんでしょう?」
「はい。」
「それは、あなたの好きな男の子がきっと髪の毛が長い女の子を好きだと思ったからでしょう?」
「ええっ?どうしてそんなことがわかるんですか?」
「雛乃さん、もしかして、これはあなたが書いたの?」
 長髪流毛は、拾っていた紙屑を雛乃に見せていた。
「ああっ、こ、これは…。」
「わたしも経験があるのよ。だからほら。」
 経験があるというのはうそだが、長髪流毛は三角巾をここで初めてはずしてまとめていた黒髪をばさっと背中におろし、床にとどくまでの長さのある髪を雛乃に見せていた
「先生、こんなに長い髪だったんですか。」
「ええ。好きな人のために伸ばしてたのよ。だから、あなたもお話してみて。この手紙にある公之くんって、同じ学年の男の子なの?」
「あたし、小学校四年生の時に転校してその子をひとめで好きになってたんです。そのときはまだあたしは耳が隠れる以上の髪を伸ばしたことはなかったんですけど、その子がひとりでいる時にポケットのなかからなにか取り出していたのか見たら、当時流行のアイドル歌手のブロマイドを三枚くらい持っていてみんな長い黒髪の人のものだったんです。もっと人気のあった女性アイドルもいたのに短い髪の毛の人は興味なかったみたいなので…。」
「それで、そのときからずっと髪を伸ばし始めたのね。」
「ええ。中学一年の時はちがうクラスだったんですが、今年の二年になってまた同じクラスになってその子がきょう誕生日だったんで、それに合わせてけさ早く来て下駄箱に手紙を入れていたんです。実はあたしも偶然なんですけど、今日が誕生日なんです。」
 なお、もちろん同じ学区であるが長髪流毛の勤めている小学校とは、雛乃も公之も別の小学校の出身である。

「じゃあ、公之くんはその手紙読んだのね。」
「それで、けさは1時限目と2時限目は男女別になる技術家庭の科目だったので、2時限目が終わるまで楽しみに待っていたんですが、戻ったら自分の机の中にまるめて入ってたので、午後はさっき言ったようにまた体育で男女が別れてみんな更衣室に行ったので、昼休みにその子の机に入れ直したんです。」
「じゃあ、その後彼は着替えた後に戻ってきてトイレの窓から投げ捨てたのかしら。でも、あなたも…。」
「わかってるわ。あたしがあの子に対してしつこくなっているストーカーになってること。でも、それでもいいんです。あたし、ずっと男の子たちにブスだと言われ続けて避けられていじめられていた。あの子にだけは特にブスとは言われなかったけど。あたしの母も実はそういう性格だったんです。」
「あなたのおかあさんって。」
「実はストリッパーなんです。あたしがいじめられるのもそのためなんです。母は自分の芸をたまたま見に来ていた客の男性をやっぱりひとめで好きになって結婚を申し込んだ。けれど、実は母の一方的な思い込みで、母は無理やりつかまえてしかも自分の身体を妊娠させて、それで生まれたのがあたしなんです。でも、結局男の人は好きで妊娠させたんじゃないからって言って、そのまま逃げて行方をそのうちわからなくしてしまった。ほんとうは父になるはずなんですけれど、あたしは顔を見たことももちろんないし。ううっ…。」
 そういうと、雛乃は泣き出して長髪流毛の胸にとびつき始めていた。
「まあ。それにしても、いじめは許せないわ。親がどんな職業をやっていたとしても、美しくないからといっても。」
「あたし、彼にも嫌われたし、もう生きる望みがない…。」
「雛乃さん。そしたらね。じゃあ、ちょっとそのまま目をつぶっておいて。」
「ええ?」
 泣きっぱなしだった雛乃は、長髪流毛がなにをしようとしているのか、戸惑っていたが、まだ自分の正体を見せていない長髪流毛は、雛乃がこわがらないようにと配慮しているようである。
「同じクラスにいる子なのね。こういうときはね、嫌いということは絶対ないわ。まあ、あんな手紙だと男の子は誰だってびっくりするだろうけど、恥ずかしいだけよ。特に髪の毛が長い女の子が好きな男の子なら、あなたのこと気にならないはずはないわ。」
「ほんとうに?」
「うふふふ。わたしが公之くんに、あなたの恋人になるように説得してあげるから。」
「そんなことができるんですか。」
 一瞬、顔をあげて喜ぼうとした雛乃だが、すぐに長髪流毛が雛乃の頭をおさえた。
「だめよ。目をつぶってって言ったじゃない。いい?そのままじっとしていて。うふふ、うふふふ、うふ…ふ…ふ。」
 雛乃の頭から背中に垂れている二本の三つ編みの髪をなでながら、長髪流毛の表情がしだいに不気味な笑みになりはじめた。やがて目が赤く光り出した。いよいよ、当初の目的どおり、雛乃をロンゲルゲにする時が来たようである。もうかたほうの雛乃の三つ編みの髪の毛を首の反対側から途中の毛束をつまんで少しうなじのまんなかのほうへ寄せるように動かしたが、首筋にその髪のあった方向から噛みついて血を吸うためである。いま、牙が口から現われて、雛乃の首筋に突き刺されたのであった。
「くくくく。」
(つづく)
次回予告:第十話「少女の復讐」
長髪流毛に襲われてロンゲルゲになった少女が、いじめを受けた相手に…戦慄の繰り広げられる、十日後をお楽しみに(なぜか特別に今回予告が)。



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ご 感 想 





2003.12.3(Vol.450) 初出___Cont.No.kamil10    第十一話へ 目次へトップへ

 SNAKE様、こんばんは(私は夜でも「こんばんは」です)。

 毎度、ご感想をいただきありがとうございます。今回は、うれしいことにやっと
ほかの方からのご感想もいただいたようでますます励みになります。いろいろな方からのご意見、聞いてみたいと思います。

 前回のSNAKE様のご感想で、名前がそのグループとは知りませんでした。最近、テレビとか見ないもので芸能界のこと詳しくないのです。登場人物はいっぱい設定するのですが、名前をどうしようかと考えたりしてなかなか決まりませんね。ちょっとこの名前の決め方については話も長くなりそうなのでまた次回に致したいと思います。

 それにしても、悪魔であるはずの長髪流毛が善人に思える…?それは、もしかするとあなたも長髪流毛に洗脳されてロ…ン…ゲ…ル…ゲ…に…な…っ…て…る…かもしれませんよ。いっひひひ。

 では、ここから本文です。

 ここは、ある大学生が下宿しているアパート。独りでいるその男子大学生は、昼間からのんびりと自分の部屋でテレビのリモコンを操作していた。

「はい。面白いマジックでしたね。ありがとうございました。さあ、次は子どもの相談コーナーです。このコーナーは、子どもたちにとっておとなのことでわからないことについて、ゲストのおとなのひとたちが答えてくれるというコーナーです。さあ、きょうはどんなことをききにくるのかな。では、どうぞ。」
(拍手と会場にあるバンドの演奏のなか、ひとりの小学生が現われる。)
「ようこそいらっしゃいました。では、元気よくお名前と学年を言ってください。」
「ぼくの名前は、きみゆきです。小学校二年生です。」
「はあい。二年生の男の子ですね。さっそく、相談したいことを言ってください。」
「どうして、おとなの男の人は、女の人が恋人になりたいと言っているのに、ことわるんですか?」
(会場内、どよめきと笑いが起こる。)
「はい。そういうことなんですが、ゲストのおにいさん、おねえさん。だれか、あ、今日はおにいさんがいなくて、おねえさんばかり三人ですね。だれか、いまのきみゆきくんに答えてあげられるおねえさん、いますか?」
「えっ?そりゃあ、それにはひとそれぞれ、好みというものがあるでしょ。」
「男の人にかぎらず、女の人だってね、特によほど好きじゃないと、恋人になりたいって言われても、そうかんたんにはOKしないわよ。」
(少し間をおく。なお、このゲスト三人女性のうち二人は漫才、一人はアイドル歌手であるが、漫才の二人ばかりがしゃべっている。)
「ということで、きみゆきくん、いいかな?」
(質問の小学生、しばらく無言)
「なっとくしてないみたいよ。もうちょっときいてあげないと。」
「ねえ、きみゆきくんにきくけど、どうしてそう考えたの?」
「えーと。テレビのあるドラマ見て。」
(また場内に笑いが起こる)
「なあんだ。で、なんていうドラマ?」
「男女百人物語。」
「あんた、それずいぶん夜遅くやってるドラマじゃない。おかあさんに早く寝なさいって言われないの?」
「えー、うーんと。」
「あ、ちょっとこまっちゃってるみたいだから、そのことはおいといて。で、誰か女の人が男の人に恋人になりたいって言った場面があったのね。それ、誰だったかおぼえてる?」
「なまえ忘れたけど、髪の毛がすごく長い人。」
「あーっ。わかった。あの性格がすごい暗くてしつこい女だ。」
「ちょっとちょっと。きみゆきくんがおこってるみたいよ。」
「そうか。その女の人がかわいそうだと思ったのね。でも、きみゆきくんにきくけど、きみゆきくんだって、もし、好きじゃない女の子に恋人になってほしいと言われたらどうするの?」
「えーと、その子に髪の毛を長くするなら…。」
(少し間をおいてどよめきと拍手も少し起こる。)
「ああ、じゃあ、きみゆきくんは髪の毛長い女の子が好きなんだ。だから、ドラマの女の人が髪の毛長いのにかわいそうと思ったのね。そう?きみゆきくん。」
(また少し間をおいて女性司会者がマイクを彼にさしだしなおす)
「うん。」
「じゃあ、ここにいるゲストの三人も、司会者のおねえさんもいまは短いけど、髪の毛伸ばすって言ったら、きみゆきくんは恋人になるんだ。」
「こらこら。わたしたちおばさんは関係ないのよ。」
「ちょっと、そしたら司会者のおねえさんもおばさんじゃない。」
「ん(ちょっと司会者がむっつりして)、はいはい。そろそろ時間が来たので。きみゆきくん、わかってくれたかな?」
(少しの間、彼は無言の表情)
「まあ、もうちょっとおおきくなってから、わかるようになるんじゃない?」
「でもそしたらね。いちおうわたしも女の子だから言うけど…なんでそこでみんなシーンとすんのよ!(笑い)きみゆきくんね。ほんとうに君のこと好きだっていう女の子いたら、さっき言ったとおりに好きじゃなくても髪の毛のばすならっていうことでつきあってあげてね。」
(再び司会者にマイクを向けられて、彼が答える)
はい。」
(拍手が場内に湧き起こる)
「よーし。全国にこのテレビを見ている人たちに公約だ。」
「はあい。きみゆきくん、どうもありがとう。気をつけて帰ってね。さて、つぎはお待ちかね、いま一番大ヒットしている歌を本日のゲストの…。」

 すでに、大学生の部屋には友人が入っていた。
「なんだい、これ、もう五、六年前ぐらいのビデオじゃねえか。このアイドル、最近全然見なくなったぞ。まだ髪の毛が短い頃のやつだよな。」
「そう。好きな男がいてそいつが長いほうが好きだって言ったから、そいつのために髪の毛伸ばしたら人気が落ちた。俺はこの頃の彼女のファンだったけど。それでいま見てるんだ。」
「結婚したかどうかってうわさも聞かないし、どうなったんだろうな。そういえば、漫才の二人もずっといなくなったなよな。それにしても似合わないのに、なんで髪なんか伸ばしたんだろうな。」
「さっき出ていた小学生の話聞いて、髪の毛を伸ばせば男とつきあえると思ったらしいよ。全然しゃべらなかったけれど。」
「ませたガキだったな。いまなら、もう中学生だろ。さっき『全国に公約』って漫才のゲストが言ったとおりにしてるのかな。」
「つまり、好きじゃない女に好きだと言われたら、髪の毛を伸ばせばつきあうって言って?忘れてんだろ、そんなの。そもそも『公約』って言葉の意味小学二年生にわかるわけないし。」
「こんなガキの言ったことを本気にしたこのアイドルも単純だし、もし男とつきあえてなかったら笑いものだよな。髪の毛伸ばすぐらいで男が振り向くと思って、女は本当に単純だ。第一、俺は女に髪の毛伸ばすって言われても、好きなタイプじゃなかったらまずつきあわないよ。」
「俺もだな。俺はこの頃の彼女みたいなショートなら好きだけど。反対に長いやつに好きだと言われても、切れとは言わないよ。まあ、髪の毛長いかどうかなんて関係ないね。好きじゃなかったら断わるだけだね。」
 まあ、実際にはそれほど女性に縁がありそうにはない男たちの会話ではあるが、ちなみにこの二人はエキストラなのでもう出てこない。



「うふふふ、くくくく。」
「長髪流毛先生、はっ、きゃあーっ!」
「雛乃さん。顔をあげちゃだめって言ったでしょ。」
「せ、先生は…。」
 中学の保健室で、自慢の長い黒髪を床の近くまでおろしていた長髪流毛は、またひとりの女子生徒を手下にしようとしていた。体型も太っていて顔立ちも美しくはない雛乃の身体を正面から抱きしめながら、雛乃の三つ編みのおさげ髪を二本ともまとめてわしづかみにし、雛乃の首筋に牙を差し出して血を吸おうとしていたが、雛乃が顔をあげて長髪流毛は赤く目を光らせていた。
「うふふふふ、わたしの正体を見たわね。」
「い、いやっ、離して。」
「みにくい心の持ち主め。おまえは、好きでもないのにむりやりつきあうよう男の子にせまった、その罪を受けなければいけない。おまえの心には悪魔の血が流れている。おまえの母親のみにくい心から生まれたおまえが姿もみにくくなっていじめられるのは当然の運命だ。」
「わたし、死ななければいけないんですか。」
「さっき、好きな男の子にも嫌われたから死にたいと言ったのだから、おまえを望み通りにしてやる。」
「わ、わたし…。」
 とうとう、長髪流毛の胸に雛乃はまた泣き崩れていた。恐怖から驚きのあまりに救われない思いをした雛乃であるが、長髪流毛の不気味な表情がすぐにまた美しい笑顔に戻りだした。そして、雛乃の三つ編みの髪をするするっとなではじめた。
「うふふふ、かわいらしい雛乃さん。」
「かわいらしいなんて、言われたことないわ。」
「こわがることないわ。もうあなたは、いじめられなくてすむようになるのよ。」
「でも、やっぱり死ぬのはこわい。」
「ちょっとじっとしてなさい。死なせたりはしないから。」
「ほんとですか?」
「ほんとうよ、いいわね。」
 長髪流毛は、こうして自分の胸に顔をうずめたままの雛乃の首筋にふたたび牙をさしだし、ようやく噛みついて血を吸い始めたのであった。


 雛乃のクラス担任という、先ほどの女教師が保健室に戻ってきた。
「長髪流毛先生、雛乃さんの髪の毛、切っていただけましたか?あらっ。」
「はい、なんでしょう。」
 雛乃をまだ抱いたままだった長髪流毛が、担任の女教師のほうを振り向き始めた。
「はっ、まあ。きゃあーっ!」
 女教師は叫び声をあげ、突然めまいを起こしたようになってしまい、結局その場に倒れてしまった。雛乃の血を吸っていた時はもちろん吸血鬼の顔だった長髪流毛もすでに素顔に戻っており、また魔力をかけていたわけでもなかった。実は長髪流毛が三角巾から髪の毛をほどいておろした姿を初めて見てショックを受けたためである。
「よほど長い髪の毛がお嫌いな先生のようね。ちょうどいいわ、雛乃さん。この先生の首に噛みついて血を吸いなさい。」
「はい。長髪流毛先生。」
 雛乃の表情も答え方もまたうつろであった。もちろん、いま長髪流毛によって雛乃もロンゲルゲになったのである。命令通り、雛乃は女教師に噛みついて血を吸い始めた。しかも、いじめから自分を守ってもらえなかったという恨みもこめたため、血の吸い方にも勢いがついていた。
「雛乃さん、そのへんでいいわ。もうこれでじゅうぶん、この先生もロンゲルゲになっているから。やりすぎると死ぬおそれもあるからね。」
「いいんですか?」
ロングヘア星人のおきてで、女は殺してはいけないことになっているの。そうだわ、次は校長室へ行くのよ。校長先生と教頭先生なら殺してもいいのよ。」
「わかりました。」


 長髪流毛は、雛乃といっしょに校長室を再び訪ねてまずノックしたが、返事がなかった。
「いいわ、勝手に入りましょう。」
「はい。」
 校長室のなかに人影は見当たらず、教頭とともに校長はどこかへ外出したのかと思ったが、校長室の机に何か置いてあるものを見つけた。それは、なんとヌード写真集などいやらしい本や少女漫画本などの山であった。
「まあ。あの校長先生、こんな本なんか読んで…。」
「やっぱり、いいかげんな校長だったんだわ。」
 そして、本の山の下には書類がしかれてあった。それにはもっと二人が驚くべき内容が書かれてあった。
「これは…教育委員会に提出するためのアンケートだわ。なにこれ?あなたの学校でいじめなどは起こってないかという問いに対して、ありませんって書いてあるわ。」
「ええっ?ひどい。わたしがいじめにあってることなんか無視してるのね。それとも担任の先生が報告してなかったんだわ。」
「さっきはたしか、校内が荒れてていじめがひどいとたしかに言ってたのに…。」
 長髪流毛も絶句していた。
「それにしても、校長先生と教頭先生、どこへ行ったのかしら。」
「長髪流毛先生、車があるから、学校の外には行ってないと思います。」
 雛乃は校長室の校庭側の通用扉に横付けになっている黒い自動車を指差していた。さきほど、長髪流毛が最初に雛乃に案内された時にも見えた車である。
「あの車ね。窓ガラスも黒塗りでここからだと見えないわね。もしかすると…。」
 長髪流毛は白衣のポケットから水晶玉を取り出して、自動車の内部が見えるように光を当て始めた。
「ああっ、校長先生と教頭先生がこの車のなかに…。」
「双眼鏡なんか持って覗いてるわ。」
「長髪流毛先生、女子更衣室のある方向よ。」
「まあ、なんていう…、いよいよ許せないわ。」
 長髪流毛は目から光線を放って通用扉をまずあけ、すぐに横付けになっている自動車の扉を二箇所ともあけた。運転席のほうに教頭が、後方の座席に校長がいて、ともに座席の床下に仰向けになっていてまさに、まもなく体育の授業が終わって雛乃のクラスの女子生徒が入ってこようとする更衣室に双眼鏡を二人とも向けていたのである。
「な、なんだ。かぎをかけておいたはずなのに。」
長髪流毛先生じゃないですか、その髪の毛はなんなんですか。化けものみたいだ。」
「まあ、校長先生、なんてひどいことをおっしゃいますの?それに何をそこでされてるんですか?」
「髪の毛切らせてなかったのか、その生徒の。」
「まじめに答えないつもりですわね。よろしいですわ。雛乃さん、あなたは教頭先生のほうを襲いなさい。わたしは校長先生を襲うわ。」
「はい。長髪流毛先生、わかりました。」
「こらっ、なにをするつもりだ、女のくせに勝手に車のなかに、あっ。」
 長髪流毛と雛乃のふたりがそれぞれの扉から車内に入り切ると、すぐ扉を閉めた。まず、長髪流毛が威嚇を始めた。
「校長先生に教頭先生。あなたたちがこの学校の女子生徒全員に髪の毛を切らせる本当の目的がはっきりわかりましたわ。髪の毛が長いとじゃまで裸や下着が見にくいから、そうでしょう。」
「お、おまえたちは何をする気だ。」
「許せないわ。地獄に送ってやる。」
「変なことするのやめろ。」
 雛乃も、教頭に向かってしゃべりだした。
「さあ、教頭先生、こんな双眼鏡で無理して覗きたいなら、目の前でわたしがぱーっと見たいもの見せてあげるわよ。ほら、知ってのとおり、わたしの母もストリッパーだったし。」
「やめろ。おまえのなんか…。」
「わたしがデブでブスだからって思ってるからでしょうね。それなら、いやらしいことさせてあげる。としごろの女の子の魅力をたっぷり死に際に味合わせてあげるわよ。」
「ひいー。わしは覗くだけでいいんじゃ。」
「うそおっしゃい。痴漢をしたこともあるでしょう。」
「車の外側の窓を黒く塗ったのが裏目だったわね。じゃあ、もう時間がないから雛乃さん、やってしまいましょう。」
「はい。」
「うわあーっ!」
 長髪流毛の長い黒髪が舞い上がった。雛乃も三つ編みの二本の髪をへびのようにくねくねとさせて教頭の首に近づかせていた。
「やめろ。気持ち悪い!ううっ。」
「いじめがあるのに、ないなんて書いて教育委員会に書類を提出するなんて、どういうつもりかしらねえ。」
 雛乃の恨みがこもった三つ編みの二本のおさげ髪がついに教頭の首の両側から巻きつき、教頭の首をしめあげていた。長髪流毛も校長の首や腹に髪の毛を分けて巻きつけていた。
「もうすぐ五時限目の授業が終わる時間だわ。雛乃さん、殺したらこの後すぐ更衣室に行くのよ。」
「はい。」


 その恐怖がまもなく起ころうとする男子更衣室では、雛乃のクラスの生徒たちが着替えに戻っていた。実はこの更衣室は、この年に学年が変わる頃に例の少子化で生徒がまた一クラス分減ったためにあいた教室をあてたものであった。そのために机といすや黒板に教壇もそのまま残っていた。
 雛乃がラブレターを出していた相手だったという公之が、すばやく着替えてその更衣室から出ていった。
「なんだ、着替えが早いな。やけに今日の公之は。」
「そういえば、今日はあいつの誕生日で、好きなアイドル歌手のCDを親が等身大のポスターつきでプレゼントに買ってくるんで、楽しみにしてるってわけさ。」
「そういえば、小学校二年の時だったか、テレビに出ていたっていうから、アイドルばっかり好きみたいだな。」
 事実、公之は男子便所の大のほうに入ってひそかにポケットからポートを取り出していた。好みである長い髪の毛のアイドルの写真である。
「あれえ?ツイン・テールの髪の毛が後ろになってるぞ。さっき見た時は両方とも前に垂らしていたと思ってたのに。あっ。」
 突然、その写真のなかのアイドルが腕を動かして、その束ねていた髪の毛からゴムをほどき始め、しかも一本ずつ三つ編みを結いはじめたのである。さらに横顔になっていたアイドルの顔が振り向きはじめ、体型も太りだしてきた。
「うわあーっ!」
 公之が驚いたのは、そのアイドルの顔が雛乃の顔に変わり始めたためである
「ど、どうしてあんなやつの顔なんかに…。」
 あわてて公之は便所から廊下に出ると、そこにポスターが張られていたのを見つけた。
「本当は四人のはずのグループがいつのまに五人に、こんな長いポニー・テールの女の子なんかいたっけ。あっ。」
 そのいちばん長い髪の毛をしていた女の子が、そのポニー・テールをほどきだし、また二つに分けて三つ編みを結い始め、身体が太りだして顔もまた雛乃に変わり出した。
「うっふっふ、公之くーん。」
「や、やだ。うわーっ!」
 公之は、となりのクラスの女子たちが騒いでいた週刊誌の記事のように、長い髪の毛の女を振ったら呪い殺されるという迷信が気になっていた。まさか、自分も雛乃に殺されるのかと思い始め、雛乃に会わないようにと更衣室に戻ったが、なんとその男子更衣室内には雛乃がいつのまにか、しかもいつもの三つ編みもほどいて黒髪を広げていたのである。公之はその髪形を変えた雛乃の姿に一瞬興奮していた。
「なんだ、どういうことだ。」
 当然、更衣室内の男子生徒たちも、乱入してきた雛乃に驚いていた。
「雛乃、なんでおまえがここに入ってくるんだよ。」
「そうだよ、まだ着替えてる者がいるんだ、出てけよ。」
「それに、校則違反だろ、その頭は。」
 もともと教室だった更衣室内の黒板から、チョークや黒板消しを雛乃の顔に向かって投げつけた者もいたが、雛乃の身体に当らないうちに跳ね返されて、投げつけた男子生徒に当てられてしまった。
「う、な、なんだ。」
「おい…。」
 唖然とする男子生徒たちを前にして、雛乃がまもなく不気味に笑い始めていた。
「うふふふふ。」
(つづく)
次回予告:第十一話「題名未定」
長髪流毛といっしょに校長と教頭を呪い殺した少女の復讐が、ついに自分をいじめた生徒たちをターゲットに!さあ、呪いの少女の髪の毛があなたの首にも!



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ご 感 想 





2003.12.13(Vol.454) 初出___Cont.No.kamil11    第十二話へ 目次へトップへ

SNAKE様たっちゃん様もまた、ご感想ありがとうございます。 男だけ殺してというのもたしかに、とは思いましたが、基本的に女性上位のコンセプトで作っているので、御許し下さい?今回もまた男性だけたくさん殺しました(笑)。残酷過ぎると問題が大きくなりそうなので、ここは18禁ではないので年少者にも見られるように考えて作っています。
前回もお話した名前については苦し紛れなところもありますが、ドラマ番組の名前は「妖怪百物語」からたしかにヒントをとりました。そのほか、バラエティー番組の名前も出演していた芸能人にしてもビデオを見ていた学生にしても、また学校の名前やとなりのクラスの男女や先生の名前がみんな「名無し」になっています(笑)。 女性だと「子」のつく人が多くなりやすいのでなるべく全く違う名前を使うようにしてややこしくならないように名前は考えています。 かりに自分の幼稚園からずっと学校にいた実際の髪の毛が長い人の名前を使うと正体がばれるのでなるべく避けてますし、有名人からばかりとるのはまずいし、そこらへんは適当です。 ちなみに、いつか出てきた男子生徒に「弓夫」「正哉」「光一」というのがいたと思いますが、実はあるロングヘア関連のHPに載っていたロングヘア少女の「Yumi」「Saya」「Chiiko」をもじって男の子ですから決して本人のことではないということでその名前にしていました。

しかし、「貞子ゲルゲ」ですか。同じようなことを考えている人がいるのか、さすがに私は貞子さんの名前は恐れ多くて使えません。

では、お待たせ。本番?に入ります。

 長髪流毛の訪れた中学校の、女子更衣室では、雛乃のクラスの女子が体育の授業を終えて着替えに戻っていた。
「あーあ、今日の体育、すごくきつかった。」
「いきなり兎飛びにマラソンだもの。」
「いいわよねー。約1名、こんなときに生理中で休んで見学どころか、どっかへ行っちゃったのがいたし。」
「ああ、雛乃のことね。教室にいるのかしら。いなかったら、またあいつの椅子の上に画びょうでも貼っておくか。あっ。」
 更衣室の扉があけられ、なんと校長先生と教頭先生の身体が立たされたまま現われていた。
「きゃーっ!やだー!エッチな校長と教頭が来たわ。」
「またなにしに来たんだ!出てけよ!このスケベ!」
 女子生徒たちは、この女子更衣室も元教室だったため、黒板やチョークが残っていてそれらを校長や教頭の顔を目がけて投げつけた。しかし、当てられても校長たちの表情が全く代わらなかったため、女子生徒たちは不審に思い始めた。
「ちょっと待って。白目を向いてるわよ。」
「変ね。まさか、あらっ、その後ろにいるのは担任の先生じゃないの。」
「おほほほ。びっくりしたでしょ。」
「なあんだ、先生か。でも、どうして校長と教頭をこの更衣室なんかに連れてきて、やだ。もしかして…。」
「うふふふ。」
「先生、そこにいる校長先生と教頭先生、生きていないみたいだわ。」
「えっ?や、やだー!」
「し、死んでるの?どういうこと?」
「あら?そっちにいるのはだれ?」
 校長の後ろにいたのはもちろん長髪流毛だった。自ら車のなかで殺した校長の遺体を立たせながらここまで運んでいたのである。となりには、雛乃によってロンゲルゲになった担任の女教師が長髪流毛に招かれて、雛乃の殺した教頭の遺体を同じように運んでいたのである。
「うふふふ。」
 女子更衣室の扉が閉められ、長髪流毛の目が不気味に光り始め、更衣室内に閃光が走り始めた。
「ぎゃーっ!」
「な、なによ。」
 更衣室のなかが急に真っ暗になってまわりに何も見えなくなっていた。



 いっぽう、男子更衣室のほうでは…。
「うふふふ。」
「いったい、なんだよ。男が着替えているところにわざわざ入ってきて、そんなにもっといじめられたいのかよ。」
「だから、おまえたちに復讐に来た。」
 もともと教壇だった机の上に雛乃は上がり始めた。
「なにを始める気だ?あいつは。」
「これから、ストリップをやるの。わたしのおかあさんも、ストリッパーだから。ほんとうはわたしは、バレリーナになるのが夢だったんだけれど、おかあさんとおなじ道を選ぶことにしたの。まず、おまえたちに成果を見てもらいたいと思って。」
「ばか、ブスのおまえのなんか見たってしょーがねーよ。」
「そうだよ。おい、だれか着替え終わったやつ、先公呼んでこいよ。おっ、公之、戻ってたのか。ちょっと行ってきてくれないか。」
 自分にラブレターを出していた雛乃の行為に唖然としていた公之だったが、やっと呪縛から解けたように身体を動かし始めた。
「わかった。」
 ところが、扉はしめられて開かないのである。
「な、なんだ、出られないよ。」
「おかしいな。ちょっと手伝ってやるか。」
 その場に数名加わったが、扉は開きそうにもなかった。
「むだよ、この更衣室は、おまえたちが死ぬまで開くことはないわ。」
 教壇の上から雛乃が見下すようにまた話を始めた。
「し、死ぬって、ばかみたいなことまた言ったな。」
「おほほほ、だからこの世の最後におみやげにわたしのストリップを見せてあげようと言っているのよ。」
「ひ、雛乃…。」
 公之がやはりいちばん驚いているようであった。
「さあ、やるわよ。みんなよく見なさい。ジャンジャン、ジャンジャカジャッカジャカジャン、チャーンチャーカチャララカチャーンチャチャー、ちょっとだけじゃないわよお。」
「よせ、歌うな。耳がくさる。」
(これはもちろん、昔流行したあのドリフターズのギャグであるが、ここにいるのはみな生まれてなかった中学生であるから、そのギャグは知らない。また、雛乃にとっては自分の母親がいつも芸をやっていた時のBGMの子守歌であって、やはりドリフは関係ない)
 実際、雛乃の歌声は悪魔どころか、とても聞けたようなものではないまた音痴であったが、その歌声によって男子生徒たちは頭が狂わされていた。
「やめろ、よせ。」
 そのなかにあって、やはりスケベな者はいる。
「それなら、せっかくだからのぞいてやるか。他のやつに気づかれないふりをしてな。」
 ところが、スカートをあげたなかからはまぶしい閃光だけが男子生徒たちに放たれたのであった。そのため、いまの最もスケベなその男子生徒はまともにその光を受けて目をやられ、見えなくなってしまった。
「ううっ。」
「おろかな者たちめ。さあ、わたしの復讐を思い知るがいい。」
「あーっ!」
 もと教室の更衣室内がまぶしい光ばかりになり、また机なども宙に舞ったりして、室内はだんだん何がなんだかわからなくなっていった。


 そのころ、更衣室の外側の廊下では、次の時間が体育の授業なので着替えようとして待っているとなりのB組の生徒達が、体操着を抱えながら男女とも待っていた。
「おかしいなあ、更衣室の扉がなんであかねーんだよ。」
「ええっ?男子のほうも?女子の更衣室もあかないわよ。」
 さきほど、校長と教頭の遺体を抱えて長髪流毛らが女子更衣室に来た時はすでにチャイムも鳴っていたが、B組の前の授業は数学で計算問題解答の解説を時間内にきっちり終わらせられなかったため、授業が少し長引いたので生徒の更衣室に来る時間も少し遅れた。
「まだ、開かないのかしら。悪いけど、ちょっと体操服持ってて。トイレ先に行ってくる。」
「いいわよ。」
 そう言って、体操着を級友に持たせてトイレに行った生徒は、千鶴枝(ちづえ)だった。実は、B組にいた生徒で、小学校の途中まで髪の毛を長くしていたと言っていたのはこの千鶴枝であった(註:第九話)。両親がロングヘア好きということもあってずっと髪の毛を長くしていたのに切ったのは、実は公之の出ていたテレビ番組を見たためであった。つまり…。
 公之はこの千鶴枝と同じクラスになったことはなくしゃべったことも全くなかった。ところが、小学校の入学式でただひとり髪の毛をツインテールにしていた千鶴枝の姿をたまたま目にした公之はひと目で好きになっていた。そして、機会があるごとに千鶴枝のいた隣のクラスをのぞいては確かめていた。最初に見た時には胸の先ぐらいまでだったが、一年生の夏休みが終わってから腰ぐらいまで伸びて三つ編みの姿も見せるようになり、公之の思いがますますエスカレートしていた。この好意に千鶴枝も、もしかしたらというぐらいまで少しずつ気づいていた…が、千鶴枝にとって公之は好みではなく、一方的な公之の片思いだった。
 すでにおわかりのように、公之は二年生の時にテレビに出ていたのだが(註:第十話)、このことを公之は当時担任の先生や級友などには知らせていなかった。と、いうのはあの番組と同じ時間帯に当時大人気のアニメ番組があったためで、みんなそっちを見るだろうというのと、結局出てみて恥ずかしいと思ったためであった。放送された時は学校で話題に合わせなければと思って結局公之も自分の出た番組を見ないでアニメのほうを見ていた。いちおう、親はビデオにはとってあるが、ずっと映し出されないまましまいっぱなしである。
 だが、千鶴枝のほうは、実はただひとり公之のいた小学校の児童で見ていたのである。それというのも、三つ年上の、つまり当時小学五年生の姉がいて、番組にゲスト出演していた人気歌手の熱心なファンで、小学生の場合は同性の芸能人に憧れる傾向が強いが、その日は正規の時間で見るチャンネル権を姉に取られていたのである。もちろん、ビデオがあったからアニメはそちらでとって後で見ていたが、たまたま姉と一緒に見た番組で公之の姿を見つけ、髪の毛が長い女の子が好きということがわかって、やっぱりあの子は…ということになって、千鶴枝はそれからまもなくして肩すれずれまでにして、また学年が変わる頃には刈り上げにまでしまった。
 公之はもちろん残念に思って結局以前のように千鶴枝の姿を教室で確かめるためにのぞくということはしなくなったが、千鶴枝が番組を見ていたとは思っていなかった。実際、人気アニメの裏番組のために視聴率が低くて三か月で打ち切りになっているから、番組自体知られていない。人気アイドルはともかくも、二流の女性漫才しか呼べないような程度ではたかが知れているといったら語弊があるかもしれないが、ではなぜ公之がその番組を知ったかというと、アニメがたまたま野球中継のために放送されなかったことでほかにチャンネルを回したところ、番組中にもあったように子どもの相談コーナーがあって、いたずらで葉書を出したら、競争率も低かったが出演に当選してしまったのである。公之は、アイドルやアニメは好きでも野球には関心がなかった。その時のほかの男子はほとんど野球を見ていた。なお、さきほど、同級生の男子生徒が彼はテレビに出ていたという話をしていたが、別の小学校出身でたまたまつい最近アイドルのことが話題になるとテレビに出ていたことを本人から聞かされていたのである。
 ちなみに千鶴枝の姉も親の好みに合わせてずっとロングヘアであるが、切らずにいるのは、こちらは当時同級生の好きな男の子と両思いでいまもつきあっているという。
 その千鶴枝に対してその後の公之だが、最初は顔もかわいいと思っていたのに、身長も高いほうになってきたのでだんだんかわいらしさがなくなって来たという感じではあった。しかし、少し面影があるという程度で多少の好意は残っていた。それでも、公之の片思いには変わりはない。
 千鶴枝が女子便所に入ると、一室しか開いていなかったので、そこに入った。ところが、そのなかには、あの雛乃がいたのである。
「あ、あんた、C組の…、そこでなにしてるの?あっ。」
 扉が閉められてしまった。千鶴枝と雛乃も同じクラスになったことがなくしゃべったことはなかったので、雛乃をいじめていたことはなかったが、雛乃がいじめられているのを見ても千鶴枝はかかわりたくないと小学校の時から無視しているだけであった。
「うふふふ、おまえも仲間にしてやる!」
「い、いったいなによ。あんたやっぱり、変な子だわ。あっ!」
「くくくく。」
 雛乃の顔が変わり始め、牙がはえて千鶴枝に襲いかかりはじめた。
「きゃあーっ!」
 すぐに千鶴枝の肩にかみつき、ばさっと自分の黒髪を千鶴枝の肩にかけて雛乃は血を吸い始めた。なお、もちろん雛乃は転校してきたので髪を長くしていた頃の千鶴枝を知らず、自分が好意を寄せている公之が好きだった相手であることもわかっていない。





 雛乃が去っていった男子更衣室のようすをずっと見ていた者はいなかった。2年C組の男子全員が倒れていた。そのなかで、ひとりだけ気づいて目をさました者があった。ほかならぬ公之であった。
「う、うう…、あっ。いったいみんなどうしたんだろう、おい、はっ。」
 他人の身体を起こそうとした公之だったが、まるで反応がなかった。
「まさか…。」
 級友の心臓のあたりに耳をあててみたが、動いているようすがなくなっている。それはひとりに限らず、どの生徒の身体に近づいても同じだった。
「どうしたんだよ、起きろ、あっ。」
 雛乃を最もいじめていた番長格の生徒の大きな首が、とつぜん折れてころがりだしたのである。公之はもちろん驚いた。
「うわあーっ!」
 公之はあわててその更衣室内からようやく扉をあけて外に出たが、すでに半狂乱状態になっていた。なお、すでに次の授業時間は始まっていて、着替える予定だったB組の生徒たちは、結局男子は体育館で授業をやるのでみなそちらに行って着替え、女子は教室に戻って着替えていた。このため、すでに廊下には誰もいなかった。ちなみに、公之のクラスであるC組は、実は担任ですでにロンゲルゲにされている女教師の国語の授業のはずだが、C組の教室には誰もいない。
 公之は、顔を洗おうと男子便所に入っていた。
「変だな、背中のほうになにかばっさりとおおいかかってきているような…あっ。」
 公之が自分の首のほうに手をさしだして、そのおおわれているようなものをひとつかみにしてみると、頭がひっぱられたように感じた。
「痛い、なんだ。あっ!」
 鏡を見ると、自分の首の両側には髪の毛が長く伸びていてしかもうなじの両側を黒いやや太めのヘアゴムが束ねられてふたつのおさげ髪にまとめられ、その先は腰のあたりまであった。まるでおさげの少女のような姿になっていたのである。
「いったい、こんな女みたいな姿、いつのまに髪の毛が…、はっ、まずい、こんな姿を他人に見られたら、あっ。」
「うふふふ。」
 現われたのは、あの雛乃だった。さきほどと同じように髪の毛はほどいて背中におろしたままだった。

「よ、よせまた。ここは男子便所だぞ、あっ。」
 雛乃のあとから、同じクラスの女子生徒たちも入って来た。しかも、男子便所の大便用の便器室からも扉が開いて、そこからも一人ずつ女子生徒が現われていたのである。
「な、なんだ。いったいみんな。女子ばかりで。」
「おほほほ、公之くん、よく来たわ。更衣室で見たとおり、あなた以外のクラスの男子生徒はみんな死んだのよ。」
 なんと後ろからは担任の女教師も現われてきたのである。女子生徒たちはさきほど女子更衣室でみな長髪流毛に洗脳されている。
「先生まで、みんな変だ。どうなってるんだよ!」
「もう、あなたは逃げられないわ。」
 公之の前に雛乃が立ちはだかった。そして公之の身体を正面から抱きつき始めた。
「やめろー!雛乃、おれはおまえなんかに…、ううっ!」
 雛乃が公之の伸びたふたつに束ねられている髪をそれぞれ両手でわしづかみにした。
「あなたがいま髪にまとめている黒いヘアゴムは、いつもわたしが三つ編みして毛先にとめているものよ。わたしの髪の香りがあなたのうなじにもしみてゆくのよ。うふふふふ。」
「ううっ。あっ、ほかのクラスの女まで。」
 さきほど、雛乃が襲って以前に公之もあこがれていた千鶴枝も入って来た。
「ねえ、あなた、たしかテレビに出ていたことがあったわよねえ。そのとき何て言ったか覚えてないかしら。雛乃さんのような、髪の毛が長い女の子だったら好きじゃなくても恋人になるって言ってたんじゃなあい?」
「し、知らないよ。そんなの、忘れたよ。」
 担任の女教師もまた話し始めた。
「ふふふふ、本当は公之くんは雛乃さんのことが好きなはずよ。ちゃんと身体がこうふんしているのがわかるわ。それに、髪の毛が雛乃さんと同じくらい長くなっているのがいちばんの証拠よ。」
「この髪の毛がどうして…。」
「さきほど、更衣室で雛乃さんが煙をまいたからよ。ほかの生徒はみな死んだから関係ないけど、あなたは生き残ったわ。その煙を受けたら男の子は好きな女の子と同じ髪の長さになってしまうの。このまえ、近くの小学校であった事件のようにね。」
「そ、そんな、俺がどうして雛乃のことなんか…。」
「あなたは、いじめられている雛乃さんといっしょにいると自分もいじめられるからと思っているみたいだけど、もうそんな心配はいらないのよ。男子生徒はさっきも言ったとおりみな死んだし、女子はみな仲間になったわ。」
「仲間って?いったい…。」
「おほほほ。わたしたちはロンゲルゲ。校長も教頭も死んだし、もうこれからは髪の毛を切らなければならないという校則もなくなるの。というより、これからは全員髪の毛が長くするように校則が変わるのよ。わたしも髪をこれからは伸ばすようにするわ。」
「うれしいわ。ずっとあこがれていたロングヘアにすることができるのよ。」
 女教師に続いて周囲の女子生徒たちも声を揃えていた。
「さあ、公之くんもロンゲルゲの仲間になるのよ。あなたはクラスでただひとり、髪の毛が長い女の子が好きだから生き残れたのよ。」
「ああーっ!」
 雛乃の目がまた光りはじめ、口から牙がはえてきた。公之の背中にかかっているふたつに束ねられた髪の毛をそれぞれ両手でわしづかみにしたまま、雛乃が公之の首の左側から顔を近づけ、ばさっと公之の肩に自分の髪の毛を覆って公之の首筋に牙を近づけはじめていた。
「くくくく。」
「ううっ。」
 便所の閉められた扉の外側では、水晶玉を片手に持ったままうつしだされた中の様子を見ながら、また片手を口にあてて不気味に笑う長髪流毛の立つ姿があった。
「うふふふふ。」
(つづく)



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感 想





2003.12.23(Vol.458) 初出___Cont.No.kamil12     目次へトップへ


 ここはスタジオの通路である。
「あ、水島由香さん、ありがとうございました。お陰様で撮影も順調に進みました。来年もぜひよろしくお願いします。」
「いいえ、とっても楽しかったですわ。こちらこそ、来年もよろしくお願いいたします。」
「それは、そういっていただけるとうれしいですね。なにか、印象に残っていることありますか?」
「そうですね。子どもたちの、特に男の子の血って、ほんとうにおいしいんですね。」
「やだなあ、じょうだんはやめてくださいよ。演技のなかの話は。」
「でも、ほんとうに吸っちゃったんです。ちょっと強くかみついたら、その子の首から血が出て来たので、癖になってしまって、とくに男の子を相手にすると。わたしのほかにも、女の子の出演者でやっぱりほんとうに男の子にかみついて血を吸ってしまった子もいますわよ。」
「おいおい、ほんとうに由香さんが支配者の長髪流毛になっていたらたいへんだ。」
「そうですわね。ほら、この牙、来年も使わせていただけるんですわね。」
「わっ、ちょっとかんべんしてよ。もう、こりごりだよ。」
「あらァ?」
「どうしました?」
「ほら、あそこならんで歩いているふたり。右の女の子は太っているからすぐ雛乃ちゃんの役をやっていた子だとわかるんだけど。左の男の子って公之くんかしら。」
「ああ、そうですね。彼は雛乃ちゃんの役の子をわれわれが全国から探し出して見つけてつれてきて決めた時、まっさきに自分からこの役をやりたいって言い出して、彼女が好みのようで、これには彼女のほうもびっくりしてしまいましてね。」
「まあ、それじゃ、お話のなかとは逆ですわね。」
「そうなんですよね。まあ、台本にあるとおりの容貌の不自由な女の子って、そうかんたんに見つかりませんでしたからね。やはり、話のとおりに性格が暗くてずっといじめられていたらしいのですが、まさか自分のことを好きになってくれる男の子がいるなんて信じられなくてそんなにいないと思うので、いちおう相手になっているようですね。もし、ちょっとプライドの高い女の子だったらOKはしないでしょうけどね。」
「ほんとうに、彼女のことを彼は好きみたいですわね。やたら髪の毛なでたり肩を抱いたりして、ちょっとあぶない感じもするけど。」
「どうなりますかね。それじゃ、スタジオの後片付けしますので、来年も宜しくお願いします。」
「こちらこそ。」



「くくくく、ちゅばっ、ちゅっ。」
 ここは、小学校の保健室。中学校へ行っている長髪流毛に代わって留守番をしている昌浩が、またお尻ぐらいまである幼女の背中に広がっている長い髪の毛をなでながら、気絶したままの幼女の首筋に噛みついて血を吸っていたのである。昌浩の胸まである長い黒髪も、幼女の肩にばさっとかかって幼女の腰にとどくぐらいまで覆われている。
 幼女の血をたっぷり吸いきり、首をあげて前に垂れていた自分の髪を背中にはらいのけると、昌浩はしばらく幼女の寝顔を見つめていた。
「けっこう、かわいい顔をしてるな。こんな女の子を悪魔にしてしまうなんて、自分も残酷だな。そろそろ目をあけそうだな。あっ、口があいてなかから牙が…、さあ、お嬢ちゃん、おまえも今日からロンゲルゲだよ、うっひっひ。」
 昌浩は、多少悪魔になりきった口調で幼女に話しかけたが、すると幼女も長い黒髪を不気味に舞わせながら起き上がり始めると、昌浩の胸にとつぜん抱きつきはじめたのであった。
「うふっ。」
「ちょ、ちょっと、この子なあに?いきなり、ぼくは人間じゃないよ。君は人間の血を吸うんだよ。髪の毛長いから、人の血が吸えるんだよ。あっ。」
 幼女は、昌浩の膝にまでのりこんで腕を伸ばし、昌浩の背中にかかっている髪の一部をわしづかみにして引っぱり始めた。
「うふっ、うふっ。」
「やだ、やめて。あっ、嗣代ちゃん、ちょっと助けて。」
「あらっ、昌浩にいちゃんが、こら、やめなさい。」
 嗣代がやっと幼女の背中から両腕をつかんで、昌浩から身体を離した。
「びっくりした、やっと嗣代ちゃんが長い髪の毛の子連れてきてくれたけど。なんかこの子過激すぎるよ。」
「やっぱり、年少組でいちばん大きい子なんだけど。」
「ええっ?年少組ってまだ3歳ぐらいじゃない?あまり小さすぎる子から吸うのも考えものだな、あ、ごめんね、嗣代ちゃんがせっかくつれてきたのにね。」
「そういうおにいちゃんのやさしさが、摩亜弥ねえちゃんにつけこまれるから気をつけたほうがいいわよ。さあ、おにいちゃんは勉強でいそがしいから、となりの理科室であそびましょうね。」
 嗣代がやっとその幼女を連れていって、昌浩はほっと胸をなでおろしていた。そして幼女に乱された髪を整え直すために鏡に向かっていた。
「やれやれ。長髪流毛先生、まだ帰ってこないのかなあ。」





 その長髪流毛は、中学にある男子便所の扉の前で水晶玉を眺めていた。
「うふふふ。これでこの、公之もロンゲルゲの仲間よ、はっ。」
 雛乃に血を吸われそうになっていた公之だったが、意外なことが起きた。牙がさされようとしていた自分の首のところに左手の手首の、ちょうど腕時計があるあたりで割り込ませて、雛乃の首をはねあげ、あやうく血を吸われるのを逃れたのである。
「ああっ、しまった。」
 雛乃は、公之の髪の毛だけをわしづかみにしていたので両腕をおさえつけるのを忘れていたのである。
「かんたんには吸わせないよ。」
「ふふふふ、そうはいってもこの狭い便所のなか、女子もみんなロンゲルゲの仲間になっているのよ。あなたはもう逃げられないはずよ。」
「待ってよ。ぼくのことをどうするつもりなの?」
「さっきから、公之くんもわたしたちの仲間にするって言ってるじゃない。」
 女教師や、千鶴枝らが公之の言葉に返事をしていた。
「それで、ぼくが雛乃のことを好きになるわけないだろう。第一、クラスの男子を全員殺したんだって?ひどいじゃないか。みんなたいせつな友だちだったのに。どうしてくれるんだよ。」
 ここで、雛乃の表情もゆるみ始めた。すると、担任の女教師がまた口を割り始めた。
「みんな、いったん外へ出て。」
「えーっ?」
 女子生徒たちはいっせいに奇声をあげていた。
「先生が、彼に話をしておくことがあるの。もう授業時間だから教室に戻りなさい。あ、千鶴枝さんは隣のクラスだったわね。早く行かないと。」
「はい。」
 こうして、本来は男子便所であるはずの場所に入っていた女子生徒たちは雛乃も含めてそこを出ていた。この女教師をロンゲルゲにしていたのはもちろん雛乃だったが、その女教師に長髪流毛からの命令も入っていたのである。
「公之くん。」
「先生も、雛乃と同じ化け物になってるんだろ。」
「ふふふふ。さっき、男子生徒をみんな殺したと言ってたけど、実は死んでないのよ。」
「ええっ?だって、番長の首が…。」
「ばかね、あれは人形よ。」
「人形?ふざけるな。」
「更衣室の天井裏でみんな眠らせているわ。ただし…。」
「なんだよ。」
「あなたが、男子生徒たちを生き返らせたいと思うなら、雛乃さんの好意を受け入れてロンゲルゲになることね。それしか方法がないわ。」
「それしかないって…。」
「きょう、太陽が沈むまでに、あなたに考える時間を与えておいてあげるわ。もし、公之くんが拒むのなら、男子生徒たちみんなはそのまま死ぬのよ。わかったわね。」
 そう言うと、女教師も便所から外に出ていったのであった。
「そんな、いったい、どうすればいいんだ。」
 公之はしばらく便所のなかで頭をかかえこんだままだった。
 いっぽう、女子だけのC組の教室では女教師による国語の授業が行われていた。


 その6時限目の授業も終わるチャイムが校内に鳴り響いた。
「教室にも戻れないし、このままかばんも持たずに学校を抜けようか。」
 公之は、ようやく便所を出て階下の靴箱で土足靴にはきかえた。まだ実際には最後の担任教師の伝達があるので、生徒は教室に残っているままであるが、公之は自分の髪が伸びておさげになっている姿を見られたくないからと早めに抜け出そうとしたのである。ところが、その校門を出ようとしたとき、校舎の裏側に目をやったために恐ろしい光景を見てしまったのである。
「あの長い髪の毛の者は、もしかして雛乃…。」
 事実、雛乃は一年生の女子生徒を襲っていた。たまたま数学の授業で使う教材用具を準備室に返して自分のクラスの教室に戻ろうとするところを、獲物を探していた雛乃に見つかってしまったのである。この学校でただひとり髪の毛を長くしている女子生徒である雛乃は、ただひとり他人を襲ってロンゲルゲにすることのできる者だから教室も抜け出してロンゲルゲにする相手を探していたのである。
「うふふふ、あなたはかわいい顔しているわね。男の子に人気がありそうじゃない。」
「なにをするんですか。こんなところに連れてきて。」
「あなたをロンゲルゲにするのよ。うふふふ。」
「きゃあっ!」
 雛乃が口を大きくあけてなかから牙を光らせていた。そのとき、雛乃の両腕を後ろから引っぱった者がいた。ほかならぬ公之だった。
「やめろよ、さあ、いまのうち、逃げて。」
「はい。」
 雛乃に襲われかけた一年生の女子生徒が言われたように逃げていった。
「よくも、わたしのじゃまをしたわね。」
「雛乃、やっぱりおまえは、悪魔の化け物になってしまったんだね。いいよ。もう、ぼくのことを仲間にしたければ、それでクラスの男子生徒が助かるんなら。」
「かくごを決めたようね。たしかに、もうわたしには人間の心なんかないわ。」
 雛乃の牙が再び光り出した。
「ああっ。」
「くくくく。」
 ついに、雛乃は公之の両肩をとらえ、ばさっと自分の黒髪を公之のその片側の肩にかけて公之の首筋にかみつき、血を吸い始めたのであった。
「あ…ああ、ああ、うう…。」
 公之は雛乃に噛みつかれた痛みを感じながら、少女特有のフェロモンにも心地よいような感触を味わっていた。雛乃の髪の香りがこんなにもいいものだったとは…、自分はやっぱり雛乃のことが好きだったのかと、改めて問いたい気持ちになっていた。
 公之のクラスの男子生徒たちは、たしかに更衣室の天井裏で眠らされていた。ようやく、みんな起き上がった。しかし、それらは…、まず、番長格の男子は両腕が切断されていた。
「な、なんなんだよ、これは。」
 雛乃のストリップをじかに見ようとして目をやられたスケベ少年は、そのまま両目が失明していた。ほかにも耳が聞こえなくなったり、片足がもがれていたり、このように実はみんな五体満足で眠りからさめたわけではなかったのである。公之も結局、髪の毛が伸びる奇病にかかったのだから、クラスの男子全員はこうして雛乃に復讐を受けてしまったのであった。
「うふふふふ、結局、公之くんは雛乃さんの手に堕ちたようね。これで彼女もいじめられなくなるはずだわ。」
 水晶玉を再び手にして、長髪流毛が不気味に笑っていた。





 不気味で恐ろしい顔に変身するその姿とは逆に、やさしい顔をしている長髪流毛の写真を眺めていたのは、小学校の保健室にいた昌浩だった。髪の毛を一本の三つ編みにまとめて、腹の所で折り返して黒くて太いヘアゴムで幾重にも巻いた毛先を口に加えた姿だった。
「長髪流毛先生…、あっ。」
「うふふふ。」
 昌浩の股間をいきなり手でさわりに来ていたのは三つ編み姿の摩亜弥だった。
「やだ、なにするの。」
「この写真、もーらった。」
「ちょっと、返してよ。」
「うふふふ、だーめ。」
「もう、ああっ。」
 摩亜弥に、眺めていた長髪流毛の写真を奪われ、取り返そうとして追いかけた昌浩だが、背中に自分の長い黒髪がばさっとかかってきて動作も女性的になってしまい、すばしっこい摩亜弥の行動に追いつけない感じだった。しかし、そこへまた妹の嗣代がやってきて、摩亜弥の写真を持っていた手首をつかまえた。そして、摩亜弥から写真を取り上げて嗣代は昌浩に手渡した。
「ああっ、嗣代ったら。」
「はい、昌浩にいちゃん。」
「あ、ありがとう。」
「嗣代、あたしの奴隷なのに昌浩にいちゃんに味方するのね。」
「長髪流毛先生から命令が入ってたのよ。摩亜弥ねえちゃんが、昌浩にいちゃんのことをいじめるかもしれないからしっかり見張ってって。」
「あーん、もうひどい。あたしには味方はいないのね。」
「なんだい、摩亜弥ちゃん、急に。」
「だって、家ではママは嗣代ばかりかわいがるし、パパは京香ねえちゃんばかりえこひいきしてほしいものなんでも買っている。昌浩にいちゃんのおとうさんも、あたしが襲って血を吸おうとしたら、京香ねえちゃんのほうへ行って血を京香ねえちゃんに吸わせたじゃない。」
「ぼくだって、京香ねえちゃんをロンゲルゲにしているのに、京香ねえちゃんは相手にしてくれないよ。」
 そこへ、嗣代も割って話を始めた。
「京香ねえちゃんはそういえば、パパやおじさまなどがお好みみたいね。若い男の子には興味がないらしいわ。たしかに。」
「嗣代ちゃんも、けっこうませたこと言うなあ。あれ?」
「どうしたの?」
「いま、何時だっけ。ほんとうは、ぼくたちも授業に行っていなきゃいけないのに。」
「わたしたち、気分が悪いから保健室にいて寝ていることになってるんでしょ。ベッドに戻っていなきゃだめじゃない。」
「そういえばそうだな。わかった。戻ろう。」
 こうして、昌浩と摩亜弥のふたりは、保健室のベッドに戻ってカーテンを閉めた。そのとき、外ではとつぜん夕立ちが起こって雷が鳴った。中学校ではちょうど雛乃がクラスの男子生徒たちを半殺しにしようとしていた時であった。摩亜弥が雷を聞いてすぐに昌浩の胸にとびこんでいた。
「こわい、雷、やだ。」
「ベッドはもうひとつあるのに。」
「たしか、十字架もにんにくもきかないドラキュラが、雷に打たれて死んだって映画あったでしょ。だから、あたしも雷こわいの。」
「もう、しょうがない子。もういちど、血を吸ってあげようか。」
「ほんと?」
「うん。」
 摩亜弥の両手が昌浩の背中におろされていた黒髪にふれると、昌浩も興奮して摩亜弥の三つ編みにしている二本の髪の毛先をわしづかみにして引っぱり、ばさっと摩亜弥の肩に自分の黒髪をおおいかぶせて摩亜弥の首すじに牙を立たせ、血を吸い始めたのであった。摩亜弥の髪はそういえば昌浩が編んでいたのである。

 今年一年間、どうもありがとうございました。この第十二話をもちまして、いったん「3」のつく日に10日ごとに掲載していただいた「吸血怪人ロンゲルゲ」はいったん休止いたします。
 また、気が向き次第(わがままにも?)再開したいと思います。



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「吸血怪人ロンゲルゲ」(ご感想)パート
たっちゃん さん  2003.11.27(Vol.448) 初出___Cont.No.tacha01    
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SNAKEさんが立派な感想を書かれていますので、私なんぞは流し読みしているだけですので、これまで感想を書きませんでした。
実は髪伊良さんの「吸血怪人ロンゲルゲ」が、一番私の好みなんです。長い髪の毛には、魔力が潜んでますので、私なんぞは、長い髪に巻きつかれて死ねたら本望です。

<編集・発行者からの御礼>
たっちゃんさん、ご感想ありがとうございました。
よろしかったらこれからも、お時間のよろしい時で結構ですから、ご感想をいただければ幸いです。
今回はまことにありがとうございました。
「吸血怪人ロンゲルゲ」(ご感想)パート
SNAKEHEART  2003.11.27(Vol.448) 初出___Cont.No.snake09    
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編集・発行者からの御礼−−第九話「呪いの不美少女」
髪 伊良さん、今回は(おそらく)これまでで最大の力作だった「吸血怪人ロンゲルゲ」の新作、第九話 「呪いの不美少女」の ご執筆・ご投稿、まことにありがとうございました。
それから、ファイルが大きくなってきましたし、本文中でも > また新たな展開になります と仰ってましたので、今回より新しいファイルとしました。
それにしても(また後で詳しく触れますが)今回は大作だったと同時に、なにかとてもペーソス溢れる内容でしたねぇ。 しかもハチャメチャな連中(校長、教頭、2年C組の担任)まで出てきて、 最高に面白かったです。勿論いつも面白いんですけど、今回は “特に私の感性にハマった” と言ったことでしょうか。
あっ、そうそうそれから文中で、 > 「髪を長くする女って、みなブスばっかりだったもんな」 というセリフが有りましたが、ロングヘアーの女性はどうか “真に受けないで” 下さいね。 男の子って照れ隠しなどでよくこういう事を言ったりしますので.... ま、“日常よくある光景を切り取った” という風に見て下さいませ。

さて今回は先ず、長髪流毛さんが訪れた中学校で男女生徒達が週刊誌を見ながら雑談して、 そこからこの中学校の異常な(校則による)現状とそして今回の主役の(残った1人のロングヘアー少女) 雛乃ちゃんの事が語られるという導入部が有り、そしてタイトルが出て、 雛乃ちゃんを中心としたメインストーリーが始まるという展開が実に素晴らしかったです。
“残った1人のロングヘアー少女” という発想がすごく哀愁を誘いますよ (通常のありきたりな作家の一般小説では、ロングヘアーを中心に話が展開なんてしませんもんねーー)。 ちなみに雛乃ちゃんの名前の由来は....あの “ぴょんぴょん” のひなの??
で、その生徒達の雑談の中に有りました4件の(髪の毛による呪いの)殺人事件については、 「呪いのロングヘア」の 後ろの方に有った<つけ毛くわえ>に書かれていた > 女の子は自分の髪の毛先を机などに垂らしてその上から針を刺して呪いたい相手を念じると、 呪うことができてしまうのだそうだ・・・黒髪でなければ効果はないという の所も思い出しましたヨ。で、この週刊誌に書かれていた “髪の毛による呪い殺し事件” は、 なにかこれからの伏線になっているんでしょうかねぇ???


さて、そしてメインストーリーですが....前回> 木陰にぽつんとひとりでいた女子生徒の後ろ姿を見つけていた・・・ 長髪流毛はその女子生徒のいるほうへ足をゆっくりと運んでいった という終わり方をしてましたよね。 それから私は感想の中で > 何となくこれまでとちょっと違った展開になりそうな予感もするのですが と申しましたが....これは実は私、『この女の子が一人ぼっちなのは、前夜にギョーザを目一杯食べて 口がクサイからなのカナ?  そしてそれを知らずに近づいてきた吸血鬼の長髪流毛さんがニンニクの臭いを嗅いで卒倒するのでは?』 なーーんてアホな展開を勝手に想像してたんですよ。 でもそんな私のアホな想像と全然違う内容の深いストーリーでしたねぇ、サスガ(^_^ )。
で、先ずは、長髪流毛さんが雛乃ちゃんの髪の毛を「綺麗」と言おうとしたら 烏がオシッコをかけてきたために「きれ…」の所で切れてしまって、 > 「髪の毛を切れっていうんですか?」 と雛乃ちゃんが誤解してしまうと言うシークエンスがとても『上手いなぁ』と思いました。 こういうシーンをさり気なく入れてしまうところも流石髪伊良さん!....で、もしかしたらこの烏も何か これからの伏線???(何でも疑ってしまう私 ^_^ )
その後、“丸めて捨てられていたラブレター” とか “公之くんの持っていたアイドル歌手のブロマイドがみんな長い黒髪だったので、 髪の毛が長い女の子が好きなのだろう” とかの細かい描写がまた良いですね。 雛乃ちゃんの “悲劇の少女” キャラクターが一層明確化されているようですし、 そして極めつけは “お母さんがストリッパーで、自分は父親を知らない私生児だ” ですね。 『ああ〜〜もう、そこまで考えるぅ?』ってな感じですね(^_^ )。

で、話は少し前後しますが(最初にも触れましたが)今回は3人のハチャメチャな人物 (校長、教頭、2年C組の担任)の登場がもう最高に面白かったですヨ。
そのなんとも大人げない “ロングヘアーへの逆恨み” ぶり.... > 好きな男を何度も長い髪の女に取られたから とか > 二度も長い髪の奥さんに浮気されて離婚してるから とか > 痴漢をしていて見つけられて突き出された相手が長い髪の女だから とか、この部分には大爆笑させて頂きました....もう「素晴らしい発想!」の一言です。 いつもはややニクニクしげな長髪流毛さんが今回はなぜかとても優しいお姉さんに見えてしまいましたヨ(^_^ )。 それにしても長髪流毛さんの水晶玉って、人の心の中まで覗く事ができるんですねぇ。

でもやっぱり一筋縄で行かないのが長髪流毛さん、最後の方ではいつも通りの口八丁ぶりを発揮して 遂に雛乃ちゃんまで下僕にしそうですね。 長髪流毛さんの口から> 「ええ。好きな人のために伸ばしてたのよ」 なんて言ったって、(これまで長髪流毛さんを目一杯読んできて性格を知っている)我々読者は 「うそこけーー!」と叫びたくなりますよね(^_^ )。でも > 床にとどくまでの長さのある髪を雛乃に見せていた・・・「先生、こんなに長い髪だったんですか」 ....これはもう我々読者には凄〜〜く官能的なシチュエーションですし、 長い髪を切れと言われて悩んでいる雛乃ちゃんは少し勇気を奮い立たせたかも知れませんし、 長髪流毛さんへの信頼を深めてしまうでしょうね....う〜〜〜んっやっぱ狡猾だ!

でもこれまで読んできて、長髪流毛さんの “全人類ロングヘアー計画”(と勝手に私は名付けてしまった ^_^ )は 我々ロングヘアーLOVERには嬉しい事ではあるものの、行為自体は倫理的には “いけない行為” だと思ってきましたが ....でも今回登場した3人の “アンチロングヘアー党” の醜悪なやからを退治する事が できるかも知れませんので....考えようによっては “善の行為” という気までしてきました(^_^ )。
う〜〜〜んっ『何が善で、何が悪なのか?』が分からなくなる作品ってのはホント面白いですよね。 既成概念(特にロングヘアーに対する偏見・差別的思想)をぶち壊す事って私は大好きですから。 なんとなく(勝手にですが)これからの「怪傑・長髪流毛」的な活躍に期待してしまいますデス。


さてさてさて、今回はラストで予告編まで付けて下さいましたね。 その次回では、弾圧されていた雛乃ちゃんがどういう復讐を見せるのか? ....髪伊良さんのご発想がまたまた楽しみでございます。
繰り返させて頂きますが、大力作だった「吸血怪人ロンゲルゲ」第九話「呪いの不美少女」のご執筆とご発表、本当にありがとうございました。

「吸血怪人ロンゲルゲ」(ご感想)パート
たっちゃん さん  2003.12.7(Vol.452) 初出___Cont.No.tacha02    
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「第10話の感想」

先日、少し感想を書かしていただきました。いやいや、どんどん面白くなっていきますね。 しかも、今回は、本編に入る前に、前置きがあることが本格的ですね。
男だけ殺されるというのは、少し納得がいきませんが、これからどんどん復讐が始まるというので、 わくわくしております。それも、なるべく残酷な殺し方でお願いいたします。

<編集・発行者からの御礼>
たっちゃんさん、今回もご感想ありがとうございました。
よろしかったらこれからも、お時間のよろしい時で結構ですから、ご感想をいただければ幸いです。
それにしても > なるべく残酷な殺し方でお願いいたします .... とは、髪伊良さんもますますノリノリになられそうですネ(^_^ )。
今回もまことにありがとうございました。
「吸血怪人ロンゲルゲ」(ご感想)パート
SNAKEHEART  2003.12.7(Vol.452) 初出___Cont.No.snake10    
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編集・発行者からの御礼−−第十話「少女の復讐」
髪 伊良さん、「吸血怪人ロンゲルゲ」の新作、記念すべき第十話 「少女の復讐」の ご執筆・ご投稿、まことにありがとうございました。
それにしても今回もまたまた奇抜な展開だった上に、なんともまあ凄まじいというかハチャメチャな内容で、 メチャクチャ面白かったです。(18歳以下にはちと刺激が強いカナ? ^_^ )
ところで、 > 前回のSNAKE様のご感想で、名前がそのグループとは知りませんでした .... 「雛乃ちゃんの名前の由来は....あの “ぴょんぴょん” のひなの??」の事ですよね? ....いや実は私は、あの有名な “Y川ひなの” のことを言ったんですよ。あのY川ひなのってロングヘアー時代に 「ひなのがぴょんぴょん」という写真集を出しましたでしょ....それで “ぴょんぴょんのひなの” って 言ったのです。どうも回りくどい事を言った為に混乱させてしまいましてすみませんでした。
それから耳寄り情報コーナーでも書きましたが、来年2月公開の「ゼブラーマン」という映画に “貞子ゲルゲ”という妖怪(?)が出るんですけど(詳細は耳寄り情報コーナー参照)、 この貞子ゲルゲももしかしたら....ロンゲルゲ??(^_^ )

さて今回は先ず、冒頭で > ここは、ある大学生が下宿しているアパート と始まった時に『えっ?』と思いましたが (何故ならこれまで舞台がずっと小中学校だったし、前回の終り方が長髪流毛さんが雛乃ちゃんに迫る所でしたから)、 『あっ、そーーかそーーか、第五話もそうだったっけ』 と思い出しました。ところが読んでいるうちに “きみゆきくん” が出てきまして、 『アレッ、こういう名前有ったよな』と気がつき、そして > 「もう五、六年前ぐらいのビデオじゃねえか」 という言葉が出てきたときに、『ああ〜〜あの公之君の過去の話なのか』と やっと分かりました(ここまではややキツネに抓まれた様な気分で読んでおりました) ....いや〜〜ホント凝った作りでしたねぇ.... “きみゆきくん” とひらがな表示なのも、あの公之君と同一人物である事が 直には気付かない様な工夫とも取れますし、幼児らしさが表現されているとも取れますし ....う〜〜んっ、このあたりもまったく上手い! 感心しました。
そして > 「きみゆきくんね・・・好きじゃなくても髪の毛のばすならっていうことで つきあってあげてね」 「はい」 .... 幼い頃にハッキリとこう宣言してしまったという事実は、これからの展開にとって とても重要な気がするのですが....。
ところで、 > 「男女百人物語」 ですが、あの「男女7人○物語」をパロッてるとも取れますし、それと、 「妖怪百物語」にも引っ掛けてるようにも取れましたデス ....だとしたら『これも隠し味だな』と思いました(^_^ )。


さてそれでは本編の方なのですが、前回の感想の中で私、 > 長髪流毛さんが今回はなぜかとても優しいお姉さんに見えてしまいました と書きましたが、今回の(本編の)冒頭で雛乃ちゃんに毒づいているシーンを 読んでいると、やっぱちょっと前言を撤回したくなりましたデス(笑) ....やっぱ長髪流毛さんは、雛乃ちゃんを含めてロンゲルゲになった子供たちのことを “自分の野望の道具” としか見ていないようですね。気を許してはいけませんね。
そしてロンゲルゲになった雛乃ちゃんの復讐劇がここから始まる訳ですが、 たしかに “復讐劇” というのはこれまでに無かった新しい展開ですよね ....で、なんとなく私はこれは、雛乃ちゃんの復讐のみならず、 我々ロングヘアーLOVERたちの現実世界に対する復讐にも重なって見えましたです。
で、最初の生贄は担任の女教師でしたが、彼女はロンゲルゲの掟(女は殺さない)として、 軽罰で済まされましたね....ですが、これまで冷たくされた雛乃ちゃんと そしてご自慢の超ロングヘアーを蔑まれる態度を取られた長髪流毛さんの 怒りが私には感じられましたです。

そしてなんと言っても、 車の中で繰り広げられた、長髪流毛・雛乃 組 VS 校長・教頭 組の タッグマッチが今回の大クライマックスでしたね.... いや〜〜なんとも凄まじかったというか、もうハチャメチャ・メチャクチャに面白かったです。 よくこんな面白い事を考え付かれますね、ホント感心します。 記念すべき第十話に本当に相応しかったです。 それにしても、こんなアホなおっさん達がよくもまあ校長や教頭になれたもんですね(^_^ )。
> 「長髪流毛先生・・・その髪の毛は・・・化けものみたいだ」 .... いや〜〜この言葉は、長髪流毛さんの怒りの炎に一層油を注いだみたいですネ。 長髪流毛さんにとってはプライドを傷つけられたのではないでしょうか?? (でも私ならば、そんな化けもののような髪に興奮するし、ぜひぜひ遭遇したい)  そして、そしてそして........
> 「目の前でわたしがぱーっと見たいもの見せてあげるわよ」
> 「としごろの女の子の魅力をたっぷり死に際に味合わせてあげるわよ」
.... この雛乃ちゃんのセリフはもう「すごい!」の一言です。 これはもう歴史に残る名セリフじゃあないでしょうか....ネ。 しかし濃厚だなぁ、ホント(^_^ )。
それから、 > 「ひいー。わしは覗くだけでいいんじゃ」 .... いや〜〜、いかにも “(見分不相応な権力をふるいまくる)小悪党の断末魔らしい” カッチョ悪いセリフが良いですネ〜〜〜。


そして3つ目の復讐(同級生達への復讐)ですが.... 本格的な復讐は次回に持ち越されましたが、でもこちらの復讐は 前の2つと違い “ジワジワ感” が有りますネ。
“公之君の持っている写真のアイドルの顔が雛乃ちゃんに変わっていった”、 “公之君の見ていたポスターのアイドルの顔が雛乃ちゃんに変わっていった” ....いや〜〜“これぞホラー”ですネ〜〜〜。 オカルト的とも言うか....これもロンゲルゲの超能力なのでしょうか??  それとも公之君の脅えが幻覚を呼んでいるのでしょうか???  そして....
> チョークや黒板消しを雛乃の顔に向かって投げつけた者もいたが、
>雛乃の身体に当らないうちに跳ね返されて、投げつけた男子生徒に当てられてしまった
.... いや〜〜なんとなく映画で見る “悪魔少女” のようですね〜〜。 ただ私には、公之君に対してだけは “復讐” というよりも 『自分に振り向かせたい』という挑発にも感じられるのですが....。
それにしても話は前後しますが > 「わたしがデブでブスだから」 というセリフがありましたし、 > 体型も太りだしてきた という描写といい、雛乃ちゃんは “かなり見栄えの悪い少女” の ようですね。楳図かずお氏の漫画などにも有りますが(「谷間のユリ」とか)、 こういった容姿コンプレックスにまつわる怨念ドラマって、ある意味ではスプラッターよりもコワイ感じがしますね。

さてさて、今回もラストで予告編まで付けて下さいましたね。 その次回では、雛乃ちゃんが大勢立ち並ぶクラスメートに、 たった1人でどういう復讐を見せるのか?  それから公之君はどうなってしまうのか?? ....またまた楽しみでございます。
繰り返させて頂きますが、今回も大力作だった「吸血怪人ロンゲルゲ」 第十話「少女の復讐」のご執筆とご発表、本当にありがとうございました。

「吸血怪人ロンゲルゲ」(ご感想)パート
SNAKEHEART  2003.12.17(Vol.455) 初出___Cont.No.snake11    
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編集・発行者からの御礼−−第十一話「黒髪にこめられた呪い」
髪 伊良さん、「吸血怪人ロンゲルゲ」の新作、今回もまたまた超ハイテンションだった第十一話 「黒髪にこめられた呪い」の ご執筆・ご投稿、まことにありがとうございました。
それにしても前回の感想の中で私、 > 雛乃ちゃんが大勢立ち並ぶクラスメートに、たった1人でどういう復讐を見せるのか? と書きましたが、ストリップをやりだしたのにはもうビックラこきましたヨ(^_^ )。 ま、前回も車の中でちょっとやってましたので、その前兆は有ったということになりますが.... でも私、カトちゃんが「ちょっとだけよ」やってる頃のドリフを見てましたから(志村けんの加入する前)、 なにかとても懐かしかったです。とにかく凄いご発想でした。それにしても > 「ちょっとだけじゃないわよお」 ですかぁ(^_^ )。
で先ず “オンチの歌声” つまり音で発狂させると言う作戦は、1人で大勢を相手にする場合には実に効果的な攻撃ですよね、 ナルホド流石は髪伊良さん。しかし、ストリップのBGMが > 雛乃にとっては・・・子守歌であって ですかぁ....きっと凄い胎教も受けたんでしょうねぇ(^_^ )、なんてハードな家庭環境なんだ。
そして > 「それなら、せっかくだからのぞいてやるか」・・・最もスケベなその男子生徒は・・・目をやられ、見えなくなってしまった .... こういうスケベ少年をちゃんと出してくれる丁寧さがケッサクですし、また特別な酬いを受けるというのも良いですネ。 まあでも中学生だとスケベも多いですよね。それにしてもこの小説はスケベ男にホント厳しいですネ(^_^ )。


次に、6年前の公之君と千鶴枝ちゃんのエピソードがとても詳しくご説明されてましたね....裏番組に人気アニメがあったとか、 野球でアニメが中止になった時にたまたま見たとか、お姉さんにチャンネル権が有ったとか、『ああ、そういうことって有る有る』 って感じで読んでいて納得させられます。それに “たった3ヶ月で終ったバラエティー番組” って実際に沢山有りますもんね。
で、その番組を見た途端に髪を短くしてついには刈り上げにまでしてしまったと言う 千鶴枝ちゃんの徹底的なトゲトゲしさも “未だ人間的に未熟な女の子らしさ” が表れてますよね。 でもさぞかし公之君、心が傷ついたことでしょうネ。

そして雛乃ちゃんによって地獄と化した教室の中で、やはり公之君だけが生き残りましたねぇ。 > 最もいじめていた番長格の生徒の大きな首が、とつぜん折れてころがりだしたのである .... おお〜〜こいつは公之君さぞビックリしたでしょうが、ある意味、爽快だったかも知れませんね?? ....こういう奴ってけっして誰からも好感は持たれない者ですから。 私も中学時代同じクラスにメチャクチャ嫌な奴が居ましたけど(まあ今もネット界には嫌な奴が何人か居ますけど ^_^ )、 こういう奴はなるべく残酷にやっつけられるとホント気持ち良いですよね。 なんとなくこのシーンは私、読んでいて気持ち良かったです(笑)。
それに、 > 「あの子にだけは特にブスとは言われなかったけど」 という雛乃ちゃんの言葉がありましたし(註:第九話)、今回も > 「いじめられている雛乃さんといっしょにいると自分もいじめられるからと思っているみたいだけど」 という(誰かの)言葉が有りましたので、公之君はこの番長格が絶対に嫌いだったはずですよね?

でも正直なもので、公之君、ちゃんと雛乃ちゃんと同じ髪の長さになってしまいましたね.... もしかして公之君は雛乃ちゃんの事が本当に好きなのかどうか、自分でもよく分からなかったのかもしれませんね?  あるいは『好きになるまい』とこれまで意地を張ってたのかもしれませんし?.... 屈折した性格だった自分の中学生頃を思い出して、色々と公之君の心理分析してみるのも面白いです。
でも反雛乃派の連中が全滅して、これからは何の気兼ねもなく思いのままに生きる事ができそうですね、目出度く ....でも反面、『もし元のままでも、高校生になったら公之君と雛乃ちゃんは結ばれたんじゃあないかなぁ?  その方がロマンティックなのになぁ....』という惜しい思いもちょっと抱いてしまいます。


さて、もう1度申させて頂きますが、今回は最初の方のストリップはもう「すごい!」の一言でした。 今月に入って “中学校篇” になってからは “小学校篇” 以上に凄いシーンが続々だったような気がします(記憶に新しい事も影響あるかも知れませんが)。 次回の第十二話も楽しみに待たせて頂きます。
繰り返させて頂きますが、今回も大力作だった「吸血怪人ロンゲルゲ」 第十一話「黒髪にこめられた呪い」のご執筆とご発表、本当にありがとうございました。

「吸血怪人ロンゲルゲ」(ご感想)パート
SNAKEHEART  2003.12.28(Vol.460) 初出___Cont.No.snake12    
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編集・発行者からの御礼−−第十二話「あなたもロンゲルゲになりますか?」
髪 伊良さん、「吸血怪人ロンゲルゲ」の新作、今年はこれが最後のお話となる第十二話 「あなたもロンゲルゲになりますか?」の ご執筆・ご投稿、まことにありがとうございました。
そして今回をもって、しばらく休載なさるとの事で....この4ヶ月あまり(予告編も含めて)13話の連載、本当にご苦労さまでした。 重ねてありがとうございました。

さて、今回で取りあえずひと区切りとの事ですので、 (第四話第八話の感想に続きまして)再々度ここまでのロンゲルゲにされた登場人物を纏めさせて頂きました。

ロンゲルゲ一覧
(第十二話まで。ただし取りあえずは予告編と第五話冒頭の9人は除きます)
(*)赤い数字はロンゲルゲにされた話数を示します。
名前登場話(*) 年齢・所属血を吸われた
相手(感染元)
血を吸った
相手(感染先)
髪の長さ好きな相手備考
長髪流毛
(おさげるげ)
1〜12
初めから
見た目
 20代前半
理科教師
 昌浩、栄二
勝徳
地面の近く ロングヘア星人
由紀恵、雛乃
昌浩,2,8,12 小6
 (2組?)
長髪流毛摩亜弥、京香
幼稚園児A,B,D
背中の真ん中摩亜弥 &
長髪流毛??
女子ロンゲルゲ
  にモテモテ
摩亜弥,7,8,12 小5昌浩嗣代 昌浩昌浩のマドンナ
嗣代,7,8,12 幼稚園摩亜弥  おかっぱ昌浩摩亜弥の妹
京香1,
4,5,6
中学生昌浩敬幸  摩亜弥の姉
敬幸のマドンナ
栄二,3,4,8 小6(1組)長髪流毛沙弓 お尻沙弓 
勝徳2,,4 小6(1組)長髪流毛亜紀 わきの下亜紀 
沙弓,4 小6(1組)栄二  お尻 栄二のマドンナ
亜紀3, 小4勝徳  わきの下 勝徳のマドンナ
敬幸4,,6 中学生京香尋子
紗真耶
京香 
尋子,7,8 小3敬幸  膝あたり? 紗真耶の妹
名前登場話(*) 年齢・所属血を吸われた
相手(感染元)
血を吸った
相手(感染先)
髪の長さ好きな相手備考
由紀恵,7 小5(2組)長髪流毛準一  準一のマドンナ
準一,7 小5(2組)由紀恵  由紀恵 
幼稚園児 A,8 幼稚園摩亜弥?  おかっぱ昌浩 
幼稚園児 B,8 幼稚園摩亜弥  ショート昌浩 
幼稚園児 C7,8(?) 第七話の後、昌浩によって
 ロンゲルゲにされたと思われる
  
紗真耶,8 高校生敬幸勇一 約1.5m 尋子の姉
勇一7, 小5紗真耶  地面近く  
雛乃9,10,11,12 中2(C組)長髪流毛C組担任教師
千鶴枝
ウエスト公之9〜12話
(中学校篇)の
ヒロイン
公之
C組担任教師9,10,11,12 30過ぎ
国語教師
雛乃  ショート 元々アンチ
ロングヘアー
千鶴枝9,11,12 中2(B組)雛乃  ショート 小学時代は
ロングヘアー
& かつての
公之のマドンナ
公之10,11,12 中2(C組)雛乃  ウエスト前は千鶴枝
今は雛乃??
雛乃の憧れ
幼稚園児 D12 3歳昌浩  お尻昌浩幼稚園児C
と同一??

こう言ったところでしょうか?....ちょっと分からない所には、?マークをつけております。 それと2年C組の女子生徒全員が長髪流毛さんの下僕となっていますが、これは取りあえず洗脳されただけと今回は解釈させて頂きました。
もし間違った所が有りましてもどうか許してください(なにせだいぶ複雑になってきましたので ^_^ )


さて私、髪伊良さんから前もって「今回でひと区切り」と聞かされておりましたので、今回先ず原稿をいただきまして 「あなたもロンゲルゲになりますか?」というタイトルを拝見した時、なんとなく (私も含めて)読者の皆さんに問い掛けてらっしゃるかのように感じましたデス。
で、先ず最初に主演の由香さんの楽屋裏シーンが有ったりしてその内容もまさに「御用納め」って趣を感じました。
そして最後のシーンもなんとなく昌浩君と摩亜弥ちゃんの “2人だけのクリスマス的なもの” を連想させる所もありまして、 ホント行く年に別れを告げるこのシーズンらしい哀愁が漂ってましたデス....勿論その間の中身の残忍さも見逃してはいけませんヨネ。 思えばこの「吸血怪人ロンゲルゲ」は最初(第一話)は昌浩君と摩亜弥ちゃんで始まりましたもんね。 で、年内最後の(そして丁度区切りの)今回のお話がこの2人で締めくくられたというのも『とても上手く纏められたな』と思います。

で、内容についてもう少し細かく見させていただきますと(今回、上に大きな表が有りますので、いつもより少し短めにさせて頂きますね)....
先ず最初の由香さんの楽屋裏シーンでは > 「男の子の血って、ほんとうにおいしいんですね・・・この牙、来年も使わせていただけるんですわね」 .... のブラックユーモアが「ただでは御用納めにならない」って感じで如何にもこの作品らしくって楽しいですよね。 でも、雛乃役の女の子と公之役の男の子の間に恋らしき物が芽生えるという微笑ましいエピソードとそれから > 「スタジオの後片付けしますので」 のスタッフの言葉が如何にもドラマの舞台裏って感じを抱かせてくれますね。こういう細かい発想が本当に面白いです。
思えばこの「吸血怪人ロンゲルゲ」は、ストーリーそのもののホラーシーンとそのドラマを製作している舞台裏シーンと、 両方を想像できる楽しさが有るんですよね。

そして本編の方ですが、「取りあえずひと区切り目」の今回のお話に相応しく、 (この作品のSTARTを飾った)昌浩君を中心とした小学校篇 → 雛乃ちゃんと公之君を中心とした中学校篇  → 再び昌浩君を中心とした小学校篇 と交互に配された構成がとても上手いなと思いました。
中学校篇の方では、これまでロンゲルゲにされるシーンでは魔力に掛かって殆ど無抵抗な人間が多かったと思いますが、 公之君がいったん抵抗して、だがクラス男子全員を人質に取られ、自分を犠牲にしてロンゲルゲとなる という、これまでになかったストーリーが斬新でしたね。 > 「太陽が沈むまでに、あなたに考える時間を与えておいてあげるわ」 というセリフは “人質もの”(なんて分野が有るのかな? ^_^ )の王道って感じですよね。なのに....
> 実はみんな五体満足で眠りからさめたわけではなかったのである .... いや〜〜〜ずるいですネ〜〜〜残酷ですネ〜〜〜。これなら一思いに殺された方が未だ幸せなくらいですよね。

さてさて(ひと区切り目である今回の)ラストを飾った、小学校篇ですが、 昌浩君なにやら(ずっと年上の)長髪流毛さんに憧れを抱いてるような?....で、それに嫉妬しているかのように見える 摩亜弥ちゃんと昌浩君に味方する嗣代ちゃんの絡み、そしてラスト、 雷に脅える摩亜弥ちゃんを優しく血を吸ってあげる昌浩君.... と、(吸血鬼にしては)可愛くて微笑ましくてちょっとロマンティックな描写も有って、 (繰り返しになりますが)年内最後の(そして丁度ひと区切りの)今回のお話の締めくくりに実に相応しかったなぁ ....と思いました。昌浩君、ロンゲルゲになったことで(第一話の時と比べて)だいぶ成長したなとも感じましたデス。


では最後になりますが、今年1年間、「吸血怪人ロンゲルゲ」(予告編も含めて)13話を中心に沢山の作品をお作りくださいまして、 本当にご苦労さまでした。そして今年1年間本HPを盛り立ててくださいまして本当にありがとうございました。
またいつか「吸血怪人ロンゲルゲ」の再開される日を心待ちにしております。
「吸血怪人ロンゲルゲ」第十二話「あなたもロンゲルゲになりますか?」のご執筆とご発表、本当にありがとうございました。







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