嘔吐下痢症とは

冬になると、乳幼児は嘔吐下痢症(はきくだし)によくかかります。これは主にロタウイルス、アデノウイルス、SRSVウイルス、カリシウイルス、アストロウイルスなどによってうつる病気です。突然吐き始め、続いて水のような下痢(レモン色〜白色)になります。 2−3月頃流行するカリシウイルスは二枚貝や生水、ケーキなどによる食中毒も報告されています。熱が出ることもあります。1週間位でよくなります。希に脳炎・脳症、筋炎、肝炎、発疹がみられます。無熱性けいれんも報告されています。

●治療の基本
潜伏期間:1-3日 
感染期間:症状のある間

薬も処方しますが、家庭での食事療法が一番大切です。吐き続けるときや脱水が強いときは、点滴や入院が必要になります。下痢、嘔吐の症状が回復したら全身症状が良ければ登校可能です。

●家庭での治療
吐いたら1-2時間、胃を空にして胃を休ませ、嘔吐のおさまるのを待ちます。

・ 吐き気がおちついてきたら水分を少しずつ飲ませます。乳児ではスポイトで5秒に1滴程度から、幼児ではスプーン1杯から始めて15分ごとに量を増やしていきます。
(アクアライト、アクアサーナ、ソリタ顆粒、番茶、お湯、うすめたリンゴ果汁など)
嘔気があっても液を胃の中に貯留させないようにゆっくりと与えると少量ずつ小腸に達して脱水が改善されます。

・ 下痢だけになったら、便の様子を見ながら、出来るだけ早く少しずつ消化のよい食べ物を与えていきます。
この時は脂肪吸収不全や乳糖不耐症になったりするので脂肪の多い食事や乳製品はさけましょう。糖分の多い食事は下痢を長引かせます。
おかゆが嫌いな人には炊きたての柔らかめのご飯を試してみましょう。
※お風呂:嘔吐、下痢がひどいときは控えましょう。下痢のためにおむつかぶれがひどくなるので、お尻を何度も洗ってあげましょう。

●こんな時は早めに診察を
・病院から戻ってからも吐き続けるとき
・元気がなく、顔色がわるいとき。
・唇が乾いて、おしっこが少ないとき。

次に受診するまでに家庭で飲んだ水分の量、下痢や吐いた回数などをメモしておきましょう。


下痢があっても脱水に注意して経口補液を上手く使って食事をすすめましょう。早期に食事を再開させカロリー不足を防ぎ、腸管を修復改善させましょう。まずは炭水化物中心でそれからタンパク質を加えます。脂肪は一番最後。

母乳の場合
下痢のひどいとき母乳はそのまま続けてください。授乳を短時間で切りあげ回数多く。

・下痢がよくなってきたらいつものとおり、ほしがるだけ飲ませてください。

ミルクの場合
・下痢のひどいとき

アクアライトやアクアサーナなどの経口補液を併用すれば、ミルクは薄めずに回数を増やして少量ずつ与えてください。または下痢が続くときは乳糖を含まないラクトレス、ソーヤミール、ボンラクトなどの下痢治療乳にしましょう。


離乳食を食べている子の場合
・下痢のひどいとき
母乳、アクアライト、アクアサーナ、番茶、野菜スープやみそ汁のうわずみ、リンゴのすりおろし汁、下痢治療乳。

・下痢がよくなってきたら
とうふ、パンがゆ、おかゆ、ベビーせんべい、ウエハース、にんじんやかぼちゃの煮つぶし、煮込みうどん、白身魚の煮付けなど。(ただし便の様子を見ながら慎重に)

乳幼児は食事の好き嫌いが激しいため炭水化物中心の食事ではたべないことが多いので、楽しく食べさせる工夫が必要です。

おかゆが嫌いな人には炊きたての柔らかめのご飯を試してみましょう。

注  意

市販のスポーツドリンクやジュース類は下痢を長引かせる事があります。

下痢の時は食物抗原が吸収されやすく食物アレルギーが出やすくなります。アレルギーのある人は抗原性の強い食べ物はさけましょう。

緑茶のカテキンはロタウイルスの増殖を抑制することが知られています。

下痢があっても脱水に注意しながら経口補液を上手く使って食事をすすめましょう。早期に食事を再開させカロリー不足を防ぎ腸管を修復改善させましょう。まずは炭水化物中心でそれからタンパク質を加えます。脂肪は一番最後。

水分を十分おぎなう
・ 水分補給が一番大切です。
 水分を多く飲むから水っぽい便になるのではありません。
 下痢で水分が失われるので水分を飲ませる必要があるのです。

・ 栄養のことはあまり気にしないで。
 食欲がないときに無理に食べさせる必要はありません。
  食欲があっても、むしろひかえめにして、腸を休ませてあげましょう。

何を食べるか、便と相談

●便が水のようなときは水分を中心に。

●便がドロドロならドロドロの食べ物を。

●便がやわらかい程度ならやわらかい食べ物を。

《水のような便のとき》

アクアライト、アクアサーナ、番茶、野菜スープ、みそ汁、おもゆ、リンゴのすりおろし。

市販のチキンスープの中には下痢の時に不向きな物があります。

《ドロドロの便のとき》

とうふ、パンがゆ、ベビーせんべい、ウエハース、バナナの裏ごし、

にんじんやかぼちゃの煮つぶし。

《やわらかい便のとき》
おかゆ、軟らかく煮たうどん、白身魚の煮付け、卵、とりささ身、野菜の煮付け。おかゆが嫌いな人には炊きたての柔らかめのご飯を試してみましょう。

注   意

・ 市販のスポーツドリンクやジュース類は下痢を長引かせる事があります。

・ 子どもが食べたいからと言ってカレーライス、ハンバーグ、ラーメンなどはさけましょう。

・ 下痢の時は腸で食物抗原が吸収されやすくアレルギーのある人は抗原性の強い食べ物はさけましょう。

・ 緑茶のカテキンはロタウイルスの増殖を抑制することが知られています。

野菜スープ ジャガイモ、にんじん、トマトなどを煮くずれしない程度に煮て、ごくうすい塩味を付け汁の部分だけを用います。
ニンジンスープ ニンジン正味500gに食塩3gを加えて2時間にて裏ごしし水を加えて1Lにします。
市販のニンジン裏ごし(缶入り)を水で2倍に薄めてもほぼ同様の物が出来ると記載されています。
ニンジンペースト 上記のニンジンスープで裏ごしせずミキサーにかけてペーストに。
 市販のにんじん裏ごし(缶入り)でも代用できます。
ニンジンがゆ だし入り粥にニンジンペーストを入れ塩味かみそ味に。
ニンジンは日本だけでなく海外でも勧める本があり一度試してみてください。
全粥 米100g+水500mlをねっとりするまで炊きます。
または炊きあがりご飯1と水1とを同様に炊きます。
おもゆ 米50g+水500ml米粒がとろけるまで炊く(五分粥)。
炊飯器で五分粥の設定でかまいません。
これの上澄みを用います。
野菜スープおじや 米50g+水250ml+野菜スープ250mlで五分粥に。
 または炊飯器で水と野菜スープを等量にして五分粥に。
野菜スープおじやは最初は上澄み少々で開始し嘔吐がなければ自由に食べさせてみてください。
これが食べられれば乳製品、脂肪をのぞく普通食にしてみて下さい。
くずゆ 片栗粉または吉野くず4g+砂糖6gに水100mlを加えてゆっくりかき混ぜながら加熱します。
つぶしジャガイモ 煮くずれるまで煮てスプーンでつぶします。

                         

家庭で作る経口電解質液 

       塩             2g             白糖            40g水          1000ml

       オレンジの絞り汁で電解質のカリウムの補充と香りをつけます。


腸炎ウイルスの特徴
病原ウイルス 主な罹患年齢 季節 感染経路 潜伏期 症状の持続
ロタウイルス(A型) 2才以下 人から人  1-3日   3-8日
SRSV ノーオークウイルス 乳幼児から成人 晩冬から冬 人から人 水 生食品  1-2日   1-4日
札幌ウイルス 3才以下 高年齢 通年 人から人 水   1-2日   2-7日
アストロウイルス 1-3才 通年 人から人 水 生食品  1-3日   1-4日
腸管アデノ(40 41型) 2才以下 通年 人から人  1-10日   4-7日