インフルエンザとは
流行期は我が国では例年11月〜3月
インフルエンザにはA型、B型、C型の3つのタイプがあります。その年により流行は異なりますが、主にA香港型、Aソ連型、B型のどれかが流行します。症状はA型が強い場合が多いですが、どの型もほとんど同じ症状です。家中みんながかかることが多く、ふだんかぜをひかない大人でも高熱が出ます。
潜伏期間:1〜5日(平均2日間)
感染期間:発症前1-2日後から発症後3-4日
●症 状
ふつうのかぜにくらべて症状がひどくなります。 | |
熱: | さむけと高熱、3〜5(〜7)日。 |
苦: | 全身がだるい、食欲がない。 |
痛: | 頭痛、手足の筋肉痛、腰の痛み。 |
腹: | おなかが痛い、吐く、下痢。 |
咳: | のどの痛み、鼻みず、咳。 |
新生児は重症化する事が多いようです。1歳以下の乳児(特に7カ月未満)の低年齢児は罹患しても重症のことのありますが軽症のことが多いと言われています。乳児の訴えは少なく診断は家族の症状から推測します。幼少児では発熱と同時にけいれんの頻度が高いので熱性けいれんの既往の人は注意。発熱が5日以上の時は中耳炎や副鼻腔炎、肺炎の合併が懸念されます。
●家庭で気をつけること
無理にねろとはいいませんが、家でのんびりごろりとしているのが一番のクスリです。
・休 む: | 無理にねろとはいいませんが、家でのんびりごろりとしているのが一番のクスリです。 |
・保 温: | 厚着をさせたり、こたつにもぐり込ませたりする必要はありませんが、寒くない程度の暖房、暑すぎない程度の調節をしましょう。 |
・食 事: | 食欲はなくてあたりまえ、ぐらいに考えて無理じいせず、子どもの好きなもので消化のよいものを与えます。水分を十分にとるように心がけてください。 |
・入 浴: | かぜにお風呂は禁物、という考えは頑固すぎます。 疲れさせないように、と気をつけて、お風呂でサッパリさせるのはかまいません。 |
●次の診察
指示した日、くすりのなくなる日、などに(大体2〜3日おきに)受診して、余病をおこしていないかを診てもらいましょう。くすりだけください、というのは重い病気を見逃がすもとですから、やめましょう。元気がなくなった、何度も吐く、咳で夜ねむれない、など「いつもと違うぞ」と思ったら、早めに受診してください。
●保育所・学校
解熱後2日間(通算7日間程度)は休みましょう。
小児科学会では「インフルエンザ関連脳症についての見解」の中でH11年10月に「インフルエンザ予防には、乳幼児であっても、ワクチン接種は、安全で有効な方法である。ただし、その有効性は、学童に比べると低く、特に、B 型インフルエンザでの効果は低い。本邦の報告では、A香港型インフルエンザには、大きな抗原変異があった状況下でも、2-6歳児で、50%以上の感染防止効果が報告されている。脳症の予防に、インフルエンザワクチンが有効かどうかはデータはないが、ほとんどの症例がA香港型インフルエンザに伴っており、ウイルス血症が発症に関与しているとすれば、有効と考えるのが妥当である。またインフルエンザ発病から中枢神経系に障害を起こすまで、1.4日と短時間であることから、インフルエンザ関連脳症では、治療は困難であり、むしろ予防としてのワクチン接種が重要という意見もある。」としています。
米国では小児では気管支喘息などの肺や心臓の慢性疾患の患者さんには勧められています。日本では脳症が幼少児に多いので幼少児に接種を勧める報告があります。
●インフルエンザAに対する治療薬
シンメトリル:A型に有効。小児に安全性が認められてませんが海外では治療されています。米国では重症化のおそれがあるとされるグループやワクチンの接種が出来ない者へのワクチン接種を補う予防薬としての位置付けが確立しています。主として嘔気などの消化器症状やふらつき、不眠などの中枢神経症状が軽度ながら出現することがあります。消化器症状が出ることもあります。成人での副作用は、中枢神経症状 、消化器症状について内服していた人がそれぞれ6%、1〜3%で内服していない人が4%、1%で副作用は少なかったです。
内服は1歳以上が対象で発病後48時間以内に内服します。症状が消失して24-48時間以内に内服中止しますが一般的には3-5日間で中止します。
●インフルエンザ合併症
呼吸器感染症: | クループ 肺炎(ウイルス性 細菌性) 気管支喘息 中耳炎 副鼻腔炎 |
神経系合併症: | 熱性けいれん 脳症 脳炎 ライ症候群 ギランバレー症候群 横断性脊髄炎 小脳失調 ベル麻痺 精神異常 熱性けいれん 脳症 脳炎 ライ症候群 ギランバレー症候群 横断性脊髄炎 小脳失調 ベル麻痺 精神異常 |
脳 症 : | 1才から5才までの小児に多く発熱から神経症状が出現するまで1-3日以内が多い。死亡したり、後遺症を残す人が多い。確立した治療法はない。 |
新潟では急性脳症発症率5才未満0.25% 5-10才0.052% 10-15才0.060%
その他の合併症;腓腹筋炎 横紋筋融解症 心筋炎 胸痛症 血小板減少性紫斑病 突然死 |