◆ ストーリー
人生にゆき詰まった女たち三人の、孤島での一夏を、元モデルのカメラ
マン、ユキが撮る。薫の秘められた過去とは?その衝撃のラストが美し
い!瑞々しい感性で鮮烈に綴られた、愛と官能の物語。
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・☆。・。・。ヌード★最前線 第一章 【1】・゜・ 。・☆彡
゜・☆。・。・。 By Sana Tsukimori
・。・ ・゜。。・ 。・ 月 森 砂 名
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「もっと、右足広げてよ〜。だから、そうじゃなくってさ。それじゃ、
まるでエアロビじゃない。もっとこう、淫靡な感じ…わかんないかなぁ」
カメラマンの吉田は、背もたれの高いアンティークな椅子に腰掛けた
ユキにすばやく近寄り、右の太股に手を当てると、さっき開いた左足と
は違う角度で、ぐいっと押し広げた。
「ちょっと股関節、硬いんじゃぁないの?撮影するときは、ストレッチ
ぐらいしてきてよね」
キワどい下着をつけ、透けた衣装をまとって、カメラの前でポーズを
取る。下半身は露骨に剥き出しでも、顔は薄いベールで覆われている。
見る者の目が集中する部分は、カメラの露出を上げて輪郭を飛ばし、
胸から上はソフトフォーカスで輪郭をぼかす…。
それが吉田の意図するところらしい。
目も眩むばかりの照明を当てられ、手術台のような殺伐とした現場か
らは想像もつかない、官能的で芸術的な写真に仕上がるだろう。
しかし…。
「ほら、右手はさっきも言ったでしょ?もっとこう、エッチな感じで指
をこういうふうに…。もう、あんた、一人でヤッたことないの?」
表現力がどうの、芸術的にどうのとほざいたところで、所詮は男たち
の性欲を煽情するための道具、慰みものに過ぎないのだ。と、ユキは思
っている。
「ダメだなぁ、それじゃあ。いい年して、いまさら恥ずかしいなんて言
わないでね」
こういう写真を撮るのは、何も今日が初めてというわけではなかった。
事務所の社長に金を持ち逃げされ、「独立」といえば聞こえが良いが、
一人になってからは、この手の撮影が増えた。
だからといって、決して慣れることはなかった。
ましてやチビで頭の禿げた、さもしい顔つきの、男としてまるで魅力
がないこんなカメラマンの前で、色っぽい表情なんてできるかっ。
―――仄暗い一室で、一輝に撮られるのだったら…
すぐにでも身体は反応し、艶やかに色づくだろう。
一輝は業界では名前の知られたグラビアカメラマンである。
しかし、一輝はもう恋人ではない。
長い不倫関係に、終止符を打ったばかりだった。
「ちょっと、休むわよ。その間、控室へでも籠もって、ムードを盛り上
げといてちょうだい。何だったら、手伝ってあげてもいいわよ」
猥雑な表情を浮かべると、「誰か、コーヒー持ってきて!…あ、いい
わ、自分で行くわ」と、吉田はスタジオを出た。
撮影は昼過ぎから始まったのだが、夕方になっても、少しも捗らなか
った。
しかし何度ダメ出しされても、ユキは悲しくも悔しくもなかった。
むしろ「バカが…」と、どこか冷めた気持ちだった。
煙草でも吸おうとスタジオを出ると、廊下の奥から吉田の声が聞こえ
た。
「やっぱり、若い子じゃないとダメなんじゃないのぉ?そうかさ、もう
40過ぎて開き直った熟女とかさ〜。中途半端なのよ、29って…。ち
ょっとばかしモデルで売れたからってさ。勘違いしてんじゃないの、あ
の子。やっぱし、ヘアーかなぁ…。表現力がさっぱりなんじゃ、ヘアー
しかないじゃん、売れるには。まだ身体はキレイなんだから…」
アホらしくなった。
やる気のないのは確かだけれど、モデル時代に培った身体のラインや
しなやかな動きより、「毛」の方が勝ると言うのか?
―――ナメるんじゃないっ。
控室に戻ると、携帯にメールが入っていた。
<今夜、会えるか?21:00。いつもの店で…>
別れたはずの一輝からだった。
21:00といえば、あと4時間しかない。
おバカなカメラマンと遊んでいる暇はないのだ。
<OK。今、撮影中。少し遅れるかも知れないけれど、21:30まで
には必ず行くから>
と返信すると、ユキは控室を飛び出した。
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