里山らんど

所在地 京都府相楽郡南山城村田山

南山城村は京都府南端、唯一のむらで、三重県奈良県に接している。
田山は土地柄がそのまんま地名である。
梅の名所、奈良県月ヶ瀬村により近い。
手に入れた時は荒れ果てた茶畑だったけれども、
その以前は柳生士族の屋敷地だった。
柳生には車でもかなり遠い、かつての交通手段は馬だったのか、
毎日出仕する必要はなかったのだろうか。
あいだに名張川が高山ダムに遮られ湖をなしている。
が、月ヶ瀬湖とはいわない。
これをどのようにして越したのだろうと考えたとき
昔、湖はなかったことに気が付き
今度は谷を下り、渉り、上る苦労を思った。
谷の里がダムに沈んで、棲んでいた人たちは田山に押し上げられたらしい。
その時移住せずにすんだ高いところが今また逆方向に地域の辺境となっている。
そこが里山らんどである。


                                        

春もややけしきととのふ月と梅   芭蕉

中ノ川、大慈仙、忍辱山を経て、柳生の里へ出たが、それから、まだ二里も分け入った。
車が五月川の岸へ出たとき、まるで、そこに巨大な奈落を見るように、川は深くえぐれて流れていた。
月瀬の裏側に出たわけで、いったん川を降りてからまた山道をのぼり、対岸の山頂へゆかねばならない。
車の走る道は仮道だった。旧道は壊されて、ダム工事ははじまっている。
川岸のあちこちに廃屋が見えた。
そこに村があったのだろう。
赤土のむき出した道路工事の廃土が、川底の村々へ雪崩のようにおしかぶさっている。
そんな光景を見ながら、どこに芭蕉のあそんだ梅林があるのかとさがしてみるが、
それもダムの底に沈むと見えて、三百メートルはあろうと思われる山壁は、
泥だらけの裾を露出した冬の淋しい山容でしかない。
ひところは、梅の産地として、染料の「烏梅」も産した月瀬は、ずいぶん、梅見の客でにぎわったというが、
工事のおかげで、完成するまでは大変なことである。
文明のブルドーザーが自然美を踏みにじっている光景をまざまざと見た。
そんな五月川をうしろに、山をのぼりつめると、山上にひっそりと月瀬の集落がかくれている。

 水上勉 「続 日本紀行」より

温泉
 一番近くでは月ヶ瀬温泉、車で6〜7分、人気が高く休日はよく待ち時間がでます。
桜の名所、カヌーのメッカ、笠置にはわかさぎ温泉
伊賀から信楽に抜けるお斎峠の近くに信楽多羅尾温泉があり、きれいなところだが高いところにあるせいか
ちょっと入浴料金が高い。
お斎峠、多羅尾の地名には惹かれるものがあります。
ちなみに私の好きな司馬遼太郎の「梟の城」はこのお斎峠から始まり、
「街道をゆく」、でも思いをこめて峠を越えています。
三重県阿山郡大山田村のさるびの温泉は少し遠いのですが
ぬるぬるっとした、いかにも温泉らしい温泉です。

南山城村の紹介ページ

童仙房のモモとナナさんのページ。
童仙房は上の地図のさらに上(北)の高原地の秘境??です。

南山城村
公式?ページです。
町村合併の話が進んでいて京都府から唯一の村が消えるかもしれない


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