2015.6.3

母からの絵葉書

出してくれたのは義姉ですが、母が絵葉書を描いて送ってくれました
画材は孫である息子が贈ったものです
今年二月百歳になった母から、いつまでも元気でね、と言われる息子も不思議な気分
そのまま返して、いつまでも元気に絵を描いてほしい

この更新をしているときに”その4”が抜けていたことに気が付きました
母の水彩画ギャラリー ”その4”と”その6”が追加されています





仙台近郊節約旅行 平成27年2月25日-27日

いつも里山に籠ってばかりでは刺激がなく 認知症も心配、たまには外の世界も見ておかなければ
愛用の格安航空ピーチから時々キャンペーンメールが入りますが、
関空-仙台2980円なんて出てくるとやはり心が動かされます
実際に日にちを入れて検索していくと、なかなかここまでにはならないのですが、それでも安い

安い搭乗日を探して自由に設定できるのはサンデー毎日の強み
これからの自分旅のスタイルをつくるためにも一度予約してみよう と関空-仙台往復を手配しました
次に駅に近い格安ホテルをネットでチェックして2泊を確保してから旅の中身を考えます
考えた結果、今回の旅のテーマは鉄道旅 東日本大震災の復旧の様子も見ておきたい

敬愛する民俗学者 宮本常一は15歳で山口の周防大島を出るとき父親から十カ条のメモを取らされます
その第一が 汽車に乗ったら窓から外をよく見よ・・・村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺か・・・
駅に着いたら人の乗り降りに注意せよ・・・・そういうことでその土地が富んでいるか貧しいか、
よく働くところかそうでないところかよくわかる

2番目に 村でも町でも新しく訪ねて行ったところは必ず高いところに登って見よ。そして方向を知り、目立つものを見よ。・・・
・・・高いところでよく見ておいたら道に迷うことはほとんどない。
この父親の気持ちはよくわかります この気持ちを受けて宮本常一は”旅する巨人”と呼ばれるようになります

初めての土地なのでまずは全体を掴みたい、それなら鉄道の旅 
そこで思い出したのが JR大都市近郊区間の特例
特例とは、指定された区間内の2つの駅の運賃は経路に拠らず最短距離の運賃が適用される、というもの
ただし条件があって、当日のみ、途中下車不可、経路が交差してはいけない
東京、大阪 福岡 の順で始まり 新潟に続いて仙台も昨年の4月から追加されていて、

適用路線図を調べると最大(さいおお)回りでは明るいうちに1日で回るのは大変なようですが、
次に大きな輪になる二つのコースはなんとかいけそう
仙台発石巻、小牛田から新庄、天童、羽前千歳、山寺を経由して帰ってくる東回りコースと、
仙台発、山寺、山形から福島、岩沼を経て帰ってくる西回りコース
どちらも長時間の旅ですが仙台のひとつ手前の駅で降りれば運賃は190円
 
Yahooの 路線 で出発(仙台)、到着(一つ隣の駅)、主要経由地も入れて検索しますが、
経由地を3つまでしか入れられないので仙台に戻って出直す結果ばかり(その方が早い)で、
目的の出発、乗り継ぎ時刻の情報は出てきません 

出ない理由はもう一つ、山形新幹線ができたおかげで同じレールを走る奥羽本線(幹線?ローカル線?)は
昼間9時間半の間に1本しか走らないとんでもないダイヤになっていました 
それにピッタリ合う時刻設定をしないとルートの連絡が付かず希望する結果は出ないのです

一日目
関空 - 仙台空港 - JR仙台空港線で仙台に
ゴボウテン蕎麦を駅前で食べて午後は仙台市内の観光
青葉城をはじめ名所は郊外に分散しています  
足はるーぷる仙台という観光名所循環のレトロなバスがあり乗り放題600円なので、それで回ろう、と
停留所を探すけれどもわからない

城跡は高所で見当が付きその方向に歩き始めると、ここでまた気が付いたのは、先の十カ条の4番目 
時間のゆとりがあったらできるだけ歩いてみることだ。いろいろのことを教えられる。
これは勤めている時から出張などで実践してきました

東北大学の前を歩いて最初に訪れたのは伊達正宗の霊廟 瑞鳳殿 杜の都らしく大木の杜の中の廟ですが、
建物群は終戦一月前に全部消失して、戦後に再建されたものだそうです 

青葉城跡は横方向に見えているのですが間に青葉城恋歌の広瀬川があり、
地図を見ると橋もなく一度降りて広瀬川沿いに大きく回ってまた登らなければいけない
今度こそレトロバスに乗ろうかとバス停で時刻表を見るとかなりの待ち時間、
結局さとう宗幸の歌を口ずさみながら歩き始め、青葉城までバスに抜かれることはありませんでした。

東日本大震災で壊れた大石垣とその下を通る復旧した道路の開通がちょうどこの日
城跡から仙台市内を眺め、この日は大学受験日 試験が終わったたくさんの受験生と一緒に西公園に歩きます
大樹ケヤキ街路樹の定禅寺通を西に歩くと 勾当台公園 ここは市役所、県庁があるオフィス地域
そのまま歩くとホテル しばらく足を休ませて食事に夜の街に
牛タンと焼肉のセットはボリュームがありました 

二日目
特例区間2つのコースを二日間で走破する予定 
どちらから始めるか 、考えた結果西回りコースから その理由は後で
仙台の駅で運賃表を見ていると山寺まで840円 とここで考えが変わりました
臨機応変 君子豹変 優柔不断 節操なし

西回りコースは米沢で乗り継ぐ奥羽本線の列車設定が難しく10:07仙台発の15:30長町着しかありえない
なんとこの前の列車は5時間前で後は4時間半後 JRの本線なのにです
なんでこんなことになったのか そう山形新幹線 
奥羽本線は山形新幹線と同じ線路を走り、山形から福島に行くなら新幹線を使いなさい ということ
でも近郊特例では新幹線は除外されているので在来線のこの列車しかないのです

2時間ほど早く出て山寺=立石寺で観光し、このコースの時間に乗れば午前の空き時間がが有効に使える
父と母は毎年秋の紅葉の東北旅行を楽しみにしていて母の自分史をまとめているときに山寺がなんども出てきます
父と母が登った山寺を見てみたい
ホテルのインターネットで時刻を再確認して
仙山線仙台発8:15 山寺9:13着 駅のホームから全体を見上げて確認できるほど急な山に張り付いて登っています

駅を降りた数少ない観光客に韓国か中国の若い家族もいます
300円の入山料を払って登り始めると積もった雪 
石の階段は除雪してあるのですが、そのつなぎの部分は凍った雪の斜面
大変な思いをしてなんとか一番上の奥の院まで登りましたが上からの雪の山里の景色は最高でした

山寺から山形盆地に下りて羽前千歳で奥羽本線と合流しますが列車はそのまま山形へ
お昼を食べなければいけない、山形駅にはホームの立ち食い蕎麦か駅弁はあるだろうと高をくくっていたけれど ない
しかたがなく新幹線でも見ておこうと・・、すると新幹線のホームには駅弁がありました 牛めし弁当をゲット

新幹線のレール幅を見ると広い、すなわち広軌=標準軌 ならば奥羽本線も広軌、山形新幹線は新庄まで延びていて
その途中の羽前千歳から山寺から来た列車はその線路を走っていて、仙山線も広軌か、そんなことはないだろう
新幹線ホームで年配の駅員にこの疑問をぶつけると、要領を得ず、彼にもわからない様子
待ち時間の電車の中で駅弁を食べ、山形発米沢行きはほぼ定刻12:16発 米沢着13:04 乗り継ぎ列車福島行きが13:08発

実はこの乗り継ぎの4分が怖かったのです 9時間半の間の1本きりで 
このコースを3日目にするとトラブルで連絡がうまく出来なければ帰りの飛行機には間違いなく乗れない
でもほぼ定刻に運行してもうこれで一安心
若い車掌さんに改めて軌間の疑問をぶつけると、この人にもわからないらしく、聞いてきます、と後部に消える

戻ってきての答えは奥羽本線でもこの区間(羽前千歳-山形)は単線運用ですが広軌と狭軌が平行して敷かれていたのです
後で調べると平行線は途中で平面交差していて、なぜかは、後でまた狭軌の左沢線が日本海側から合流するから
新幹線と在来線が平面交差するのは、考えると怖い

初めて乗る在来線の広軌車両は社内が大きく感じられますが、
わざわざ広軌用の車両を作ることはないだろうから台車の上は同じだと思うけれども・・・・
この路線の楽しみは板谷峠 鉄道ファンなら碓氷峠、肥薩線の矢岳峠とともにかつて重連の機関車で有名な場所です
高度が上がり線路脇の雪の壁はどんどん高くなり、峠の駅は広いシェルターに覆われて薄暗く異様な雰囲気

ドアが閉まる直前ホームの立ち売りに気が付きました そう峠の駅には有名な餅の立ち売りが今もあったのです
後で調べると立ち売りはこの列車と9時間幅前後の2列車だけでした
峠を下って福島着は13:54 14:11東北本線仙台行きは阿武隈川に沿って約1時間半走り 15:37仙台着
この夜は虎屋横丁で地酒と海鮮料理




三日目 
暗いうちにホテルを出て朝食は駅のコンビニでおにぎりを買って食べ、
昼食には乗る前に駅弁を買おうと思っていたけれど、6時の開店で、売店から地下ホームまではだいぶ遠い
ちょっとあわただしいので新幹線始発駅の新庄なら駅弁があるだろう、とあきらめて仙台駅地下ホームへ 

仙石線6:12発 高城町行 松島海岸からは震災による線路復旧中で代行バス 矢本まで
大都市近郊区間特例では駅の構内を出ることはできないのですが、代行バスは鉄道と同じ扱いなのでここだけのバス旅
バスは線路の近くを走るのでずっと状況がわかるのですが、復旧はかなり進んでいる様子(今年5月30日運行再開)
 
矢本から通学生をたくさん乗せて再び線路の上を走り 石巻 8:04着
石巻で石巻線に乗り換え、終点小牛田まで42分 気動車2両編成は田園地帯をのんびり走り、
途中で共学の高校生たちを下すともう乗客はほとんどいない
小牛田8:59着 ここは東北本線とも交差しますが陸羽東線新庄行きに乗り換え、
しばらくすると渓谷地帯に入り雪も積もっています

ワンマン運転ですが運転席の横には最初からヘルメットを被った二人の保安要員が詰めていて、
ずっと前方を確認 映像も撮っています
やはり雪の中の走行にはこうした配慮は心強い 何かあったときやはり運転手一人ではどうしようも出来ないでしょう
この陸羽東線は”奥の細道湯けむりライン”呼ばれるほど川渡温泉からいくつもの温泉が続きます
さらに雪は深くなって鳴子温泉を過ぎ、堺田は太平洋と日本海の分水嶺 

しかし赤倉温泉を抜けて広大な雪の原を走り始めるとまもなく何もないところで列車は突然止まります
若い運転手はしばらく無線でやり取りしていますが、ここで車内放送、強風のため南新庄まで徐行運転で走ります
周りに木とかはない雪の原、晴れていてあまり風の強さは実感できないのですが本当に最徐行、慎重です
南新庄から新庄までは奥羽本線と平行して走りますがここも奥羽本線、広軌と狭軌の単線並列

新庄始発の新幹線つばさと行き会わないかと運転席越しにカメラを構えますが何も来ず、
所要2時間から大きく遅れて新庄に到着 一緒に乗っていた夫婦連れはすでに発車した新幹線に乗る予定だったらしい
昨日の山形駅と同様新庄で買えると思っていた駅弁ですが、それらしい場所はなく、もちろん立ち喰い蕎麦も

駅員に聞くと、あるのはあるが、新幹線が出る前だけあそこに並ぶ、と指された先には弁当の名前だけの台
そして次のつばさの出発は1時間以上も先 もう仙台に戻るまで食べられるようなところはありません
12時過ぎ山形行きに乗車して羽前千歳で乗り換え、昨日走った仙山線を今日は反対に走り、
車内から見た山寺は降る雪でよく見えません
14:09を5分ほど遅れて北仙台に到着 乗り継ぎを含めた乗車時間はほぼ8時間 運賃は190円

北仙台から地下鉄で仙台へ 出発地までの戻り運賃240円
仙台駅で牛タンと笹かまぼこの土産を買って仙台空港線で空港に着くとゆっくり時間があり
定刻に出た飛行機は窓側席、窓の下に明かりが見え、
時々広く強い明かりのエリアの上を飛ぶのですが、どこの街なのかはわからない
関空に着陸して今回の旅は無事終了