タイトル | : 竹さんの投稿などに関する私見(2) |
投稿日 | : 2004/04/11(Sun) 20:57 |
投稿者 | : 志狗 |
・お話の内容に関しての感想
先に、これがあくまで“感想”であるため、私の個人的な趣向などに基づいて書く部分がある事をお許し下さい。
「GS信長」はGS美神の舞台設定の上で、MISTERジパングのキャラたちが動き回るという、私としては初めて見るものでした。
竹さんがこのお話の創作にあたって、ストーリーの面白さ以外にも“MISTERジパングのキャラがGSの舞台で”という部分に面白味を含ませようとなさったのでは、と私は見させて頂きました。いわゆるクロスオーバーの面白さ、なのでしょうか。
しかし、です。「GS美神」も「MISTERジパング」も椎名先生の作品として別個にあるものです。私は両方を読ませて頂いており、そのどちらにも大きな魅力を感じております。舞台、設定、それ以上に魅力的なキャラ達。それらの存在は容易に変えるものではないと私は思っております。事実、過程を読み手に想わせない極端なキャラの改変は、ギャグやそれ自体を楽しむ意図で書かれない限り、嫌煙される傾向にあると思います。
純粋に二つの作品のキャラが区別されて登場し、絡み合いなどを見せるクロスオーバーと違い、「GS信長」はGS美神のキャラの位置にMISTERジパングのキャラを置き換えるという形を取っていらっしゃいます。ここに私は大きな違和感を抱きました。
具体例として「犬塚シロ」をあげさせて頂きます。
「GS信長」中では、彼女の位置には竹中重治というキャラが入れられておりますが、外見・性格上では確かに犬塚シロの性質を保っているように思えました。「GS美神」原作上で、彼女は「横島忠夫」という存在を師事し、そこに多少の好意などを見せております。その限りなく「犬塚シロ」の印象を残した「竹中重治」が、横島の位置に据えられた「豊臣秀吉」を師事し、好意を寄せる。彼はあくまでも豊臣秀吉である日吉。横島ではありません。両作品を読んでいる私には、その概念は消すことは出来ませんでした。そのために、私には「犬塚シロ」というキャラが意図的に書き換えられてしまったように見えました。
シロが師事していた横島がいつの間にか別人とすりかわり、シロはそれに気付かずに盲目的に師事をする。好意の対象が変わるのではなく、すり替えられてしまっている。そう感じてしまいました。「竹中重治」が犬塚シロの性質を大きく残し、「豊臣秀吉」が日吉そのものである事が大きいのだと思います。
その他のキャラに関してもそうです。原作とは違う関係に据えられたキャラたちの姿を不憫に、もしくは一種の恐ろしさをも感じてしまいます。消えてしまったGS美神のキャラたち。原作の関わりを忘れてしまったMISTERジパングのキャラたち。原作ありのままの姿に好感を抱く傾向にある私としては大変心苦しいものがありました。
これは私が「GS信長」へコメントを出来ない最も大きな理由です。初めに抱いてしまったこの気持ちはなかなか拭いがたいもので、それを抜かしたお話の展開に対しても私の中でなかなか評価を下すことができませんでした。更にこのキャラへの違和感はお話の舞台設定の根本に関わることであり、それを指摘しがたかった事もご理解いただけるとありがたいです。
竹さんがお気になさっている「キャラの多さ」。これに関しても少しですが、私見を述べさせていただきます。
キャラの多さというのは確かにお話を展開する中で作者が困りやすい部分であると思います。魅力的なキャラたちを目立たせる事、読み手に印象付けさせる事にはどうしても不公平や手の回りきらない部分があります。竹さんはそれを設定、キャラ紹介などで解消なさろうとしたようですが、私にはそれはあまり効果的ではないのではと思えました。
キャラの印象というものは一回の説明では定着しません。キャラが多いこともあり、それが一つ一つのキャラの印象を薄めるのと同時に、読み手も竹さんのお話ばかりを連続して読んでいるわけではありません。違う方の書いた違うお話を読み、その世界観、キャラクター像を理解しようとしています。「GS信長」が長編連載である事も、印象付けが難しい原因の一つです。連載である上ではどうしても間が空きます。竹さんは投稿ペースの速い方でいらっしゃいますが、それでも読み手は書き手である竹さんと違いそれまでのお話の全てを明確に理解しきれるものではありません。
二次創作である利点の一つとして既存のキャラを描く事により、詳しい説明なしにも読み手にキャラを想像してもらう事がありますが、「GS信長」ではMISTERジパングのキャラがGS美神の世界の設定と複雑に入り乱れている為、その利点が使いにくくなっています。
また、MISTERジパングのキャラの中でも、原作中では印象が薄かったキャラ、キャラ像が十分に示されきれなかったキャラも竹さんは多く登場させていらっしゃいます。このあたりは竹さんの知識や認識と読み手の知識、認識の差が大きく出る部分だと思います。書き手である竹さんはキャラの姿をリアルにイメージなさっていらっしゃるでしょうが、読み手側としては何度も何度も見ることで少しずつそのキャラ像を受け入れ、理解していきます。しつこい描写になる事を避けながら、キャラらしさを印象付けていく…。言葉で簡単に言わせて頂いたのは恐縮ですが、とても難しいことです。ここは多くのキャラを描くという辛く険しい道を選択なさった竹さんに頑張って頂くしかありません。
無責任な事を言わせていただきましたが、これも一意見であることをご理解いただきたいです。竹さんが周囲に意見を求めたというのは、ご自身が行き詰っているのでしょうし、私としてはこれまで長々と連ねたように単発の意見を述べ、それが竹さんの助けになるように願うのみです。
長々と纏まりの少ない文章となってしまいましたが、ここまで読んで下さった事に感謝いたします。
私の考えの一部でも竹さんの今後の創作活動の発展に関わることが出来たならば、幸いです。