【皆本 光一18】
皆本はその暗い施錠された部屋の中で、一人ハァハァと苦しげな息を吐いた。
彼は正気の沙汰とは思えない無茶苦茶な減量に取り組み、一人戦っていた。
通常の減量などではない・・・一階級下の兵部と戦うための、絶望的な減量。
飢え、渇き・・・・ボクサーの苦しい減量は確かに悪夢の1つだ。
苦しい・・・・しかも何故だろう、顔がアイアンクローをくらっているかのように痛む・・・・・
《必ず兵部を倒す。白いマットに沈めてやる!真っ白な灰になってでも!!》
皆本の決意は固い。兵部の顔を思い出すと、憎しみが沸きあがる。
だが彼はとうに限界を超えていた。あまりにも限度を越えていたのだ。
皆本は施錠された扉を破壊して部屋を抜け出した。水を求めてジムの中を彷徨う。
・・・・・・・しかしジムの全ての蛇口のハンドルに太い針金が巻かれている!!
「これは・・一体誰がやったことだ!!」
皆本は怒る。そこに柏木一尉がゆっくりと現れた。
「わたしがやったことです。ごめんなさい。でも、これをお飲みなさい。」
それは渇ききった皆本の体に冷たい水を飲ませないための柏木一尉の優しさだった。
柏木一尉の差し出したカップからは暖かそうな湯気がのぼっている。
皆本はカップを受け取ったが、皆本はそのカップを柏木に返す。
「これは飲めません」
「私、あなたが減量をあきらめたということを悲しんだりしていません」
「・・・・・でもこれ・・・・おしるこでは・・・・・」
「甘酒のほうが良かったかしら?」
・・・・・・・・・・・・・・こんな悪夢でいいのかよと皆本は思った。
【美神令子15】
ズシャア!!!と美神は新しい地面に着地する。硬い地面だ・・・・感覚が今までとは違う。
美神は辺りを見回す。広い洞窟のような部屋。
正面に高さ10メートルはありそうな大きな両開きの扉がある。
《いる・・・・・この扉の向こう側にウマが。いやらしい黒い気配を感じる・・・・・子供達もこの中か》
そしてその扉には適当な感じで張り紙が張られていた。
フン・・・・・
美神はその張り紙を一読する。張り紙にはこう書かれていた。
『さあ勇者よ!あと一息だ!ナイトメアはこの扉の向こうに
いるよ!ナイトメアを倒して3人の眠り姫を救い出そう!!
勇者のメダルもプレゼント!!!』
この張り紙には重要な情報が含まれていた。彼女は自身の考えていた説が正しいと確信した。
さて、そうなるとそれはそれでまた厄介だ。どうなるか美神にも予測はできない。
この張り紙はこのままにしておくことにした。この張り紙は間違いなく私宛ではない。
他にこの張り紙を読ませたい人物がいるのだろう。
つまり、招待されている勇者がいるということ。勇者が乗り込んでくるのは織り込み済み。
目的はその勇者か・・・・他は邪魔なのね。
まるでロールプレイングゲーム。ここはさしずめ『ラスボスの部屋へと続くもったいつけてる部屋』か。セーブポイントも回復の泉も無いみたいだけど・・・・・セーブデータは大事にしたいところだ。
・・・・・・・・・つまりは茶番だったのか。目的がわからなくて当然だ。
あとはどんな意図があるのか・・・・・だ。
では待ってあげましょうか。招待されている勇者を・・・・・私が先に倒してしまったら興ざめとなるだろう。
・・・・・・焦る必要は無い。対ナイトメアの勝利は確定している。
【皆本 光一20】
♪ピロピロピロピロピ〜〜〜〜〜〜〜ロリン
悪夢の電子音が鳴り響く・・・・・・これは間違いなく、悪夢の音。
『おきのどくですがぼうけんのしょはすべてきえてしまいました』
皆本はコントローラーを17インチブラウン管テレビに叩きつけた。
【タマモ20】
タマモはシロを抱えたまま空高く跳躍する。今度は矢にやられるようなヘマはしない。
彼女はクルリと空で1回転。そして変化した。
その姿は能で、絵巻で、講談で語られる彼女の姿。人々の畏怖と恐怖の一つの完成された姿。
真実ではない、しかし真実とされる白面金毛九尾の狐の姿。
この姿は都合がいい。いかんなく力が発揮できる。
彼女は空から討伐軍を睥睨する。右手に抱かれるシロは彼らには見えない。
この世界はまだ続いている。彼女はまだこの世界を終わらせられない。
ナイトメアなるチンケな悪魔に、一矢報いてやらねば気が済まぬ!!!!!!
870年・・・・それだけの刻が必要だった。彼女が居場所を得るまでには。
だがその長い歳月が彼女の心を癒した。時は人以外の心も癒すものらしい。
彼女は人間を憎んでいた。だが絶対的なものではなくなっていたのだ。だから差し伸べられた手を彼女は握り返すことができた。
彼女は幻の討伐軍に仕返しをしてやりたかったのではない。
彼女は考えた。ナイトメアの代理のような存在がどこかにいる。この世界を構築させている何か。
必ず尻尾を出すはずだ。出さなければ見つけ出すのみ。
ナイトメアへと続く入り口、あるいは鍵。どこかに、必ず。
彼女は怒り狂っていた。どんなに怒ったと言っても現在に生まれ変わって以来ここまで怒った事は無かった。
私は確かに怒っている・・・・私を化かしたこと!私に苦痛を与えたことに怒っている!!
このバカ犬にまた貸しを作ったことを怒っている!このバカ犬は頼んでもいないのに余計なことばっかりだ!!あげく勝手に怪我をして!手間ばかりかけさせる!!
こんな救いようも無い犬っころに貸しを作らされたことを怒っている!!!
こんなバカ犬が怪我させられたことを怒っているのではない!これっぽっちも怒ってなどいない!!!
自業自得だ!後先考えないからだ!馬鹿なヤツ!!助けたんだから貸しだなんて思うな!!
このバカ犬のせいで撤退を余儀なくされるんだ!また美神にイヤミを言われる!キツネウドンが遠のく!キツネウドンの恨みを甘く見るな!
だから!!!!引き下がりはしないぞナイトメア!!!!!!!
タマモの変化した白面金毛九尾の狐は首を廻らして探す。
必ずある。世界の出口があるなら入り口が必ずある!神様のお告げだ!!必ずナイトメア本体かナイトメアのいる世界につながっているハズ!!どこに!!!
矢が射掛けられているが問題にもならない。
ピタリと。彼女は1人の馬上の武士に目を止める。
みぃぃぃぃぃぃつぅぅぅぅぅぅけぇぇぇぇぇぇたぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!!!
馬上の武士は怯む。もう遅い。手遅れだ。私は見つけた!見つけたぞクソ悪魔!!!!!
白面金毛九尾の狐が巨大な口を開く。
そして巨大な灼熱の白い球状の狐火を吐き出した!!!
三浦介義明に命中した白炎は三浦介義明と討伐軍を一瞬で・・・・言葉どうりの意味で刹那に消し飛ばし、那須野の大地を盛大にえぐった。
その光景は例えるなら戦術核が炸裂したかのようであった。
那須野の大地にクレーターを穿ち、精神世界の全てを揺さぶる!!!
ツンデレが大地を吹き飛ばした!!!!!
【氷室きぬ9 梅枝ナオミ10】
キャアアアア!!!!!!
突然彼女達のいる漠然とした砂漠の世界を襲った激震に彼女達は身を伏せた!
「何?!地震?!」
ナオミはキョロキョロと辺りを見回す。何も無い所でよかった。砂漠で地震なら地割れ以外安心できる。
「あれは・・・何!?」
おきぬは遠くに異常な光景を目撃した。
稲妻が砂漠をぶち破って灰色の空へと落ちていく!!!
それはまったくあり得ない光景であり、ここが異常な世界であることを彼女たちに再確認させた。
遅れて雷鳴が地面から響いてきた。その雷鳴は強烈な怒りの雄叫びのように彼女たちには聞こえた。
空へと昇っていく・・・・・いややはり空へと稲妻が落ちていくとしか言いようがない悪夢のような光景も幻のように消え、それからほどなく揺れも収まった。雷光も消え元の単調な砂漠に戻った。
2人は互いの無事を確認する・・・・何事も無くて良かった。
その直後、彼女達のいる世界についにあの悪夢がやって来た!!
【美神令子17】
!!!!
激震が突如美神を襲った!
「精霊石よ!!!」
彼女はとっさに手持ちの精霊石の一つを使って防御陣を形成する。
次にとんでもない霊圧を巨大な扉の向こう側から感じた!まるで霊力の稲妻が落ちてきたようだ!!!
爆風のように拡散する凶悪な霊力から防御陣は美神を守り切った。
ブギャヒヒヒィィン!!!!!!
何やらけったいな馬のいななきのような叫び声を美神は聞いた!!!
激震は収まった。だが扉の向こうからは屠殺場に入ることを拒否するウマのいななきに似た苦悶の悲鳴がまだ聞こえてくる。
美神は腹を抱えてゲラゲラと笑い出した!!!
この力は間違いない、タマモだ。
まったくあのウマはあの子にどんな悪夢を見せたのだろう。よほどの悪夢だったに違いない。
バカな奴だ。所詮はウマ知恵だ。安全なところから眺めていい気になっていたのだろう。
ウマは楽しんでいた。美神にはそれがわかった。まったくイヤラシイ・・・・まぁ悪魔だし当然か。
今回の事件の真相はまだ私にはわからない。だがじきに明らかになるだろう。
しかし予想は容易につく。何者かが・・・・というか依頼者のあの政府のハゲ親父なんだろうな・・・・があのウマ悪魔を良からぬ事に利用しようとしたのだろう。
半端な実力、半端な技術でウマを支配したつもりになっていたに違いない。茂流田の一件を知らなかったわけでもないだろうに。
だがウマは悪魔なのだ。舐めてかかってはいけない。人が利用したと思っていても実態はそうではない。この一件、放置したらどんな被害が出たか考えると恐ろしい。あのウマはきっと頃合を見計らって主導権を奪っただろう。
レベル7の超能力者を乗っ取り、自分のために力を振い暴れまわるナイトメア。
まったく。それこそ悪夢じゃないの!!
それが悪魔と呼ばれる存在だ。人の弱みと隙に付け込む。
悪魔など人が利用してはならないのに。昔話はそう説いているのに・・・・人は愚かだ。自分は大丈夫だと思っているのかしら?
フン・・・・・・・・そのことを理解していてくれているといいけど。
美神は充分笑った。笑いやむ。
それにしても・・・・・衝撃のわりに威力が小さい?
ウマは直撃をまぬかれたのだろう。たいしたものだ・・・・いや・・・・うん。
あれの直撃をくらっていたらウマもひとたまりもなかっただろう。
そうか。おそらくあの稲妻が着弾する直前に世界の接続を切断したな?
チッと再び美神は舌打ちする。頭の切れる奴は迷惑だ。
しかし同時に私も助かった。もしまともにあの霊力が着弾していたら私ごと吹き飛ばされていたかもしれない。感謝しないと。
拡散したエネルギーはどこに向かって行ったのだろう?
まぁいいか。私は無事だ。
タマモには高級うどん店でキツネウドンでも奢ってやるか、と美神は思う。
・・・・・・・・・この事件が終わったらタマモの力はある程度こっそり封印しておこう。
ここまでの力など無くてもいい。ま、屋根裏部屋にいなさい。少々うるさいが賑やかな方がよい。
もう白面金毛九尾の狐に力などいらない。
力など無くとも、彼女には居場所がある。
【谷崎一郎14】
おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
ドシャァァァァァン!!!!!!と高速回転しながら姿勢を崩して乳白色の砂漠に変態紳士にランクアップした谷崎はめり込んだ!
《なんだ!なんだ今の衝撃は!!!》
谷崎は世界の移動中に何かよくわからな力に捉えられ、抜け出すことに手間取っていた。
どうやら遅まきながらナイトメアが谷崎に対する対策を施したものと思われた。
しかし遅すぎた。谷崎までは手が回らなかったのかもしれない。
もがいている最中に横面をぶん殴るようなもの凄い衝撃を受けて弾き飛ばされたのだ。
下が砂地でよかった。変態的な高速回転と落下のショックでモウモウと砂煙が上がり視界が悪い。
キャア!!!
とかわいらしい悲鳴が上がる!!ついに運命の扉は激しくノックされたのだ。
この声は間違いなくナオミだ!!!谷崎イヤーは1/1000の誤差でもナオミの声を聞き分けるのだ!!ナオミレーダーにも感あり!!谷崎ノーズもナオミのニオイを嗅ぎ分ける!!!
ナオミが近くにいる!!!ついに来た!!!いざ新世界へ!!!
砂煙の向こうに人影を捕らえた!!!谷崎アイが光ってうなる!!!!!!
「ナオミィィィィィィィィィィィ!!!!会いたかったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
谷崎はその人影に抱きついた!!!!!
【横島忠夫11】
!!!!?
横島のいる東京タワーの世界に、原因不明の激震が襲った!!
なんだ!!いったい何が起こったんだ!!爆発?!いや地震か!?
横島の疑問はルシオラの叫びで途切れる。
「ヨコシマ!!創造主に何かが起きた!接続が切れた!!!」
ハッと横島は周囲を見る。世界が歪んでいる。マズイ!!たぶん時間的余裕はない!!
これがあの変態男が予言した機会なのか?!何が起きたかわからないが確かにチャンスだ!!
《その機を逃さないで!》
ありがたいっす!本当に!!
横島は胸に手を当てると文珠を錬成する!通常の文珠とは違う、ルシオラと横島の力が混ざった文珠の形をした力そのものだ。
グラリと体が揺らぐのを横島は必死に耐える。今の横島は自分を保つことぐらいしかできない。
「受け取れ!ルシオラ!!」
横島はその文珠をルシオラの心臓の辺りに叩き込んだ!!!
彼女はビクンと痙攣する。力が流れ込んでくる!ヨコシマの魂を・・・・感じる。
うまくいくかどうかわからない。けれど・・・・ヨコシマには悪いけど、私はどちらだっていい。 もう私は充分幸せだ。
横島は彼女に折り重なるように倒れた。どうか、彼女に救いを。俺を偽善と罵って欲しい。それで救われるものがあるのなら・・・・・
【蕾見不二子6】
蕾見不二子はフカフカの大きなベッドの上で幸せな睡眠を貪っていた。眠りながら皆本抱き枕にオクトパスホールドをしかけている。皆本抱き枕の寿命は多分短い。
「う〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・ムニャムニャ・・・・・・すっげ〜〜〜〜・・・・ふにゃあ・・・・・・・・・・・・・・・・い〜ちげ〜〜〜〜き・・・ムニャァ・・・・」
彼女がどんな夢を見ているかは、まったくわからない。
【皆本光一21】
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
皆本は叫び声と同時に無様に転がる!
もの凄い衝撃だった!!体をあちこち打ったせいか、体がオクトパスホールドをかけられているように痛む!!
皆本は頭を急いで整理する。僕に何が起きたんだ?そうだ!僕は!!!
楽しみにしていた深夜アニメが放送中止になってN○ce b○at!!と叫びながらリモコンをテレビに投げつけていた!!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!ふざけんなぁぁぁぁ!!!!!
ミッドウェー海戦とかもあったけど僕的に信じられない悪夢ばっかりだ!!!!!!!!
悪夢って言うなら陰惨な戦場とか感染爆発した奇病とか襲ってくるゾンビとかだろ!!!!!!
不真面目にもほどがあるっっっ!!!!!!!!!
・・・・・・どうにも、どうにもバカにされている気がする。おちょくられている気がする。
皆本は荒い息を吐く。落ち着くんだ。クールになれ。頭を冷やせ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とにかく、この今の自分の感覚的にここは悪夢の世界では無いと思う。
なにかもの凄い爆発のような衝撃があって、吹き飛ばされたように思う。なんだったのだろうか、あれは。
まぁいい。もしあの衝撃が悪夢の連続から僕をはじいてくれたなら、感謝すべきことだ。
・・・・・・・・ここはどこだろう・・・・洞窟?
考えをまとめていた皆本の背後から凛とした女性の声がかけられる。
「あなたが、勇者?」
まさが自分が勇者か?と問われる日が来るとは思わなかった。
今の自分は勇者どころか、ピエロなのに。
【タマモ21】
世界はとりとめの無い乳白色の砂漠と灰色の空。
ポッカリと開いたクレーターが他の砂漠とは違う。
討伐軍も那須野の大地も何もかもがこの世界からは消えた。
他にこの世界にあるものは。
タマモが変化により背中から翼を生やして灰色の空の中を飛んでいた。
飛翔しながらシロを両腕で抱いている。いわゆるお姫様抱っこ。
《夢の世界は過去の失われた力も使えるのか。ナイトメアめ、大ミスだ》
彼女は現在の自分はかつての力がもう無い、と思っている。無意識に自らの力を封印しているのかもしれない。その力こそが自分に災いをもたらすと眠っている間に考えたのかもしれない。それならばその自己暗示は強力だろう。強力な力が源の自己暗示だからだ。
関係各位に多大な御迷惑をおかけした一撃の結果である巨大クレーターを、彼女は空から見下ろす。
ふん・・・・・美神、今までのお揚げ特盛キツネウドン分ぐらいの仕事はしたわよ。
手ごたえはあった。ナイトメアめ、ザマミロだ。
私とこのハタ迷惑なバカ犬はここで撤退だ。美神よ、イヤミならこのバカ犬に言ってくれ。
後は美神とおきぬが何とかしてくれるだろう。横島はアテにできないけど。
タマモはチラッとシロを見る。
シロはタマモに両腕にいだかれてグーグーと気持ち良さそうに眠っている。
寝てたのかお前は!!このバカ犬!!ここから落ちてしまえ!!!
それはしかたの無いことなのだ。人狼族の驚異的な自己治癒力の副作用である。眠りながら傷を癒す。タマモにもそれはよくわかっている。
・・・・・・・・・・・・・・
ホッとなんてしていない!!!!!!!!!!!!
彼女は誰にも何も言われていないのに全力で否定する。
クソ!クソ!クソ!クソ!コイツのせいで!!とまだ怒っている。
・・・・・ああ、早く帰ろう。馬鹿馬鹿しい。
帰る?・・・・私に帰れる場所があるのか・・・・・・
だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!ナイトメアめ!くだらぬ夢を!!!!
タマモは空中で地団駄を踏む。私は誇り高き狐なのだ!犬っころとは違う!!!!
《強く念じなさい。『この子を助けたい。そのために世界から逃げ出したい』と。『この子を守りたい』と》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!神様違います!!!
私は腹が減ったのです!!キツネウドンが食べたくなったのです!!お揚げが特盛なやつが!!! だから帰るのです!
キツネウドンが食べたい!!キツネウドンが食べたい!!キツネウドンが食べたい!!キツネウドンが食べたい!!キツネウドンが食べたい!!キツネウドンが食べたい!!キツネウドンが食べたい!!キツネウドンが食べたい!!
見つけた!!あそこが出口だ!!!
灰色の空遥か高くに彼女は出口を見つけた。キツネウドンは偉大だ。
彼女はシロを両手にしっかりとかかえて全速力で出口に向かって飛翔する。
彼女は寄り道をしたが、本当は一刻も早くキツネウドンが食べたかったのだ。
<タマモ TRUE END?>
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