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GSメドヨコ従属大作戦!!

大壁面突入!(前編)


投稿者名:まじょきち
投稿日時:12/ 6/ 4





成田空港第二ターミナルの出口。旅客たちが次々と目的地に向かうべくビルを後にする。
美しく朱色に焼けた空の下、旅行鞄を転がすスーツの男、横島大樹もその一人であった。
男の視界に懐かしい顔が見える。手塩にかけ慈しみ愛した存在。その姿が近づいてくる。
一人息子の横島忠夫が、笑顔を溢れさせながら幼い頃と同様に走り寄ってきているのだ。

そして。



「何故また日本に来た親父よ!その時は死を覚悟する時だと何故気づかん!」

「くっくっく、親より優れた子供など存在しない!今それを教えてくれる!」



一秒間に10回のナイフの突きを繰り出すのは父。絶命の危険を孕む、まさに必殺の突き。
しかし我らが横島くんは紙一重で交わし、渾身の拳を振り下ろす。それもまた必殺の突き。
互いに殺意を隠さぬまま、裂帛の気合と共に数分もの間、その攻防は続いていた。
地面には拳の痕、壁面にはナイフの傷跡が無数に刻まれていく。



「……ふ、勝負はお預けだ忠夫よ。またまた大きくなったな。」

「この前と1ミリも変わってないんだが。……おかえり親父。」



親子の日常のつきあいは済み、何事もなかったかのように成田エクスプレスに乗る。
夕から闇に風景が変わる中、長い長い電車の時間は続く。語らい、乗り継ぎながら。
互いの近況を確認し合い、他愛も無い日常に笑い、時は思いの外に早く過ぎていく。



「中退で起業か。まー俺はお前に任せるが、かーさんは怒るだろーな。」

「おふくろには……軌道に乗るまで内緒にしててくんねえかな親父……」

「覚悟が出来てるなら内緒にはしといてやろう。だが、一つ言わせろ。」

「なんだよ親父。」



父親は息子の両肩にがっしと手を乗せて掴む。
息子は父親の双眸にしっかりと目線を据える。
二人はそのあと無言のまま、数秒を過ごした。









「ここ、どこだ?」

「奥多摩。」



風景が見渡せる開放的なプラットホームに立ち尽くす、忠夫と大樹。
駅の蛍光灯以外には街灯も見当たらず、星空がとても綺麗に見れた。
成田エクスプレスは東京まで1時間。長さの内訳は、ほぼ中央線だ。

ちなみに皆さんは、奥多摩とはどの様な場所か知っているだろうか。
東京最後の秘境との呼び声も高い、奥多摩湖周辺の山岳地帯である。
夏涼しく冬寒い、エアコンを四半世紀動かしてない家庭も多い程だ。



「……俺はてっきり池袋に向かっているものだと思っていたがな?」

「もちろんさ。だが、親父にはどうしてもここに来て欲しかった。」

「その理由を聞こうか。」

「ただの嫌がらせです。」



ホームから電車に飛び乗った息子を追った大樹であったが、何故か目の前でドアが閉まる。
大樹には扉を開けようとしない。そうしてる内に東京方面普通列車は非情にも動き出した。
青梅から奥多摩までは押しボタン式だが、辺境に疎い大樹には仕組みが判らなかったのだ。



「誰がメドーサを会わせるか!奥多摩で一晩過ごしてナルニア帰れ!うはははは!」



乗客のいない車両内で高らかに勝利を宣言する主人公。
その後横島くんは、上着のポケットから紙切れを出す。
それは分単位の乗り継ぎ計画書。つまり、これは策略。

横島くんが今飛び乗った電車が、22時18分青梅行き。
だが最終ではない。実は23時05分に立川行きが出る。
しかし23時発はどう頑張っても都心には着けないのだ。









「ただいまー。いやー、親父と話し込んで遅くなっちゃってさ……」

「どこで道草食ってたんだい?親父さんもう待ちくたびれてるよ?」

「えぇ?!そんな馬鹿な?!親父がなんで先に着いてるんだよ?!」



部屋ではメドーサと小鳩と大樹が、身を寄せ和気藹々と談笑していた。
横島忠夫の計略は確かに成功していた。しかし成果は得られなかった。
それではいったい何が起きたのか。



「タクシー使って来たら早かったぞ?圏央道か、ありゃ便利だな。」



そう。首都圏外縁部の渋滞解消のために建設中の自動車専用有料道路、圏央道が青梅にはある。
奥多摩から青梅に出て圏央道に乗り八王子JCTを経由し中央道に乗ると短時間で都心に出る。
しかも時間は夜。日中ならば渋滞が多い国立府中も三鷹も新宿も、ほぼ通り抜けるだけの状態。
夜間で乗り継ぎ待ちにかなりの時間を要した横島くんはあっという間に抜かれてしまったのだ。



「奥多摩から池袋までいくらかかんだよ!ありえねえ!普通諦めるだろ!」

「泊しようにもホテルなぞ無かったわけだがな。……おまえ、馬鹿だろ?」

「ぬ、ぬかったああああああ!」



奥多摩の名誉の為に言っておくが、駅周辺に宿泊施設はある。
ただ、大変控えめな外装なので夜間に探すのは戦時下のコソボでスナイパーを見つけるより難しい。
百戦錬磨の横島大樹は瞬時に状況を判断、駅前に待っていたタクシーに乗り込むまでわずか11秒。
この切り替えの早さこそ幾多の危機を乗り越える大きな要素だったと言っても過言ではないだろう。



「さて、お嬢さん方との楽しいトークも済んだし、忠夫は花戸さんを送って差し上げろ。」

「いや、送るも何も、小鳩ちゃんはウチの隣の住人なんだけどな。まぁ一応送るけどさ。」

「隣だろうと送るのが男ってもんだろうが。俺様はその間にヘビ山さん送ってくるから。」

「いや、その、それもその、必要ない、っていうか……遠回りになっちゃう、というか。」

「なんせあたしはここに住んでるわけだしねえ。ま、ご好意だけは受け取っとくけどね。」

「あぁそうですか、忠夫の部屋に一緒に―――――――――――――――――っ!!!!」



父親は愛する我が子の胸倉を掴み、共に部屋の外に出る。
先ほどまで歓談していた温和な中年男はいない。いるのは、眼光の鋭い戦士。
頚椎をねじ切らんとするかの様なシャツの掴み方は、息子を軽い窒息に陥らせた程だ。



「お、おまえ!年上の床上手と同棲だと!仕事上の共同経営者だって言ってたのは嘘か!」

「いつまでもガキだと思うなよ!この前だって全裸の2人と同衾して一夜を過ごしたぜ!」

「は、花戸さんにも手を出したのか忠夫!お前とゆーやつは!ガキのくせに生意気だぞ!」

「うははは!俺の部屋はまさにパラダイス!片や女神、片や神に愛された少女なんだよ!」



横島くんの台詞に嘘はない。
メドーサは女の竜神だし小鳩ちゃんは貧ちゃんに愛されている。
更に全裸で同衾し(?)一夜を過ごしたのも全て事実。まぁその経緯は別として。



「悪いことは言わん。俺の経験上から言わせてもらうとだな、花戸さんはやめとけ。」

「なんでだよ!小鳩ちゃん可愛いし、性格いいし、乳でかいし、全然文句無いだろ!」

「ああいう子は二股ってバレた瞬間に刺すタイプだ!俺の背中の傷は半分それだぞ!」

「小鳩ちゃんがサすなら本望じゃい!その前に別な意味で小鳩ちゃんを俺がサすわ!」



日本語ってのは本当に便利。『刺す』『挿す』もどっちも発音は『さす』なのである。
二つのサスがどういう意味を持つのかは、興味がある人だけ調べてみてもいいだろう。
この後しばらく親子の言い合いが続き、幾分か後、とりあえず部屋に戻る事となった。
しかし次の瞬間。横島大樹は細君以外で体感したことのない恐怖を味わうこととなる。



「横島さん、送ってください。横島さんのお父様、お疲れ様でした。」



小鳩ちゃんとは、おさげの可愛い非常に控えめな少女である。
しかし、大樹の見た彼女は全くの別物だった。何せおさげが怒りのオーラで上を向く程だ。
憎しみと殺意の眼光。なぜ、気弱で良い子世界ランカーの小鳩ちゃんがそこまで怒るのか。

簡単な話で、横島くんの部屋の扉はベニヤで出来た安普請オブ安普請。
全部筒抜けだったのだ。小鳩ちゃんはやめておけという大樹の一言も。



「……横島さん、あの、小鳩は背中から刺したりなんかしませんから。」

「え?あ、ああ、うん、確かにサすなら前からがいいかも!なんちて。」

「私も横島さんの顔を見ながらの方が……あの、お、おやすみなさい!」



遠まわしな大胆発言だが、そういう事を言われる経験の無い少年には把握できない。
隣室の扉の中に消えた少女の不思議な反応に、首を傾げながら自室に帰る横島くん。
しかし、そこに居るはずの中年髭男の姿は無く、女神さまが座していただけだった。



「あれ?メドーサ、親父は?」

「ああ、なんかホテルとってあるから帰るってさ。親子水入らずを邪魔したかねえ?」

「珍しいな。てっきり『俺もここに泊まるぞおお!』って言い出すと思ったんだが。」



父との時間の為に、今日と翌朝からの仕事を入れなかった息子にとって意外だった。
家主の気を感じ取ったのか、無邪気に笑いつつメドーサは横島の頭を上から撫でる。



「今生の別れって事はないから安心おし。神たるあたしの神託なんだ、信用していいよ。」

「親父と会えないのは嬉しい位だってえの!……ずっとは少しだけ寂しいかもしれんが。」

「あーはいはい。男ってのはめんどくさくて嫌だねマッタク。あたしはもう寝るからね。」



唯一の室内灯である裸電球の紐を引き、そのまま押入に潜り込んでいくメドーサさん。
ウナギの寝床のような狭い布団置き場なのだが、メドーサのお気に召したようである。
以前寝姿をのぞいた横島くんが、メドーサの幸せそうな表情に襖をそっと閉めた程だ。




翌朝、二人が起きるより早く小鳩が起床。母の食事を作り終えると早々に横島の部屋へ。
布団を剥ぎ豪快な寝相で夢の中にいる少年に気付かれぬように近寄り、頬に軽く口付け。
これは小鳩の小さな朝の楽しみである。そのまま物音に気をつけての朝食作りが始まる。



「………おはよう小鳩。あたしが頼んだ事とはいえ、いつも悪いねえ。」

「あ、あの、いいえ。私にはこれくらいしか取り柄がありませんから。」

「謙遜は理解してるけどさ、過ぎると嫌味だよ。小鳩らしいけどねえ。」



似つかわしくないイチゴ柄のパジャマに包まれたメドーサが起き、すぐにコタツに足を入れる。
胸元胴回りの部分はぴったりなのだが、腕と足の部分の丈がかなり短く、つんつるてんである。
これは、単に全裸での就寝を善しとしない小鳩からの贈り物なのだ。むろんお下がりなのだが。
爆乳神の胸に負担をかけないパジャマを着ていたあたりに小鳩ちゃんのポテンシャルが窺える。



「ほれほれ、横島、朝飯ができちまってるよ。起きないなら二人で食べるけどね。」

「―――また寝過したか!小鳩ちゃんが裸エプロンで料理してる所を見過ごした!」

「ふふ、たまには早く起きて確かめてみたらどうです?ごはん冷めちゃいますよ?」



もはや慣れたものである。三人の朝食はテレビも点けぬまま始まって、雑談の内に終わる。
狭い部屋でも遠慮なく新聞を大きく広げ読むメドーサ、三編みを揺らし洗い物をする小鳩。
そしてやっとこさ服を着替えだす横島。そんな日常の朝の風景の中、不意に呼び鈴が鳴る。
メドーサは読んでいた紙面から少しだけ視線を上げ横島を睨む。そして、横島くんが立つ。



「むうー。こんな朝早くにいったいどこの西ドイツだ………………んん?!」

「――!!やっぱりだ!あなたが伝説の同人屋ナハト・コバルトですね!?」



玄関先には小学生かと見紛う幼さが残る少年。横島に憧憬の視線を投げかける。
しかしそれとは対照的に当の横島忠夫に浮かぶのは困惑。初対面であるからだ。
だいたい『ナハト・コバルト』なる名前自体に、彼はまったく聞き覚えが無い。



「寄稿専門の伝説の同人屋!このエロ顔、まさしく爆乳大王!背景特定したんだぜ!」

「いや、お前なんか勘違いしてるだろ……ウチはGSだから除霊しかしないっての。」



横島忠夫は小学校時代に全国で名を馳せたミニ四駆のチャンピオンではあった。
しかし目の前の少年の言う『爆乳大王』なる称号は、一度も受けたことはない。
むろん彼が乳に造詣が深いことは周知の事実なのだが、乳だけではないからだ。



「俺、頼みがあって……実は弟が同人勝負に負けて、再起不能になって……」

「帰んなボーズ。人違いだし、俺は大人で仕事が忙しいの。ヨソで遊びな。」

「そんなこと言わないで!俺の同人勝負を手伝ってくれよう!金ならある!」



少年は横島の手に小さめの紙切れの束を握らせる。その数およそ20枚。
どれにも福沢諭吉と鳳凰の絵柄が、特殊なインクでプリントされている。
いわゆる「いちまんえんさつ」というやつで、日本だとかなり重宝する。



「前回の個人誌で出た利益だ!これ全部やる!勝ったらこれの倍出す!頼む!」

「う、うはは、うははははは!俺にまかせとけ少年!この仕事確かに請けた!」

「やった!引き受けてくれるんだな?!」



手にした札束をズボンに捻じ込む横島。この瞬間、同人屋が始動する事となる。
そして重ね重ね言うようではあるが、横島くんのお部屋はTOPオブ安普請だ。
テ●ビ東京のドラマのスタジオ撮りでもここまで酷くはしないだろう程である。
その内容は全て室内に筒抜けであった。



「……小鳩、同人屋だかってのは一体なんなのか知ってるかい?」

「あの、マンガ好きの作家ごっこです。かなり儲かりますけど。」

「じゃああたしの出番はなさそうだね。あたしゃ絵が苦手でさ。」



部屋の押入で暖を取るメドーサは、用が済むと決まってそこに帰っていく。
それは何もしない時の合図であり、手伝いはしないという表明でもあった。
小鳩の目に迷いの表情が交錯する。困難な計算を解するかの様な苦悶の顔。
さて、何を迷っているのか。



「あ、あのー、メドーサさん?ちょいとお話が……あれれ、メドーサは?」

「……メドーサさんでしたら絵は苦手だからって、寝ちゃいましたけど。」

「さすがのメドーサも弱点はあるってことかー。うーむ、少し困ったな。」



横島は思考していた。ぶっちゃけドウジンヤとか言われても何の事かサッパリわからない。
ただ、目の前に現れた一万円札に衝き動かされてYESと言ってしまったに過ぎないのだ。
いざとなったら何でも出来ちゃうメドーサに任せて済まそうと、たかをくくっていたのだ。



「よ、横島さんは、その、同人誌とかって知ってるんですか?」

「うんにゃ、さっぱり。絵がどうこうって事は、芸術関係か?」

「――――よ、横島さん!あの、こ、小鳩がお手伝いします!」

「小鳩ちゃんだって知らないだろ?こいつはマズったかもな。」

「横島さん――――――――け、軽蔑しないでくださいね……」



小鳩は横島の言葉を遮り、部屋にあったノートにシャープペンで何かを描きだす。
それは昔に一世を風靡したアニメやゲーム、漫画などの作品の1シーンであった。
セーラームースR、ドライブコンテストボールZ、神聖モテモテ王国、などなど。
あろうことかそれを目を閉じて描き殴り続けていた。



「な、な、なんなんだこれ!こ、こ、これはいったい!?小鳩ちゃん?」

「……わたしがその寄稿専門同人屋の『ナハト・コバルト』なんです。」



彼女の職歴は多岐に渡る。お惣菜の調理場や内職、交通整理に至るまで。
そんな中で動画中割り、いわゆるアニメーターという商売もやっていた。
そのつてから、ページが足りない同人誌相手に一枚幾らで売ってたのだ。



「背景とか普通は写真を使うんですけど、うちにはカメラが無くって……」

「じゃあさ、その同人誌ってやつも作れちゃったりするの?小鳩ちゃん。」

「自分で出した事はないんですけど、まぁ作り方くらいなら知ってます。」



目を輝かせて小鳩ちゃんの手を握る横島くん。当の彼女は赤面しながら困惑する。
だが、目の前の少年は、どうにも好意的に自分の話を解釈しているようだと判る。



「あ、あの、横島さんは、その、気持ち悪いとか思ったりしないんですか?」

「なんで!?すげえじゃん小鳩ちゃん!いやー、こいつはツイてやがるぜ!」



事実、スキルを確立したアニメーターはその量産意識から本職の漫画家で成功していたりする。
古い例かもしれないが、花とゆ●あたりでアニメーター上がりの作家が有名になった例も多い。
ただし、スキルも確立しないままドロップアウトした人間は悲惨すぎる結末が待つことも多い。

無邪気にその幸運を喜び小鳩の手をとって踊りハグする横島。
意中の彼の無防備な笑顔に、耳まで赤くなる小鳩。
そして少し乱暴に開く押入れのふすま。



「……うるさいねえ二人とも、おちおち二度寝も出来やしないよ。なんなんだいこの騒ぎは?」

「メドーサ!俺ちょっと別件受けてさ、小鳩ちゃんと仕事に穴開けちゃうんだけどいいかな!」

「ああ、いいよ。しばらくあたし一人で何とかするから。……小鳩は役に立ちそうなのかい?」

「立つ立たないのレベルじゃあないって!もはやラオウ昇天クラスに立ちっぱなしなんだぜ!」

「そうかい。じゃあ二人で何とかするんだよ。言っておくけど、あたしは手伝わないからね。」



メドーサはふと小鳩に視線を送ると、横島に見えないように片側の目を閉じた。
そのままモソモソと、ねぐらである押し入れに帰っていった。
小鳩は、メドーサのウィンクの意味を理解して更に赤面する。



「よおっし小鳩ちゃん、めっちゃ期待してるぜ!俺にできる事いってくれ!」

「じゃあ、新宿の世界堂で買い物してきてください。リストは今書きます。」

「おーけーおーけー!伊勢丹の近くだろ?!早速行ってくるぜ小鳩ちゃん!」



数年来沈黙を続けていた同人屋『ナハト・コバルト』が再び起動した。
ちなみに横島くんには珍しくお買い物にかなり時間をかけてしまった。
画材を買うなら新宿本店だが、間違って西口店に行ってしまったのだ。







一方、二人が部屋を飛び出した同時刻、総合商社『村枝商事』本社屋の特別会議室。
身なりの立派な初老の老人と高級なスーツを普通に着こなす髭の中年が下を見守る。
その眼下には車椅子に乗った少年が、口を開き、脱力したように背を椅子に預ける。
そして、赤い長髪をトレードマークにした女GSが少年の前にしゃがみこんでいた。



「横島君、わざわざ帰国までしてもらってスマンな。必ずこの恩は返す。」

「いいえ、社長に受けた御恩はこれしきでは。……美神さん、どうかね?」

「これは……かわいそうだけど、この子は尻子玉を抜かれているようね。」

「尻子玉、ですか?……では息子の相手はカッパというわけなんですか?」

「いえ、河童独特の水の腐る様な悪臭がありませんから小鬼か妖精です。」



ちなみに『社長』とは村枝商事社長の村枝賢一氏ではない。どうやら横島パパの顧客らしい。

車椅子の少年の瞼を捲りながら美神令子が覗き込む。目線を合わせるために膝をついている。
膝を上げていれば色々見れたものをと悔しがりながらも、しゃがみ姿勢独特の腰のラインに
鼻の下を伸ばしている髭男。こちらはもちろん横島大樹である。



「こちらはウチの重要なクライアント様のご子息でね。最高級の貴女に頼みたいんだ。」

「お任せください。取れる選択肢の中で、この子が助かる一番高い確率が私どもです。」

「ヒロシのことお願いいたします。……で、向こうが元に戻す条件にしてる勝負は……」



美神令子は一流のGSである。オカルト方面で負ける相手は居ないと嘯くだけの実力がある。
そして、その勝負の内容を聞いてもその表情も自信も、全く揺るいでいない。
ただただ、今日も彼女は金額に応じた笑顔を見せるのみである。








「むうー、マンガって難しいんだな。勢いでギャグかいておしまいだと思ってたぜ。」

「それはそれですごく大事なんですけど、やっぱりアングラですから特典も無いと。」

「それでエローンというわけか!いや、その気持ち判りすぎる!確かに俺も嬉しい!」



秋葉原で落ち合った二人は、神田方面に外れたファミレスで会議をしていた。
卓上には小鳩が不在の間に発行された即売会のカタログ類が並べられている。
さらに個人商業を問わず同人業界の動向を調査している冊子も積まれていた。

普通なら周囲はドン引きで店員に注意もされようものだが、ここは神田だ。
店員も客も慣れたものである。むしろ聞き耳を立てる人間さえ少なくない。



「同人勝負っていうのは、敵対するサークル同士で部数を競う勝負なんです。」

「サークル?なんだっけ、三角とか四角とかだっけ?英語は苦手なんじゃよ!」

「サークルっていうのは……マンガを作るところって事です。お店みたいな。」

「なるほどー、俺だけでやってたらココで詰んでたわ。ありがと小鳩ちゃん!」



たった一つのポテトの盛り皿を互いに摘まみながら、語り合う横島と小鳩。
机の上を見ないようにすれば恋人同士の微笑ましい光景に見えなくもない。
彼女役のたれ目少女は、目の前で感心する少年に、意を決して口を開いた。



「ちょっと聞きますけど、たとえば横島さんだったらどんな同人誌が見たいですか?」

「……え?どんな同人誌って?ごめん小鳩ちゃん、俺、その同人誌とやらが判らん。」

「難しく考えないでください。要はどんな物語だったらお金を出したくなるかって。」

「たしか何でもありなんだっけ。うはは!そういう妄想だったら得意中の得意だぜ!」



主人公は横島くん。いつもは冴えないモテない金がないのナイナイづくしの17歳。
そんな彼が急に降って湧いたように女の子にモテまくり始める。何故かは知らない。
歩いてはモテ、寝てはモテ、くしゃみをすればモテ、なにがなんでもとにかくモテ。
やがて少年は大宇宙を征服して宇宙の美女をすべて彼女にしてしまい………………



「あ、ちょ、ちょっと待ってください!横島さん、もうすこしコンパクトに……」

「そ、そうか。じゃあ彼女は2・3人で、やっぱ乳が大きくて可愛いといいな!」

「おっぱいが大きくて、可愛い、と。あとは何か『こうしたい』ってあります?」

「そりゃあラブラブでデートしたりキッスしたり、最後は、こう、営み等も……」



小鳩は横島の意外な素顔に驚愕する。彼女が受けてきた注文に比べて、非常に緩い。
特殊フェチや強化されたデフォルメ、果ては遺伝異常まで注文を受けたことがある。
『50リットルくらいの汁だくでチョキを顔の両側に出して少し生気のない笑顔』
そんな落ちを指定してきたサークルだって有ったのだ。



「なるほど、ちょっとむず痒いくらいのエロってのも面白いですね。それでいきましょう。」

「か、カユイ?いや別に蚊に刺されながらの営みってわけじゃ……そ、外でというやつか!」

「横島さんは外でのプレイもアリですね。どんどん言ってって下さい、盛り込みますから。」



横島くんの性癖が次々と小鳩ちゃんに直撃していく。とにかく乳と尻とフトモモ。
だがエロスは市販のAVの前座から中盤程度の感じだ。意外と純情派路線が好き。
その脳内でだれかとだれかを想定しながら、すこし赤面しつつメモる小鳩ちゃん。
ふと顔を上げると、鼻先まで顔を寄せまじまじと覗き込む横島くんと目が合った。



「え?あ、あの、何か変ですか?なんだったらもっと過激なのでも小鳩なら大丈夫ですよ?」

「その、小鳩ちゃんの意見が一個もないみたいだけどさ、経験者の意見のがいいんじゃね?」

「私の意見、ですか?あの、いつも注文をもらって描いてただけですし、あまり意見は……」

「せっかくの小鳩ちゃんだけの初めての本なんだろ?だったら好きにやっていいんじゃね?」



不思議そうに眺める横島。小鳩はこの時、とあるアイディアをひらめく。
失敗したときのリスクが大きすぎるアイディア。だが、メリットもある。
本来やるべきリスク回避の計算を彼女はあえて無視し、話を進めていく。



「だいたい把握しました。題材はサンデーで大人気の『名探偵ドイル』にしましょう。」

「え?ナニ言ってるの小鳩ちゃん。サンデーの大人気マンガだったら名探偵コナ―――」

「しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!これ以上は宇宙意思以上の強制力で消されちゃいますよ!」



実はこのSS、少々平行次元を旅しているので宇宙の法則が変わったのだ。
それを乱すと『うちゅうのほうそくがみだれる』程度の混乱ではすまない。
バタフライだかファイヤフライだかの効果で消え去るのだ。気をつけよう。



「あと『ナハト・コバルト』は横島さんという事で。作者が男の子の方がウケますから。」

「まー、あの少年もそんな風に勘違いしてたくらいだしなー。そりゃぜんぜんOKだぜ!」



性欲少年が妄想を同人にする、ありがちだが鉄板だ。無論、鉄板とはFe関連ではない。
手堅い→硬い→鉄→鉄板からきた俗語という奴であり、要は王道であるという事である。



「でもさ、ここまでするんならメドーサにも話を通しておいたほうが良くないかな?」

「今回は任せると言われてますし、メドーサさん興味なさそうです。大丈夫ですよ。」

「まあ確かにな。万が一メドーサ大激怒したら、必殺3回転ジャンピング土下座で!」



横島くんは突如、座ったままの姿勢で空中にジャンプ。0.5秒ほどそこで停止。
そして空中で横に三回転し、小鳩ちゃんの前のテーブル上に、土下座で着地する。
多少にぶい音はしたが、卓上の本や飲み物、料理皿はほとんどが軽く揺れる程度。
横島くんは六本の両手指だけで、着地時の衝撃吸収と土下座維持をしているのだ。



「あの美神さんだってセクハラをたまに許す程の超絶土下座!これなら誰もが許す!」

「――あぁっ!あ、あの、横島さんっ!」

「いいや私は許しませんよー、君たち。」

「なんだよ、おっさんは関係ないだろ?」

「私はここの店長という奴だ!君のへんてこな土下座を見て周りの客は大迷惑だよ!」



口に含んだコーヒーを噴出した人、持っていた味噌汁を膝に溢した人、などなど。
テーブル上で跳躍土下座するとファミレスから追い出されるから皆も注意しよう。
こうして初日は無事(?)に終了、翌日から同人誌作りが本格的にスタートする。









同人誌の工程は人によって千差万別なのだが、小鳩の物は王道に近い。
まずプロットと呼ばれる筋書を立ててコンテを切り起承転結を決める。
そしてそれぞれに最善のページ数を割り当て、下書きを作成するのだ。



「本当に漫画家さんみたいだなー。小鳩ちゃん、俺は何をすればいいの?」

「あ、その、ここはまだ小鳩の作業ですから、そこで見ててくださいね。」



さすがにアニメーター経験者、とにかく手が早い。見れる下書きが一枚すぐに描きあがる。
1ページ出来る度に横島はそれを拾い、ニコニコと眺めた後に、そっとまとめて次を待つ。
だが5ページ目にさしかかろうという時に、横島くんの表情が少し曇る。



「よ、横島さん?気がついた事は何でも言ってください。その為の下書きです。」

「いや、思い過ごしかも知れんけどさ、エロ行くのに早すぎないかなと思って。」

「そうですか……横島さんが居てくれて本当に助かります。早速修正しますね。」



小鳩は少しだけ笑みを浮かべた後に、また作業に戻っていく。
横島はしばらくはその光景を眺めていたが、欠伸をし始める。
そしてなにやら思いついたのか、ノートを広げ描きはじめた。



「よ、横島さん?あの、いったい何を書いているんですか?」

「小鳩ちゃんの手伝いにできる様に、漫画の練習しとくぜ!」



小鳩ちゃんが横島くんの描いているノートを覗き込む。
それは普通の市販の大学ノートで罫線も入っている物。
そこには学生服の横島くんが勉強している絵があった。



「あ、け、けっこう上手いじゃないですか!?どこかで描いてたんですか?」

「うんにゃ。けど落書きとかは得意だったんだぜ?授業ヒマだったんでさ!」



小鳩はすぐさま横島の描いていたノートを取りあげて、自分のノートを渡す。
ほぼ同じデザインのノートなのだが、唯一違うのは無地、つまり罫線無しだ。
なんだか頁数の割りに重たいノートだな、と横島はちょっと違和感を覚えた。



「それならこっちのノートでお願いします。線が入ってるのだと練習になりませんから。」

「へぇ、そうなんだ。……な、なるほど!こりゃ目印が無い分だけ確かにむずかしいな!」



彼女の言っている事は正しい。罫線にあわせれば平衡感覚とバランスがとりやすい。
途端にむずかしい顔になり、前かがみになる横島。小鳩はそれを見て軽くにやけた。
小鳩と横島がコタツに向かい書き物をする。そんな光景が、数日ほど過ぎていった。








その頃、大田区産業会館の程近くにある小笠原除霊事務所。
そこでは国内GS業界の事実上の2トップ、美神とエミが屹立して対峙していた。
ただ、今日に限ってはいつもの犬猿の表情は無い。冷静な佇まいでの会談である。



「珍しく令子が頭下げて共同戦線の話を持ってくると思ったら、そういうワケね。」

「報酬は6:4、こっち4で構わないわ。エミの方がこの手の事情詳しいでしょ?」

「まぁ令子はバリバリ偏ってるしね。ただし、経費はそっち持ちで決まりなワケ。」

「んじゃま商談成立っと。エミ、さっそくだけど作戦会議するわよ。時間無いし。」



商談用の応接間に移り、テーブルを囲みソファーに身を沈める小笠原エミと美神令子。
ちなみに入り口のドアは施錠され更に外出札を掛け、電話機は留守番設定に変更済み。
いつもの憎まれ口も、私怨の脚の引き合いも無い。緊張に満ちた面持ちで会議に臨む。
この二人を、これほどまでに本気にさせる依頼。その内容は追って紹介するとしよう。












「小鳩ちゃんお疲れさん。……どう、なんとかなりそう?」

「ええ、まだ下書きに近いですけど、一応は大丈夫です。」



横島の気遣いに精一杯の笑顔で応える小鳩。もちろん、表面上の取り繕いではない。
本気の笑顔だ。ここ数日、横島はほぼ小鳩に付きっきりである。それが嬉しいのだ。
ただし原稿に再び向かえばそこには鬼の小鳩。それはそれ、これはこれなのである。



「しっかし、同人誌ってけっこうたくさん描くんだな。ちょっとした本だぜこれ?」

「まあ一応は本ですし。それよりも横島さんのノートは随分沢山貯まりましたね。」

「うはははは!知ってる限りのイイ女共が俺に描け描け迫ってきてな!なんちて!」

「では次の段階として清書しましょう。買ってきたこのペンでなぞってください。」



小鳩は横島の買ってきた物が入っている袋の中から一本のペンを取り出し、渡す。
漫画家といえばペン軸にペン先を装着するつけペンを想像するが、これは違った。
キャップがついている普通のペンだ。むろんそのへんの文房具ではなく画材だが。



「うまく引くコツは、線を描きはじめたら決して止めない事。曲がってもヨレてもです。」

「ほ、本当に曲がっちゃったらどうすりゃいいん?まさかマルマルモリモリ描きなおし?」

「白いインクで隠しますから大丈夫です。ただし、そこはもっと描き辛くなりますけど。」



この修正の痕跡を『白い悪魔』と呼ぶ人もいる。紙との抵抗感の違いが非常に大きいのだ。
紙の感触を残すなら薄めて塗ればと御思いの方もあるやもしれないが、それはNGである。
清書用のインクで描かれている場合インクが濃いため、薄めた液では線が浮かんでしまう。



「つか思ったんだけどさ、俺こんな事してていいの?手伝える事があるんじゃないの?」

「この前も言いましたけど、まだ小鳩の作業の段階です。それまで練習してて下さい。」

「おっけ!小鳩ちゃんがそう言うんならそうするぜ!意外と楽しいしなマンガ描くの!」



そして再び小鳩と横島がコタツで向かい合い、また下を向きマンガを描きはじめる。
ちなみにメドーサさんは、適当に仕事をこなし適当にテレビを見て適当に寝ていた。
ただし二人が寝落ちた時だけは、照明の加減を下げて布団を掛けたりはしていたが。










「横島君、決着の時まであまり日が無い。君の紹介した美神君は大丈夫なのかね?」

「その辺はクロサキ君に調べさせています。どうかね、彼女の動向は掴んでるな?」

「ご安心を、横島部長。流石は部長の手配した御仁、まさにパーフェクトでした。」



暗幕の張られた部屋で、一部分に画像が浮かんでいる。プロジェクターと呼ばれる投影機だ。
そこには円グラフに注釈が色々と追加され、その一つ一つを、細長い棒で部下が指ししめす。
部下のメガネが光るたびに、その画面が移り変わり、流暢にその分析を披露していた。



「磐石、鉄壁、想定外の要素が発生しても恐らく9割以上は圧勝でしょう。」

「歯痒いなクロサキ君、なぜ100%と言わない。何かつかんでいるのか?」

「ええ、当社の諜報部によると同じターゲットに別なアプローチがあると。」

「ほほう。では美神君が失敗する確率を早急に排除する必要があるのだな。」

「いえ、そうではありません。辛勝になるだけで失敗の可能性はゼロです。」



クロサキと名乗る鬼畜眼鏡風の部下が大樹のテーブルの上に小さな写真を乗せる。
隠し撮りのような画像、そこには『とある安アパート』の外観と少女の顔が写る。
そしてその隣で、鼻の下を伸ばして胸元を覗き込む、バンダナをした少年の姿も。
だが、横島大樹の表情は一時も乱れない。ただ、その口元とその上の髭が揺れる。



「安心したよ、流石は村枝商事大番頭の横島君だ。この恩は高く買い取らせてもらうよ。」

「社長にはもっと大きな物を既に買って頂きました。それは、私とのコネクションです。」

「それはむしろ此方の台詞。君程の男との繋がりを得られる対価なら、報酬が安すぎる。」



大人の世界には腹芸という言葉がある。別に腹部に顔の落書きをして踊る遊びではない。
『腹に一物、背中に荷物』というやつで、口先と心中が乖離している状況を指す言葉だ。
ただし今回に限っては、社長と名乗る男の分が悪い。息子の安否がかかっているからだ。
クライアントの手を握りつつ、横島大樹は息子と仕事の二重の意味でほくそ笑んでいた。






さて、同人誌はいつまでに原稿をあげればいいのか。そこは人によって違うとしか言えない。
幾年も付き合いのある印刷屋に無理がきく人もいれば、きかせすぎて怒られる人だっている。
印刷所入稿最終限界日。それを人は『タイムリミット』とか『締め切り』とか呼んだりする。



「……進捗状況48。あと二日、一日に12、二時間で1、入れて消して貼って削って……」

「こ、小鳩ちゃん、そういえばちゃんと寝てるのか?少しは休まねえと本気でマズイって!」

「大丈夫です横島さん。この程度の修羅場、いつだって越えてきました。必ず仕上げます。」

「お、俺にできる事を言ってくれってばよ小鳩ちゃん!もうちょっとでノートも終わるし!」



手に持ったノートをめくる横島少年。確かにそのノートの中はペンで既に清書されている。
枠線も集中線もきちんと引かれている。美神の裸体のシーンではぶち抜きにもなっていた。
ちなみにこの横島くんの長編漫画、どの話も途中で美神さんが現れて意味無く裸体になる。



「判りました。では、小鳩の事が描いてあるノートを見せてください。それで判断します。」

「え?!あ、あう、その、小鳩ちゃんのは最後に描いた自信作だけど……本人に見せるの?」

「大丈夫です。小鳩は創作と現実くらいちゃんと判ってます。ぜったいに怒りませんから。」



左右に目が泳ぎながら、おずおずとノートを差し出す横島。無表情のまま受け取る小鳩。
開くとそこには小鳩の満面の笑顔。どのページにも、どのシーンにも、どのカットにも。
そして不思議な事に、そのノートの最後まで進んでも小鳩の裸体はヒトコマも無かった。



「……横島さん、これじゃマンガじゃなくてイラスト集です。何故こんな事をしたんですか?」

「だって、その、小鳩ちゃんずっと苦しそうな顔ばっかりだったしさ。笑って欲しいなって。」



小鳩は表情を変えぬままに、横島のノートを卓上に広げ、手元のカッターで真っ二つにする。
それどころか他のノートも奪い、次々と断っていく。その手元に次々と紙の束が出来上がる。
その迫力に押されて手を出せぬまま、横島少年の長編原稿はついにノートと呼べなくなった。
目の前で繰り広げられた光景を、彼はただ呆然と見守るしかなかった。



後編に続く。


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