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『最後の時間移動』他(「GS美神」短編集)

酒と悪魔と男と精霊


投稿者名:あらすじキミヒコ
投稿日時:11/ 1/14

   
「チッ、もうこれも
 ほとんど空っぽじゃねーか……」

 一升瓶を片手に、昼間から酒をかっ食らう男。
 世間ではとっくに休みも終わった時期なのだが、彼にとっては、これが日常であった。

「とーちゃん……」
「なんだ、美介(よしすけ)か。
 こっちにゃ、食いもんはないぞ?」

 近寄ってきた息子にも、だるそうな返事を投げつける。
 二人兄弟の長男で、いつも「おなかすいた」と喚いてばかりの子供だ。しかし今は、父親に用があるらしい。

「これ……
 とーちゃんにプレゼント!」
「ん……?
 プレゼントだと〜〜!?」
「うん!
 だって……今日は
 とーちゃんの誕生日でしょ?」

 ニカッと笑いながら、息子が差し出したもの。
 それは、不気味な顔の模様が刻まれた壷であった。





       『酒と悪魔と男と精霊』



「なんだ、これは!?」
「えへへ……カッコいいでしょ!」

 子供のセンスは、よくわからない。
 頭を振りながら、男は、息子を問い詰める。

「どこで買ってきたか知らんが、
 こういう無駄使いは……」
「違うよ、とーちゃん!
 これ、拾ってきたんだ。
 ……すごいでしょ!?」

 話を聞いてみると。
 燃えないゴミに出ていた物だが、どう見ても普通の壷ではない。高価な品に違いないと思い、急いで回収してきたのだそうだ。

(ゴミをプレゼントされたのか……)

 まあ、貧乏ゆえ、たいした小遣いも渡していないのだ。仕方ないだろう。ゴミと言えば聞こえは悪いが、よく言えばリサイクル精神。
 それに、自分でも忘れていたような誕生日だ。気持ちだけでも、ありがたく受け取っておくべきである。

「……そうか。
 ありがとうな、美介」
「どういたしまして……!」

 父親が気にいってくれたと思って、息子は、さらに熱弁する。
 振ってみるとカラカラ音がするので、中に何か入っているはず。福袋みたいで楽しそうだ……。それが、子供の意見だった。

(いや……ゴミに出されてたなら、
 中身もゴミなんじゃねーか!?)

 思いっきり苦笑いしながらも、口では「そうか、そうか」と息子の言葉を受け入れて。

 ポンッ!!

 男は、壷の蓋を開けた。
 そして、ゆっくりと逆さにする。中から出てきたのは……。

「巻物……か!?」
「スクロールだ!!」

 紙を丸めたものだった。
 クシャクシャに丸めたならば、それこそゴミなのだが、これは、クルクルと丸めたもの。ご丁寧に紐でグルグルと縛ってある。

「とーちゃん!
 ……きっと宝の地図か、
 すごい呪文かなんかが書いてあるんだ!」

 子供の目には、ゲームに出てくるアイテムに見えたのだろう。もう、頭がすっかりファンタジーになっていた。

「待て待て、焦るな!」

 父親は子供と違って冷静だが、それでも、何か貴重っぽいものが出てきて、ちょっと興奮している。

「……ん!?
 ほどけんな、これ……」

 息子に、ハサミを取ってこさせた。
 厳重に縛られた紐を慎重に切って、巻かれていた紙を開いてみると……。


___________


『ボハーッハッハッハー!!!』

 煙と共に飛び出してきたのは、上半身裸の男。いや、いまだ下半身は紙の中のようなので、全裸と言うべきか。
 しかも、肌の色が普通ではなかった。額にも目のような物が付いているし、どう見ても人間ではない。

「ぎゃああっ!
 オバケが出てきたっ!!
 ……怪奇チョンマゲ男だ!?」
「待て待て、美介!
 これはチョンマゲじゃないぞ!?
 もっとアラビアンな何かだ……!」

 父と子はバケモノの登場に慌てふためくが、さらに混乱は加速する。

「英介(えいすけ)さん!
 火事は困ります……って、
 あれ……?」

 隣の部屋から、母親も駆けつけたのだ。
 消火器を手にしている。モクモクと広がる煙のせいで、誤解したらしい。
 そして。

「……へ、変態ぃーっ!?
 きゃああっ!!」

 裸男を見た途端、消火器を放り出し、今度は悲鳴を上げる。
 なお、彼女は背中に赤ん坊を背負っていたのだが、母親の悲鳴に呼応するかのように「ほんぎゃーほんぎゃー」と泣き叫び始めた。
 こうして、一家四人が勢揃いして騒ぎ立てる中。

『わが名はイフリート!
 全知にして全能……!
 聖なる壷の精霊なり!!
 ボハハハハハッ!!』

 壷の裸男は、堂々と自己紹介するのであった。


___________


『わしはアラーの神との契約により、
 フタを開けた者の願いを
 かなえることになっておる!
 それぞれ願いごとを三つ言うがいい!』

 いつもどおりの前口上を述べるイフリート。
 その言葉を聞いて、騒いでいた三人――赤ん坊を除く三人――が、動きを止める。

「願いごとを……三つ?」

 確認するかのようにつぶやいたのは、父親だ。

『うむ。
 おまえから始めるか……?』
「違う、俺が最初!
 ……俺が一番だよ、だって
 俺が壷を見つけてきたんだから!!
 ねっ、そうでしょう!?」

 イフリートの返事にかぶせる勢いで、子供が割り込んできた。
 それを見て、心の中でニヤリと笑うイフリート。

(この間の少年と同じだな。
 こいつは……カモだ!)

 前回のところでは、女と男と幽霊がいた。ルールのため幽霊は相手できなかったし、女は手強かった――なんと最後はイフリートが吸魔の札に閉じこめられたほどだ――が、男の方は楽勝だった。ここでも、同じ手が使えそうだ。

『わかった!
 おまえからにしてやろう!
 ……これで、あと二つだ!!』

 すました顔で告げるイフリート。
 父親と母親は少しポカンとしているが、とうの子供は、聞いていないようだ。

「えーっと……最初は……」

 すでに一つ消化されたことにも気づかず、必死に慎重に考えている。

「なんでもいいから食べるもの!!
 だって俺おなかすいてるんだ……」

 一生懸命考えても、子供の頭では、この程度。
 だが『なんでもいい』と言われてしまえば、イフリートとしては、拍子抜けするほど簡単であった。
 敢えて、聞いてみる。

『おまえは、何が好きなのだ?』
「甘いもの!
 ……俺、甘いものが欲しい!!」

 今度は即答された。もしかすると、さきほどの言葉も、聞こえなかったのではなく、ただの無視だったのかもしれない。

『よし、わかった。
 二つ目の願いは食べるもので、
 三つ目は甘いものだな……』

 ポンッという音と小さな煙と共に。
 ひとかけらのパンとハチミツを出現させる。この程度ならば、たいした魔力も使わずに済むのだ。

「わーい、ハチミツだ!
 俺の大好物だーっ!!」

 どうやら偶然、一番喜ばれる物を出してしまったらしい。
 子供は、パンにハチミツを塗り、嬉しそうに食べ始めた。
 それを見ながら。

『これですべてかなえた!
 一人終了だな……』

 と、イフリートが宣言する。
 子供は――とりあえず今は――満足しているようなので、珍しく、文句の言われない仕事をしたことになる。
 誇らしげなイフリート。
 しかし。

「……それは
 ちょっとひどいんじゃないですか?」


___________


『……ん?』
「だって……」

 横槍を入れたのは、母親であった。
 あいかわらず背中の赤ん坊は泣いており、あやしながらではあるが、主張するべきところはシッカリ主張する。

「たしかに、美介は最初
 なんでもいいと言いましたよ。
 それから、甘いものとも言いました。
 ……でも、それは
 あなたが聞き直したから、
 補足しただけじゃありませんか!
 それを別々にカウントするなんて……」
『……何を言っておる?
 「なんでもいいじゃわからん」など、
 わしは言った覚えがないぞ!?
 ただ純粋に好物を尋ねただけだが?』
「……!!」

 ようやく、母親にも理解できた。イフリートの主張も、そのウラの意図も。
 イフリートは、子供から簡単な願いを引き出すために、あんな質問をはさんだのだ。それも、無関係な質問だと言い逃れ出来るよう、あんな言い方で。

(この人は……!!
 ワザと願いごとを曲解したり、
 誘い受けしたりするつもりなのね!?)

 彼女は、今でこそ貧乏所帯の主婦をしているが、若い頃は、本の好きな文学少女だった。神話や伝説のたぐいも読みあさったことがあり、その中には、精霊の壷のエピソードもあった。それを、ようやく思い出したのだ。

(悪さをした精霊が神さまから
 罰を受けて壷に封印される……。
 決まった数の人間の願いを
 かなえるまで封印は解けない……。
 だから、てっとり早く数を
 こなすためにズルをする……)

 いや『ズルをする』どころではない。面白がって人間に不幸をもたらすような、意地の悪い精霊の話も読んだことがある。
 例えば、自動車が欲しいと願ったら、両親が突然死亡し親の車を相続することになった、とか。

(……そこまで悪い人じゃないと思うけど。
 でも、願いごとは慎重に言わないと……)

 だが、妻の心、夫知らず。
 背中の赤ん坊――泣き続けている――をあやすのも忘れるほど、彼女は真剣に考えていたのだが、それとは対照的に。
 彼女の旦那は、軽率な願いを口にしていた。

「おい、うるさいぞ!
 ……誰でもいい、早く
 麗介(れいすけ)を黙らせてくれ!」


___________


『その赤ん坊を黙らせるんだな?
 ……よし、わかった!』

 イフリートが、パチンと指を鳴らす。
 シューッと煙が湧き出して、赤ん坊の顔の周りを包んだ。
 赤ん坊の泣き声が、ピタリとやむ。

「おっ……!?
 やればできるじゃねーか!」
「すげー。
 ……れーすけが
 こんな静かになったの、
 俺、はじめて見たぞ……!」

 願いごとの無駄使いを気にせず、素直にイフリートを褒める父親。
 ハチミツパンを食べ終わった息子も、それに同調する。しかし、近寄って弟の顔を覗き込んだところで、表情が激変した。

「ぎゃああっ!
 れーすけ、息してないよ!?
 れーすけが死んじゃったよう……!」

 息子の言葉で、母親もハッと顔色を変えた。イフリートに詰めより、胸ぐらをつかんでガクガクと揺さぶる。

「なんてことしてくれたんですか!
 ……この子を返して!!
 麗介を元に戻して!!」
『わかった、元に戻す……!』

 再び煙を操るイフリート。
 赤ん坊を取り巻く煙が消えると同時に、子供は、火がついたように泣き始めた。

『……これで二人とも、
 一つずつ願いをかなえたぞ!
 それぞれ、残りは二つだ!』

 イフリートとしては、『この子を返して』と『元に戻して』を別々の願いだと解釈する――最初で生きかえらせて次で泣いている状態に戻す――ことも出来たのだが、危険なので止めておく。
 父親の願いで赤ん坊を黙らせた際、本当に殺したわけではない。死んだっぽくすれば、元に戻せと言われるのが常なので、そう見せかけただけなのだ。死者蘇生など、さすがのイフリートでも苦労するが、これならばラクだった。
 そして、こういう事情である以上、『生きかえらせる』では嘘をついたことになってしまう。神様が決めたルールを破ることになるのだ。ズルは許されるがウソは許されない、それが、ギリギリのラインであった。

「おい。
 そこまで力があるんなら……」

 赤ん坊の無事を喜ぶ母親と息子を尻目に。
 父親が、フラフラと歩み寄ってきた。

「……俺に、
 気がすむまで酒を飲ませろ!!
 死人を蘇らせるよりゃあ、
 簡単なはずだろ……?」

 ニンマリと笑いながら、願う。
 さすが、酒好きな父親である。我が子の復活を見て、一番に頭に浮かんだことが、これだとは……。

(だが、これは少し厄介だな……)

 顔には出さないが、ちょっと困ったイフリート。
 ストレートに考えるならば、とにかく大量の酒を用意すればいい。しかし、無から有を生み出すのだ。数が多ければ、魔力をガンガン消費するだろう。もったいない。
 しかも『気がすむまで』という話だ。いったい、どれほど飲むつもりか……。

(……そうだ!
 こういう時こそ、
 友人の助けを借りるべきだな)

 ラクに願いをかなえるアイデアが、頭に浮かんだので。

『それが二つ目の願いだな?
 ……よし、わかった!
 では……』


___________


「ぎゃああっ!
 と、とーちゃんが……
 バケモンになっちゃった!?」
『こいつも今でこそ
 悪魔や妖怪扱いされとるが、
 もともとは酒の精霊でな……』

 イフリートのやったこと。
 それは、悪魔アセトアルデヒドの召還であった。
 呼び出されたアセトアルデヒドは、当然のように、酒好き男へ憑依。今は、酒ビンを持って暴れていた。
 考えようによっては、悪魔に取り憑かれる前と、あまり行動は変わっていないかもしれない。だが、彼の息子は、ぎゃあぎゃあ騒いでいた。まあ、父親が悪魔になったのだから、当然の反応であろう。

(ともかく……これで安心だ!)

 自分の仕事ぶりに、満足するイフリート。
 あとは放っておいても、アセトアルデヒドの悪魔の本能で、酒を飲みまくるはずだ。その酒だって、イフリートが出してやるまでもない。アセトアルデヒドならば、ちゃんと自分で調達してくるに違いない。

(これで残りは、
 男が一つで女が二つ。
 どうせ、女の願いは……)


___________


「悠長に解説なぞしてないで、
 早くなんとか……」

 悪魔アセトアルデヒドの説明を始めた――そして黙り込んだ――イフリートに、母親が話しかける。だが、最後まで言わず、途中で言葉を飲み込んだ。

(いけない……!
 焦って頼んじゃ、ダメだわ!)

 彼女が話しかけた時点で、すでにイフリートは黙っていた。だから『悠長に解説なぞしてないで』という言葉を『解説を止めて』という願いだと解釈されることは免れた。もう少し早かったら、そうやって願いごとを一つ、無駄にしていたことだろう。

(しかも……
 迂闊なこと言ったら……大変!)

 赤ん坊の泣き声を止めるために、殺されてしまったり。
 酒を飲むために、悪魔にされてしまったり。
 頼み方を間違えると、大惨事になるのだ

(……いやいやいや。
 間違えるとか正解とか、
 そういう問題じゃないわね。
 どう頼んだところで、
 屁理屈で、こじつけられたら……)

 では、どうしたらいいのだろう?
 目の前のバケモノに頼むと、ロクなことにはならない。しかし、悪魔をやっつけてくれる人なんて、知り合いにはいない。
 だいたい、その手の職業――たしかGSと言うはず――は、目の玉が飛び出るような金額を要求するという話だ。貧乏な彼女に、GSに依頼するという選択肢はない……。

(いや……そうでもないかも?
 ……そうだわ!
 これならば、たぶん……)

 下を向いて考え込んでいた彼女は、いったん目を閉じて。
 それを開きながら、ゆっくりと顔を上げた。

「二番目の願いを言います。
 貧乏人でも助けてくれる……
 そんな親切なGSを紹介してください!」


___________


(ほう……そうきたか)

 悪魔を追い出せと言われたら、憑依したまま男を家から追い出すつもりだった。
 元に戻せと言われたら、外見だけ元に戻すつもりだった。
 何にせよ、アセトアルデヒドを男から引きはがすつもりなどなかった。どうやら、アセトアルデヒドは、この男を気に入ったようなのだ。せっかく友人が居心地良く過ごしているのを邪魔するほど、イフリートは心の狭い精霊ではない。

(だが……。
 それなら簡単だし、まあ、いいか。
 なにしろ、わしが直接
 手をくだすわけでもないからな!)

 情報を伝えれば良いのだから、簡単である。
 それに、よく考えてみると。
 あまりアセトアルデヒドに長居されたら、イフリート自身も困るのだ。男には、まだ三つ目の願いが残っているのだから。

『よし、紹介してやろう!
 隣町に教会があるから、
 そこへ行くとよいぞ!
 お人好しで有名なGSがおる。
 ……だが腕は立つから、
 きっと役に立つはずだぞ!
 なにしろ……
 わしを封印した奴の師匠だからな!
 ボハッハッハッハッ!!』

 一気に説明したあと、胸を張って高笑いするイフリート。
 しかし、ふと我に返ると。

『……あれ?』

 もう、誰もいなかった。
 イフリートをその場に残して、皆、急いで出かけたらしい。

『おーい……』

 それ自慢になってないだろ、とか。
 なんでそんなに詳しいんだ、とか。
 そういうツッコミが欲しくて、長ゼリフを口にしたのに……。
 ちょっと寂しくなる、イフリートであった。


___________
___________


「ありがとうごぜえました!!」
「本当に……本当に……」

 言われたとおりの教会で、無事、アセトアルデヒドを祓ってもらった。
 夫婦二人で、感謝の言葉を並べ立てる。

「礼には及びません。
 今後はああいう妖怪に
 とりつかれないよう、
 お酒はひかえることですね」
「これ……少ないんですけど
 お礼を……」
「お金なんかいいんですよ」

 言われたとおりのお人好しで、GSは、礼金を受け取ろうとしなかった。

「お元気で!」
「あ……ありがとうごぜえます……!!」
「ありがとうごぜえます……!!」

 平身低頭、いつまでもペコペコと御辞儀する二人。
 いつのまにか、父親の口調まで、おとなしくなっていた。


___________
___________


『おお、やっと帰ってきたか。
 待っておったぞ……!』

 戻ってきた一家に、イフリートが声をかける。
 男も女も、願いが一つずつ残っているのだ。それをかなえないと、イフリートの仕事は終わらない。
 だが、二人の対応は荒々しかった。

「うるさい、もう出てってくれ!」
「お願いですから……
 もう、うちには関わらないで!」

 そう言ったきり、イフリートの方を見ようともしない。
 それでも。
 これはこれで、イフリートにとって十分であった。

『よし、わかった!
 ……出ていく。
 そして、もう関わらない。
 それが、それぞれの三つ目だな?
 では……さらばだ!』

 シューッと壷に戻るイフリート。
 彼は、頑張って壷ごとピョンピョン飛び跳ねて、この家をあとにした。
 本来、こうやって移動するのは難しいのだが、それが願いごとである以上、仕方がない……。


___________


 その後。
 男は、人が変わったように働き始めた。
 どうやら、元々もっていたネガティブな気も、悪魔と一緒に除去されたらしい。アセトアルデヒドが体から出ていく際に、一緒に持っていってしまったのだろう。

 こうして。
 けっして裕福ではないが、それでも一家四人、幸せな家庭を築くのであった。

 結果だけ見れば。
 イフリートがこの家族に幸せをもたらしたとも言える……かもしれない。
 めでたし、めでたし……!?




       『酒と悪魔と男と精霊』 完
 
 
   


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