椎名作品二次創作小説投稿広場


闇の中で見る夢はどんな夢なんだろう?(絶対可憐チルドレン)

パンドラの箱(第11話)


投稿者名:ルカ
投稿日時:09/ 8/20

 泣き続けることしかできない。
 でもあの時のことを覚えている。
 優しさに満ち溢れていたあのときを。
 だからあの時のことを思い出せたら京介もノーマルに優しく慣れるかもと思う。
 
「ねえ京介、覚えてる? ここで遊んだ時のこと、あの時、私が疲れたって文句いったらしぶしぶだけどおぶって別荘までかえってくれたわね。お父様なんてよく私をおぶることができたなあなんて呆れてたけど。ねえお父様はとても優しかったわ。お父様はノーマルだったわ」
「……不二子さんがエスパーだったから理解があっただけだよ。普通のノーマルとは違ったからさ」
 パンドラの子たちの両親もノーマルだわ。
 でも子供を捨てた親もいる。
 でもお父様は違った。と私は言葉を続けた。
「……お父様は違うわ。それに皆本クンも違うわ。あの人とは違うわ」
「同じさ」
 平行線、どこまで言っても平行線。
 でも私は言葉を続ける。まっすぐに京介を見つめながら。
「大好きよ。今でも大好きよ」「僕もだ」
 言葉はどこまでも平行線だけど、この気持ちは本当。
 京介の視線が揺らいでいる。
 何かを考えているそんな感じ。
 お願いだから、お願いだから。
 あの時に戻れなくてもいい。
 でも愛してるという心が通じ合えば、きっときっと何とかなる。と私は思う。
 希望はパンドラの箱の中にあるんだから。


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