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闇の中で見る夢はどんな夢なんだろう?(絶対可憐チルドレン)

神様は残酷だと思うの(第4話)


投稿者名:ルカ
投稿日時:09/ 8/16

「どうしたんです?」
「なんでもないわ」
 彼の姿を見るたびに、私は希望を信じたくなる。
 絶対に救ってくると思うから。
「中学生になって、あの子達はどう?」
「どうとは?」
「欲情したりしないの?」
 ぶっとのみかけのお茶を噴出す皆本クンを見た。
 どうしても彼をからかうと楽しい。
 昔の京介、いや兵部を思い出すから。
「兵部はちょっかいかけたりはしてきてない?」
「今のところは大丈夫です。管理官」
 私は目を閉じる。すると見えてくるのは幸せの未来。
 きっと皆本クンは救ってくれる。
 私は彼と差し向かいでお茶を飲んでいる。
 例の別荘に私たちはいた。
「多分、兵部はあの海に現れるわ」
「……あの海?」
「……遠い昔の思い出の場所よ」
 管理官、それがわかっているならどうしてみんなに言わないんですか? どうして僕にだけ? と立て続けに皆本クンは尋ねる。
「……わかってほしいのよ」
「何をですか?」
「……兵部に貴方のよさをね」
 頼りないところもあるけどこの子はいい子だ。
 それをわかってくれれば、多分幸せの未来を信じてくれると思う。
「……神様はとても残酷だと不二子は思うわ」
「神様?」
「……不二子たちは六十年以上も理解しあえないでいるの」
「兵部とですか?」
 私は小さくうなずく。差し向かいでお茶を飲んでいる私達は、今二人きりだった。
 そういえばこうして京介ともお茶を飲んだなと思う。
 そうお茶を飲んだその後、私たちは……。
 このお茶美味しいでしょ? と私が訪ねると、ええと皆本クンが頷く。
 思い出すのは遠い昔の記憶の残滓。
 振り払う為に私は今現在の思考をつむぐ為に目を瞑った。
 遠い過去の残滓は消さなければ。
 でも……わかりあえるかもしれないという希望が私にはまだ残ってる。
 どうしても平行線をたどってしまうけど。
 わかりあえるかもしれないという希望が、私をまだ動かす。


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