神と踊るのが悪魔らしい。
なら神と踊ってみようと思う。
踊り踊って悪魔になるんだ。
「神と踊るのが悪魔?」
あの人が変な顔でボクを見ている。
ボクはうんと力強く頷いた。
「……昔聞いたことがあるんです」
「ああ多分聖書の教えの一つだろうな」
悪魔と踊れ、というフレーズだったと思う。
多分どこかで教えを間違って聞いたんだろうな。子供だし、とあの人は納得したようにうなずいた。
「正反対の者が一緒に踊るなんてことあるんでしょうか?」
「天使は昔悪魔だったんだ。だからそれもありえるかもしれない」
天使は昔悪魔だった。という言葉はとてもボクにとって興味深かったのを覚えている。
「エスパーも昔はノーマルだった」
「超能力の発現は遅い人もいますから」
「……だからエスパーもノーマルもかわらない、同じ人間だと私は思う」
同じ人間だからいつかわかりあえるはずだとあの人はいった。
ボクの頭を優しくなでて。
でもあの人の言葉は偽りだったと今のボクは思う。
だってあの人はエスパーを恐れていた。
だからボクは……。
踊り踊って神と。
そして悪魔になろう。
悪魔は昔天使だった。
でも悪魔は今は悪魔だ。
わかりあえるはずない、天使と。
天使、そして神とわかりあえるはずない。
だからボクは。
多分ボクは戦い続ける。
踊り踊って悪魔として踊り続ける。
わかりあえるはずのない神と天使と戦う為に踊り続けるんだろう。