ただ貴方だけが今は見えない。
夢の中でも。
「……女王、どうしたんだい?」
「なんでもない」
今はもう思い出せない。悲しい顔だけしか。
どうして裏切った? と彼は聞いた。
それに答えられなかった私。
「……未来というのは確定はしてなかったはずなんだが」
「少しはじいさんが見た未来とはかわってるとは思う」
「そうだね」
だってここには葵と紫穂がいないから、だって私が誘わなかったから。
「どうして女王、あの二人を……」
「独りぼっちになるでしょ、皆本が」
一人にさせたくなかったから、彼を。
ただそれだけ。
私は兵部に笑いかける。
二人だけでパンドラの本部では過ごすことはおおい。
私は誰にも会いたくなかったから。
ただやみの中私たちは語り合う。
そして多分実現する、あの未来のことを思う。
早く、私を殺しに来て。
そしたら私はこの心の焦燥を消すことができるでしょう。
多分この願いは、私の心のラヴレター。
ただ今は貴方だけが見えない。
ただあるのは来るべきあの未来だけ。