「……なんというかこうというか……」
皆本はん、不潔や。という台詞を聞いて、僕は頭を抱える。
にこにこと笑い茶を飲むこの男もどうかとは思うが。
「なんでお前いつもここにくるんだ? しかも僕の隣に座る?」
「お茶がおいしいから」
不潔やで、と泣き叫ぶ葵。
からかうと確かに楽しいわよねえ。と冷静に対処する紫穂。
はなれろおおおおおお。と僕の隣に座る男を一喝する薫。
「……僕はどっちかというと、不潔っていわれると傷つくけど」
「あんた、やっぱり……女王、女王とかいってるけど、皆本さんねらいやないか?」
「そうよね、そう思うわ」
「……京介、もしかして……」
そっちの趣味があるのか、と三人がひそひそひそ、と密談を始める。
「ご想像にお任せするよ」
にっこり、と笑う万年若作り爺。
僕はそんな趣味はない。と大声で怒鳴り否定するが……。
「うちらは、女にとられるよりはいいと思うけどな」
「うん、そうよね」
「まああたしたちが大人になるまでは、男相手でもいいと思うし」
「違う!」
まあまあ、と怒る僕を嗜める若作り爺。
多分何かが間違っているんだ。
多分絶対……。
「うん、僕は皆本クンが嫌いじゃないよ」
「きゃあああああああ!」
うんもう勝手にしてくれ、と僕は思う。
きゃあきゃあ、となんか楽しげに笑う三人。
「ちなみに、僕をね、皆本クンみたいな眼鏡をかけた人が好みだったりするんだ」
「じゃあ、うちも、うちもか?」
「そうだね」
いやああああ、と葵がなにやら興奮している。
頼むからやめてくれ。
頼むからやめてくれ。
僕が頭を抱えても、万年若作り爺は謎というか不思議な笑みをかえすだけだった。
とりあえず……僕にはそんな趣味はない……。