壊れたオルゴールが鳴っていて。
泣く声が聞こえる。
おとうさん、おかあさん……。
昔お父さんが買ってくれたあのオルゴール。
壊してしまったの。
「……あれもトロイメライだったわね」
流れるメロディ、狂ったように頭に響く。
扉から流れてくる音。
エミは両手で頭を抱えた。
思い出したくない。
思い出すな。
思い出したくない。
ぽんぽん、と流れてくるメロディは。
狂って壊れた音の乱舞。
昔落として壊したトロイメライ。
トロイメライの曲をつたない手でオルガンでひいてみると、笑顔で返してくれた両親はもういない。
「……記憶をよんだワケ?」
私の記憶をよんで、攻撃をしかけるなんてとんだ悪魔なワケ。と嘲笑するエミ。
彼女はベッドから飛び起きて、そして扉を開け放した。
すると……廊下にぽつんとあったのは壊れた一つのオルゴール。
薄汚れ、壊れているオルゴール。
木のオルゴールは、落とされたのか、ひび割れて傷ついていた。
ぽんぽん、と流れてくるメロディ。
「……これは私のもらったオルゴール?」
昔もらったオルゴール。
落として壊したオルゴール。
鳴っている音に耳をエミは澄ませた。
そうだ、これは私が失くしたものだ。と彼女は確信する。
彼女が落として壊した傷が、全く同じだったから。
廊下を歩いていく。そして身をかがめて、オルゴールを拾おうとする。
すると、曲がやんで……。
オルゴールが砂のように空気に溶けて消えた。
呆然とエミはそれをみている。
さらさらという音とともにすべてが消えていく。
「……何の攻撃ってワケ?」
「……昔の記憶をよむんですよ。多分ここは……」
目の前にピートがたっている。
そして彼は複雑な顔で、エミを見ていた。
まるで泣き笑いのような……顔にエミはそれは見えた。
そのため、今作のようなシーン毎こまめに行われる投稿スタイルは、イメージの勢いを失わないために必要なんだと思います。
もう一つの短編集と同じく、一話一話ストーリーを追ってコメントするのが難しため、コメントは幾つかまとめてという形になりますが楽しみにしておりますので、なんとかモチベーションを失わず完結まで書いていってくださいね。
もう一つとは異なり、この話には終わるべき地点があるでしょうからw
さて、内容ですがピートとエミを襲う精神攻撃らしき現象。
それを2人がお互いを支えながらどの様にして切り抜けていくのか?
この2人が好きなルカさんが用意するドラマを楽しみにしています。 (UG)