死を想え、死を想え、死を……。
まるでそれは呪文のように流れるメロディ。
昔壊れたオルゴールをみたことがある。
昔壊れたオルゴールを聴いたことがある。
そのメロディは……。
どこか物悲しい感じがするトロイメライ。
トロイメライは悲しい曲ではないけれど。
壊れたオルゴールが奏でるトロイメライはどこか悲しかったのを覚えている。
遠い昔のあの記憶。
死を想え、死を想え……それは昔の師匠がいっていた言葉。
……いやなゆめだ。
いやなゆめをみた。と覚醒したエミは思う。
壊れたオルゴールのゆめだったと……。
彼女は起き上がる。それは清潔なベッドの上だった。
「そっか……別荘にきたのね」
島の中央にある別荘は、この島の持ち主である人物の住まう館のはずだった。
それは『悲劇』が起こった場所でもあるけど。
「……吸血鬼ってのは……人に……」
人は狂気をもっている。
しかしその狂気を煽り立てるのが吸血鬼だとエミはいつか聞いたことを思い出す。
ベッドから身を起こし、彼女はため息を一つついた。
「呼び出しておいて、令子はまだなワケ?」
別荘までピートがつれてきてくれたけど、でもあの子がいなければ話にならないワケ、とエミは囁く。
ゆめをみた。
壊れたオルゴールのゆめだった。
トロイメライが鳴っていた。
「トロイメライ?」
ゆめの中の曲が、現実でも聞こえる。
エミは微かに扉が開いているのを見る。
「しめたはずなのに……」
確かにここについてから、しめたはず。
疲れたからといってすぐベッドに身を横たえたけど。
しめたのは間違いないはず。
しかし少しだけ開いたから聞こえるトロイメライ。
それは……どこか韻律が狂ったトロイメライだった。
ダークシリアスなのが得意とはいえ・・・暗いですね(汗
明るいものがかきたいです〜 (ルカ)