ゆめの中でさえもうキミの顔は見えない。
ゆめの中でさえ笑ってくれない。
「……戦いは終わらないよ。皆本、エスパーはノーマルと憎みあい争いあうんだ」
薫が泣き笑いの顔でいったあの台詞を僕は忘れることはできない。
薫の髪が風に舞っていた。ブラスターで打ってしまった後のことはもう思い出せない。
何度も何度も薫がパンドラにいってしまった後、説得しようとした。
兵部が愉しそうに笑っていたっけ。女王はパンドラのものだと。
泣き笑いの顔で薫は僕をいつも見ていたっけ。
……お前の微笑が思い出せない。
「皆本、ノーマルがエスパーにしてきたことはもう多分……あたしたちの間に和解という文字を生み出さないほど、酷いことなんだ」
「薫、戻ってきてくれ。僕たちはまだわかりあえるはずだ!」
最後に会う前に、僕たちはエスパーの連続爆破事件で出会っていた。
ノーマルがエスパーを利用しようとして作っていた施設を薫たちが爆破したあの事件。
「……無理だよもう……」
薫はやっぱり泣き笑いの顔で僕を見て、そして施設にある研究に使う資料たちをその力でばらばらにしていく。
雪のように舞っていく白い紙たち。
ひらひらひらと舞ってく。
「……無理なんだ」
薫は泣きそうな顔で僕を見た。
力が生み出す風が薫の髪をなびかせる。
兵部がその隣で狂気の笑みを浮かべてる。
「結局、キミが吐くのは理想論だ」
僕が選び取った未来。
そしてそれは絶望の未来。
もう引き返せない永遠に。
でも僕は必死で叫ぶ、でも兵部が笑いながら僕を叩きのめす。
それを冷たい目で薫は見ているだけ。
僕は壁に叩きつけられ、そしてうめく。
「こんなことは慣れてるんだ!」
「だから平気だって?」
何度も何度も力の渦を兵部は叩きつける。やめてもう、お願いだから京介。と小さく薫がささやいた。
「帰ろう、もういいでしょう?」
「ああ女王わかった。君は優しいね」
キミに免じてこいつはもう痛めつけないよ。と暗い目で兵部は僕を見る。
お前なんて大嫌いだ。と僕が叫ぶと、ボクもだよ。とにやりと兵部も言う。
憎い憎い、憎い、憎い、憎い。
黒いものが僕を多い尽くしていく。
兵部なんて消えてしまえばいい。と思う。
そう思ってくれるなんて光栄だ。と僕の心を読み奴が笑う。
薫が泣き笑いの顔で僕を見ていたっけ。
……お願いだから、お願いだから、笑ってくれ。
お願いだから笑ってくれ。
何度も何度も何度も思う。
……出会えない、もう永遠に。
消えてしまった君に。
もう永遠に……微笑みさえ思い出せない。