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絶対可憐チルドレン短編集

闇のなかたたずむ・・・(兵部)


投稿者名:ルカ
投稿日時:08/12/16

「……京介、不二子はね……あなたが大好きよ」
 だから泣かないで、と不二子さんは幼いボクを慰めてくれた。
 その後いろいろまあ悪戯はされたけどね。
 柔らかく優しく笑う不二子さん、そしてあの人、すべてがうまくいっていると思ってた。
「ほらほら京介!」
 あのひと夏の思い出は忘れることが出来ない。
 不二子さんは笑顔で、そしてボクに海の水をかけて。
 伊号のじいさんもいて、みんなで遊んだ。
 無理やり不二子さんがボクに水着を着せて、そして海に連れ出してくれた。
 でもボクたちは戦いあう間柄になってしまった。
 闇の中にボクはずっとたたずんでいる。
 あの人と戦うたびに。
 バベルにいるあの人とはもう永遠に相容れない。
 不二子はね、きっときっとあなたを……。
 十三年前に、不二子さんは、ボクに真空の刃をかざしながら、泣きながら言った。
 いつかいつかいつか……救ってみせると。
 不二子さんが泣いていた。
 泣き顔なんてみたくなかったけど。
 大好きだったのに。
 幸せだったのに。
 でも永遠に幸せはもうこない。
 ボクは戦い続ける。
 優しい姉さんと。
 ずっとずっとずっと闇にたたずみ戦い続けるんだ。
 それが多分宿命。

 ……京介、どうしてわかってくれないの?
 泣きながらあの人はそういう。
 ボクも同じ事を思う。
 多分ボクたちは永遠に平行線だろう。
 それが今は悲しい。
 とてもとても悲しい。

 


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