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絶対可憐チルドレン短編集

黒き闇(兵部? ですか・・・)


投稿者名:ルカ
投稿日時:08/12/11

 何もない黒い黒い闇の中、ボクは歩いていた。
 すると目の前にあの人が見えて、「化け物!」と叫ぶ。
 とても辛くて悲しくて、目をあけることができない。
 悲しい、悲しい、悲しい。
 切なく、悲しい、切ない……。
 黒い闇の中、ただ歩いていた。
 わかる。これはゆめだと。
 警告するシグナル。
 わかっている。これはゆめだと。
 でもボクはゆめから覚めることができない。
 ……永遠の黒い闇。
 でも……聞こえてくる音。
 そう音だ。
『おきろボケ! この若作り爺!』という声。
 ボクはそっと目を開けてみる。
 すると目の前に……。
「いつまで寝てるんだ! しかもボクのベッドで、いつきたんだ!」
 そういえば……そうだった。
 皆本クンをからかおうとして、彼のマンションまできたけど、女王たちもだれもいなくて。
 ついうとうとしてしまったんだっけ、しかも敵のベッドで……。
 目の前に皆本クンが見える。
 彼は怒りで顔を真っ赤にしていた。
「いやあ、いい寝心地だったよ」
「……うなされてたぞ?」
「え?」
「とりあえず……寝たいなら寝ればいいけど、うなされるなんていやな夢でもみてたのか?」
「別に」
 ボクは苦笑する。それを見て、いやなゆめなら僕も見る。とぼそっと皆本クンがつぶやく。
「え?」
「……とりあえず、用事がないのなら、まあいい……」
 ボクを捕まえようともせず、彼はため息をつく。
 なにやらいつもと勝手が違う。
 ボクがぼんやりと彼を見てると、早く寝たいなら寝ろよ。と彼は捲り上げた布団を元に戻した。
「じゃあもう少しだけ」
「……寝たらでていけよ」
「……はいはい」
 ふうとため息をつく皆本クンをボクはからかうように見て笑った。
 ゆめの中であの人は化けものという。
 でもこれからのゆめはそんなゆめじゃない。
 多分違う。
 そう違うんだ。


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