椎名作品二次創作小説投稿広場

絶対可憐チルドレン短編集

思い出すのは遠い昔（葵ＳＳ）

　皆本はんがうちにくれたもん。
　それは遠い昔、うちの誕生日に皆本はんがくれた小さな万年筆やった。
　うちは、それをとても大切にしてきたって思う。
　でもそれが壊れてしもたんや。
　やっぱりな、とうちはちょっと思ったりするんや。
　うちは皆本はんを裏切ったんやから。
　でもな、うちは後悔はしとらんよ？
　だってこうしないと薫が一人ぼっちになってしもたんやからな。
　うちは後悔なんてしてない。
　ただ胸がいたいだけなんや。
　壊れてしもた万年筆。
　もう元には戻らない。
　でもいいんや、もういいんや。
　うちには薫や紫穂がいるんや。
　だからもういいんや、だから目から水がでるのもきっととめられるねん。
　だからもういいんや……。