あの時も雨が降っていた。
「ねえ京介、ほらみて雨が綺麗よ」
そういってあの人は笑った。
そうだね、と僕も笑った。
そして僕たちを見つめるあの人、一番大切なあの人も笑った。
それは雨の日だった。
「……その手についた血は……雨が洗い落としてくれるわ」
そういって僕の体を後ろから抱きしめる温かい腕を感じる。
「僕の手は血がこびりついている。洗ってもとれやしないよ……不二子さん、いや姉さん」
とれやしないと思うけど、僕の体を抱くあの人の腕は温かい。
あなたの十字架は背負ってみせる。
だからなかないで、という声が聞こえる。
いつか、いつか、いつか…この声に耳を傾ける日がくるのか?
それはわからない。
…今日くらいはこのぬくもりに酔いたい。優しい姉の優しい言葉に。
雨が降る、この手についた血は洗い落とされることなく。
雨が降る、雨が降る。雨が降る。
嫌いじゃないんですけどねえ、兵部と不二子さん。(恋愛感情が伴わない、姉と弟の会話をかいてみたかったらしい)
どうしても恋愛みたいになる自分に反省です (ルカ)